ザ・グレート・展開予測ショー

【夏企画SS】令子とおキヌの○○…


投稿者名:烏羽
投稿日時:(06/ 8/13)




ミーンミンミン…ミーンミンミンミン…



八月の半ば、

『今年最悪の真夏日!!』と某都知事の息子の天気予報士が言っていたその日…



「あぁっついわねぇ〜…」

美神 令子は事務所の中でぐったりしていた…









令子とおキヌの○○…









『すいません、さすがに私でもここまでの気温は…』

事務所を管理している人工幽霊一号が申し訳なさそうに言う

「仕方ないわ…
 あんたの生まれた時代にクーラーが付いてるなんてありえなかったんだから…
 あ〜…横島くんが戻ってきたら文珠で冷やして貰おう…」

希少価値の高い文珠を冷房代わりに使うとは流石と言うべきか…

ちなみに横島はおキヌとともに厄珍堂に破魔札などを受け取りに行っている

シロとタマモは暑さの為に令子同様自室でぐったりしている…



ドンドン…



玄関のほうでノックの音がする

「こんにちわ〜クリーニングの『ザ・ハウンド』で〜す」

元気な店員の声が聞こえて来た

『オーナー、クリーニング屋さんが来ましたよ』

「はいはい…」

嫌々ながら玄関へと向かう



ガチャッ…



「どうも〜受け取り印お願いします〜」

女性店員が入って来てクリーニングの品を置いてゆく

「ありがと…」

明細にサインをして返す令子

「またおねがいしま〜す」

2つに束ねた髪を揺らしながら店員が去って行った…

「ふぅ…
 え〜っと、私の服と、ドレスに…これは…」

ビニールに包まれたクリーニングの品々を確認しながら部屋へと戻って行く令子

その中に目を引くものがあった様子

「六女の制服か…」

後ろ手にドアを閉めながらそう呟く

「………ちょっと着てみようかな…」

何がそうさせたのか、令子はそんなことを考えてしまった…

夏の暑さにやられてしまったのだろうか…

『…冷たい物でも用意してきますね…』

人工幽霊一号があえてそれに触れようとしなかったのは正解だったのかも知れない…






―――数分後―――

令子は鏡の前におキヌの制服を着て立っていた



「ん〜…まだまだいけるわね…」

何に対して『いける』のかはさて置き、本人はご満悦の様子

「にしても…
 腰周りがぴちぴちね…おキヌちゃんは細いわねぇ…羨ましい…」

どこか悔しそうに呟く令子

「でも…まぁ…胸がきついのは仕方ないか」

前留めのボタンがギチギチと音を立てているのを見て勝利の笑みを浮かべる



『…あの…オーナー…』



ご満悦の様子の令子へ人工幽霊一号が躊躇いながら声を掛けた…

「ん?どうかした?」

顔を天井へ上げながら令子が問う

『……ドアの前に横島さんとおキヌさんが…』

「え!?」



キィィィィィ……



軋んだ音をさせながらドアがゆっくりと開いていく…

ドアが完全に開いたとき、

そこには真夏なのに冷や汗をダクダクと掻いてガタガタ震えている横島と、

満面の笑みを浮かべたおキヌが立っていた…









「……横島さん?」

数秒の冷却時間の後、令子へ笑みを浮かべたままおキヌが横島に言う

「は、はひっ!?(俺か!?俺なんか〜!?)」

突然の指名に震える横島…

「美神さんが明日私と横島さんにお休みくれるんですって、一緒に海に行きませんか?」

にこやかにおキヌが言った

「…へ?」

おキヌのセリフを理解出来ない横島

「ちょっ…おキヌちゃん…?」

何を勝手に言ってるんだと言う令子

しかし、それを無視しておキヌは続ける…

「それに旅費から何から出してくれるそうですよ
 せっかくだからあとで水着買いに行きましょうよ?」

決して横島のほうを見ずに喋り続けるおキヌ…

はっきり言って恐い…

「あ、あぁ…そ、そうだね…」

横島は触らぬ神に祟りなし…と言った感じで流れに乗るしか無かった…

「お、おキヌちゃん…?」

再度おキヌへ問う令子…

「じゃあ私は美神さんとちょっとお話しが有りますから、1時間後に駅前のスター○ックスに待ち合わせましょう」

「う、うん…じゃ、俺は先に行ってどっかで時間潰してるよ…」

この場の空気に耐え切れなくなって横島が逃亡する

「ちょっ…横島く」

「美神さん…?ゆっくりとお話ししましょうか…その格好について…」

「お、おキヌちゃん…落ち着いて…ちょ…まっ…」

じわりじわりと近づいていくおキヌと、逃げ出す令子…

がしぃ…っとおキヌの手が令子の肩を掴んだ以降、人工幽霊一号の記録は全て抹消されている…









―――次の日―――

「なんで先生とおキヌ殿だけ休みなんでござるか!?」

「それに2人で海に行ってるって…しかも美神さんが金出してなんてどうしてよっ!?」

シロとタマモが令子に詰め寄っている

「……夏が……」

視点の合わない目を何処かへ向けながら令子が呟く

「「え?」」

「……夏の暑さがいけないのよ……」

「「???」」

令子の呟きは2人に理解されることは無かった…






(了)

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