ザ・グレート・展開予測ショー

【夏企画SS】クイーン・オブ・・・(絶チル)


投稿者名:フル・サークル
投稿日時:(06/ 8/21)




キィッ――――

 柏木朧一尉は、そのクローゼットの扉を両手でそっと開いた。
 中に手を伸ばすでもなく彼女はその場に佇み、憧憬と後悔との入り混じった眼差しでただそこにあるものを見つめている。
 収め切れなくなり遂にもう一台用意したクローゼット。そこには彼女の秘められた願望が集約されていた。

「どんどん増えてくわ・・・どうすればいいのかしら」

 途方に暮れた声で呟きながらも彼女は、どこかうっとりした表情をも浮かべている。
 彼女は目の前にずらりと並んだ衣装を、一着も、一度たりとも着た事がない。ただこうして、日課の様に度々それらを眺めるだけだった。




     ―――― クイーン・オブ・・・ ――――




「あらー、いつも真面目よねえ、朧ちゃんってば」

「あ、お疲れ様です、蕾管理官」

 結構な量の書類を手際良く片付けていた朧は、掛けられた声に顔を上げる。通りがかった蕾不二子管理官は帰り支度――と言うよりも、あからさまなまでに遊び支度であった。

「やーね、不二子ちゃんって呼んでっていつも言ってるでしょ。なあに、今日も残業なの?」

「はい。でももうすぐ終わりますから」

 そう答えるとにっこり微笑んで見せる。彼女の笑顔は人を心から安心させる、癒しと活力を与えてくれる笑顔だと、庁内での評判も高かった。
 しかし、彼女自身の疲れや心労は彼女の笑顔じゃ癒されない。不二子は少し眉根を寄せながら言った。

「仕事熱心なのも良いけど、たまには遊ばないとダメよー? ストレス発散しないと美容にだって悪いんだから」

 首を傾げて朧は不二子の全身を上から下へと見渡す。その視線へ応える様に胸を張って見せる不二子。

「不二子なんてほらっ、ストレス溜めないから若さもバッチリよ?」

 不二子の外見年齢の若さは美容なんて常識的なレベルじゃないし、超能力によるものだったのだが、それでも朧は再び笑顔で頷いた。

「時に朧ちゃん、仕事の後とか休日とかって、いつも何してんのかしらー?」

「えっ・・・あ、いや、特に何もしてませんね。普通に部屋の掃除をしたり、お風呂入ったりテレビ見たり・・・」

 反応してから答えるまでの妙な間が気になった不二子だったが、敢えてその事はおくびにも出さず話を続ける。

「趣味とかってないのぉ・・・彼氏は?」

「そうですねえ、そういう出会いの機会ってなかなかありませんから」

「オトコなら周りにいっぱいいるじゃない・・・でもまあ難しいか。つまんないわねえ・・・」

「アハハハハ・・・」

 不二子の呟きに少し困った様な笑い声で返す朧だった。



    ▼ △ ▼ △ ▼ △



 ようやく仕事を終え官舎の自室に帰宅した朧は、シャワーを浴びのんびりと湯に浸った後、バスローブ姿で戻ると一通り肌の手入れをする。そして視線は例のクローゼットへと向かった。
 クローゼットの前に立ち、扉を開け放つ。そこに所狭しと並んでいたのは、決して普通に外で着て歩く事はないであろう衣装の数々。
 ボディラインを強調してしまうキャットスーツ、レザーやビニール素材のビスチェやランジェリー、露出の高いボンデージ、豹柄のファーコート、どう見てもバベル支給のものではない黒衣の軍装に髑髏の帽章付制帽。
 衣装だけではない。長めの鞭に乗馬鞭、革の首輪に腕輪にセラミックの手錠、鎖とロープ、ギャグボール、蝋燭、その他ここではちょっと書けない様な小道具も。
 いわゆる、“女王様”。いわゆらなくても女王様。
 そこは彼女の願望の別世界。

「また増えちゃったなあ・・・」

 着る事も使う事もないそれらのコレクションの端に、昨夜また新たな一着が追加されていた。
 必要最小限の革地をベルトで繋ぎ合わせてレオタードみたいな形にした、夏向けの特に過激なボンデージ。またもや「つい、買ってしまった」のだ。
 もう止めよう、コレクションが増えて行く度にそう思うのだが、彼女らしくもなく、こればかりは止められそうになかった。困惑していた筈の朧の表情は、いつの間にか目に陶然とした光を湛え始めている。
 いつもの様に見入っていた彼女は、すぐ横で「ほお〜」と声を出しながら一緒に眺めている者の存在に、随分長いこと気付かずにいた。

「え―――かっ!? かかか、管理官っ!?」

 感慨深げにクローゼットの中の衣装や品々を見回している不二子から、朧はずざざざっと飛び退く。

「んふふ、不二子見ーちゃったわよー、朧ちゃんのヒ・ミ・ツのシュミっ」

「なっなっ、な、ななな・・・」

 あまりの事に言葉も出ない。口をぱくぱく開きながら自分を指差して来る朧に不二子は言った。

「不二子に生半可なECMセキュリティーは通用しないわよー? そりゃプライバシーの侵害とか、人間のマナーとしてどうかと不二子も思うけどぉ、部下の生活面での問題を把握しておくのって管理官としては大事な事よねー」

「そ、そこまでして知る事なんですかっ!」

「んー、ある意味とっても朧ちゃんらしい趣味だわ。普段凄くストレス溜めてそうだもの・・・あらっ?」

 言葉の出ない所から何とかそうツッコめるまでに持ち直した気丈な朧だったが、全く聞いてない様子の不二子はふと疑問の声を上げる。

「全然着てないんじゃないコレ、一つも。なによ・・・買って、見てるだけ?」

「え、ええ・・・買ったのも、元はと言えば出来心みたいなものですから」

 ガーターの付いた黒いビニールのビスチェを手に取りながら訊く不二子に、驚きと羞恥にようやく怒りが追い付いて来た感じの朧が答える。

「――ダメよっ!」

 すると不二子は、目を丸くしながらいきなり彼女に詰め寄っていた。

 「ダメよっ、折角買ったのに着ないままだなんて。それじゃ不完全燃焼じゃない。そんなんじゃねえ、幾ら買い集めたってあなたの心のモヤは晴れないわよっ!」

「え・・・え?」

 彼女の胸の前で両手を自分の両手に包み込みながら訴えて来る不二子に、朧の怒りは動揺へと変わる。
 幾ら集めても解決しない――幾ら集めても物足りないまま。その言葉は彼女の図星を衝くものでもあった。
 年の功と言うべき所かどうかは定かじゃないし、本心では彼女を心配してと言うより彼女で遊ぶ気満々な不二子だった訳だが。



    ▼ △ ▼ △ ▼ △



「さあ、ここなら防音もバッチリだし、透視能力者にだって覗かれやしないわ」

 バベル庁舎の中心部、エスパーの訓練に使われるシュミレーションホールに、不二子と朧の二人は来ていた。
 衣装と道具の全てはクローゼットごと台車に載せて運び込まれ、その中でも最も無難な方の一着――タイトなラバーのキャットスーツ――に着替えた朧が乗馬鞭を後ろ手に持ちモジモジと立っている。
 彼女の前で同じ乗馬鞭を手に、両腕組んで仁王立ちしているタンクトップ姿の不二子の方が、余程女王様らしく見えただろう。

「そもそも、何故そういう格好が女王様なのか、分かる?」

 不二子が訊くと朧は、考え考え不安げに答えた。

「ええと、威圧感や怖いイメージを与える為・・・」

「不二子が言いたいのはね、見る人の事じゃなく着る人の事よ」

 首を傾げた朧に不二子は頷いてから言う。

「それらの服はね、言ってみりゃ、女王様の“制服”なのよ。いいこと? 女王様がそういう服を着るんじゃないの。そういう服を着る事で初めて、その人は女王様になるの。朧ちゃん、あなたに足りてないのはまさしくそれなのよっ」

 ずびしっと鞭を朧に突き付けながら断言する不二子。

「あなたは皆本クン並に真面目だし、皆本クンよりも冷静で自分を抑え込んじゃうから、桐壺クンやくせ者揃いのウチのエスパー達相手に苦労が絶えないわよね。そんなあなただからこそ、こういう形で自分を解放する必要があったの・・・あなたの願望は気の迷いなんかじゃない。必要だから存在するのよ?」

 後は一歩踏み出すあなたの勇気だけ。不二子が言葉の後に指を鳴らすと、ホールの奥の暗がりから何かがのそりのそりと近付いて来た。
 シュミレーション用の人型ロボットだった。ロボットは二人のそばまで来ると歩みを止め、膝を曲げて床に正座する。

「あの・・・これは?」

「やあねえ、女王様には衣装と同じ位必要不可欠なものでしょう?」

『女王サマ、私ハアナタノ奴隷、哀レナ犬ッコロデス。タップリオ仕置キシテ下サイ・・・』

「ひゃあっ!?」

 急に喋り出したロボットに思わず悲鳴を上げる。そんな朧へ不二子は僅かに首を振って促した。
 何を促されたのか察した朧の顔に戸惑いが浮かぶ。手元の乗馬鞭とこちらに背を向けて正座しているロボットとを交互に見てから、彼女は恐る恐るロボットへと近付いた。

「え、えいっ」

 叩くと言うより軽く貼る感じでロボットの背中に鞭を当てた。出たのはぺちとかいう情けない音だったが、それでもビクッと鞭を引っ込めてしまう朧。

「もーっ、そうじゃないでしょ? こうよ、こうっ」

 不二子がつかつかとロボットの傍らに歩みより、手中の鞭を一閃した。
 空気を切る音や乾いた打音がホールに響き始める。打音に合わせてロボットが音声を出す。

『アアッ、女王サマ、モット私ヲブッテ下サーイ!』

 打音は続く。息も荒く不二子は朧ヘ呼び掛けた。

「こうよっ、こう・・・こうっ! 分かる?」

 何度も鞭を振るってロボ奴隷の背中を打ち据えている不二子は、本当に朧よりも女王様らしかった。

「はあはあ・・・さあっ」

 一旦手を止めてロボ奴隷から離れた不二子は、再び朧を促す。
 唾を呑み込んで喉を鳴らした朧。その視線はずっとロボ奴隷に向けられていた。
 一歩一歩、彼女はロボ奴隷に近付きその真後ろに立つ。顔の横まで乗馬鞭を持って来ると、深く息を刷ってからそれを思いっ切り振り下ろした。
 大きな打音と共に苦悶の声を上げるロボ奴隷。プログラム通りの反応ながら良く出来ている。
 打った瞬間、朧は背筋にぞくりと何かが走るのを感じた。その感触を確かめようとするかの様に、再び鞭を振り上げ、打ち下ろす。もう一度。またもう一度。

ぞくっ・・・ぞくぞくぞくっ

 次第に彼女の鞭の音は、間隔の短い連続したものとなって行った。その目には、先程クローゼット前で見せたのと同じ陶酔の色が浮かび始めている。

「そうっ、もっと手首にスナップ利かせんのよ。うーん、腕だけで振らない。もっと全身を使って。不二子そうしてたでしょお?」

 トレーナーの如く声を掛ける不二子へ、朧は言葉の代わりに鞭の音で答える。
 彼女の確実な変貌を認めた不二子は多いに満足していた。やっぱりこのコはいい素材だったわ、不二子の目は間違っちゃいない。このまま鍛えてけば・・・色々と面白そうよねっ。

「いつまでも黙って振ってちゃダメよー? 女王様なら、言葉も使って責めなくちゃあ」

 二十回ばかり鞭の音が続いた所で不二子がそう言った。手を止めて不二子をぼんやりと見つめた朧の呼吸が荒いのは、激しい運動や季節外れな厚着のせいばかりでもなかっただろう。

「こと・・・ば・・・」

「そう、言葉。一振り一振り罵るのよ? そうねえ、何でもいいの、このブタ野郎とか、お前は卑しい犬畜生だとか・・・何か日頃の思いでもいいわよね」

 朧はロボ奴隷へと向き直る。そして、鞭を振り上げながら口を開いた。

「こ、このブタ野郎、め」

 聞いたままを復唱する様な声と共に鞭を叩き付けた。再び彼女の中であのぞくぞくした感触は強くなる。

「お前は犬よ・・・犬畜生よっ」
バシッッ!

「ブタめ・・・ブーブー鳴いてみなさいブタっ」
バシッッ!

「口で言っても分かんないのは人間じゃなく家畜よっ、反省しなさい、少しは反省・・・しろっ!」
ビシッ、ビシッ、ビシッッ!

「人をイヤらしい目で見るなっ、このケダモノっ」

 言葉に合わせて打音が響く様になって来る。言葉そのものも、マニュアルではない、彼女独自のものに変化し始めていた。

「変態っ! 変態っ! 変態っ! 叩かれて嬉しいんですか、この変態っ」
ビシッ! ビシッ! ビシッ! バシッッ!

『女王サマ・・・女王サマッ』
「お前は犬でしょっ、犬が人間の言葉を喋るなっ・・・哭けっ犬らしく哭けっ、哭きながら這えっ!」

 言葉のままに、彼女はロボ奴隷を背中から蹴り倒していた。
 そしてロボ奴隷の前へと回り込み、爪先で顎から顔を上げさせる。

「哀れな犬っころめ、今からたっぷり躾けてやるわ・・・さあ、まずは這いつくばったまま足をお舐めなさい」

『キュウウン・・・』

 ロボ奴隷が犬の鳴き声で答え、出された朧のブーツを舐め始めた時、不二子は一瞬だけ首を傾げた。あらあ、不二子あんな動作オプションまで登録したかしら。
 しかし、そんな事が殆ど気にならなくなる程、彼女の「覚醒」は完璧で不二子にとって申し分のないものだった。

「はあ、はあはあ・・・ふ・・・ふふ・・・ふふふふっ」

 呼吸の中、静かな声で朧は笑い始める。やがてゆっくりと顔を上げ、宙ヘ定まらない視線を向けた。
 乗馬鞭の柄と先端を握り、ラインをくっきりと見せるラバースーツの胸元に両腕ごと引き寄せている。

「ふふふふっ・・・ふふふふふ・・・」

 ぞくぞくさせる何かは、まるで血の如く彼女の全身を駆け巡っていた。
 そんな彼女はにこにこと笑っている。いつもの、あの、人を癒す笑顔・・・の様であって何かが大きく違っている笑顔。

「いいねえ朧ちゃん、素質ありまくりよ? 不二子太鼓判押しちゃうわ」

 不二子の方も満足そうな笑みを浮かべて朧ヘと歩み寄って来ていた。先程部屋でも手に取っていた黒いビニールのランジェリーを持って。個人的に気に入ったのだろうか。

「そろそろそのカッコじゃ暑いんじゃないかなあって不二子思ったの。すっかり女王様らしくなった所で、これ着けてもっと過激に行ってみよーか?」

 何にせよ、人を育てるってのはいいものよねえ。そのコの秘められた可能性が花開くのを間近で見ていられるんだもの。しかし、不二子のそんな呑気な物思いは、突然の鞭の音に遮られた。
 不二子は自分に向けられた視線に気付く。

「“行ってみよーか”? “いいねえ朧ちゃん”? 口の利き方ってものがまるでなってないのね、この卑しいメスブタは」

「・・・あれ?」

 不二子の表情が笑顔のままで固まる。何て言われたのか――何が目の前で起こっているのか、にわかには受け容れ難かった。
 だが朧の顔を見れば、彼女の慈愛に満ちた微笑みとその中に光る冷たい蔑みの視線とは、間違いなく自分へと向けられている――そして、彼女の持った乗馬鞭の切っ先も。

「きゃあーーーーーーっ!?」

 信じられない程の素早い鞭捌きで何発も打ち込まれ、悲鳴を上げながら倒れた不二子。
 朧は台車のクローゼットに向かうと、やがてじゃらじゃら音をさせながら戻って来た。

「ダメねえ・・・そこは、“全てが至上にございます。どうぞ御心のままに、朧女王様”でしょう? お前の言葉遣いはそこのガラクタ以下だわ。一から躾けて行くべきかしら」

「くっ・・・」

 身の危険を感じた不二子は超能力の使用を考える。不二子クラスのエスパーなら――否、もっと僅かな念動力でも全くのノーマルである彼女を取り押さえるのは、理屈の上では容易な筈だった。
 しかし、不二子の思念は全く彼女に届いていない。

「何故っ? ECMも使わずにこんな・・・」

 呟きながらも理由は分かっていた。彼女に物理的なESP防御がある訳じゃない、自分が能力を出せていないのだ。
 能力を使う前に不二子の精神が彼女に、彼女の放つ何かに屈服してしまっている。

「何よ、何なのよっ、このオーラ」

 その問いの答えも明白だった。不二子自身が認識していた事だ。
 彼女は「覚醒」したのだと。
 朧は不二子の前に立つと、両手首を取り革の腕輪を装着させる。呆然とした顔の不二子からの抵抗はない。腕輪は朧の持つ鎖と繋がれていた。

「さあ来なさい、厳しく教育してあげるわ。あなたが心得ある立派な奴隷となれる様に」

 じゃらっと鎖を揺らしてから、彼女は少し荒々しく不二子を引っ張って歩き始める。
 ずるずる引きずられながらようやく不二子は考え至った。自分は悪ノリし過ぎたのだと。開けちゃいけない箱の蓋を開けてしまったのだと。
 そんな不二子へ朧はにっこり笑って声を掛ける。

「ご安心下さい管理官。私、ちゃんと“奴隷の制服”も用意してありますから」



    ▼ △ ▼ △ ▼ △



「あんのババアっ、ふざけるのもいい加減にしやがれえっ!!」

 鬼神の形相で驀進しつつ、バベル局長・桐壺帝三は咆哮していた。
 柏木一尉を連れたまま丸三日姿を見せていない蕾管理官より、先程局内全域に通達のメールが配信され、それを見た桐壺は厳重抗議に向かっていたのだった。
 そのメールはこんな内容である。

「本日より局内での役職区分を以下の名称に変更する。

 職員→奴隷 特務エスパー→家畜 外部→虫 

 尚、該当区分内における階級区分は、

 佐官以上→従僕 一尉〜士長→下僕 士長未満→真性奴隷
 超度5以上のエスパー→犬 超度4〜3→豚 超度2未満→肉

 連絡・通達・報告時などの呼称にて以上の点、徹底する事」

 この三日で超能力使用によるものを含め、管理官が外出したと言う記録はない。管理官は兵部少佐の様に記録を残さず出る事などは不可能だ――つまり、この施設内のどこかにいる筈なのだ。
 地下にある高レベル機密エリア。目ぼしいドアを片っ端から開け――ひっぺがし、桐壺は管理官を探し回る。

「どこだババアっ、冬眠用カプセルにブチ込んで永眠させてやるわあっ!」

 ドアの一つに手を掛け、電子錠ごとメリメリ言わせていた時、そのドアは内側から僅かに開いた。

「桐壺クン・・・」

 隙間から顔だけ覗かせた不二子に桐壺は憤怒の形相のままで迫る。

「一体どんなおつもりなのか、ずずずいっと説明して頂きましょうか。管理官?」

「桐壺クン、違うのよ。不二子じゃないの」

「とぼけちゃいけませんなあっ!?」

 隙間に手を差し入れ、更にドアをこじ開けようとする桐壺。強力なESPで押さえられているらしいが、桐壺の剛腕は益々怪力を増して行く。

「いくらあんたに局長以上の権限があるからと言ってですなあ、やって良い事と悪い事があるんですヨ・・・80年以上生きてて、そんな事も分からんのですか」

「だから違うのよ・・・年の事も言わないでちょーだい・・・」

 顔から下を出そうとしない不二子は、反駁する声も妙に弱々しげだ。どうも、らしくない。
 それを変だと思わない桐壺でもなかったが、まずは中に入り相手を問い質すのが先だと考えてしまった。

「何が、どう違うと仰るんですかな。ええ!?」

「あの通達は、不二子じゃなくて・・・きゃあっ!」

 言葉途中で不二子の顔がドアの隙間から消える。その時微かにじゃらっと鎖の揺れる音、ピシャッと何か――鞭の様なもの――を打つ音が部屋の奥でするのを桐壺は聞いた。

「も、もも申し訳ありませんっ、申し訳・・・」

 不二子が早口で謝っている。恐らくは桐壺にではない。ドアを押さえる力が弱まり、桐壺は一気にドアを開け転がり込む。
 室内へ足を踏み入れた桐壺が最初に見たものは、床をずるずる部屋の奥へと引きずられている不二子のボンデージ姿だった。両手は後ろに固定され、両足も伸ばしたりする事は出来ない。本当に黒革で拘束されている。
 首の辺に首輪があり、そこから伸びた鎖に引っ張られているのだ。桐壺は鎖の先を視線で辿る。部屋の奥にあるソファー、その上で気怠げに寛ぐ者の姿で彼の視線は止まった。
 足を横に組みながらソファーへ斜めに身体を預け、巻き取る様に不二子の鎖を引き寄せていた朧。黒革のタイトスカートをサスペンダーで吊り、裸の上半身に黒衣の軍装を着崩した感じで羽織っている。やはり黒の髑髏の制帽を少し傾けて被っていた。
 その足には何故か片方だけ脱げている膝までの編み上げブーツ。手に持っているのは先が束になったバラ鞭。

「お許し下さいませっ・・・朧女王様っ!」

「か――柏木、クン?」

 朧は、平伏し許しを乞う不二子から桐壺に視線を移すと、いつもの様に穏やかに微笑んで言った。

「あらっ、見てしまわれたのですね、局長」

 その彼女の目の光、抗い難い強烈な何かを前にした時、さすがの桐壺も悟った。今、バベルで影の重鎮の位置にいるのが一体誰なのかと言う事を。
 通例に従うなら、彼女の階級である一尉は「下僕」と言う事になるのだが、そんなツッコミは野暮と言うものだろう。
 彼女の着ている「制服」を見るがいい。彼女は今や“柏木一尉”ではない。“朧女王様”なのだ。

「見たなと言ってもだね柏木クン、見られたくなかった様には見えな・・・」

ピシイィィーーッッ!

 掛ける言葉に迷いつつもかろうじてそうコメントした桐壺に、彼女は一際響く鞭の音にて答えた。



    ▼ △ ▼ △ ▼ △



 局長も姿を消して、更に三日が過ぎようとしていた。やはり外出の記録はなく、そればかりかこの三日の間に施設内を移動した記録も幾つか確認されている。
 しかし、管理官共々連絡も取れず、実際に姿を見た者もいないのだ。管理官に同行しているらしい柏木一尉も同様である。皆本はコーヒーをすすりながら再び考え込む。
 「特秘集中業務にて」と言う一応説得力のある理由説明はメールにて配信されていたが、局内には動揺や憶測がゆっくりと蔓延し始めている。三日前に配信された奇怪な通達は保留扱いとなっていた――本当はなかった事にしてしまいたい位だけどな。
 このままにはしておけないだろう。彼らにしか出来ない業務だって溜る一方なのだ。それに、本当に無事だという保証もない。敵の、想像を超えた手段によって施設内で危機に陥っている可能性だって十分存在するのだ。

「皆本はん、寝てへんちゃうんか?」

「そうね・・・いつもの私達の担当に加えて、連絡系統も分担してるから」

 険しい顔でモニターを睨んでいた皆本の周りにはチルドレンの三人が集い、心配そうな眼差しを彼に向けている。

「なー皆本、局長とばあちゃんと朧さんだぜ? そんじょそこらの奴じゃ敵わねえよ。京介・・・兵部少佐だとしたって、そんなひどい事には」

 薫のその認識は甘いと思いつつも、葵も紫穂も口を挟む事はなかった。勿論、自分の不安を少しでも和らげようとそう言ってくれてるのだと心得ていた皆本も。

「ありがとう。でも、君達こそそろそろ一旦帰った方が良いんじゃないか? これは君達特務エスパーを何日も泊まり込ませる様な事じゃない、僕ら研究員の問題なんだ」

「だから、子供扱いすんなって言ってんだろっ」

「万一何かあった時、召集にだって倍以上の手間が掛るんでしょう? まして施設内で・・・皆本さんにあったとしたら」

「そやで、皆本はんかてちっとは楽出来るし安全や。大丈夫、局長達もきっとすぐ見つかるで」

「君達・・・」

 随分久しぶりに皆本の表情が少しだけ和らいだ。それを認め、三人の少女も笑みを浮かべ合う。
 だが、そんな束の間の空気をすら許さぬかの様なサイレン音が辺りに突如鳴り響いた。

ビイイイイイイイイッ!
ビイイイイイイイイイッ!

「―――何だっ!?」

 皆本と三人のチルドレンは一斉に顔を上げ壁面モニターやコンソール、周囲の喧騒を見回した。

『・・・緊急事態発生。Dエリアゲートより武装した集団の侵入あり、現在応戦中。エスパー排斥の主張を連呼しながらの銃撃を繰り返し・・・“普通の人々”実行部隊と思われます』

 皆本はその報告を聞くと息を呑む。チルドレンも見合わせた顔に緊張を浮かべた。
 殆ど間を置かずスピーカーから別の報告が飛び込んで来る。

『緊急事態発生。Bエリア右ブロック数箇所にて爆発。ゲート破砕及び出火、負傷者など不明。複数の侵入者あり』

「別動隊かっ、普通の人々の」

『違います――侵入者を映像にて確認。兵部京介、黒巻節子、ヤマダコレミツ・・・“パンドラ”です!』

「何だとおっ!?」

 皆本は振り絞る様な声で叫んだ。しかし、モニターに映し出された煙と瓦礫の中を事もなげに歩く者達の姿は、紛れもなく彼らだった。

「ど・・・どういう事やろか?」

「兵部さんがバベルを倒す為に普通の人々と組んだってコト?」

「いいや、それはないだろう」

 額を押さえながら皆本が答えた。苦い声で言葉を続ける。

「例えバベルを共通の敵と認識していたとしても、あの二つが手を組む事はまずありえない・・・互いへの敵意が強過ぎる。恐らくは情報が洩れているんだ。局長と管理官が失踪し、今のバベルは連絡網の大部分が麻痺しているとね。だから奇襲を考えた・・・偶然にも両方が、同時に」

 それにしても最悪の偶然だ。皆本は説明しながらも力が抜けそうになる。

「どっちにしろ、こうしちゃいられねーだろ」

 そう言うと薫は、腰掛けていた机の上から飛び降りた。

「薫ちゃん、どうするつもり?」

「決まってんだろ。あいつらまとめてぶっ飛ばす」

「待てっ、先走ってはダメだ。どちらも組織そのもの以上に君達をこそ狙ってるんだぞ」

 血気に逸る薫を皆本は制止する。じゃあこのまま見てろって言うのかよ、睨みながら反発する薫に皆本は答えて言った。

「まずは態勢を整える。君たちは全力で局長と管理官を探し出してくれ。多少施設を破壊する事になっても構わん。僕は残っているエスパーを探し集める。その上で合流し迎撃準備に移るんだ」

 皆本とチルドレン、四人は頷き合うと同時に駆け出した。
 チルドレン解禁の合図でESPリミッターが外れると、二手に分かれつつモニタールームを後にする。



    ▼ △ ▼ △ ▼ △



「どうだね、そっちは・・・」

「いいえ、そちらもですか」

 やっとの事で谷崎主任やナオミと合流出来た皆本は、彼らと共にエスパー探しを続けていた。

「くそっ、賢木の奴もいない・・・」

 医務室は勿論の事、避難経路を辿っても賢木の姿は見当たらない。賢木だけではない、ナオミによればダブルフェイスの二人も同様の状態であり、明や初音に至っては帰宅してるのかどうかも定かではない。

「こんなすぐに敵の手に落ちたとも考えにくい。ひょっとして局長達の行方が分からんのと何か関わりがあるのではないかね?」

『皆本二尉っ、チルドレンが“普通の人々”とCエリアにて遭遇! 交戦状態に入りました!』

「何っ! あれほど先走るなと・・・」

『普通の人々は最新型のECMを展開。我々がサポートにて援護と足止めを試みておりますが、執拗にチルドレンを追って来ます』

 顔色を変えて皆本はレシーバーを凝視していた。
 アイツらが先走ってるのではない。敵の動きも想像せず無計画に行かせた僕のミスだ。

「まずはこのまま合流しませんか。薫ちゃん達が心配です・・・」

 そう皆本に言いかけたナオミは、彼の背後に視線を向け凍り付く。
 ナオミの様子に気付いて振り返った皆本は叫んだ。

「―――兵部っ!」

「やあ皆本クン、桐壺クンも不二子もお留守だそうじゃないか。望まぬ先客もいるみたいだが、随分とガタガタだねえ?」

 すぐ近くに立っていた学生服姿の兵部。その後ろにはコレミツと黒巻。表部は口元を歪めて笑い、言葉を続ける。

「そんな顔をせず喜びたまえよ皆本クン、伊号の予知は外れた・・・君らはクイーンを手に掛ける事もなく、ここで終わるんだから」

「ナオミ君こいつに構うなっ、このまま全速で離脱!」

 皆本と谷崎を運び、弾丸の様にナオミは通路の果てまで飛んで行く。時折壁や天井を崩し、あるいは直接弾くなどの妨害も加えるが、兵部はものする事もなく彼らを追って来た。
 長い様で短い追跡劇はナオミが力尽きる事で終了した。皆本たちが辿り着いたのは庁舎の屋上、何かのドーム屋根の麓。
 そのドームを背に兵部達に追い詰められた按配だった。仲間を率いて彼らの前に降り立った兵部は、笑みを浮かべて言う。

「クスクス、もう逃げられないね」

「くっ・・・!」

 屈するものかとばかりに兵部を睨む皆本だったが、兵部はそんな彼を冷たく見下ろすばかり。

「さあ、くたばる前に教えてもらうとするか・・・クイーンは今どこにいるんだい?」

「―――――女王は、ここよ?」

 突然響いた、この場の誰のものでもない女の声。兵部が、そして一同が声の聞こえて来た方向へ顔を上げる。
 皆本達の後ろにあったドーム。そのハッチが静かに開き、中からステージの様な床面が重低音の振動を伴ってゴゴゴゴとせり上がって来た。
 そこに彼らの見たものは――――

「な・・・」

「何だい・・・あれは・・・」

ほぉーほっほっほっほ、ほーっほほほほほっ!

「柏木・・・一尉・・・?」

 ステージ中央で仁王立ちとなり高笑いしている朧――女王様。黒の制帽と今度は前を合わせて羽織った軍服。その裾から網タイツの脚がすらりと真っ直ぐに伸び、10p以上ありそうなハイヒールを履いていた。
 まるでどこかの大地震後の関東の王様みたいに片手に二本の鎖をジャラジャラ言わせて、四つん這いになった二人の人間を繋いでいる――ボンデージ姿の不二子と桐壺。
 どうでもいい事だが桐壺のボンデージはサイズが合わず今にもはち切れそうだった。

「ああっ、皆本クン京介、助けてぇーーーっ!」

 視界に皆本と兵部の姿を認めた不二子が敵味方お構いなしに助けを求める。直後、鎖の付いた首輪を強く引っ張られ、きゃんと高く悲鳴を上げた。
 呼び掛けられた側の二人は未だ呆然とした表情で固まったまま。
 しばらく経って、ステージにいるのが朧女王様と人犬二匹だけではない事に皆本は気付く。女王様の傍らではブリーフ一丁の賢木が正座していたし、その反対側少し離れた所ではダブルフェイスの二人が制服姿のまま目隠しされて×字形の木に磔となっている。
 ステージ奥にある『餌付け中』の札が掛った大きな檻の中で出してくれと喚き続けているのは明だ。初音はその後ろで満腹そうに眠っている。餌付け完了なのだろうかと、ぼんやり皆本は考えた。
 兵部達の背後で鈍い爆発音が響き、屋上の床を貫通してチルドレンの三人が飛び出して来た。それに続いて銃声を撒き散らしつつその穴からわらわらと這い上がって来る“普通の人々”。

「ちいっ、しつこい奴らだなあ・・・って、な、何じゃこりゃあっ!?」

 薫の叫びと共にチルドレンも“普通の人々”も戦闘を中断してステージ上の朧女王様を凝視する。

「朧さん・・・どうしはったんねん?」

「夏だから・・・じゃないかな」

 尋ねて来た葵に、ぼんやりした顔のままで皆本は答えた。女王様がふと空を見上げ、呟く様に言う。

「やっぱり、外は暑いですね。夏場こういう服や革なんかは、特に暑いんです」

 次にステージ前にいる人々を見渡しながら優しげに微笑んだ。

「でも、着ない訳には行かないんですよ。だって、私は女王様で、これは女王様が女王様である為の制服なんですから」

「そうねえ、普段着でああいう事されるとますます真夏っぽいわ」

 紫穂がうんうん頷きながら微妙に含みのある同意を示した時、朧女王様は空いていた右腕を一閃させた。彼女の軍服が黒い翼の様に空高く舞い上がる。
 その下には最新の一着、最小限の革地とベルトだけで構成されたレザートップスを着た・・・身体に巻き付けた朧女王様の、全長2m以上にもなる猛獣用の一本鞭を握る姿があった。

「だから、涼しいの買っておいて本当に良かったと思います」

「お、おおおおおおおーーーーーーっ!!」

 ベルトで強調された上に半分以上肌を露わにした胸へ目を釘付けにしながら、薫が叫ぶ。

「な、ナオミぃっ! ここに新たな理想け――」

 朧女王様の姿に何かインスパイアされたのか、谷崎がナオミへと飛びかかり、少し回復していたらしい念動力で床に深くめり込んでいた。

ヒュン・・・ヒュンヒュンヒュンヒュンッ・・・
「ほーほほほっ、ほほほほほっ、こんなに沢山・・・調教のしがいがありますわねっ」

 高笑いと風を切る音とが長く響き、朧女王様の鞭は自在に宙を泳ぎ始める。
 使った事がなかった筈の鞭を何故数日そこらでここまで捌ける様になるのか。これこそがエスパーにESPがあるが如き彼女の天性の素質であったか。

「ああっ、素晴らしいです女王様っ。どうかこの私めにも罰をお与え下さいぃぃっ」

「すっかり順応しきっとるんじゃない、賢木!」

「おおおおお!」

 正座したまま女王様に懇願している賢木へツッコむ皆本。薫はまだ叫んでいた。

「ふんっ・・・少し驚かされたが、こけおどしだねっ。ノーマルのくせに何が女王だ。役不足なんだよ」

 ようやく気を取り直した兵部が毒づきながら女王様へ鋭い視線を向け、足を進める。

「十分気を付けるべきだよ、僕は憎しみで人を―――」

ヒュッ・・・バッシイイイッッ!!

「――――何ィ!?」

 体内に作用する殺人ESPを放とうとした刹那、そのタイミングは激しい鞭の音で粉砕された。

「ぬうっ・・・くそっ、馬鹿な・・・」

バシイイイッ! バシイイィィッッ!!

 何度試みても、兵部の超能力は打ち負かされてしまう―――鞭の一振りで。

「普通じゃないっ、普通じゃないぞ貴様らあっ!」

 こちらもシュールな光景の衝撃から立ち直ったらしい普通の人々の面々が、女王様へと銃を構える。

ダンダンダンダンダンッ――バッシイイイイッン!!

 銃声と鞭の音はほぼ同時に響いた。彼らの撃った弾丸はことごとく女王様を外れステージの床で跳ねる。撃つ一瞬に狙いを狂わせるのか、弾道そのものが逸れてしまうのか。いずれにしても常識では考えられない。
 普通の人々は耳を塞いで、再び銃を構える。だがその結果は同じだった。
 
「無駄だ、音だけじゃない。鞭を打つ時の精神波の様な何かが作用しているんだ・・・鞭で、“女王様”で、銃にも僕のESPにも負けないなんて。そんな馬鹿な・・・・・・こいつは、“女王度7”だ!」

「何だその基準はっ!?」

 皆本の兵部へのツッコミは銃声と鞭の音に掻き消されたが、きっと「あらゆるものが破壊され、物が飛ぶ」のだろう。

バシイイイイイッ、バシイイイイイインッ、ビシイイイイイッ
ほーーほほほほほほっ!
ほほほほほほほほっ!

「だが認めないぞっ! こんな女王が最強だなんて認められるか。僕にとって女王とは一人だけなんだ」

 兵部はかぶりを振って言い放つ。その兵部の女王は朧女王様のステージにかぶりついてまだ「おおおおっ」と吠えてる訳だが。

「クイーンが女王で・・・女王様で・・・・・・・・・がぶぅっ!?」

 力説しながらも女王様のその制服で自分に鞭を振るう薫を思い浮かべてしまい、次の瞬間鼻血を噴く兵部。

「やっぱアブナイわ、うちのボス・・・」

「へ・・・・・・変質者・・・」

「―――くっ!」

 背後からのコレミツと黒巻の冷たい視線を受けつつも、兵部は鼻を押さえて向き直る。
 パンドラと普通の人々、そして朧女王様は三すくみの状態で対峙していた。
 武装したノーマルの差別主義者集団、最強最悪のエスパーによる最強最悪のエスパー組織。それらを前に臆する事もなく拮抗した力を見せ付けるのは、覚醒したバベルの女王様。
 彼女は超然と、にこやかに微笑みながら敵を――これから躾けるべき自分の奴隷を見渡していた。
 誰もが予想していなかった形での最後の戦い。その幕は今、切って落とされようとしていた・・・・・・!




  ――― 次回に続【 続 く な 】


          

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