ザ・グレート・展開予測ショー

【夏企画SS】ジークの粛正


投稿者名:烏羽
投稿日時:(06/ 8/ 2)

妙神山

ここは神界と人間界の中間に属する場所である

ここには世界中のGSが力を得に来る修行場が存在する



「何するんだ、このスケベ!!」

「粛正してやる…粛正してやるぞ!!!」



その中にあるとある一室で、叫びながらベスパの制服を脱がそうとしているジークの姿があった…






【夏企画SS】ジークの粛正






時を遡る事、約30分…

ベスパは、ジークの執行室に居た…



「あ〜っついねぇこの部屋…」

手を団扇のようにパタパタさせながらベスパが文句を言っている

「仕方が無いだろう、この建物には冷房なんて存在しないんだから」

ジークが机に向かいながらそう言った

「まったく、中華な造りの建物にサーバーだとか置くもんじゃないね…熱が逃げないじゃないか…」

夏と言う意味以上にこの部屋に存在するパソコンの熱によって気温が上がっているようだ

「文句があるなら姉上のところに行けばいいだろう?」

もう仕事は続行不可能と判断したのであろう、ジークはベスパの方へ顔を向け相手をすることにした

「いやだね、小竜姫と一緒にアツアツの玉露すする度胸は私には無いよ」

「ま、確かに…」

「あ〜あ…
 パピリオがサルと買い物なんかに行ってなければ遊べたのに…」

「斉天大聖老師と呼べ」

「サルで十分だよあんなゲームマニア…アキハバラだっけ?
 限定のゲームが発売されるからってわざわざ人間に変化して行くなんざ度が過ぎるね…」

「それは同感だが…」

「しかもパピリオまで連れて行って…」

「パピリオは老師のお気に入りだからなぁ…」

「あ〜もう!
 暑いし、パピリオと遊びに来たのにいないし!イライラするね!!!」

暑さに耐え切れずに制服の胸元をばたつかせて風を送る

「…もう少し恥じらいとか持ったらどうだ」

ベスパの行動を見ながらジークが呟く

「恥じらいねぇ…
 そもそも私はこんな制服よりぴったりした格好のほうが好きなんだよ」

以前まではジークもワルキューレも常に戦闘服を着ていたのだが、戦闘の機会が減った今では軍隊既成の制服を着ている

同様に、ベスパもその制服を着ていると言うわけだ

「生地は厚いし、スカートは動きにくいし…いいとこ無いねこいつは」

「軍規で決まってることだからな」

「はいはい、判ってるよ…」

そう言いながらも胸元をばたつかせているベスパ

「…」

見たいと言う気は無くても、視線がそこに引き寄せられてしまうのは男の本能であろうか?

「…ふ〜ん…真面目な振りしてても中身はポチと一緒なんだねぇ」

ニヤニヤと、いいおもちゃを見つけたとばかりにジークをからかうベスパ

「な、そ、そんなことは決して…!!」

「決して…何さ?」

ほれほれ、と若干ジークに近寄りながら胸元をばたつかせる

「う…く…」

顔を赤くしながら少しづつ後ろに下がっていくジーク

「どうしたんだい?黙ってないで何か…(ぶちぶちっ)…あ…」

何度もばたつかせてしまったからであろう、制服の胸の部分を留めていたボタンがはじけ飛んでしまった…

勢い良く全てはじけ飛んでしまったために目の前にいたジークは中が見えてしまったわけで…



つー…



静かにジークの鼻から真っ赤な鮮血が流れ落ちる



そしてそのまま後ろに倒れて行って…



どんがらごがっしゃぁ〜ん



自分の机を巻き添えにしてぶっ倒れるジーク



「ぬぉぉぉぉ!?!?」

後頭部を強打してしまったのであろう、頭を抑えながら床をゴロゴロと転がり続ける

「あ〜あ…なにやってんだい…」

さすがに不憫に思ったのか、ベスパがジークを起き上がらせようと手を伸ばす



ガシッ…



「…貴様…」

ジークが突然ベスパの腕を掴んで言う

「へ…?」

「…貴様その乱れた服装はなんだ!!」

突如として先ほどまでとは違う口調をしだすジーク

良く見ると彼の頭の上にはベレー帽が乗っている…

どうやら机の上に置いていたのが落ちて来たようだ

「え、あ、いや、ボタンが…」

さっきまでとは立場が逆になる2人

「ボタンが取れただと…?
 えぇい!気に入らん!!粛正してやる!!」

そう叫びつつジークがベスパの服に手をかける

「何をするんだ、このスケベ!」

「粛正してやる…粛正してやるぞ!!!」

ジークの叫び声が部屋内に響き渡った…












先ほどの叫びから約5分、

抵抗も空しく制服の上着を剥ぎ取られたベスパであったが特にナニもされることは無く放置されていた

さて、では何を『粛正してやる』とジークが叫んだのかと言うと…



ちくちくちくちく…ぷちっ



「どうだ!綺麗に繕い終わったぞ!!」



上着であった



「あ、ああ、どうも…」

「いいか!?
 服装の乱れは軍規の乱れ!心の乱れは服装の乱れ!
 軍人たるものいつ何時も心に平常心を持つのだ!!」

「は、はぁ…」

「返事は!?」

「はい!!」

「よろしい!
 ふむ…気を付けぇ!!」

「は、はい!!!」

ジークの言葉に反射的に気を付けの姿勢をとるベスパ

「…」

どこからかメジャーを持ち出してくるジーク

「…貴様…このスカートも軍規に反しているな!」

「え…」

「スカートはひざ上5センチまでだ!!
 これも粛正してやる!!!」

そう言うと上着と同様にスカートを剥ぎ取ろうとする

「ちょっと待てぇぇ!スカートはやめろぉぉぉ!!」

「粛正だ!!粛正してやるぞぉぉぉぉ!!」

ジークがスカートを剥ぎ取る瞬間…



「やかましいぞ!!
 何をやってるんださっきからお前らは!!!」



ワルキューレが乱入して来た

「……ジーク、貴様何を…」

「いや…スカートの長さが軍規に反していたので粛正を…」

姉であると共に上司でもあるワルキューレに怯えながら答えるジーク

「ほぉ…スカートをその場で脱がしてか…」

「この裁縫セットで丈を伸ばそうと…」

「ふむふむ…
 ……そう言うのは同性同士でやるもんだ馬鹿たれぇぇぇ!!」



ゴスッ



弟であろうと容赦の無い蹴りを延髄に決める

一撃で深い眠りにつくジーク、いくら鍛えているとはいえ姉には必然的に勝てないようだ

「すまんなベスパ、こいつはベレー帽を被ると人格が変わるんだ」

ジークを担ぎながらワルキューレが言う

「あ、ああ…」

「じゃ、私はこの馬鹿をちょっと埋めてくるからゆっくりしててくれ」

「わ、わかった…」



しばらくの間、妙神山の入り口に『右の鬼門』『左の鬼門』の間に『中のジーク門』が追加されたそうだがそれを見たものは居ない…






(了)

今までの コメント:
[ 戻る ]
管理運営:GTY+管理人
Original GTY System Copyright(c)T.Fukazawa