ザ・グレート・展開予測ショー

【夏企画SS】自由研究(絶チル)


投稿者名:烏羽
投稿日時:(06/ 8/ 1)

8月の半ば・・・

学生たちが夏休みを満喫しているこの頃、社会人である皆本は汗をかきながら自宅へ戻って来ていた



「ただいま〜・・・
 あ〜〜〜・・・涼しいなぁ・・・クーラーが良く効いてて・・・」

真夏日で、18時になっても気温が30度を超えている外とは違い、家の中はガンガンにクーラーが効いてとても涼しかった

「・・・って電気代の無駄だぁ!
 それにこれだけ涼しいと逆に風邪引くぞお前ら!?」

リビングでテーブルに座っている同居人(強制的にさせられた)の3人の少女たちに声をかける・・・

が、彼女たちはテーブルの上に画用紙を広げて顔を突き合わせていた



「・・・?何やってるんだい?」

彼女たちにしては珍しく静かに過ごしている様を見て皆本が聞く

「ん?あぁ、おかえり皆本」

「お帰りなさい皆本さん、今夏休みの宿題をやってたのよ」

「3人で合同の自由研究をやるんや」

よく見ると周りには画用紙の束、24色マジックペン、デジカメ、ダンボールの山などが並んでいた

「な、夏休みの宿題・・・!?合同の自由研究・・・!?」

3人の返答に驚愕する皆本

無理も無いであろう、彼女たちはつい最近まで学校へ通うこと自体無かったのだ

それで居て自分たちから率先して宿題・・・しかも自由研究を行うなんて・・・

(僕の教育(?)は間違っていなかった・・・!!!)

密かに夏休み最後の3日間を彼女たちの終わっていないであろう宿題処理の為に、休みを取ろうなどと計画していた皆本

そんな自分を恥じる



「そ、そうか、じゃあ僕は邪魔しないように部屋に居るからな
 夕飯は19時には作るからそれまでには一回終わらせてくれよ?」

「「「は〜い」」」

そう言って自室に戻る皆本

「ふぅ・・・
 あいつらが夏休みの宿題かぁ・・・
 ついこの間まで『私たちの夢は世界征服です!!』とか言ってたのに・・・
 成長したなぁ・・・うんうん・・・」

保護者としての幸せをかみ締めながら着替える皆本・・・

その時、リビングから薫の声が聞こえてきた・・・



「え〜、ではこれから第一回『セカイセイフク研究会』を始めたいと思います!!」

「「いえ〜!!(パチパチパチ)」」



ガシャァン!!



薫の台詞にクローゼットの扉に備え付けの鏡に頭を打ち付ける皆本

額から血がだくだくと流れ出ている・・・

「な・・・な・・・」

そしてそのままリビングに向けて走っていく

「何しとるんじゃぁお前らぁぁ!!」



バァン!!



自室からリビングへのドアを開け、そう叫ぶ皆本

皆本に3人の視線が集まる・・・

「お?」

「え・・・?」

「はっ・・・」

固まる3人・・・

そして何故か3人の視線は皆本の下半身へ・・・

しかも若干顔を赤らめている・・・

「・・・え?」

皆本は自分の今の状況を確認する為に視線を下に向けた・・・

そう・・・

皆本は・・・

『着替え中』に『そのまま』リビングに走っていったのだ・・・

Yシャツとトランクスの格好で・・・

「おぉ!『はだY』ってヤツか皆本ぉ!?」(注:違います)

「(カシャカシャ)」

「セ、セクハラやで皆本はん〜!」

薫がオヤジ顔で言い、紫穂が無言で携帯カメラで激写、そして葵は顔を赤らめながら抗議している

「わ〜!!
 ちょ、ちょっと待ってろ!!!」

そのまま180度ターンして自室に戻る皆本であった・・・






【夏企画SS】自由研究(絶チル)






「・・・で?
 なんだその『世界征服研究会』ってのは?」

着替えを終えて戻って来た皆本が空いてる椅子に座って3人に問う

「何って・・・『世界制服研究会』は『世界制服研究会』だぞ?」

「僕が言いたいのはなんでそんなことじゃなくて・・・ってちょっと待った薫、もう一回言ってくれないか?」

「?『世界制服研究会』」

『制服』と『征服』、読みは一緒でも発音が違う

「・・・紛らわしい名前を付けるなよ・・・」

頭を抱える皆本、ようやく意味がわかったらしい

「あ〜・・・皆本はんは『世界制服研究会』を『世界征服研究会』と間違えたんやね・・・」

葵も皆本の勘違いに気付いたようだ

「『世界の制服研究会』にしたほうがよかったわね・・・」

「あ〜そういうことか・・・」

「今度からそうしてくれ・・・」 

げんなりとした感じで言う皆本

「ま〜いいや、ちょうど皆本も居るし協力して貰おうぜ〜」

にっしっしっしっと、何か企んでいる風に笑いながら薫が言う

「そうね」

「そうやな」

残る2人も同意する

「?協力?
 まぁ、僕は構わないが・・・そもそも研究会って制服の何を研究するんだ?」

先ほどから疑問に思っていた事を聞く皆本



「「「『制服別、男性への悩殺度』」」」



満面の笑みで3人が口を揃えて言う

「・・・あ、醤油が切れてたんだっけ・・・
 ちょっとマル○ツまで行って来るよ・・・埼玉県蕨市の」

いそいそと出発の準備をする

ちなみに都内からだと蕨市までは車で2時間はかかる計算だ

「待てよ皆本ぉ・・・」

「お醤油は床下収納庫にあるみたいだけど?」

「必要ならうちが買ってくるで?」

満面の笑みの裏に黒い影を隠しながら3人が皆本に近づいて行く

「よせ・・・やめろ・・・」

「「「うっふっふっふっふ・・・」」」















「それではこれから第一回『世界の制服研究会』を行います!!」

「「いえ〜!!」」

「お前ら・・・」

5分後、皆本は目隠しをされた状態で椅子に縛られていた・・・

「と、言うわけで皆本ぉ!
 あたしらが着替えたら目隠しを外すから、それまで妄想しながら興奮しておけよ〜!」

うひゃひゃひゃひゃ・・・と、オヤジ笑いをしながら薫が言う

「その時の感想は私が読むから口に出さなくでも大丈夫よ?」

にっこりと(今の皆本には見れないが)紫穂が言う

「・・・見られてないとわかってても恥ずかしいなぁ・・・」

着替えながら葵が呟いた

「美少女3人の生着替えが目の前で行われてるなんざ男冥利に尽きるなぁ皆本ぉ〜」

「・・・はぁ・・・」

こんなとこ他人に見られたら一発で逮捕だろうなぁ・・・などと思いながら皆本は盛大にため息をついた・・・



「よし、まずはこれだ!」

皆本の目隠しが外される

「・・・これって・・・」

「そう!B.A.B.E.L.の制服!」

「・・・反応無し、『普通じゃん』だそうよ」

「ある意味見慣れてるか・・・!次ぃ!!」



「2番!セーラー服!!」

「・・・君らの制服とあまり変わらないじゃないか・・・」

「反応無し」

「ちっ・・・次ぃ!」



「3番!メイド服!!」

「『家事が出来ないのにメイドって・・・』って思ってるわ」

「なんだとぉ!!」

「ぐはぁ!」

「次!!」



「6番!ナース服!!」

「持ってる注射器にちょっと動揺したけど悩殺じゃないわね・・・」

「くっ・・・次っ!!」



「9番!スッチー!!」

「最近は『キャビンアテンダント』言わなならんらしいで」

「駄目ね・・・」

「くっそ〜次!!」



「11番!アン○ラ!!」

「そ、それはコスプレじゃ無いのか!?」

「ちゃんとしたお店の制服だからいいのよ
 若干反応有り・・・だけど悩殺までは行かないわね」

「ちぃ・・・今度はこっち方面で攻めてみるか・・・」



「15番!バニーガール!!」

「あ、さっきより動揺してる・・・露出度が上がったからかしら?」

「はっは〜ん・・・皆本はこういうのが好きかぁ〜」

「人聞きの悪いことを言うな!!」

「じゃあ次はこれだ!!」



「16番!スクール水着!!」

「・・・反応無しね」

「なにぃ!?バニーで反応したから行けると思ったのに!」

「でもうちらがこの間海で来てた方が露出度あるで?」

「そ、そういやそうだな・・・」

「これは特殊な人向けね・・・」

「はっ!そうか!白か!幻の『白い素材で濡れると透ける』と言うタイプじゃないと駄目なのか皆本!?」

「阿呆かぁぁぁぁ!!!
 そもそも濡れて透けるような水着着て泳ぐヤツが居るのか!!」

正論である

「ちっ・・・次々ぃ〜!」



「22番!はだエプ!!」

「それの何処が制服だぁ!!」

「新婚の奥様の制服だっ!!
 ほれ見ろ!この後ろ姿!これが『漢の浪漫』だろう!?」

「やめろぉぉぉ!!回転するなぁぁ!!」

サイコキネシスで強制的に見させられているので目を瞑ることも出来ない皆本

「うん、これには来てるわね・・・って般若心経なんかじゃ精神安定にはならないわよ皆本さん」

「背中がスースーするわ・・・」

「よぉし〜!次〜!!」



「23番!はだY!!」

「ずえぇったいそれは制服じゃない!!」

「まぁ、これはお約束と言うことで・・・」

「そうそう、ねぇ皆本さん」

「そうやでぇ〜ここでボケとかんと面白くないで〜」

「うぅ・・・その下から覗き込む視線はやめてくれ・・・」

皆本、かなり悩殺されてます

「なかなかこれはいいわね・・・もう一押しってとこかしら」

「おぉ、もう辛抱堪らんか?皆本ぉ〜!」

「こんなんがええんやな・・・ふむふむ・・・」

「くぅ・・・」

皆本がもう少しで完全に堕ちそうになったその時・・・



「いっかぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!」



ガシャァーーン!



パリィン!!!



「わぁぁぁ!?」

「な、なんや!?」

「何!?」

「誰だ!?・・・まさか局長!?」

突然、叫び声と共に窓をぶち破って飛び込んできた人影を見据える4人・・・

その人物とは・・・



「駄目だよクイーン!!そんなんじゃ駄目だ!!
 裸にYシャツなんて使い古しもいいところさ!!」



白髪、学ランの兵部だった・・・



「ひょ、兵部サン!?」

「なんだってここに!?」

「・・・ってか覗いてたん?」

「・・・今の言い方だと確実に覗いてたみたいね・・・」



「あぁ、そうさ!
 僕は暇さえあれば君たちを監視しているよ!!
 もちろん今日の事だって最初からばっちり録画済さ!!」

びしぃ!と親指を立てる兵部

「そんなことよりクイーン!そんなYシャツなんて駄目だ!!
 今の時代、それの一歩先を行く萌え要素がある!!
 それは・・・これだぁ!!!」



脱っ



兵部がおもむろに自分が着ていた学ランを脱いで薫に渡す

「・・・裸の上にこれを着ろと?」

「そう!そうだよクイーン!
 これこそ今回の企画に沿った服装さ!!!
 その名も『はだガク』!!」

腕を高々と掲げながら兵部は続ける

「裸の『少女』に男物の学生服の上着だけ!!
 しかも大きめでダボついていてちらちらと見える肌!!
 これが今一番トレンディな萌え要素だぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

(注意:このお話はフィクションです)

「え〜・・・これがぁ・・・?」

兵部の勢いに押されたのか、薫が渡された学ランをしげしげと見る

ちなみに他の3人は意識が飛んでいて、まだ還って来ていない



くんくん・・・



「・・・クサッ!!!!臭い!!!!」



なんとなく匂いを嗅いでみた薫がそう言い放つ

「え゛・・・
 あぁ・・・、そう言えば1時間ぐらい外で見てたんだっけ・・・
 そりゃ汗臭くなるよね・・・あっはっは」

「・・・汗臭いけど・・・それより・・・」

薫が顔をしかめながら言う・・・






「おっさん臭い」






加齢臭(かれいしゅう):中高年特有の体臭の総称。原因は不飽和アルデヒドのノネナール。この成分は青臭さと脂臭さを併せ持ち40歳代以降に増加が認められる






「ガァァァァァァァン!!!」






見た目は10代〜20代だが実年齢は80を超えている兵部

老化細胞をESPで抑えてはいるが、匂いまでは抑えることが出来なかったらしい

「おっさん臭い・・・おっさん臭い・・・おっさん臭い・・・」

ブツブツと膝を抱えながら床を指で突付いている兵部

かなりショックだったようだ

「はっ!
 そ、そうだわ!薫ちゃん!兵部が録画してたってことはビデオか何か持ってるはずよ!!」

いち早く気を取り戻した紫穂が叫ぶ

「お!そうだな!!
 ・・・ケツポケットにデジカム発見!!」

そしてそのままデジカムを破壊する薫

「ひょ、兵部!?
 ってなんかブツブツ言ってるぞ・・・」

皆本も気を取り戻す

「今なら・・・やっつけることは出来なくても・・・!
 葵!しっかりしろ葵!!兵部を何処か遠くへテレポートさせるんだ!!」

一次しのぎとは言え、自分がこの状況じゃ何も出来ない為に一先ず兵部を遠ざけることにした皆本

「はっ、はいな!!!」



ヒュパッ!



独特の音がして兵部の姿が消える

普段ならテレポートすら防ぐはずなのに、よほどのショックでジャミングが出来なかったのであろう

「ふぅ・・・何しに来たんだあいつは・・・」

「覗きにじゃない?」

「・・・本当に変態だな・・・」

「あとでシメよう・・・」

「そうやな・・・」

「そうね・・・」

「そんなことより・・・なぁ皆本?」

薫がオヤジ笑いをしながら皆本に話しかける

「・・・?」

皆本が怪訝な顔をして薫を見る・・・

「今の自分の状況わかってっか?」



『縛られている自分』 と 『目の前に裸Yシャツの少女3人』



「はい、皆本さん、こっち向いて?」

「は?」



ぱしゃり



フラッシュがたかれてシャッターを切る音がした・・・

いつの間にか自分の周りには3人が・・・

「・・・まさかお前ら・・・」

「いい記念写真だよなぁ?」

「そうやねぇ・・・」

「もしも・・・これが局長の目に入ったら・・・」

殺される、間違いなく殺される・・・

「黙ってて欲しかったら・・・なぁ・・・?」

「おとなしく・・・」

「うちらの相手してや・・・」

にじりにじりと皆本に迫っていく3人・・・

「くっ・・・縛られてるから逃げられ・・・
 ま、まさか最初からこれが狙いだったのかお前ら!?」

「今更判ったのか・・・」

「兵部が出て来たのには計算外だったけど・・・」

「順調や、2%も遅れていない・・・ってヤツやね・・・」

「は、はかったなシャアぁ〜!!」

「ふっ・・・坊やだからさ・・・」

皆本の叫びが防音効果の良く効いた部屋の中に響き渡った・・・









(了)












――――――おまけ――――――






ぴらりん♪



「あ、メールだ」

明の部屋で漫画を読んでいた初音の携帯にメールが届いた

「・・・ふむふむ・・・そっか・・・」

メールの内容を読んでなにやら頷いている

「・・・?」

初音と同様にベッドに横になりながら漫画を読んでいた明が顔を上げる

「ね〜ね〜明〜」

「なんだ?」

「Yシャツ貸して?」

「Yシャツだぁ?
 いきなりどうしたんだよ?」

「いいから貸してよ」

「まぁいいが・・・
 タンスの右側にかかってるから」

「わかった〜」

初音がタンスに向かって行く

それを流し見つつ明は漫画に視線を戻した



バタン・・・



ごそごそ・・・



しゅるしゅる・・・



ぷち・・・



ふぁさ・・・



「・・・ってちょっと待てぇ!!
 何してんだお前はぁ!?」

背後から聞こえる異音(?)に明が叫びながら初音のほうを向く・・・



そこには・・・

予想通り・・・

『裸Yシャツ』姿の初音が居た・・・



「ぶはぁっ!
 な、何つー格好をしてるんだお前はぁぁぁ!!」

鼻血を噴出しながら叫ぶ明

「薫さんたちが、『この格好すると男は悩殺される』ってさっきのメールで」

「うっ・・・そ、それは激しく否定出来ないが・・・」

「どう?悩殺される?」

その格好のまま4つ足で明のほうへ近寄っていく初音

「ま、待て!
 それはまずい!その状態だとYシャツが大きすぎて・・・」

いくら年齢が近いといっても男と女、身体のサイズは明のほうが大きい

そんな明のYシャツを着て4つ足で動くと言うことは・・・



「はぅっ!」



2度目の血の噴水が明の鼻から発生する

そしてそのままパタリとベッドに倒れこんでしまう・・・

彼には刺激が強すぎたようだ・・・



「明〜?・・・気絶してる・・・
 ・・・悩殺されたってことだよね・・・」

嬉々としてクルクルその場で回る初音

「明の匂いもするし♪
 また今度やってみよう♪」

かなりその格好が気に入ったらしい

「っと・・・
 明を起こしたほうがいいのかな・・・
 う〜ん・・・もう23時だし・・・このままにしておこう・・・」

と、言いつつ初音は明の隣りに横になる

「♪〜」

そして明の背中に頬擦りをしながら眠りに入って行く・・・



明が起きて『血まみれの自分』と隣りに眠る『裸Yシャツ』姿の初音に悶えるのはまた別のお話・・・












――――――その後――――――



「と言うわけで、『制服別、男性への悩殺度』の堂々たる一位に輝いたのは『裸Yシャツ』です!!」

ばぁん!と、黒板に貼られた画用紙を挿し棒で叩きながら薫が力説する

「・・・・・・はっ!
 え、え〜っと・・・いい発表でした〜みんな〜拍手〜・・・」

ジャージ姿の担任教師がいち早くフリーズから覚めてその場を締める

その掛け声にクラスメイトたちもフリーズから覚めて薫たちに拍手を送る

その拍手を受けつつ3人は自分の席に戻って行く・・・






(あとで家庭訪問が必要ね・・・)






夏休み明けの自由研究発表会、担任教師の胸に保護者である皆本への不信感が湧いた時間であった・・・






(了)

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