ザ・グレート・展開予測ショー

目覚めて見れば…17


投稿者名:K.M
投稿日時:(06/ 5/14)

近づくに連れて濃くなる異界の香りにしだいに活性化してくる。

まだ魔界になっていない状態でもかなり苦しい…

もし擬似魔界になった時本当に俺は戦えるのか?いや、生きていられるだろうか…


目覚めて見れば…17


〜原始風水盤稼動前〜

「もうすぐ原始風水盤に着きます。気を抜かないでください!」

一番先頭に立つピートが心眼達にそう警告する。

当然心眼も辺りの強い霊力を感じ無言で頷く。

ここまで来るのに色々と妨害があった。

原始的な致死性の罠や教会を襲撃してきたゾンビの待ち伏せ…

横島から聞いていた情報では雑魚ゾンビだけで強さは大したこと無いとのことだった。

が、実際はここまで来るのにもかなり手間取った。

もし心眼一人ならばやられていた可能性がもある。

(聞いていた状況と随分違う…あ奴の覚え違いか、それとも歴史が大幅に変わってしまったのか…)

前者ならば別に問題は無い7.8年も前の事だ覚え違いをしていても仕方が無い…

最終的に勝ったという事実が間違いないのなら構わないだろう。

だが後者だもしたら歴史が大幅に変わっているとなると、

横島から聞いて来たこの戦いの'事実'が変わってしまったことになるそうなると未来を知っているアドバンテージが完全になくなってしまう。

いや、それどころか未来を知っている分行動に'少しでも自分の知っている通りに…'と無意識に制限ができてしまう可能性がある。

(…不味いな…)

戦力的には間違いなく横島から聞いた以前より上だろうが不安が拭いきれない。

そんなことを考えている心眼をよそに先頭を行くピートが立ち止まる。

「雪之丞…」

「ああ…メドーサの野郎だ…おい!小竜姫出番だぜ」

その言葉と共に雪之丞が持っていた角から小竜姫が現れる。

「皆さんありがとうございます…メドーサは私の相手は私がしまうので美神さんの救出をお願いします!」

言うが早いか小竜姫は一気にメドーサの方に飛び出した。

「よし!俺達も行くぞ!」

「ああ!」

「…心眼さん?」

雪之丞の掛け声と共にピートも飛び出すがそれでも動かない心眼におキヌが心配そうに声を掛ける。

「分っている…心配無用だ。ありがとうおキヌ殿」

今考えてもどうしようもないと結論付け心眼も原始風水盤のある場所に急いだ。

………
……


既に小竜姫とメドーサが対峙している。

その二人から少し離れたところに岩に塗りこめられたような美神を心眼は発見した。

確かに唐巣神父と違うが土角結界に捕まっているようだ。

「コレが結界の鍵か…」

すぐさま持っていた腕を石の窪みに心眼が合わせると、美神を戒めていた岩が砕け散る。

「あーー体が動くわ!ありがと助かったなんて気持ちいーのっ!ありがと助かったわ…」

そういってこきこき体を動かしていた美神だったが何を思ったのかキョロキョロ辺りを見回す。

「…所で横島君は?」

「あ奴は勘九朗の囮をやっているのでここには居ないぞ」

「なっ!?アイツが勘九朗相手に囮なんて出来るわけ無いじゃない!何考えてんの!アイツを殺す気!?」

掴みかからんばかりに凄む美神に一瞬カッと頭に血が上りかけるがそれをなんとか押さえ落ち着いた口調で心眼が答える。

「しかたが無かったのだ本来、我とあ奴が囮だったのだが美神殿も土角結界に捕まっていることが分ったので、

急遽切り落とした腕を持って我が来たのだ」

「…そ、それにしたって…アンタは心配じゃないの?」

囮が一人になったのが責任の一端が自分にある知り一気に美神の気勢が下がる。

「…正直心配だ…だがそれと同じように信頼もしている。

今やることは美神殿を助け原始風水盤の起動を妨害することだそれが今一番あ奴の助けになる筈だ」

「………」

そう心眼に言い切られると美神も反論が出来ない。

「おキヌちゃん!」

「あっ…は、はい!」

「神通棍!」

オロオロと二人の様子を見ていたおキヌが狼狽しながらも持ってきた神通棍を取り出し美神に渡す。

「…さっさと年増のヘビババアをぶっ殺して丁稚を迎えに行くわ」

「無論だ!」

美神の力強い言葉に心眼も頷く。

………
……



「メドーサ…降伏しなさい…針も人質も無い今、原始風水盤の起動は不可能です!」

虚空から出現させた神剣を構えメドーサに小竜姫がそう宣言した。

だがメドーサはまだ余裕があるのかこ馬鹿にしたような表情を崩さない。

「人質?そなんもんは針が壊されないようにする保険でしかないさ…」

「強がりを…既にその二つを失ったアナタに何が出来ると言うんですか!」

「強がり?相変わらず御めでたい頭してるわね。確かに土角結界を破られたのは予想外だったけど、

それでも許容範囲内…私がそう何度も出し抜かれるような作戦立てる訳無いでしょ?」

そう言って小竜姫と同じようにメドーサの右手に光が収束しだす。

「そんな!」

手に握られていた物は何時もの刺す又ではなくホテルに置いてきた筈の原始風水盤の針だ。

「あっははは!あんな結界もない霊的に丸裸のホテルにいる貴様らの行動が分らないとでも思っていたかい?」

「筒抜けだったか」

歯噛みするように心眼が呟くが後の祭りだ。

まあ筒抜けと言う程酷くは無かったのかもしれないが二手に分かれたことがばれていた可能性高い、

しかも懸念していたようにどうやら横島聞いた'事実'が当てにならないようだ。

「くっ…それをここでアナタを倒せば同じことです!」

針を持った状態では攻撃受けることは出来ないと踏んだのだろう…小竜姫が一気に間合いを詰め神速の一撃を繰り出すが、

ガキン!と言う高い音と共に軽々と神剣が受け止められた。

「なっ!」

「ふん!何十人もの風水師の生血と私の妖力で作った針さアンタ程度の神剣で破壊することは出来ないよ!そら!!」

予想外の物に斬戟が受け止められたことで動きの止まった小竜姫に針が襲い掛かる。

「不味いわ!皆!行くわよ!」

深手と言う分けではないが小竜姫の劣勢を見た美神は即座に皆に檄を飛ばし自分も神通棍を構えなおす。

「フン!お前達の相手は私じゃないよ!来な!!」

改めて刺す又を取り出したメドーサがその様子に気付きそう叫ぶと、洞窟の奥から五つの影飛び出してくた。

「コリもせずまたゾンビか!そんなの足止めにもならないぜ!」

真っ先に飛び出したのは魔操術を纏った雪之丞だ。

素早い動きで一番近くのゾンビに近づき拳を叩き込もうとするが、

「カゼ…ヨ」

「何!?」

不気味なゾンビの声が聞こえたかと思うと、雪之丞が攻撃をする前に吹き飛ばされる。

「…喋った?て言うかゾンビが術を使った!?」

理性なんかある訳が無いから、生前持っていた獣の本能で殺しまわるのがゾンビの常なのだ。

そのことをよく知るGSだからこそ美神達も驚きも大きかったのだ。

「ダイ…チ…ヨ」

「くっ!!」

心眼に向かい隆起する地面を避け、それと同時に左右の手から霊波刀を投擲する。

「なっ!」

今までの経験からゾンビは頭部を破壊するか頚椎を破壊すると動きを止めるか身体能力が著しく落ちることが分っている。

その狙い通り寸分違わず眉間と喉に突き刺さるがその後の出来事に心眼は驚きの声を上げた。

投擲した霊波刀は大して深く刺さらずあっと言う間に消えてしまった。

本来ゾンビはタフではあるが体自体は特別に頑丈である訳ではない。

しかも死体のため霊的防御は生き物と比べ格段に落ちるはずなのだ。

まだ霊波刀が刺さらなかったのならケルベロスの件があるので納得がいくが、弾かれたのではない。

例えメドーサが強化したとはいえ霊力の塊である霊波刀が消えてしまうと言うことは、

ゾンビの肉体自体が強い霊的を持っていると言うこととに他ならない。

心眼同様その様子に驚いていた美神だが一つの考えが閃いた。

「あんな耐性の高いゾンビって…メドーサあんた…まさか…」

「ああそうさ…こいつらの元は針を作る過程で出来たゴミだったんだけど、

まだ利用できそうだったから使ってやったのさ。

この国のキョンシーの技術と私の妖力を使ってやったのに成功したのはその五体だけだったけどね…」

美神の言葉にニヤリと笑いさも楽しそうにメドーサは答えた。

「…風水師達の成れの果てと言うことか」

「最低ね…」

苦々しい心眼の言葉に美神が賛同する。

風水のメッカである香港で一流の風水師と言うことは、霊力も一流のGSに劣らないだろ。

しかも元が自然の理を操るのに長けている、心眼の霊波刀に耐える霊力とネーチャー系の術を使えるのも納得がいく。

「メドーサは私が何とかします!美神さん達はそちらのゾンビをお願いします!」

「分ったわ!」

小竜姫の言葉に美神がそう答え、心眼達に顔を向ける。

「遠距離系の攻撃は効き目が薄そうだから至近距離から体自体をぶっ壊すわよ!!」

『了解!(わかった!)』

各々の言葉で肯定の意を示し身構える。

………
……


美神たちがゾンビと戦闘を始めるのを横目で見ながら小竜姫は再び神剣を構えなおす。

当のメドーサはヘラヘラした笑みを浮かべ刺す股を肩に置き構えとも呼べないいい加減な構えだ。

だが、先ほどからスキだらけのように見えても美神達を笑っているときでさえ切りかかるスキが見当たらないから嫌になる。

「ほら!どうしたんだい?そんなのんびりしていて困るのはアンタだろ?それとも怖くて動けないのかね?

まあ、実践経験の乏しい良い子ちゃんじゃしょうがないわね…おほほほほっ!!」

「私の実践経験の乏しいがどうかはあなた自身で確かめてみなさい!!」

あからさまな挑発なのだが小竜姫は神剣を力一杯握り締め切りかかる。

切り、払い、突き…小竜姫は持っている技を惜しげも無く振るうが一つとしてカスならい。

実際は頭に血が上り色々が技は出しているが攻撃のタイミングが単調なのだ。

交わされる、頭に血が上る、さらに攻撃が単調になり交わされるという悪循環になってしまっている。

フェイントの一つでも織り交ぜればこうまで手玉に取られる事は無かっただろう。

「この!!」

「おっと…威勢は良いのは最初だけかい?このままじゃ時間切れで私の勝ちだね」

「くっ…私にはこう言う技があります!」

そう宣言すると同時に小竜姫が霊力をため、術を解き放つ。

「!この術は!」

余裕を崩さなかったメドーサが驚きの声を上げたかと思うと、振りかぶられた神剣がメドーサに振り下ろされた。

だが…

「なっ!?」

「超加速か…本来韋駄天のわざであるこれを私以外に使える竜神が居たなんて少し甘く見てたわ」

小竜姫が必殺を確信して放たれた斬撃はメドーサの刺す又に防がれたのだ。

まさかメドーサまで超加速を使えるなど予想だにしていなかった小竜姫は大きなスキを見せる。

当然メドーサがそれを見逃すわけがない。

「交わすんじゃないよ!」

分けの分らない台詞とともにメドーサは霊波砲を小竜姫に放った。

当然小竜姫もメドーサの真意が分らず、無視して交わそうとしたがハタと気が付く

後ろには蝋人形のように固まった美神達が居るのだ。

「くっ!」

寸での所で霊波砲を神剣で打ち払うがそれすらメドーサのメドーサに予測されている。

弾いた霊波砲が洞窟の壁にぶつかり岩を砕く。

小竜姫やメドーサなら洞窟が崩れても問題ないだろうが美神達はそうは行かなく、

どんなに強かろうと所詮人間だ、土砂に埋まれば助かりようが無いだろう。

「ほらほら…余り考えないではしゃぐと生き埋めになるよ!」

「メドーサ!」

怨嗟のように叫ぶ小竜姫を無視しメドーサが連続で霊波砲を放つ。

弾きくでも交わすでもなく完全に相殺するのはかなり霊力を消費する。

しかもこうしている間にも小竜姫が香港で活動できる時間がどんどん目減りして行くので、心理的にも消耗が激しいだろう。



「甘いね!」

残りの霊力を超加速に注ぎ突撃しようとする小竜姫に対しメドーサは今まで以上の霊波砲をぶっぱなす。

天井に対し…

「なっ!?」

あの大きさの霊波砲ならば確実に洞窟は崩落を起こすだろう。

メドーサの予期しない行動に小竜姫は反射的に神剣を突き出し何とか止める事に成功したが…

「ご苦労さん…」

「あっ…れ?」

ほっとしたのも束の間、メドーさの呟きと同時に小竜姫の腹から刺す又が生えていた。

コポッと真っ赤な血をが口からあふれ感覚を不思議に思いながら小竜姫は意識を失っい決着が付いた。

………
……


「たっ!」

気合と共に心眼自身が出力を体限界まで上げた霊波刀がゾンビを引き裂く。

何とか5体のゾンビの内3体までは倒したがこちらも無傷と言えない。

霊力の高いゾンビがこんなに厄介だとは思って居なかった。

皆、霊力の消費が激しい、特に前衛として果敢に挑んでいった雪之丞やピートがボロボロだ。

超加速と言う心眼達には知覚出来ない戦いを始めて程なくし、小竜姫が刺す又を腹に突き刺された状態で現れた。

『小竜姫(殿)(さま)』

血塗れになっている小竜姫に駆け寄ろうとするがその前にゾンビとメドーサが立ちふさがる。

「これであんた達が私に勝てる可能性は無くなった…どうだい…私の手下になるつもりはないかい?」

「………何んですって?」

予想外の言葉に美神が疑わしげに聞き返す。

「小竜姫が敵わなかったのにアンタ達が敵うわけ無いだろ?人間も中々役に立つからね…降参する気があるならさせてやるって言っているのさ」

「GSは悪魔と取引なんてしないのよ!」

「そ…残念ね」

口では残念と言っているが全く残念そうではない。

その言葉と共に原始風水盤から光の柱が立つ…メドーサは原始風水盤を起動させた。

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〜あとがき〜

17話読んでいただきありがとうございました。

GWを挟んで一話…我ながら遅いと思いますし、

次が何時になるかわかりませんがが(調子に乗って横島達がピンチ…どう納めよう)

これからもぜひ読んでください。


以上

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