ザ・グレート・展開予測ショー

花よりだんご?


投稿者名:がま口
投稿日時:(06/ 3/31)


 ――季節は春

 ――ぽかぽか陽気が心地よいある日

 ――いつものよーに事務所では





「それは俺のじゃぁぁぁぁ!!」
「ぜえぇったいっ譲れないでござるぅぅ!!」




戦いの火花が散っていた



                                     ――――花よりだんご?――――



 原因は昼過ぎに届いた小包だった。

なんの変哲もないたいして大きくない箱。しかし、クール便で送られてきたそれをおキヌが開けると・・・・・・・・・・

「わぁ、おいしそうなおだんご。」

中にはこれまたフツーによく見るあんだんご。

「ふーん、おだんごねぇ・・・・誰が送ってきたのかしら?」
「えーと、差出人は・・・あ、あの店長さんです。」
「えっ?」
「ホラ、この前の和菓子屋さんの。」
「あー、あの人ね。」

 美神は先日和菓子屋に出た『夜中に動き回る大福』を除霊したのだが、

(たしかあの時、後でお礼を送るって言ってたっけ。)

「それじゃ、これがお礼?」
「まぁ・・・和菓子屋さんですから。」
「・・・・・・ま、いいわ。今日みんなで食べましょ。」
「そうですね。私お茶淹れてきます。」

このおだんごが、後の事件の引き金となる。

 ―数分後―

テーブルには事務所の五人。真ん中にはお皿いっぱいのおだんご。

「へぇー、あの和菓子屋の。」
「そーなのよねー。まったく、『お礼』なんて意味深に言うからてっきり・・・・・・」
「まぁまぁ美神さん。それより、おだんごいただきましょう。」
「く〜、ひさびさの甘いものーっ。」

そして思い思いに手をのばし・・・・

   もぐもぐもぐもぐもぐもぐ

「―――!!こっ、これはっ・・・」
「お、おいしいですっ!私ちょっと涙が出てきちゃいました!」
「こっ、このおだんご只者ではないでござるっ!!」

 そう、見た目はごく普通のおだんご。しかしっ、このおだんごはそんじょそこらのだんごとは訳が違った!
送ってきた和菓子屋は実は江戸時代から続く老舗の名店。選び抜かれ、吟味つくされた材料とこの道五十年の職人が織り成すハーモニーはまさに究極の一言。

あとを引く上品な甘さと小豆の風味。それにもっちりとした歯ごたえが加わり・・・・・・あぁん、たまんなぁい!(某ヤキソバCM風)

酒豪の美神や、あぶらあげしか興味ないようなタマモですら黙々と食べているのだ。ほかのメンツは推して知るべし。

 
 そんなある意味日本一贅沢なお茶の時間も終わりに差し掛かった頃、ついに事件がおこった。


「・・・・おい、ちょっと待てよ。」
「・・・・そっちこそなにしてるでござるか。」

横島とシロが手を伸ばす。伸ばす先には・・・・・・・・・・・・・
神の奇跡か悪魔の悪戯か、おだんごが・・・一本だけ。


――度をこえたうまい物は、時にヒトの理性でさえ崩壊させる。


「オイ・・・こーゆーときは師匠に譲るモンだろ?」

横島 忠夫。すきっ腹五日目突入状態。その目は猛禽類の如し。

「師匠は弟子のために死ぬモンでござる。」

犬塚 シロ。おだんごに魅入られてしまった。その目は野獣の如し。


「交渉・・・決裂だな。」
「でござる。」














           バッ!!!


「それは俺のじゃぁぁぁぁ!」
「ぜえぇったいっ譲れないでござるぅぅ!!」

「ぅやかましっっ!!!」

           ごりごりんっ!!

「ぎゃんっ!」「ぐふっ!」

美神の神通棍が頭に直撃する。

「まったく!うるさいわよ。おだんご一本で!!」
「だって・・・・・じゃあ美神さんの一本ください。」
「・・・えっ!?」

幸か不幸か、美神の取り皿には一本のおだんごが。

「そうでござる!それなら一本づつ分けて平等でござる!」

              


「わっ・・・私はここで暴れるとホコリが立つから、外でやりなさいって言ってるのよ!」

            もぐもぐもぐ

「み、美神さん・・・」
「おしっ、表出ろシロっ!決闘じゃぁぁぁ!!」
「手加減しないでござるっ!!」

            バタンッ

「あああああっ!ど、どうしましょう。」
「ほっとけば。」
「そんなぁ・・・」

そんな中、ある種魔性のオーラを放つおだんごに伸びる手が・・・・

     ひょいっ     もぐもぐもぐ

「たっ、タマモちゃんっ!」
「・・・『漁夫の利』っていう言葉を知らない横島とバカ犬が悪いのよ。」
「・・・・・・・・・」

 おキヌは窓の外を見る。

 どうやら、存在しないおだんごを賭けた師弟対決は未だに終わってないようである。

 二人が帰ってくるのはいったい何時になるのやら

 そんな事は露知らず、春の日はどっぷり暮れるのだった。


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