ザ・グレート・展開予測ショー

THE MOVIE「踊るゴーストスイーパー」(9−2−1)


投稿者名:3馬鹿鳥男
投稿日時:(00/ 7/ 2)

第9章 「夜這い」(2−1) 副題「枕でGO!。パジャマでブロック?」

夜・・・暗がりの部屋で横島は目が覚める。
ここはどこだろう・・・辺りを見渡しても覚えが無い部屋・・・・。
外からの月明かりで浮かんだ部屋の輪郭をぼんやり眺める。・・・わからない・・・ここはどこだ?。
横島はふと喉の渇きを覚え、起き上がろうとした。
動かない・・・手足が縛られている・・・自分の身体をよく見るとベットに縛り付けられていることに気付く・・・。
何故こんな・・・あっ。横島は昨夜の出来事を完全に思い出す。
おキヌ達に縛られ・・・しばらくしてフミさんが自分を担いでこの部屋まで運んだ・・・。
おキヌちゃんは念入りにもベットに縛ってくれて・・・。それから覚えていない・・・そのまま寝てしまったのか・・・。
不覚!
今は何時だろう・・・まだ大丈夫だな。まだあんなに月が明るい・・・。せいぜい2時間程度経っただけだな。
よし、夜這いをするぞ!ほたるとフミが待っている!・・・・とその前にこれをほどかなきゃ・・・。でも、どうやって?
そうだ。妄想だ!。俺の煩悩パワーを発揮すれば、こんな束縛すぐに外してみせるぜ・・・。
む・・・むむっ・・・。
そうだな・・・ほたるちゃんが枕を抱えて、この部屋に来て・・・横島さんやさしくしてね・・・って
をを。いいぞ妄想が暴走できそうだ・・・。
横島は目を瞑り、妄想に集中をする。
「横島さん・・・起きていますか?」
ををを。声まで聞こえてきた・・・いいぞ・・・。
「横島さん。大丈夫ですか?」横島の身体を誰かが触わる。
っておい。横島は驚いて目を開けた。
すると・・・目の前には枕を抱え、猫さん模様のパジャマを着たほたるが立っていた。
横島は目を見開き、暗がりの部屋に立つほたるを凝視する。いつのまに・・・それに何故?
ほたるの顔の表情は月明かりの影となり、よくわからない。でも声と輪郭でほたる本人と判断できる。
「ほたるちゃん?」
横島は恐る恐る声をかける。
「よかった。起きましたか?ごめんなさい。こんな夜更けに・・・」
ほたるはほっとしたような明るい小声を出す。
「こんな夜更けって今何時?」横島は唯一動く首を動かし、辺りを見渡して時計を探す。でも暗くてよくわからない。
「えっと・・・。2時過ぎです。」
「そうか・・・ほたるちゃん。取り合えずこれ解いてほしいな。これじゃあ何もできんないし。」
ほたるは首をかしげる。
「でも・・・それを解くと危険だとおキヌさんが・・・」
「俺は猛獣かい!」横島は苦笑する。
「大丈夫。変は事はしないから。ね。解いて。」
「本当ですか?」ほたるはくすくす笑う。
「本当だって。」横島はきりっと顔を引き締め、ほたるを見る。でもやっぱりほたるの顔は影になってよく見えない。
人を騙す時は相手の目を見て、その心理状況を判断するのだが・・・相手の表情が見えないとうまくコントロールができない。
「では・・・私の質問に答えてくれたら・・・ね。」
ほたるはベットの端に腰掛けた。その位置・・・横島の足の位置ではますます顔が見えない。
横島は急に不安になり、「それはいいけど・・・できれば部屋の明かりを点けてほしいな。」と頼んだ。
ほたるはくすくす笑い、駄目・・・みんなを起こすといけないからと言う。
みんなを起こす?部屋の明かりを点けただけで?
横島は首をかしげる。
ほたるは枕を膝の上で抱えてこちらを向く。目が少し光っている・・・。
「横島さん・・・昨日、私が話した記憶の内容を覚えていますか?」
ほたるはまるで世間話しをするように話し始めた。
横島は眉をひそめる。
「ああ・・・覚えているけど・・・」
「その時横島さんなんだか動揺していましたよね・・・どうして?」
「そうだっけ?気のせいじゃない?」横島はとぼける。
ほたるはふふっと笑う。
「では他の質問・・・横島さんはおキヌさんが好きですか?」
横島は目を見開く。
「・・・そりゃ好きか嫌いかと言われると好きだけど・・なんで?」
「いえ・・・そうゆう意味じゃないんですけど・・・いいです。」
ほたるは軽く溜め息を吐く。
彼女はしばらく俯いて黙って枕を抱いていた。
横島は変に思いどうしたんだ何かあったのかと訊いたが、彼女は首をふるだけだった。
どうも様子がおかしい。やはり最初の質問に答えないといけないのだろうか。
でも、ルシオラの事を話しても意味が無い。もう居ない人の事だ。
横島は再度確認をしすることにした。
「ほたるちゃん。どうして俺が動揺したことを聞きたがるのかな。」
ほたるははっと顔を上げ、横島を見る。
「多分。俺の知っている事はほたるちゃんが知りたいことじゃないと思うけど・・・。」
「横島さん・・・」ほたるは再度俯き、そして決心したように顔を上げる。
「横島さんはもしかして、私の記憶が無くなる前に私に会ったことがあるのではないですか?」
横島は軽く目を開ける。
「いいや。昨夜始めて会ったはずだよ・・・でも、どうして?」
「私の夢・・・いいえ私の記憶に出てくる男の人に横島さんが似ているから。」
ほたるははっきり答える。
「俺に似ている?へ〜それは偶然・・・」
「いいえ。偶然じゃないです。私、その男の人を「ヨコシマ」と呼んでいるし。それに・・・」
「え・・・」横島の息が詰まる。
「それにその人は・・・バンナダをいつもしていて・・・横島さんと似た声で私の名を呼ぶのです。・・・「ルシオラ」と。」
「な・・・」
言葉にならない声が出る。何故。彼女はルシオラの事を知っているのだ・・・?それに記憶・・・?
夕日・・・東京タワー・・・それにルシオラ。特定の・・・へたしたら当事者達しか知らないことも含まれているのでは。
もしかして・・・いや。ありえない。ルシオラは俺の心の中でさよならを言った。
ベスパ達があれだけ努力してもルシオラの精神体は回収できなかった。
ではどうして・・・彼女は知っているのだろうか?
ほたるは横島の心の格闘を知らずに自分の手元を見ながら淡々と話続ける。
「知ってましたか?「ルシオラ」は「蛍」という意味なんですって。
 私、どう見ても日本人だから・・・もしかして愛称でそう呼ばれていたのではないかと。」
横島は息をするのも忘れる。
「私、夢の中でその人の事とても好きで・・・ともに生きたいと思い。そして・・・東京タワーの展望台で愛を誓い合い・・・
キ・・・キ・・・キスをするんです。きゃーなんだか恥ずかしいです。こんなこと人に言うもんじゃないですよね。」
ほたるは頬に手を当てて、恥ずかしそうに俯く。
そのほたるの告白を聞いた横島は思わず叫んでいた。
「やめろ!そんなでたらめをゆうな!」
ほたるはびくっとして横島に振り向く。「で・・・でたらめ?」
横島は表情が見えないほたるを睨む。
「ほたるちゃん。君はそんなくだらない話をするためにこんな時間に俺を起こしたのか。」と、吐き捨てるように言う。
ほたるが息を呑み、脅えるように緊張したのがわかったが止まらない。
「そんな話興味もないし、聞きたくもない。出ていってくれ!」
そう冷たく言い放った。


第9章「夜這い」(2−2)に続きます。

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