ザ・グレート・展開予測ショー

何がために鐘は鳴る第二部”冬の散歩道”


投稿者名:captain
投稿日時:(97/12/ 1)

前回に引き続き第二部 ”冬の散歩道” その@
今回は犬!?もとい人狼の村が舞台です。
美神、横島そしておキヌはある山中にいた。
隊長こと美智恵の訓練をあれから1ヶ月ばかり続けた後、決戦のときまで各自散り散りになり最後の仕上げをすることとなった。
その前夜横島はもう自分が後には引けないこと・・アシュタロスの呪縛から3人を開放するということをみなの前で告白した。
「とにかく俺はやれるだけやってみる。」
「横島君、戦うのはあんただけじゃない、私たちみんながいるわ。
とっととかたずけてまた3人で仕事するわよ!!」
美神の心には以前小竜姫の言っていた
「本当に苦しい時がきたときあなたのそばにはきっとかけがえのない戦友が・・・」
という言葉が浮かんでいた・・・
今の横島は美神の想像をはるかに超え強くなっている
そして横島をみると軽く微笑み
「それに小竜姫たちの敵もとらなきゃ・・・
あの3人はただアシュタロスに造られただけで主に従わざるを得ないのはわかるわ、
でも敵は敵なんだから・・そんな甘いことを言ってるとあなた本当に死ぬわよ!!
やさしすぎるのよ・・・本当にバカなんだから・・・」
「美神さん・・・でも・・・」
「まあまだ時間はあるんだしそのことはおいときましょ、ところであんたどこにいくつもり?」
「ああそのことでしたらまたシロの村に行こうかと思うんです、まだ長老から教えてもらうこともあるし。」
「やっぱり、でさー、私たちも考えたんだけど・・いっしょに行っていい?」
「え!?かまいませんけどなぜ?もっ、もしかしてやっと俺のことを!!」
妙な期待を抱く横島を殴りながら美神は
「そんなんじゃないわー!!、いろいろと話したいこともあるし、おキヌちゃんがドーしてもって言うから。」
と言う、するとおキヌは顔を赤らめ
「わっ、私そんなこと言って・・」
と言いかけると美神はおキヌの口をふさぎ
「何言ってるのかな?(それ以上言ったら殺すわよ・・)」と笑いながら話しかける、
おキヌはこの時つくずく恐ろしいと感じていた。
そんなこんなでとにかく3ヶ月後に都庁に集合ということで美神一行は人狼の村へと向かった。
横島は大きなリュックに荷物をいっぱい詰めて持ってきている
「それ、なんですか?」とおキヌが聞くと
「ああこれ?これはね長老に持っていく修行の代金みたいなものさ、後でわかるよ。」と答える
そしてどんよりとした冬の影に霞む空の下、奥深い山の中を歩きつづける
一方、美神はというとさっきから何か考えているような顔をして後ろのほうからついてきている
村の入り口へつくと横島は霊波刀を出し空間の歪みに向かって振りおろした!!
するとあたりをまばゆい光が立ち込め村への通路がすがたを現す
そこからまっすぐ長老の家へと向かい歩きだす、
途中何人かの人狼に会ったが皆横島を見ると深々とお辞儀をし挨拶してきた。
「ちょっとなによ?あんたここで何したの?みんなあんたなんかに挨拶しちゃって。」
「ああ、ちょっといろいろありましてね、何だかみんなこんなんなんですよ。」
するとおキヌが「横島さんてもしかして偉い人なんですか?」と聞く
そう話しているとばったりと長老と出会い
「おお横島殿参られたか、おっ美神さんたちもいっしょでしたか、ところで例のものは?」
長老の目もとが影り口もとをにやつかせながら言う
「ああ持ってきたよ。」といいリュックを渡す
長老は尻尾をパタパタ振りながら喜んでいる
「あんた何わたしたのよ?まっ、まさか・・・」と美神が不安そうに聞く
「ああ、あれはドックフードです、前持ってきたらみんなうまいうまいと気に入ってくれたから・・」
美神、おキヌはその場でズッコケル
「どーりで様子が変なわけよね、犬は三日飼えば何とかって言うからこいつらもしょせんは犬ってことね。」
と美神は長老の前でズカズカと言い放つ
長老は「ワシャ犬じゃない!!れっきとした狼じゃー!!」と美神に向かい激しく言いかぶせる
その傍ら「ごめんなさい、ごめんなさい。」とおキヌが謝る
横島はやっぱり連れて来るんじゃなかったと頭を押さえる
その時聞き覚えのある声で「横島先生!?」と叫びながら飛びついてきたのが約一名、
横島はそれが誰だかわからない、しかし顔を舌でなめまわされると
(こっこいつまさかシロ?)と思いながらとにかく抱き返す
美神はこれが誰なのかまだ気付いていないむしろ抱きつかれデレデレしている横島をしばきだした。
「あんたさては修行じゃなくて女が目的だったなー!!」
その言葉とともに血の雨が降る
女はおどおどしながら美神を止めようとするが
「あんたいい度胸ね!!うちの丁稚をたらし込むとは!!」
そう言い美神が女をにらみつける、おキヌはその横であまりの恐ろしさに硬直している
「なっ何か勘違いがござらんか?拙者でござるよ、美神殿、シロでござる!!」
そう言うと美神は信じられないというような顔で
「何?あんた本当にシロ?」と聞きなおす
驚くのも無理はないシロはもう既にすっかり成長しきっている
「どうしてこんなに早く成長しちゃったんですか?」
と硬直の解けたおキヌが質問した
「いや前にちょっとひどい怪我をしてしまって・・・
先生からもらった文殊で治療したら霊波が強くていっきに成長してしまったのでござるよ。」
と笑いながら答える
「そのことでちょっと話が・・・よろしいかな?」
さっきまで尻尾を振っていた長老がまじめな顔で話す
「いいわよ。」と美神は言い意識のなくなった横島を引きずりながら長老の家へと向かう
「とっところで美神さん、それ死んでるんじゃないでしょうか?」
おキヌが心配そうな顔で聴く
「たっ、たぶん生きてるとは思うけど・・・ちょっとやりすぎたかしら、
わるいけど私が話し聞いてくるまでヒーリングしといてやって。」
そう言い美神と長老は家の中へと消えていった・・・
おキヌはうれしそうにヒーリングを始める、そこへシロがきて
「拙者も手伝うでござる!!」と横島の傷をなめだす
「ちょっと邪魔しないの!!お座りっ。」とおキヌはきつく叱りつける
「なんででござるか?おキヌ殿こそどくでござる!!拙者の先生なんだから拙者に任せるでござる。
子娘は必要ないでござるよ!!」
”ピッシッ”という音とともにおキヌが切れる
「なにが子娘ですって!!自分だってちょっと前までは子供の犬っころだったくせに!!
ちょっと大きくなったからって調子に乗るんじゃないわよ!!」
二人はにらみ合い目から火花を散らしている、激しい霊波が二人から発せられ放電している
横島はその直撃を受けハッと我に返る
「なっ、なんだ!?」にらみ合う二人を見て叫ぶ
その瞬間二人ともにらみ合うのをやめ
「横島さん!!」 、「先生!!」と言い抱きつく
(何だか知らんけどおいしいぞー!!)そう思った横島は血が登りそのまま、また気絶!!
やっと二人はそれを見て今はいがみ合っている場合ではないと思い二人で介抱する
「この勝負はおあづけでござる!!」、「そのようね。」
やっと納得したらしい・・・
そして数分後、美神が長老の家から出てきた
「おキヌちゃん、その馬鹿連れてついて来て、長老が一つ家貸してくれるって言ったからまずそこに行くわよ。」
「はい、でもちょっと一人では運ぶのは・・・」
「心配いらんでござる、子娘一人じゃ無理だろうから拙者も手伝うでござるよ。」
「あ、ありがとうシロ。じゃあ行きますよ。」
顔をピクつかせながらおキヌは一応礼を言った
そして美神たちの着いた家は結構広く手入れの行き届いている立派なところだった
「美神殿、本当にここで間違いござらんな?ここは拙者の家でござる、ということは横島先生は拙者と住むでござるな!!」
「えっ?ここあんたの家なの?あんたすごい家に住んでるわね、まあしばらく厄介になるからよろしくね。」
「え?美神殿たちもいっしょでござるか、てっきり拙者は横島先生だけかと思ったのに・・・」
「そんなわけないじゃないですか、みんないっしょですよ残念でした。」
皮肉めいた話方をするおキヌ、どうやらこの二人のけんかは近いうちにまた始まるようだ。
「さあ暗くなってきたことだし、シロ早く入れてよ。」
美神が言うとシロは門をあけ家の中へと入る
「こっちでござる、美神殿はこの部屋を使うといいでござる、あとは先生はここということでっと、これでいいでござるな。」
いかにもわざとらしくおキヌを無視するシロ
「おキヌちゃんはどこなのよ。」と美神が言うと
「ああ、すまんでござるな、もう空いてる部屋がないでござるよ、こうなったら納屋にでも・・・フフフ・・・」
ニヤニヤしながら邪魔者は消さんとばかりに言う
「じゃあ横島君を納屋に連れてっておキヌちゃんその部屋にしましょう、それで決まりね。」
美神が言うと
「そっ、それは・・・」とシロが口ごたえをしようとすると
「横島君はうちの丁稚よ、だから飼い主は私なわけだからつべこべ言うな!!」
と横島を納屋へ連れていく
さっきから面白くなさそうにしていたおキヌは
「別に私かまいませんのに・・」と言うが
「別にこれでいいじゃないの。」と美神が納得させる
そしてその夜・・・
「ン、ン〜ン、ここはどこだ?確かおキヌちゃんに抱きつかれて・・・そういやもう一人・・・誰だっけかな?まあいいか、
あっそうだ人狼の村に来てたんだった、それよりここどこだろ、とりあえず外に出てみるか。」
横島は一人ごとを言いながら戸を開け外へ出ようとする
「先生!!気がついたでござるか、これは差し入れでござる。」
シロがその時いきなり入ってきた。
「やっ、やっぱり夢じゃなかったんだな、おまえシロだよな?
すっかり大人になっちまって、先生はうれしいぞー!!ちくしょー」
「照れるでござるな、でもまた先生に会えてうれしいでござる、
今回も修行でござるか?」シロが聞くと
「ああ、まだ長老に教えてもらうことはいっぱいあるからな。
それよりなんでこう大きくなっちゃったんだ?つい二ヶ月かそこら前まではそんなんじゃなかったのに。」
「あー、そう言えば先生は気絶してて聞いてなかったでござるな、
拙者前に文殊をいただいたことがありましたな、
一人で村の外に出て修行していたときいきなり何者かに切りつけられて・・・
 拙者も反撃しようと試みたのでござるがそやつ動きがすばやすぎて拙者では立ち討ちできず
もはやこれまでかと思ったときそいつはどこかへ走り去っていってしまい
そこでその文殊に念じて治療したのでござるが霊波が強くていっきに回復したらこうなっていたでござる。」
「そんなことがあったのか、でそいつに心あたりは?」
「それがまったくないでござる、でもそいつはたぶん化け猫かと思いますが拙者が猫ごときに・・・
そこでお願いがあるんでござるがよろしいでしょうか?」
「まさか俺に敵をとってくれとでも?」
「そうでござる!!いっしょに来てほしいでござる!!」
そういうといきなり横島に飛びかかり顔をなめ出す
「やっやめんか、誰か見てたらどーする(でもうれしいぞチクショー!!)」
と言ったとき
「もう見てます!!横島さんサイッテー。」
おキヌが顔をプルプルさせながら戸口に立っていた
「ちっ、ちがうんだおキヌちゃん、俺はそんなつもりじゃー」
時既に遅くおキヌはもういなかった
「いーじゃないでござるか、あんな子娘なんかほっときましょう。」
横島は真っ白になって固まっている、もう何も聞こえていないようだ、それを見て
(こっこれはもうどうしようもない)と思い
「せっ、せっしゃもそろそろ帰るでござる。」
申し訳なさそうにそう言うとすぐに帰ってしまった。
翌朝・・・
「起きるでござる、先生散歩に行くでござる!!」
昨日の夜から固まったままの横島をシロが起こす
あたりが何やら騒がしい、人の声がたくさん聞こえる
横島が目を覚ますと周りは人狼たちで囲まれていた、さすがにびびってすぐに目が覚める
「まっ、またかおまえらー、前にも言ったろ、俺は犬じゃないんだ、毎朝こんな早くから散歩につきあわせるなー!!」
そう!!横島は前に修行に来たときいつもこいつらに無理矢理つれ出され
毎朝50キロちかく山中を歩きまわされるというえらい目にあっていたのである。
一匹の犬、もとい人狼が刀を抜くと横島の首に当て興奮しながら
「早く行くでござるよ、ハー、ハー、拙者たちもう我慢できないでござるハー、ハー、連行しろ!!」
そう言うと横島は二人掛かりで腕を捕まれ引きずられ連れていかれる。
「美神さ〜ん、おキヌちゃ〜ん、助けてくれー」
こうして村の朝は始まった・・・
冬の散歩道 その@完






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