ザ・グレート・展開予測ショー

ハッピーエンド (絶対可憐チルドレン)


投稿者名:ヤドリギ
投稿日時:(06/ 5/22)

この話は No779『ある一つの結末』の続きとなります。
前作を読んだほうが状況、登場人物の心情などがわかりやすいと思うので
先に読むことをオススメします。












その事実に彼はただただ驚愕した。



時間は朝


場所は自宅であるB,A,B,E,L局員に割り当てられるマンション


加えて言うならばダイニングルームだ。


目の前のテーブルの上には湯気立てるコーヒーとスクランブルエッグ
食パンは先ほどまで租借していたが、今はテーブルクロスの上に落ちてしまった。

この部屋の主であり、今しがたまでいつものごとく義務的に朝食を進めていた男の名前は皆本光一
普段は明晰である頭脳は機能を停止している。


彼は知っていた…いや、気づかざるをえまい。
恐らく、『コレ』は彼女達三人がやったことだ。







皆本光一、内務省特務機関超能力支援研究局「B,A,B,E,L」に所属

そのB,A,B,E,Lのエスパーチーム・チルドレン(近日名称変更予定らしい)の現場運用主任として
6年前からチームを支えてきた。
途中、任期も終わり主任を変更するという話が持ち上がったが
次の日には上層部のお偉方自ら、任期の延長を命じに来たのだ。
もちろん帰り際には紫穂達三人に深々とお辞儀をしていった――――


桐壺と朧はこれで良かったと思っている。
と言うのは、メンバーの三人は皆本以外の言うことを聞かないだろうから


チルドレンと皆本の関係は良好で
皆本自身、ずっと妹のように感じていたのだが…



つい先日のこと、チルドレンに…いや――
明石薫
野上葵
三宮紫穂
の三人の女性に告白をされたのだ。


ちなみにその時のやり取り
「ぴっちぴちの女子高16歳の告白に流石に手も足も出ないよーだな!あ、手は出していいよ」
「駄目よ、薫ちゃん。皆本さんは勉強一筋で青春時代をすごしたの…
 焦らしもせずにいきなり全てを委ねたら、遅開きの青い性が暴走してしまうわ」
「きゃーッ!!皆本はん、何だかんだ言っても男やなぁ!!」
「何の話しだぁぁぁぁ!!」







異性として意識し始めたのはごく最近で、今まで三人のことを妹だと思っていた。

この告白された時、頭の隅に追いやっていた未来予知の映像――
銃をもって薫と対峙したときの告白が頭をよぎった。

そして悟った。
自分は妹と思うことで無意識に恋愛感情を抑えていたのでは、と…
だって初めて会ったとき10歳だったし――
先んじて弁解しておくが、皆本はロリコンでは断じて無い。




あの未来の告白は比喩でも何でもなかった。
本当に愛してくれていたのだろう。
葵、紫穂の二人も同じだという。しかし…


(『三人』からの同時告白とはどういうこった!)
選べと?三人の中で誰がいいか選べということなのか!?


返事に窮している皆本に対し、意外にも三人は柔らかくこう言った。


「いきなりだったし、こちらもちょっと都合があるから返事はもう少し待つ!」







そして現在……





『少子化対策のために多重婚を許可』
歯止めの掛からない少子化に対して、日本政府は
結婚を望む者達全ての合意があれば結婚を許可するという新しい法律を制定しました。
これに加え、親と子は例外とする2親等内での結婚、例えるなら兄妹間での結婚も容認されました。
この新法案についての反応は高齢者の間ではやや反対の声があるものの、概ね良好で
同性愛主義者の養子奨励も同時に進められてあり
今後、自由なジェンダー意識を育む為の新しい一歩と――――




そこまで読んで握力の抜けた手から重力に逆らえずに、新聞は床に落ちた。

言葉の意味は理解できる…しかし納得ができない。



朝食を前にして茫然自失としてると、玄関のドアの鍵が開く音がした。
何てことはない。
あの三人にはそれぞれ合鍵を渡しているのだから…


廊下を歩く、複数の足音が迫ってくる。
テレポーテーションではなく玄関から入ってきたのも
心理効果を狙う紫穂の提案だろう。
現に今、玄関からダイニングまで辿り着く為に要する数秒間が
やけに長く感じている自分がいる。策士だ



そのやけに長く感じた数秒も過ぎ、
居間の扉が…
逃れられぬであろう運命の扉が…

開い、た――――――――















「皆本さん、御結婚おめでとうございます」







チーム名、『マリード・カップル』に決定



Married couple:新婚 夫婦   byエキサイト翻訳


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