ザ・グレート・展開予測ショー

桜は散れど、樹の下で  【 ピートとエミ、特にピートの気持ちについての話 】


投稿者名:フル・サークル
投稿日時:(06/ 4/27)






 少し前までは休日ともなれば著しく混み合っていたその公園も、平日だったにせよ人の姿はやけにまばらとなっていた。

「そう、それでこの上にね・・・・・・あれっ?」

 そう話しながら階段下から現れた女性は、到り着いた光景に小さく疑問の声を上げる。

「ああ・・・散っちゃってますねえ、桜」

 女性の後に続いて登って来た金髪碧眼の青年――少年と言っても良かったかもしれない――は、彼女と同じ光景を目にしてのんびりと口にする。
 二人の前方には大きな広場をどこまでも奥へと伸びる、幾列かの桜の並木道。
 少し前までなら、艶やかな薄染めの花びらで視界を埋め尽くす絶景となっていただろう。
 だが、それらの花びらは今や殆どが地面へ落ち、半分以上が掃き清められていた。
 僅かに残る花に代わって樹々を彩ったのは、これまた鮮やかな五月の新緑。

「ごめんなさい・・・もっと早く来られれば良かったワケ・・・私の方も時間が取れなかったの。
 ピートがあんなに見たがってたから、喜んでもらえると思ったのに・・・がっかりさせちゃったかしら」

 しょんぼりと肩を落としながら謝る彼女に、彼――ピートは、そんなことないですよと言って微笑む。
 南国を思わせる灼けた肌と豊かな黒髪、落胆する様子のあまり似合わない精悍な立ち居の彼女は、外見だけなら彼より一回り二回り年上にも見えた。

「これはこれで素敵です。こんな場所があると分かっただけでも嬉しいじゃないですか・・・・・・花は、また咲きますよ」

「そうね。また・・・咲くわ」

 言葉に同意しながらもその声は浮かないままの彼女へ、彼が笑顔のまま小首を傾げて尋ねる。

「歩いてみませんかエミさん? この道の先にあるんですよね、エミさんの言ってたそれが」





     ―――  桜は散れど、樹の下で  ―――





「僕の故郷では見られませんでしたね。ヨーロッパ全体でなら決して見られない訳でも知名度が低い訳でもないのですが・・・
 それでも日本の様には多くありませんし、大事に思われてもいなかったんです」

「じゃあ、桜に興味持ったのはやっぱり日本に来てからってワケ?」

「はい。横島さん達にお花見に誘われて、その時に桜景色を・・・尤もその横島さんは、頭上の花より木の下の花・・・と言うか・・・」

「ああ、ソレの説明はいらないから―――それにね、私も・・・どっちかと言えば“頭上の花よりも”なワケ」

「・・・はい?」

 意味ありげに笑いながらエミは、並んで歩いていたピートにいきなり寄り添うと、肘の辺りへと指を絡ませる。

「あ・・・エ、エミさんっ!?」

「フフッ・・・」

 ピートが慌てふためいてエミに視線を向けたが、彼女はそんな彼へ妖しく笑いかけるばかり。
 そう言った触れ合いを恥ずかしがるのも今更な間柄となって久しい筈だが、公衆の面前でともなれば話は別だ。
 彼自身、まだそこまで完全に慣れている訳でもない。徐々に二の腕と肩が強ばり、顔に血が上って行くのを感じていた。

「ここにある花は、永遠に散らないわ・・・・・・そうでしょう・・・?」

「え・・・・・・」

 しかし、その問いに彼はまた別の緊張を覚える。
 妖艶に、挑発的に微笑んで来る彼女のその態度は、彼の知る普段の彼女にも思えた。だが、彼女の中で揺らめく別の色にも気付いてしまった。

「エミ・・・さん?」

 永遠の―――人間の寿命からすれば、の話だが――魅力を持つバンパイア・ハーフの少年への讃美。それだけではない。
 彼女らしからぬ、諦念とでも言い表すべき色。

「あの、エミさん」

 彼女の微笑を見つめ返していた彼は、足を進めつつもふと、改まった口調で自分の方から呼び掛けた。

「あらっ、なあに?」

「向こうに着いたら、お話したいことがあります・・・いいですか?」

「何かしら、いいわよ? 私もピートともっとお話してたぁいっ」

 嬉しそうな――少なくとも表面的には―――はしゃいだ声でエミは答え、肘の指を肩へと登らせながら今度は腕ごと絡め、身体を押し付けて来る。
 だが、彼女も彼が何をこれから言おうとしているのか、きっと気付いているだろう。
 今までも何度となく話されて来た事。そして、その度に彼女が拒んで来た事。
 揺らめく色は、その深みを増していた。


      ※

      ※


「うわあ・・・やっぱり、他のと比べて大きいですねえ。それに、枝振りも全然違う。これが・・・」

「そっ。あの染井吉野ほど大したモンじゃないけどね。この公園の目玉になるだけの事はあるってワケ」

「桜にも色々あるんですね・・・やっぱり、あんな綺麗に咲くんですか?」

「勿論よ・・・・・・まあ、こっちも跡形もなくなっちゃってるけどね・・・」

 果てしなく続くかに見えた桜の木の列も、突如として終わりを見せる。そこには周りの桜よりも一際大きな木が一本だけで、ぽつんと立っていた。
 だが、その木もまた、今では一枚残らず花びらを落とし青々と葉を茂らすばかり。
 二人は木の根元へと向かう。最近強さを増した日射しを遮る大きな木陰がそこには広がり、葉のそよぐ音だけがさわさわと静かに響いていた。
 ピートがジャケットを脱ぐと根元の地面へと敷いた。エミは少し驚いた声でそれを止めようとする。

「そんな、いいのに。ほら、レザーパンツ穿いて着たんだから地べただって――」

「いや、それでもそのまま座らせることは出来ませんから・・・どうぞ」

 いいのにとは言いつつもやや嬉しげに、エミはピートの上着に腰を下ろす。
 まだ立っていた彼へと彼女が見上げて声を掛けた。

「ピートも座りましょうよ?」

「あ、はい。じゃあ」

「違うわ、こっち」

「――うわっ!?」

 脇の地面に座ろうとしたピートの手を取ると、エミは自分の座っている上着の空いた場所へと彼を勢い良く引き寄せる。
 何とか腰は上着の上へ――彼女と密着する形で――着地したピートだったが、上半身は勢い余ってエミの上へと倒れ込んでいた。

「あわわっ、ス、スミマセン・・・じゃなくって、何するんですかエミさんっ?」

「やあーん、ピートってばこんなトコでも積極的ぃっ」

 謝ったり咎めたりしながら慌てて身を起こそうとしたピート。エミは彼の首に抱きついてゴロゴロと甘える猫の様に頬をすり寄せる。

「でもぉ・・・ここじゃみんな見てるワケぇっ。あんまりおイタしちゃダメよー?」

「し、しませんって・・・て言うか、あの、本当に人目につきますし、離れて・・・」

「やーよ、このままがイイっ・・・・・・このままでいましょう?」

 顔だけを離して彼の頬を人差し指で突っつきながら、彼女は甘ったるく呼び掛ける。もう一方の手で彼の上半身を抱き寄せたまま。
 指を頬から外して彼のブロンドの髪を撫で始め、彼女はゆっくりと繰り返した。

「このままが良いの・・・ねえ、このままで――――――“遊び”のままで、いましょう・・・?」

「・・・・・・!」

 不意打ちの様に告げられた。ピートは息を呑んで、彼女へと向き直る。
 髪を撫でながら彼女は微笑んでいた。
 物憂げに揺らめく諦念の色。



さああああ・・・・・・っっ



 一陣の心地良い風が軽やかに通り過ぎる。
 どこに残っていたのか、幾枚かの薄紅が二人の周囲を舞い、またいずこかへと運ばれて行った。
 何度となく語られて来た彼の望み。
 そして、何度でも変わる事のなかった彼女からの返答。

「本気になっちゃダメ。この桜と同じよ・・・咲いてる間だけ楽しんで、愛でて、そして忘れ去るものなの」


      ※

      ※


「ね、私だって怖くなるの・・・アナタと一緒に過ごす二十年、三十年・・・五十年先の事を考えると」

 エミに抱かれながらピートはぼんやりと木の上へと視線を向ける。眩い木漏れ日、目まぐるしく風で流れる綿雲。
 こんな話の最中でも水色の空はどこまでも澄んでいて柔らかだった。
 ピートにも彼女の不安、その重さは良く分かっている――七百年に渡って繰り返された出会いと別れの中で、身をもって知るものだった――
 だから、「遊びのままで」いる事を望む彼女に、それ以上を求め踏み込む事は出来ないでいた。
 ―――だけど。

「私がどんどん年老いて行って皺くちゃの婆さんになっても、傍にいるアナタは殆どそのままで・・・アナタだってそんなの嫌でしょう?
 ううん・・・違う・・・きっと私自身が、それに耐えられない」

 そう。問われているのが自分の意識だけだったなら否定出来る。人間と自分との時の違い。彼には確かにそういうものへの慣れもあったのだから。
 彼女の生涯を、老いさえも見守り続ける事に何の気後れもない―――むしろ、それこそが彼の望んだ場所だった。
 だが―――彼女の気持ちこそが問題なのだ。少年のままの彼に見守られ続ける事を、彼女がどう感じるか。
 そして、何度体験しても決して慣れる事は出来ないものだってある。
 エミは切なくも優しくピートを見つめていた。彼のその思いさえも見透かしているかの様に。

「本気で愛し合って・・・本気で一緒になろうとして・・・置いて行くのも置いて行かれるのも、きっととても辛い事だと思うわ。
 あなたの言ってた通り、人間同士でだってそういう事はあるワケ。でも、たかだか人間の寿命よ。
 吸血鬼としてまだそんなに若く、この先何百年・・・千年以上生きて行くアナタに私の事なんかを背負い続けてほしくない。想像しただけで、私が辛くなってしまう」

「・・・・・・」

「ねえ、分かってくれるピート? 外見も心も醜くなって、散々アナタを傷付けた挙句に去って行く・・・
 そんな私を、アナタの思い出に残したくないの。だから・・・・・・このままがいいの」

さあああああっ・・・・・・
ざざああ・・・・・・っ・・・

 吹く風は、やや強さを増していた。薄汚れた花びらの残滓がまたも埃と共に舞い、枝葉のざわめきは騒がしく感じられる。
 エミの片手がピートの肩から腕へと降りて行き、彼の手を取りそっと胸の前まで持って来た。
 彼女の小麦色の両手は、雪の様に白い手を愛しげに包み込む。
 手に入れた、咲き続ける純白の花。そこへと落とされた視線。

「楽しんだ事だけ思い出して。綺麗で強く生きてた私だけ思い出して。
 そして―――いつかは、そのすべてを忘れて」

 風が二人の髪を乱し、左右へ揺らす。
 彼女の両手は手の中のものを風に流されない様、守っているかにも見えた。
 だけど―――――



「いやです」



 やがてそう呟いた時、ピートはそれが自分の口から出た言葉だと実感出来ずにいた。

「あ・・・」

 ピートの手は、その背でエミの手を静かに払う。包む両手が開かれると、彼女が小さく悲しげな声を立てた。
 手のひら全てに感じられていた温もりが、風に融けて行くのが分かる。

「ピート・・・」

「・・・ごめんなさい」

 まるで、自分が彼女に対して何かを拒んでるみたいだと思った。いや、事実そうなのだろう。
 それは彼女の彼への、我侭であり、彼女らしい優しさだった。
 精一杯の彼女の気持ち。それを拒んでしまった。声を立てたエミの伏せられた目元を見てピートは、刺す様な痛みを覚える。
 だけど。
 ピートは心を決める、痛みを振り切る様に・・・ではない、その痛みさえも痛みのまま受け入れながら。

「だけど・・・」

 だけど。
 彼女の思い、自分達のこの先、別れ、それらの重さを知るからこそ・・・彼には望むものがあった。
 逃げたくない・・・逃げないで、それはきっと、僕の―――

「僕にとって・・・楽しんだ事だけって、一体どの事だけなんでしょう―――綺麗で強いエミさんって、どのエミさんの事なんですか」

「それは」

 何かを言いかけたエミだったが、ピートの真っ直ぐな視線に射抜かれると次の言葉は出て来なかった。
 ピートは彼女の手に当てたままの自分の手を僅かに捻り、小指、薬指、中指とゆっくり重ねて行く。

「僕にとっては、その全てでエミさんなんです。綺麗も醜いも、弱さも、強さも、その全てであなたの思い出となる。
 忘れる事なんか願わないで下さい。咲いていた花を、この樹を、何故忘れられますか・・・桜は、花が散っても桜なのです」

 ピートの手のひらは、ぴったりとエミの手のひらに重ねられていた。
 隙間からの日差しに目を細め、枝葉と風の奏でる音に一時耳を寄せてから彼は、自分の願いを口にする。

「僕の望みも変わりません・・・・・・エミさんの全部を、僕の思い出にください」

 桜の花が散ろうと、この樹の下にいさせて下さい。この樹の下で、あなたの事を思い出させて下さい。

 手のひらを合わせたまま唇までも重ねたのは、どちらからともなくの事。風は一層強く空気を震わせた。
 ピートの身体が前へと傾き、いつしかエミの背中を幹へと押し当てていた。合わせた手の指は絡み合い、やがて結び合わされる。
 桜並木の中を通りがかった犬連れの散歩者が一人、大きな桜の木の根元で重なり合う二人を目にする。何も見なかったかの様に、彼らはそのまま過ぎ去って行った。

「わがまま、だわ・・・まるで、本当に少年みたいに・・・」

「はい、わがままなんです」

 唇を離してすぐ呟いた彼女へ、彼もまたすぐに答える。
 逃げたくない、逃げないで・・・そう、それはきっと、僕の我侭。

「エミさんだって言ったんだから、僕にもわがまま言わせてもらいます・・・どっちのわがままが通るか、こうなったら根くらべですよね」

「・・・ずるい」

「はい、ずるいんです。だってエミさんの何十倍も生きてるんですから、僕」

 初めて見たかもしれない彼の悪戯っぽい笑顔にエミは戸惑いを浮かべた。
 そんな彼女を前に彼は、自分の少年めいた――青臭い部分と、七百年分の老獪な部分とについて思う。
 そう、自分はまだ外見通りに、少年なのだ。どんな人間より長く生きてても、自分の心はまだ未成熟だ。
 そんな僕だからこそ、伝えたい事がある。求めるものがある。
 到り着きたい場所がある。残したい思いがある。

「きっと・・・僕はエミさんにとてもつらいことを、残酷な事をお願いしてるのでしょう。
 それでも、やっぱり、逃げることじゃなく乗り越えようとすることを選んでほしいんです・・・・・・僕と共に」

「でもピート、アナタにだって・・・違う、やはりアナタにこそ、それは」

「傷付くから、悲しくなるから、それは残さない方が良いものなのですか?」

 エミは一瞬だけ肩を震わせた。彼のその問いの答えは、彼女こそが知っている。
 風は再び穏やかさを取り戻し、さわさわと葉を揺らして凪いでいた。
 ピートが残る片手を彼女の顔へと伸ばす。その指先は、彼女の目の下で零れ始めた涙をそっと拭う。
 そこで初めて自分が流す涙に気付いた彼女。

「知っています。あなたは、多くのことを乗り越えて来て・・・悲しみを知り、背負って来て・・・それでも傷付き易く、優しく、強くいられる人。
 こうすることで・・・あなたのやり方で、僕の未来までも求め、愛してくれたのだと」

「そんなんじゃ・・・ないわ・・・・・・私はただ、それが一番、ラクだから・・・」

「はい。でも僕は、僕のやり方で、あなたのその先までを求めます。傷付いても、悲しくなっても、それは僕にとってかけがえのないものとして残る。
 たとえ辛くても、夏も、秋も・・・冬も・・・いつかまた巡り来る春までを。あなたを思い、あなたを愛していたいんです」



さああああああっ・・・・・・・・・



 水色の空を、目に見える速さで白い雲は流れて行く。桜の花びらは埃っぽく、未だ辺りをちらほらと舞っていた。
 木洩れ日射す木陰の中、そのふたりは言葉もなく重なり合っていた。
 少し年長に見える黒髪と灼けた肌の女が子供の様に男にしがみ付き、その金色の髪の色白な、少年みたいな彼が彼女を片腕に支えている―――
 そのもう一つの片手は繋ぎ合わせたまま。

「ピート・・・・・・怖い・・・よ・・・」

 彼女がぽつりと口にした。彼の透き通る様な細い首筋に、頬を寄せながら。
 何が怖いのかは、言えなかった―――言い尽くすことなど出来なかった。

「僕も・・・本当は、怖いです・・・」

 やがてそんな風に答えた彼も、彼女の肩でふわりと広がる黒髪へ愛おしげに顔を埋めている。
 互いの口から弱くもはっきりと語られた、偽らざる本心。祈る声で彼は、彼女へと語り掛けた。

「だから・・・こうしていましょう・・・・・・せめて、こうして手をつないでいましょう」

「・・・・・・」

 エミは答えない。答える代わりにただ無言で、指を絡めた手元に、切実に力を込めて行く。
 怖いけど、怖くて・・・痛みも伴うけど、この気持ちをごまかしたりは出来ない。忘れようとは出来ない。
 きっと思い出すだろう、このひとのことを。この気持ちがこの時ここにあった事も。
 百年後も・・・二百年後も。
 そして、いつかまた巡り逢える季節の事を思うだろう。

「ねえ、憶えてたらまた来ましょうね・・・次の春にはきっと、ここに咲いた桜が見られるから・・・」

 エミがそう呟いたのは、随分と長く続いた沈黙の果てだった。

「はい、きっとまた・・・・・・」

 その花を見る時には、僕達は何かが変わっているのだろうか・・・どう、変わっているだろうか。答えながらも、そんな事を彼は思った。
 知っている―――次の桜も彼女と見られるとは、決して限らないものなのだと。
 だけど、それでも「きっとまたここに来よう」、そう彼は願う。
 春と言わず、夏も、冬も。来年も、再来年も・・・そのずっと先も。
 たとえ桜は散れど、この樹の下であなたを思う。
 その思いはいつだって、いつまでだってきっと同じ。





あなたがいてよかった。
あなたといられてよかった。

あなたに逢えて本当によかった、と。





 桜の木に、また少し風が流れた。








     ―――  F I N  ―――








【 おわりに 】

 彼と彼女は、互いを大事に思えば思う程、不安定になる様に思えます。
 二人ともそこまでに背負って来たものが沢山あって、にも関わらず、幼いと言っても良い位の純粋さを根元に持ち続けていて。
 残して行く事の痛みと残される事の痛み。それを良く知っている彼と彼女は、互いを思いやりつつも、それゆえに揺らぎ続けて、臆病で、危うくて。
 二人がこの先どうなるか、それは分かりません。
 でも、自分にとって一番大切な思いを見失ったりはしないから。
 人並み外れた大きさと強さも同時に持ち合わせているから。だから。
 それでも、彼女から貰う精一杯の思い出を悠久の時の中で持ち続けられたなら、彼はそこに幸福を見るのでしょう。
 それでも、彼と彼女はいつかきっと「あなたに逢えて良かった」と、そう言うのでしょう。


【今回、表記も後書も何だか変な感じですが、「変だなと思いつつも気にせずスルー」か「何かを察しつつも沈黙」かで、お願い致します。
 この点に関しての、コメント欄でのお問い合わせやご確認には返答致しかねますので、何卒ご了承下さい。】

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