ザ・グレート・展開予測ショー

月へ・・・


投稿者名:NEWTYPE[改]
投稿日時:(00/ 7/ 3)

アーギャマは、地球をかすめてつきに向かう間に、MSの飛行訓練を実施していた。
新型のMS、ディアスは、まだまだテストを重ねなければならなかったし、カオス教から手に入れたMK-Uの性能テストもあった。
アーギャマにとっては、優秀なパイロットがひとりでも欲しい時期である。
MK-Uを盗んできた横島が、ことによったら第二のピエトロ・ド・ブラドーではないかという期待は、アーギャマの乗員全員にあった。
その最中、横島はメドーサが地球に降りたことを聞かされた。
浪人の話によると、南米の地球連邦軍の拠点・・・・・もはやカオス教の拠点と化しているジブローの偵察であるという。
一人でそんな所に降りていって大丈夫なんだろうか?
俺のこと可愛がってくれるって言ってたのに・・・・。
これは後で浪人に聞いたんだが、どうやら西条さんとメドーサさんは付き合っていたらしい。その恋のもつれかなんかか・・・・。ったく二枚目はいつの世も得だよな。
俺、横島はそんなくだらん事を考えながら訓練を適当にこなしていた。
そうこうしてる内に、アーギャマは月の裏側の都市、『ムーンライト』に入港した。


「ようこそ、おまちしておりましたわ。唐巣艦長、斉天准将、そして乗組員のみなさん」
唐巣達がブリーフィングルームに入ると、まるで銀河鉄道999のメーテルのような切れ長の瞳をした美しい女性が笑顔で迎えてくれた。
「お久しぶりです、迦具夜姫。相変わらずお美しいですね。」
「まあ、艦長もお世辞が上手ですこと。うふふ・・・。」
世辞とは分かっていてもつい微笑んでしまうのが女の性分である。
その二人のやりとりを中断するかの如く准将がズイッと唐巣の前に出た。
「さっそくで悪いんだが、迦具夜姫。アーギャマの補給と新型機の受け取りをしたいのだが・・・・」
「え?こちらでゆっくりされてはいかれないのですか?」
「いや・・・・ゆっくりしていきたいには山々なんだが。実は今、部下を地球のカオス教本部に偵察に行かせていてね・・・。やはりコロニーを攻撃しても、所詮は地球連邦軍とカオス教の手足を痛めつけるだけだからな。地球連邦政府に脅威を与えて、連邦政府の予算が下りるのを遮断できれば、カオス教は自動的に消滅すると考えているんだ。だから一刻も早く地球に降りる必要がある。」
「・・・・・分かりました。そういうことでしたら、早速ご案内しましょう。あ・・・それと後で会って欲しい人がいるのですが・・・。」
「会って欲しい人?」
「ええ、まあそれは後ほど紹介しますわ。」
迦具夜姫は、西条を含めた三人を連れて港口のMSデッキ付近までやってきた。
「今、部下の神無に十式の機動テストをさせてるところなんです。」
「それではお願いします。」
迦具夜姫がメカ・マンに合図を送る。
するとハッチが開いて、一機のMSが桟橋いっぱいに轟音をとどろかせて侵入してきた。
「ほう・・・・・・」
「これは・・・・・」
「すごいな・・・・」
さすがに三人とも息を呑んだ。
十式は華やかすぎたのである。
シルエット全体が、すんなりとしていて、人間で言えばハンサムなのである。
しかも、その機体を成型する超強化プラスチックが、銀そのものの輝きをしているのである。
その色が、その機体に似合い、ふんわりとアーギャマのカタパルトデッキに着床した。
「おまたせしました!」
コックピットが開いて中からパイロットスーツに身を包んだ神無が姿を現した。
「神無、朧はどうしたんです?一緒じゃなかったんですか?」
「朧ならショッピングに行く!とか言って抜け出してしまいました。止めようとはしたんですが・・・・・」
「はぁ〜〜、まったくあの娘は・・・・・。」
迦具夜姫はため息をつきながらしょうがないと言った表情で腰に手を当てた。


その頃、横島は唐巣に自由時間を与えられていたので、シロタマを連れて都市内を適当にぶらぶらしていた。
「なぁ、シロ、タマモ。さっきから姉ちゃんしか目に入らんのは俺の気のせいか?」
「いや、拙者もそう思ってたとこでござる。」
「私も。」
「それはそうよ。だって月神族は女性神ばかりだもの。」
「!!!」
横島たちが振り向くと、妙な衣を羽織ったおかっぱの少女がそのくりっとした目をこちらに向けて微笑んでいた。
「私、朧って言います。ここの長、迦具夜姫の官女をやってるんです。・・・もしかしてあなた方はICPOの?」
「そうでござる!拙者らは十式を受け取りに来たんでござるよ!」
「へ〜そうなんだ。あら?そちらの男性の方、ステキね!」
「・・・・・・え゛?ボ・・・・ボクですかっ!?」
「うふっ、赤くなってかわいー!ねぇ、これから私とお茶でもしに行かない?」
「ま、本気っスか!?お・・・おお〜〜〜苦節十七年!!ついにおキヌちゃん以外の女性に誘われた・・・。人類には小さな一歩だが、俺にとっては偉大な飛躍なのだー!!」
「ちょっと待つござる!!」
一際気合の篭った声と同時にシロが脇から歩み出た。
額にうっすらと血管を浮かび上がらせて口元からわずかにキバも覗かせている。
「先生には拙者というパートナーがいるでござる!横からしゃしゃりでてくるのは感心せんでござるな!!」
「あらな〜に?あなた、この人の彼女かなんかなの?そうは見えないけど・・・・ふふ」
「な゛っ・・・・なんだとーーっ!!せ、拙者と先生は既に『愛の契り』を結んだのでござるぞっ!!」
「ぶっ!!ば、馬鹿言ってんじゃねー!いつ俺とお前が結ばれた!?」
「昨日・・・・・」
「あれはお前が俺の部屋に遊びに来てそのまま疲れて寝ちまっただけだろ!俺はなんもしてねーぞ!ったく・・・朧さん、こんなバカは放っといて、ささ、お茶でも何でもいいから行きましょう!あ、ちなみに俺の名は横島っス!」
横島がシロの顔を手で制しながら、満面の笑みで朧を促す。
「はあ・・・・そうですか・・・。」
「そんな〜〜先生ぇ〜〜拙者も連れてってでござる〜〜。」
「いいじゃん、シロ。私と観光でもしよう!」
タマモはどうやらこの地の意外な発展技術よきらびやかさに興味を抱いているようだ。
「ぐすん・・・先生〜・・・・」
そんな後ろで泣きべそかいてるシロを無視して横島と朧は近くの喫茶店へ向かった。
「(・・・・・姉ちゃんしかいない・・・か・・・。いいっ!これはいいぞっ!!俺がここに留まっちまえば姉ちゃんに囲まれた生活が待ってる!更に主人公不在でこのくだらん話も終了させられる!だが、早打ちの練習ができなくなるな。他のサイトでも探すか)って何考えてんだ俺は?」
「横島さん、どうかしたの?」
「え・・・い、いや何でもないっス。」
「ふふ、変な横島さん。」
横島は苦笑しながら何気なく辺りを見渡した。
と、その時横島の目に別の港ブロックにテンプテーションが停泊しているのが見えた。
「朧さん、あれは?」
「ああ、あれですか。横島さん達が来る少し前に、美神さんて方がコロニーの難民を連れてやってきたんですよ。なんでも元木馬の艦長さんだったらしいですけど私はあまり興味ないんですよね。神無は尊敬してたみたいだけど。」
「(もしかしてあれにおキヌちゃんも乗ってたかもしれん!)・・・・すんません、朧さん。俺ちょっとあのテンプテーション見てきます!」
言うが早いか横島は港に向かって一目散に駆け出していった。
「ちょ、ちょっと横島さん!?」
朧も慌てて横島の後を追った。



今までの コメント:
[ 戻る ]
管理運営:GTY+管理人
Original GTY System Copyright(c)T.Fukazawa