ザ・グレート・展開予測ショー

誓い〜剣と盾〜


投稿者名:寿
投稿日時:(06/ 4/27)

この作品は私が書きました「誓い」の続編にあたります。
事前に前作を読んでからの方がわかりやすいかと思います。



それは先日のクラス対抗戦の時だった。
私は親友のおキヌちゃんが着ている巫女装束がいつもと違うことに気がついた。
疑問に思い聞いてみると
「横島さんからのプレゼントなんです。」
と嬉しそうに答えてくれた。
詳しく話を聞いてみると驚いたことにそれは織姫製で一着数百万はするということ。
弓の奴が驚いていたっけ。
しかし、おキヌちゃんはそんなことより、自分が怪我しないように。という彼の気持ちのほうが嬉しいと言っていた。
・・・正直、うらやましい。
私には恋人はいない。だけど気になる奴はいる。
あいつとの出会いはクリスマス。
おキヌちゃんがセッティングしてくれた合コンでだった。
色々とトラブルもあったがそのおかげであいつの良いところを知ることができた。
その後も二人で会ったりもしたし、デートもした。
でもあいつは体はでかいけど気の弱い所があってなかなか告白してくれない。
私も照れ臭くてできないからお互い様だが。
そんなせいで私たちは未だに友達以上恋人未満な関係を続けている。
私はなにかきっかけが欲しかった。
あいつが告白してくれるような、じゃなけりゃ私が告白できるようなきっかけが。
そんな思いがあったせいか私はこの事をあいつに話した。
あいつはなにか考えているようだった。そんな姿に多少罪悪感に近いものを覚えたがあまり気にしなかった。なぜならそれより大きな期待が私の中にあったから。
私のカンが告げている。きっと良いことがあると。
しってるか?女のカンは当たるんだぜ?タイガー!


「とっ、そんな話があったんじゃー。」
「で?」
ここは横島サンの部屋。以前来たときよりもだいぶ片付いているのー。
「で?じゃなくて相談にのって欲しいんじゃー。」
「つまりお前も彼女にプレゼントを贈りたいけどなにを贈っていいかわからないから教えてくれと?」
「そうじゃー。」
「知らん。」
ああっ、あからさまに考えとらん。
「お願いじゃー横島サン!ワッシはもうどうしたら良いかわからんのじゃー。」
「しるかぼけ!てめえの恋人へのプレゼントぐらい自分で考えろ!」
「ううっ!そりゃそうなんじゃが今までそんな事したことが無いけんのー。だから助けて欲しいんじゃー」
「適当にアクセサリーでも贈ればいいじゃねーか。」
「それじゃ駄目なんじゃー。もっと心に響くものがいいんじゃー。じゃないと・・・」
「じゃないとなんだ?」
しまった!つい!
「タイガー?じゃないとなんなんだ?」
「ううっ!実は・・・」
ワッシは観念して理由を白状することに・・・
「なにーー?魔理さんに告白できないだとーーー?」
そんなに騒ぐことかのー?
「おっお前、一文字さんと付き合ってるんじゃないのか?」
「いや、実はまだ告白はしとらんのじゃー。」
「おっ」
「おっ?」
「お前はあほかーーーー!?」
「ひぃぃぃぃ」
「出会ってから結構経ってるのにまだ告白もしとらんだと!?」
「そっ、そうなんじゃー。」
「なんで?どーして?理由を3文字以内に答えろ!」
「短っ!」
「いーから答えろ!」
「え〜と・・・怖い?」
「帰れ!」
ああっ!バッサリと!
「見捨てないで欲しいんじゃー。いざとなると断られるのが怖くてできないじゃー。」
ワッシは横島サンにすがり付いて頼み込んだ。
「あ〜〜わかったから抱きつくな!寄るな!離れろ!」
横島サンに蹴られながらも了解が得られたのでほっとしながら・・・
「で、なにかないもんかいのー?」
「切り替え早いなお前も。まあ実際アクセサリーとか洋服でもいいんじゃないか?」
「そうなんじゃができればもっと違うものがいいんじゃー。」
「なんかイメージでもあるのか?」
「できれば横島サン達みたいに実用品がいいと思うんじゃー」
「実用品ねぇ〜。」
「「う〜〜〜〜ん。」」

・・・・一時間経過・・・・

なんにも思い浮かばん!!
よく考えたら二人とも女の子になにかあげたことなんかあんまりない?
もしかしたら人選ミスかのー?
なんか情けなくて泣けてきたんじゃー。
ああっ涙で、涙で、涙で前が見えない!目の前にワイパーが欲しい!!(古い!!)
「あっ!」
ワッシがどこかのおかまの台詞を思い浮かべていると横島サンがなにか閃いてくれたみたいじゃー。
「何か思いついたかのー?」
「ああっ!実はな・・・」
横島サンの考えはおよそ女の子に贈るものではなかったけどワッシはそれにかけることにしたんじゃー。
魔理さんまっててつかぁさい。男タイガー、一世一代の大博打じゃー!!


放課後、私は校門に向かいながら一人考える。
タイガーにあの話をしてからあまり連絡が取れなくなった。
流石に多少不安に思うようになった。
もしかしてあきれられたかな?なんて考えが頭をよぎったがその考えを振り払うように頭を左右に振る。
私らしくも無い。今日は憂さ晴らしに遊びにいこうかねぇ。
そう考えながら校門に差し掛かったとき大きな影が私の前に立っていた。
「タイガー?どうしたんだよ、そんなぼろぼろで?」
その影は私の想い人。
「魔理さん、突然ですまんがちょっと渡したいものがあるんで来て欲しいんじゃー。」
タイガーは多少照れながらそう言うと近くの公園に向かって歩き出した。
私は期待していた。
何をくれるのか?ううん、そんなことじゃない!もちろん愛の告白に対してだ。

「魔理さん、これを受け取ってほしいんじゃー!」
公園に着くなりタイガーは細長い包みを渡してきた。
「ありがとうタイガー。開けさせてもらうぜ?」
私は返事を待たず包みを開け始めた。中から出てきたのは無骨な木刀だった。
「これは?」
私は多少あきれていた。
いくらなんでも女の子へのプレゼントで木刀は無いだろう。
「一応霊剣なんじゃー。ぶさいくで申し訳ないがのー。」
霊剣?確かに木刀は霊波を放っていた。
そうか、タイガーはあの話をただ道具をうらやましがっているようにしか聞こえなったか。
私は心の中で多少、いや大きく落胆した。
「そっか、ありがとなタイガー。高かっただろ、これ?」
「いや、そんなことないから安心してつかぁさい。横島サンの知り合いに山の神様が居たんで山のご神木の枝をただでもらえたんじゃー。
削ったのはワッシだし金なんか掛かってないんじゃー」
私は正直驚いた。こいつは私のためにご神木を手に入れ自分で削ったと言う。
こんなにぼろぼろだということはおそらく寝る間も惜しんで削ったのだろう。
よく見るとタイガーの手は真新しい絆創膏だらけだった。
こんなになるまで私のために・・・
「ほんとにありがとなタイガー。大事に使わせてもらうよ。」
改めて、ううん、本当に感謝を込めた言葉を返す。
「喜んでもらえてよかったんじゃー。それで魔理さんに話したいことがあるんじゃー。」
タイガーは真面目な顔をこちらに向けてそう切り出した。
私は「キタッ!!」と心の中で思い浮かべた。
「魔理さんはワッシの能力を知っとりますかのー?」
「へっ?あっ、ああ、精神感能だろ?」
予想とは違う問いかけだったので多少詰まりながら返した。
「そうじゃー、知っての通りワッシの力は精神感能。直接の攻撃力はもってないんじゃー。
霊波を使った攻撃に関しては正直ワッシは魔理さんより劣ってるんじゃー。」
「いや、そんなことはないんじゃないか?」
「魔理さんは優しいのー。いいんじゃ、自分で分かっとるから。」
タイガーは自嘲気味な笑みを浮かべながら言葉を続けた。
「ワッシは横島サンみたいに大切な人を護る力はない。
でも、護るための剣にはなれんかもしれんが、護るための盾にはなれると思うんじゃー。」
「えっ?」
私はタイガーの言葉を一言も聞き逃すまいとしていた。
いつのまにか私の心の中に「期待」と言う言葉はなくなっていた。
そのかわり・・・
「魔理さん、ワッシはあなたのことが好きじゃー。ワッシと付き合って欲しいと思っとる。
もし、もしワッシの気持ちに答えてくれるならワッシはあなたの盾になることを誓う!
だから、だから魔理さん。ワッシの剣となってはもらえませんかのー?」
私の心の中にはお互いが同じ気持ちだと言う「確信」。
そして「歓喜」に満ちていた。
「ああっ、私もタイガーの事が好きだ。だから私も誓う!私はあんたの剣になるって!」
私の言葉を聞いたタイガーは信じられないものを見るような顔を一瞬浮かべると
「やったーーーーーーーーーーーーーーー!!」
歓喜の雄たけびを上げた。
「やったんじゃーーー!!絶対にワッシは魔理さんのこと護りますけぇ!」
「ああっ!私もタイガーのこと護るよ!」
晴れて恋人同士になれた私達は周りの視線も気にせずにお互いを護るという誓いを立てた。



誓い・・・

それは剣と盾の誓い・・・

お互いのどちらかが欠けても成り立たない誓い・・・

お互いが支えあっていくと言う誓い・・・

願わくば・・・

「さて、行こうぜ!タイガー!」
「どこにですかいのー?」
「決まってるだろ?恋人同士の初デートだよ!さあ行くよー!」
「ああっ、待ってつかあさい!」

願わくばこの誓いが永遠であることを・・・

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