ザ・グレート・展開予測ショー

チルドレン・アンド・ア・ボーイ 後編(絶対可憐チルドレン)


投稿者名:刀工者(仮)
投稿日時:(06/ 3/26)


彼は必死だった。
なぜ必死なのかどうして必死だったのかを忘れてしまうほどに、彼は必死だった。


「うおおおーーーーーーーーーッ!!!!」


右、右、左、左、右、左、左、左、左、右、右、左、右、右。
押して書いて押して押して押して押して書いて押して押して揉んで書いて―――――――失礼。
押して書いて押して押して押して押して書いて押して押して書いて書いて――――……

残る書類はもう半分。いけるか。いや、いけるかどうかではない。
―――――――行くんだ!


「局長、そんなに急がなくても…」

「今急がなくて、いつ急ぐというのかねッ!?」

「…はぁ」


ここはバベル本部のとある局長室。
造りのいい机に身を沈め、山のようになっている書類を光の如き速度で処理している男性。
内務省特務機関超能力支援研究局、局長―――桐壺帝三。
その様子に呆れながら、いつもの事だと自分に言い聞かせる女性。局長秘書官、柏木朧。
普段は凛とした立ち居振る舞いを見せる彼女も、いささか疲れた様子を見せている。


「柏木クン今何時何分何秒かネッ!?」

「午後6時23分15秒…16秒を回ったところです」

「現状維持を想定! 完了予定時刻はッ!?」

「…午後7時3分4秒…誤差±6秒。これは信頼できる数字です」

「だ、駄目じゃないかーーーーーーーッ!!」


面会終了時間は午後7時。ギリギリ間に合わないのだ。
それでも泣きながら手を動かし続ける彼の姿に、ちょっぴり感銘を受ける朧。
でもそれはそれ、これはこれ。
処理が終わるまで決して彼をこの部屋から出すわけにはいかない。
なぜなら自分も帰れないから。


「…局長、素直に諦めてはどうですか?」

「な、何をいっとるんだねッ!!
 ワシの可愛い天使が、国の宝が病気なんだヨッ!?
 それをッ!! それをーーーッ!!」

「あ、そこ間違っています」

「はうッ!」


桐壺の嘆きを、魂の叫びをスルーして書類の不備を指摘する朧。
彼女もいい加減終えて、帰ってシャワーでも浴びて寝たいのだ。
しかしまだもうちょっと終わりそうにない。
必死に手と目を動かす桐壺を見て、そっとため息を吐いた。
彼等の夜はまだ終わりそうにない。

















      ――――【チルドレン・アンド・ア・ボーイ】後編――――(絶対可憐チルドレン)
















「皆本はん、今週のスケジュールはどないやろ?」


正門を少し過ぎたあたりだろうか。
紫穂と雑談をしていた葵が突然振り返り、皆本に声を掛けた。
スケジュール。訓練や特務のことだ。
特務エスパーである三人は、学校が終わったあとも待機任務や訓練があり。
他の子供と遊ぶ事がなかなかできない。
だから予め予定を調べておいて、空いている日に友達と約束をするのだ。
スケジュールは皆本の持つ携帯端末から、三人のもつ携帯電話に予定を通知するようになっているのだが、
今日の出来事もあってすっかり忘れていたようだ。
緊急の用件ではないものの、彼女たちが普通の子供と一緒に過ごすことのできる貴重な時間をかけた問題だ。
皆本はさっそく鞄を探り端末を取り出そうとするが、端末がみつからない。


「……悪い。どうも病室に忘れてきたみたいだ。
 ちょっと取りに行ってくるから先に帰っててくれ」

「悪いなー皆本はん。ほな、さき帰ろ紫穂」

「そうね。皆本さん先に帰ってるわ」

「ああ、気をつけてな」


皆本は二人に念押しし、いま来た道を戻っていった。
瞬間移動能力者(テレポーター)である葵に、夜の道を心配するのはひたすら愚問であったが。
小さくなる皆本の背中を眺めて葵は虚空に手をかざす。


「かんにんしてや、皆本はん」


葵がそう言うと、先ほど皆本が探していた端末が手元にあらわれる。
台詞とは反対の笑顔を浮かべ、心の中でもう一度皆本に謝る。


「お疲れ様、葵ちゃん」

「…これでよかったんやろ?」

「ええ。でも、いつも薫ちゃんばっかりって言ってるのにどうして?」

「そやな…」


苦笑を浮かべ紫穂の言葉にうなずく。
まったく、ほんとうに自分は損な役回りだ。
今度は紫穂の企みにわざわざ加担して。
でも、それも仕方のないことだ。


「しゃぁないやろ、薫をあのままにはできんし…
 …それはそうと、ペットに躾け?
 ずいぶんな響きやねー、紫穂」

「…」


ピタリと紫穂の動きがとまる。
心なしか顔が青い。


「抜け駆けはあかんなぁ。約束、忘れてないやろ?」

「…お、起きてたのね葵ちゃん」


抜け駆け禁止。チルドレン絶対不可侵条約。

【ひとりはみんなのために、みんなはひとりのために
 からかうならみんなで、いじめるならみんなで
 みなもとはみんなのために、みんなでみなもとを
 どうせならみんなで、みなもとをやらないか?】

実に迷惑な約束である。あと無駄に長い。
某僧衣を連想させる条約文を反芻しながら、葵はにが笑いを浮かべ。
病室で一人寂しくしているであろう難儀な性格の友人を思う。


「ま、これでええねんな」

「そうね。…ねえ葵ちゃん、皆本さん戻ってくると思う?」

「ないやろ」

「即答なのね…」


間違いなく泊まりになるだろう。
いつぞやの深海での出来事を思い出すが、その心配はない。
今日の薫はホントに子供なのだから。
自分には紫穂のような力はないが、薫との付き合いはもう随分と長い。
何を考えているかなんて大体想像できる。
普段は男勝りでオヤジの癖に、自分たちの中で一番乙女な奴なのだ。
そのうえ皆本にぞっこん。そりゃもう色んな意味で。


「もうええやろ、そろそろ行くで」

「了解」


紫穂は淀みのない返事をすると、腕を掴んで寄りかかってきた。
身長は葵の方がやや高いため、ちょっと苦しいが肩に頭を乗せることができる。


「…ウチにその気はないからな」

「わたしをなんだと思ってるのよ…」


そんな言葉を交えつつも、二人は笑顔。
紫穂がスキンシップを好むのは、能力の反動だと葵は思っている。
そして、積極的に触れてくるのは好意の証。
それは満更でもなく、悪い気などするはずもなかった。
実の弟を持ち、実家の複雑な事情からバベルに所属する葵。
その環境からか、彼女は紫穂の達観とはまた少し違ったものを持っている。
それは自覚。
姉として、両親のためにしっかりしなくてはいけないという平凡なもの。
しかしそんな彼女こそが、三人の中で真実大人なのだろう。
知識や経験から得た気遣いではなく。
その感情の源が彼女に姉として、常識人として振舞わせるのだ。


「しっかし、あんたほんま好きやねー」

―――スキンシップが

「職業病よ」

「…絶対違うやろそれ」












期待をしてなかったと言えば嘘になる。

三人が帰ったあとの病室で、一人寝ることもできず起きていた。
電気を消して目を瞑り、眠ることだけを考えたけど寝れなかった。
静まり返った部屋。誰も居ない廊下。不気味な非常灯。酷くなる耳鳴り。
そのどれもが気持ち悪くて嫌なことばかり考えてしまう。

こんな所で寝たら、またあの夢を見てしまいそうだ。
それは困る。夢を忘れようとしているのに。
だから寝ることをやめてじっと待つことにした。
この時間が過ぎることを。この夜が終わることを。
朝をひたすら待つことに決めた。

そんなときだ、彼が戻ってきたのは。


「…薫? どうしたんだ、電気もつけず」


ドアを開けて部屋に入ってベットの上に体育座りするあたしを見ての第一声。
妥当な言葉だ。
病室を暗くしてベットの隅に小さくなって座り込み。さらに膝に顔を埋めているのだ。
大抵の人間は何ごとかと思うだろう。
自分は今、とても格好わるいに違いない。


「…」

「薫?」


それでも、電気をつけないあたりが皆本なんだろうか。
気遣ってか気が回らないのかそんなことはどうでもいい。
彼のそんな心配した口調。優しさは素直に嬉しいから。
でもそれじゃあ足りない。もう、全然足りなかった。
起きてからずっと、みんなが帰ってからずっとだ。
だから頼る。頼ってしまう。
いまさらだと思う。
本当に何でいまさらこんなことを。


「………夢、みたんだ」

「夢?」


いつもなら下らないことだと笑い飛ばせる夢。
なんのことはない。
これも幼い頃から慣れ親しんだものだ。
でもいつからだろう、夢をみたあとため息をつくのではなく。
バカバカしいと言い聞かせるようになったのは。


「あたしがエスパーじゃなくなる夢…」

「……」


複雑な顔をする皆本。
望んでエスパーになったわけじゃない。
でもノーマルになることを望んでいるわけでもない。
ただありのまま受け入れて欲しいだけ。
それを現実は許さない。


「…そうか。いい、夢だったのか?」

「最悪」


見たらわかるだろう。
いい夢なら放課後に居残り食らった小学生みたいなマニアックな真似はしない。
それでも昔なら軽くため息をついて終わり、のはずだった。
普通の子たちに囲まれて遊びまわるなんて、生殺しだったから。
けど今は違う。
夢の中で自分のESPがなくなることに変わりはない。
変わったのは――――――


「皆本のせいだ…」

「…僕が悪いのかよ。
 それが、今日元気のなかった原因か?」

「…まーな」


多分あたしは言ってしまう。
言った所でどうにもならないのに言ってしまう。
分かっているのに。
でも、とまりそうになかった。





 「……なぁ、皆本。これは、仕事だから?
  あたしたちと居るのは、仕事?」




「………ッ」


軽く息を呑む声。
仕方がない、これはルール違反。
こんなことを聞くのは反則だ。ほら、皆本も困ってる。
自分でもバカなことを言ったと思う。
もちろん皆本が、仕事と割り切ってあたしたちと居るとは思っちゃいない。
こいつはそんなに器用じゃないし、心底お人好しだから。
そしてあたしは、どうしようもないバカだった。


「………君は、ホントにいつも突然だな」

「…あたしの持ち味だからな」


そう。それがあたし。
遠慮なんて欠片もなくて、いつだって突然だ。
オヤジ臭くて自分勝手で迷惑ばかりかける問題児。
強引で滅茶苦茶で―――――――


「……すまない」

「……なんで、あやまんだよバカ…」


そこで謝るなバカ。
余計に惨めになってしまう。
いま、あたしはそんな言葉が欲しいんじゃない。


「…どう、なんだよ。夢じゃ、エスパーじゃなくなったあたしに、
 皆本は仕事だったって言うんだぜ…」

「薫…」


夢の中で自分のESPがなくなることに変わりはなかった。
変わったのは――――――自分。
我が侭もいいところだ。
あれも駄目。これも駄目。
エスパーの立場に不満があって、ノーマルになることも良しとしない。
一緒にいて欲しくて、仕事じゃ嫌で、それを分かってて否定してくれと言う。

自分はどこまでも子供だった。


「それが、本当の原因か…」

「そー、だよ」


そう、それが本当の原因。あたしを縛りとめる鎖。
自力では到底手に負えないいかめしい楔。
あたしは不安で雁字搦めになっている。


「そう、か。」

「…そうかそうかって、頷いてんなバカ。お前は九官鳥か…」

「…僕は鳥か」


皆本はそう言ってベットに腰をおろし。
肩を震わせるあたしのあたまを優しく撫でる。
まるで今にも壊れそうな積み木にそっと触れるように、紡がれた言葉は包むように。
どろどろに濁った不安を退けて、あたしの心に心地よく響いた。


「悪かった。君がそんな風に思っているなんて考えもしなかったからな」

「…んだよ、それ」

「保護者失格ってことだ」


そう答えて苦笑する皆本。その手は相変わらず優しくあたしを撫でている。
それだけで心はずっと軽く温かいもので満たされていく。
でも、そんな皆本にちょっと悔しく思ったりもして、あたしの心は忙しい。
あたしはあたしが思う以上に情けなくて、現金なやつだった。


「なあ、薫。さっきの質問だけど、な」

「………うん」

「正直なところ、僕自身まだ答えが見つかってないんだ。
だから、君がよければ約束しないか?」

「やくそく?」


予想外の提案。
質問に対する答えには多少不満が残っているものの、それは仕方がない。
しかし約束とはなんだろうか。
期待に一抹の不安が混じった、複雑な思いが心をよぎる。


「君たちが一人前の大人になるまで、僕はずっとそばにいる。約束するよ」

「皆本……」

「だから、これで納得してくれないか。薫」

「……………………うん」


消え入りそうな小さな声で、でも確かに頷く。
そう優しく諭してくれた皆本。不安はもうどこにもなかった。
あたしはこれ以上にないくらい頬を緩ませて、彼の手にゆだねる。
普段のあたしじゃ絶対ありえないくらい。そっと、身を寄せて。

相変わらず部屋は暗いままで、時折思い出したかのように耳鳴りが聞こえるけど。
それもそれで心地よく思えてきて可笑しくなる。
さっきまで何を見ても何を聞いても、ネガティブな方向にしか考えられなかったのに。
本当に自分は単純なやつらしい。
そんなことを考えていたら心地よい眠気がやってきたので、抗うことなく身をまかせ―――――


「―――――なぁ、君たちってのに引っかかるんだけど
 『君に』に変更できないか?」

「いいから寝ろッ!!!!!」


















ようやく寝た彼女にしっかりと布団をかぶせ、一息つく。

今日は色々あった。幸いにして始末書を書くことはなかったが。
寝ている薫の顔を眺めながら、今日の出来事を反芻する。
そしてふと思い至る。
これからのことを、改めて考えなくてはいけないのかもしれないと。
エスパーとノーマルの確執。ESP研究にECM技術の開発競争。
特務エスパー、BABELの行く末。兵部京介の存在。
そして、例の予知―――――――破壊の女王になった薫。     

問題は山積みで、どこから手をつけていいのか見当もつかない。
しかしそのどれもが重要で、手を抜くなどできよう筈もなく。
いつになったら解決するのかも分からないまま、戦い続けねばならない。
けれど、もう少しこのまま時を過ごしていたいと
この時がずっと続けばいいと願わずにはいられない。

あの予知の未来が訪れないことを。
ノーマルとエスパーが共に手をとりあって生きていくことを。
どうか、この子たちの未来に平穏な幸福を。
穏やかに眠る薫の顔を眺めながら、皆本は祈り続ける。
そして、ようやく訪れた睡魔は彼の意識を白く塗り潰し、くたくたになった体を休ませた。


























現代になりESPに関する研究は随分と進んだが、まだ分らない事の方が圧倒的に多い。
いや、いまだ人類はESPに関して無知と言ってもいいくらいだ。

ESPは脳がどのように作用して生まれるものなのか。
ESPを使用することで、脳や身体にどんな負担を強いるのか。
その謎はいまだ解明されていない。
念動力、瞬間移動、接触感応、精神感応といった分類も、能力の発現で起きる現象を区別したものでしかなく
人類が自力で作り上げたECMさえも偶然の産物に過ぎない。
発生させた擬似的なデジタル念波が、どう作用し影響しているのか解っておらず
結果としてECMやECCMが存在するだけなのだ。
兵部京介の存在がいい例である。
ESP研究の最前線に居るものは、皆このことをよく知っている。
ESP,エスパーとはそんな存在だ。


日本で確認されているのは、まだわずか3人の超度7。
【ザ・チルドレン】の担当指揮官。
誇張ではなく、将来の日本や世界をも左右する責任重大の仕事だ。
当人たちは勝手わがまま好き放題でガキ。
そんな彼女たちを保護、監督するのは骨が折れた。実際に。

切っ掛けはそう、局長秘書官である朧さんの誘いだった。
自分の境遇と重なる彼女たちを助けして欲しいというもの。
特別な子供。周りの重圧。世間から隔離された環境。
そのどれもが見に覚えのあるものだ。
そんな彼女たちのもとに、行くことに決めた。
決意なんて大それたものじゃない。
救ってやるなんて殊勝なことを考てもいない。
命運を賭けたわけでも、運命を背負うわけでもなかった。
あえて言うなら、頼まれたからだろう。
天才とは別の自分。
それを必要とされたのは、初めてだったから。

だから、言ってしまえば否定はできない。
彼女たちと一緒にいるのは間違いなく仕事だろう。
仕事として引き受けた。
彼女たちの担当指揮官という任務を。

彼女たちと出会って間もない頃は、本当に大変だった。
冗談ではなく、人生のなかで一番苦労した時期かもしれない。
研究ばかりで、机にばかり向かっていた自分。
彼女たちのことは話には聞いていたし、期待に沿えることができるか心配だった。
実際はそれどころじゃなかったわけだが。

予測の付かない言動。規則に従わない行動。加減を知らない念動
大人を舐めきった態度に容赦のない破滅的な性格。
いつまで経っても改善をしない彼女たちに呆れ、辞めようと何度思ったことか。
幾度、自問自答したか。
告白しよう。僕は彼女たちのことが好きじゃなかった。
いや、その無自覚さ傲慢さにどれだけ辟易したことだろうか。
自分のことを棚にあげて本気でそう思っていた。
ほんとうにあの頃の僕は、彼女たちのことが好きじゃなかった。

なんのことはない、僕も掛け無しにガキだった。
押し付けていたのだ。僕の身勝手な思いを。
そして知ろうとしなかった。彼女たちの想いを。
知っている気でいたのだ。なんて傲慢で愚かなんだろう。


でもそれは変わった。
僕自身気付いてなかった、この仕事を引き受けた本当の理由に気付いたときに。
彼女たちにずっと言いたかった、あの言葉に気付いたときに。
僕自身欲しかった、あの言葉に気付いたときに。











『きみは、ここにいていいんだ』





















――――それは思い
――――ちょっとした希望
――――でもありえない夢
――――そしていつからだろうか
――――それがすっかり変わってしまったのは
――――いまは絶対にそれを望まない
――――そして願う
――――この時がずっと続くことを
――――この想いが、報われることを

































一日の始り。何かがはじまる予感。
そんなことってあるじゃないですか?
例えば、こんな素敵な青空の澄み切った空気を胸一杯に吸ったときとか。
例えば、食パンを咥えた素敵な女の子と曲がり角でぶつかったときとか。
例えばほら、一人寂しく過ごした病室で、気が付けばダンディなおじ様が横に立っていたときとかネ!!

内務省特務機関超能力支援研究局、局長―――桐壺帝三。
彼は朝日の映える白い壁の廊下を、軽やかなステップで歩いている。

昨夜は大変だった。
可愛い天使のことを、国の宝を想うばかりに結局徹夜する羽目になったし。
いわゆるあれ。マークシートの解答欄を1個づつずらして解答するとか泣きたくなるやつ。
書類じゃ同じ事はないけれど、似たようなことをしてしまって処理が大変だったのヨ。
まあいいじゃない。そんなこともあったけどさ、こうして面会に行けるのだから!
誰に言うわけでもなく、そんなことを思いながら徹夜明けの凄い顔で薫の居る病室へと向う。

勿論その先には仲良く寝ている薫と皆本が居るわけで、彼の幸せな気分は5分と続かない。
そしてもう一人の彼の一日の受難は、これから始る。





「み、皆本おーーーーーーーーッ!!!
 ワシの天使に、国の宝になにをしてくれとんだあああぁッ!!!!」




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