ザ・グレート・展開予測ショー

日常


投稿者名:寿
投稿日時:(06/ 4/14)

日常
その日は本当にいつもと変わらない日だった。
バイトもなく、学校に行き、いつもと変わらない友人達とのくだらない会話
そして放課後、とくに用事もなかたったので町をぶらぶらしながら帰った。
いい天気だったので「あの場所」で夕日を見て帰った。
そしていつものボロアパート。部屋に戻り飯をどうするか考える。
そんな時・・・

「横島さ〜ん。いますか〜?」
「あれ?おキヌちゃん、どうしたの?」
ドアを開けるとバイト先の同僚であるおキヌちゃんがいた。
「へへへ、ご飯作りに来ました。」
手に持った買い物袋を見せながらそんな嬉しい事を言ってくれた。
「あっありがと〜おキヌちゃん。相変わらす汚くて悪いけど入って入って。」
「はい!それじゃおじゃましま〜す。」

おキヌちゃんはたまにご飯を作りに来てくれる。
その料理はお世辞抜きにおいしいし、相変わらずの薄給で過ごしている俺にとって
彼女の食事はかなりありがたい。
「それじゃ、お料理つくりますね。その間に少しお部屋をかたしておいて下さい」
「へ〜い。よろしく御願いしま〜す。」
そう言っておキヌちゃんは台所で料理を始めた。
俺は部屋をかたしながら料理をするおキヌちゃんを見ていた。
鼻歌を歌いながら楽しそうに料理をするおキヌちゃん。
そんな姿を見ていたらいつの間に部屋はかたずいていた。
(といってもゴミをまとめて、見られたくない物を押入れに叩き込んだだけだが。)
「こっち終わったよ〜。」
「はーい。こっちももう少しで出来るのでもうちょと待っててくださ〜い。」
俺は「へ〜い。了解。」と言いながらまたおキヌちゃんを見ていた。
彼女は優しい。アシュタロス戦の後、ルシオラを失った俺を慰めてくれたのは彼女だった。
俺の愚痴や弱音を聞き、励ましてくれたのは彼女だった。
ほかの皆が気を使ってくれたのか一人でいると彼女はそっと隣にいてくれた。
嬉しかった。ただ彼女がいてくれたのが嬉しかった。
そして守りたいと思った。もう失いたくなかったから。
その後はただがむしゃらだった。妙神山で修行もした。おかげでいっぱしのGSにはなれたと思う。

「出来ましたよ〜。今持っていきますねー。」
「ああ、ありがとう。手伝うよ。」
美味しそうなにおいがした。白い飯に味噌汁。漬物に少し肉が多めの野菜炒め。
なにも特別な料理ではなかった。もちろんおいしい。そしてなによりほっとした。
「おいしいよ!おキヌちゃん。」
いつもと変わらない感想。
「そうですか?ありがとうございます!」
いつもと変わらない笑顔。ただいつもと違ったのは俺はその笑顔に見惚れてしまった。
かわいいと思った。そして俺の口からただ素直に自分の気持ちを
「俺、おキヌちゃんが好きだ。」
言葉にしてからハッとした。言ってしまった。ムードも何もなく、気の利いた台詞でもないその言葉を。
おキヌちゃんは少しなにが起きたかわからない顔をした後その顔に涙をひとすじ流した。
泣かしてしまった!慌てて俺はおキヌちゃんに近寄った。
「ごめん!おキヌちゃん泣かないで」
おキヌちゃんはうつむきながら首を横に振った。俺は再び謝罪の言葉を言おうとした時・・・おキヌちゃんに抱きつかれた。
「うっ嬉しいです。本当ですか?横島さん私のこと好きだって、本当ですか?」
泣きながら問いかけてきたおキヌちゃんにただもう一度
「ああ、俺はおキヌちゃんが好きだ。俺の恋人になってくれるかな?」
「はいっ!はいっ!私も横島さんのこと大好きです!」
そういうとまた彼女は泣き出してしまった。俺はただ彼女を優しく抱きしめていた。

おキヌちゃんが泣き止んだ後二人で冷えてしまったご飯を食べた。それは冷えてはいたが忘れられない味になった。
食事の後俺は彼女を送っていった。道すがら色んな話をした。
出会ってから今までの話。デートはどこに行こうか?なんて取り留めのない話をした。
そして別れ際。
「ねえ横島さん。これ夢じゃないですよね?私たち恋人同士になったんですよね?」
「ああ、夢じゃないよ。心配ならもう一度言うよ。俺はおキヌちゃんが好きだ。」
おキヌちゃんは顔を真っ赤にしながら
「はいっ!私も横島さんのこと大好きです。」
と答え、へへへ、と照れ笑いしながら
「横島さん、少し屈んで貰えます?」
「ん?これでいい?」
俺は少し不思議に思いながらおキヌちゃんの言うとおりにした。
そして突然・・・俺達の唇は触れ合った。
俺は何が起きたか一瞬わからなくなった。
「あっ?えっ?うっ?」
「ふふ。突然告白されましたからね。お返しです。それじゃまた明日。おやすみなさい。」

おキヌちゃんと別れた後一人夜道を帰りながら俺は今日とは違う明日からの
新しい日常に思いを馳せていた。


今までの コメント:
[ 戻る ]
管理運営:GTY+管理人
Original GTY System Copyright(c)T.Fukazawa