ザ・グレート・展開予測ショー

目覚めて見れば…16


投稿者名:K.M
投稿日時:(06/ 3/19)

振り下ろされる大剣を大きくした栄光の手で受け止めるが間髪要れずに勘九朗の蹴りが飛んでくる。

客観的に見て体術は勘九朗の方が一、二枚上だろう…まあ霊波力の差はそれを補って余りあり、

油断さえしなければ文珠を使わなくても俺の方が有利だろう。

本当ならば文珠を使い勘九朗を倒し、皆と合流したほうが良いのかもしれないが、

どう考えても俺の技量ではメドーサと小竜姫様の戦いに割ってはいることは出来るわけがない。

前に復活したメドーサを文珠で倒したことがあるが、

あれは超加速を使われなかったしルシオラが攻撃を受け止め文珠をカウンターのタイミングで使えたからに他ならない。

正直、今やりあったら超加速を使われなくても簡単に殺される…それでは小竜姫様の足枷以外の何者でもない。

そんなふうになるのならばいっそ勘九朗の足止めをし心眼達が針を破壊するのを待っていたほうが懸命だろう。

そうすれば前回殺すしかなかった勘九朗を助けられるかもしれないのだから…


目覚めて見れば…16


「む〜後から後からポコポコ出おって…キリが無い」

足元から生えてくる(?)ゾンビを切り飛ばしながら愚痴を溢す。

今、心眼は横島に託された勘九朗の腕を持って洞窟内を進んでいた。

その最中地面からバカバカ死体が立ち上がり行く手を阻んできたのだ。

救いなのは教会を襲った連中と比べ随分と弱いことだろう、

でなければ勘九朗の腕を持った片手の状態でこの量ははかなり危険だった筈だ。

「全く…こんな臭い連中を相手にするのならばあのオカマ(勘九朗)を相手にした方が楽だったかも知れんな…」

無論本心から思っているわけではないが死体ばかりの相手をしているとついつい愚痴ってしまう。

取りあえず付近のゾンビは粗方片付けたようだ。

『お〜い…お〜い…返事をしろ〜』(うむむ…やはりこんな場所では繋がらんか)

敵が居ないことを確認し思念で横島に呼びかけるが全く繋がる気配が無い。

まあ龍脈のそばなのだから心眼も駄目もとでやってみたのだがやはり駄目だった。

(まあ、あ奴なら大丈夫だろう…)

そう考えた所で横島が何時も美神にのされている光景が脳裏に蘇る。

(…いやいや…あれはワザとやられているだけだ…先ほどの霊波刀などの威力を考えれば…)

霊波刀を振るう横島を思う浮かべるが、ケルベロスに考えなしに"音/速"の文珠を使い『いや〜こんなに威力があるとは』と笑っている横島の顔がそれを塗りつぶす。

(…大丈夫…大丈夫だ…我を生まれ変わらせる程の霊力の持ち主だぞ?あんなオカマ如きに…やられる筈が…)

そう自分に言い聞かせる心眼だが一度考え出した想像は(妄想?)はその程度では無くならない。

(…だが、まさか…通じないのではなく既に…いやや、

もしかしたら気絶して今にも止めを刺されようとして…

そう言えばあのオカマあ奴を気に入っているなどと言っていたな…ま、まさか…)

こんな暴走的な思考をしてしまったのには理由がある、

心眼と横島は、物理的に離れたことならば今までに何度もあったが、繋がりが完全に絶たれたのは生まれて初めてだ。

そのため親と迷子になった子供のように心眼は少し情緒不安定になっているのだ。

そんな理由のため心眼が顔を青くしたり紅くしたりしていると行き成り声を掛けられる。

「…おい…チビ餓鬼何ボーとしてんだ?」

そんな状態の心眼に声をかける不幸な者が居た。

「!!!!」

情緒不安定だが心眼は一流の戦士だ…今回はそれが災いした。

もし普通の人が突然声を掛けられたならビクッ!となったり悲鳴でも上げるだけなのだが、

心眼は反射的に反撃をしてしまったのだ。

まず右手に持っていた霊波刀を投げ付ける。

次に左手に持っていた勘九朗の手を投げ付けた。

そして一気に間合いを詰め近距離から身体能力を生かした拳の嵐が声を掛けた不幸な男…雪之丞を捕らえたのだった。

………
……


「………あ〜と…その…すまぬ」

十数発の拳を浴びせた後ようやく事態を把握した心眼が最初に発した言葉だった。

不幸中の幸いとして霊波刀が外れたのと魔操術を纏っていた為、以外にダメージが少なかったことぐらいだ。

「テメエ〜…何しやがる!!」

「だ、だから悪いと言ったろ!」

怒り狂う雪之丞に流石にばつが悪そうに言い返す。

「敵地で味方に攻撃しといて悪いで済むか!」

「うっ…」

「けっ…だから餓鬼なんか連れてこない方が良かったんだ。足手まとい所か邪魔までしやがる」

「…仕方がなかろう考え事をしていたのだ」

少し口を尖らせ心眼が言い訳をするが雪之丞がすぐさま言い返す。

「敵地の真っ只中で考え事か全く美神のダンナの言う実力ってのも怪しいもんだな」

「…ぬっ………その餓鬼に無様に殴り飛ばされたのはどこのどいつだったかな」

「二人ともやめて下さいよ…」

「そうですよ…こんな所で」

じょじょに険悪になって行く二人を見てピートとおキヌが止めに入るが効果は全く無い。

「それは、テメーが行き成り殴ってきたからじゃねーか!普通にやってりゃカスりすりゃしねーよ!」

「ほ〜…貴様の敵はわざわざ攻撃する時教えてくれるのか?随分と親切な敵だな」

「…言いやがったな…そこまで言うなら殴られるくらいの覚悟は出来てんだろうな!」

「ふん…お主こそメッキが剥がれるが嫌なら引いたほうが懸命だぞ…いや、既に手遅れか…」

「テメエ!」

「フン!」

「いい加減にしてください!!」

ケンカをする二人に我慢の限界に達したおキヌが大きな声で怒鳴りつける。

「今は皆で力を合わせなきゃいけない時でしょ!?ケンカなんて…ケンカなんて…………うえーん!!」

「お、おい…」

「お、おキヌ殿?」

行き成り泣き出したおキヌに二人が目を白黒させながら声を掛ける。

「ど、どうするのだ…」

「俺が知るか…お前の方こそ何とか出来ないのかよ」

「我とて会ってからそれ程たっておらんのだ」

「ちっ役に立たねえ」

「何!」

「びーーー!!!」

「うおっ」「ぐ…」

二人がまた言い争いを始めるのを見ておキヌの泣き声の音量が跳ね上がる。

緊張感が全く無いが一応メドーサのアジトに強襲を掛けているのだ。

その最中にこんなことで時間の浪費をするわけには行かない。

そう考えた心眼は雪之丞の方を向くとお互いの視線がぶつかり同時にコクリと頷く。

(考えていることは同じか…)

泣き続けるおキヌにたいする対応は…

「おキヌ殿!!もうケンカなどせんから泣き止んでくれ頼む」

「ああ、俺達が悪かった!もうケンカなんてしねーから…頼む!」

平身低頭で謝り倒すことだった…

因みにピートは最初の怒鳴り声を耳元で喰らい気絶している。

………
……


「所で横島さんはどうしたんですか?」

泣き止んだおキヌが辺りを見回しながらそう心眼に質問する。

「ああ…途中勘九朗と会ってしまったてな…あ奴が囮となって今逃げているのだ」

「えっ?そ、それって凄く危険けんじゃ…」

「ああ我も「横島なら大丈夫だろ」

心配だと続けようとした心眼の言葉を雪之丞の声が遮る。

「俺にはわかる。あいつ程の腕を持っていれば勘九朗に殺られる筈が無い!」

(なに!?)

そう断言する雪之丞の声には横島への信頼が伺いしれる。

雪之丞にこうまで断言されてしまうと心眼としてはまさか自分は横島の事が心配などと口が裂けてもいえない。

一度戦っただけの雪之丞が横島の実力を信頼しているにも関わらず、

相棒のはずの自分は信じられず心配だなどとは間違っても心眼のプライドに掛けて認めるわけにはいかないからだ。

「その通りだ!あ奴なら大丈夫だ!そんな心配をしている暇があれば少しでも早く美神殿を助け鉄心を破壊するのだ」

「えっ、でも…」

「ああ、さっさとメドーサを倒して勘九朗の馬鹿を張り倒さなけりゃいけねからな。サッサと行くぞ」

まだ異をとを唱えようとするおキヌを雪之丞がかき消す。

(そうだな、あ奴は我を何時も信じてくれた…今度は我が信じそして美神殿を助ける!)

そう決意した心眼は雪之丞は達と共に奥へと進んだ。

ちなみに気絶したピートが居ない事に気が付いたのはもう少し奥へと進んでからだった…

………
……


「ぐっ…まさか私と一人でここまで戦えるなんて…流石にメドーサ様が警戒するだけあるわ」

鍔迫り合いで吹き飛ばされた勘九朗が悔しそうにそう呟いた。

「げっ…やっぱりばれてたか…」

「正直人間ごときがが火角結界を無効化に出来るなんて思ってなかったしここまで強かったなんて思わなかったわ」

「そう思うならさっさと降参しろよ…もう体力も霊力も限界だろ?降参するなら命の保障はするぞ?」

最初に比べ勘九朗の動きは目に見えて劣ってきている。

すでに魔装術を使う限界を超えているのだろう既に目の色が赤くなり暴走は時間の問題だろう。

「そ言う分けにはいかないのよ!」

その叫びと共に横島に向かい霊波砲が放たれる。

横島はそれをサイキックソーサーで弾き追撃してくる勘九朗の鋼鉄の爪を栄光の手で受けるがもはや最初のスピードもパワーも無い。

そのまま強引に弾き再度右腕を切り落とそうとした時不意に地震のような振動が洞窟内を襲う。

「なっ…まさか!がっは!」

「勘は良いわね…そう、原始風水盤が起動したわ…」

驚きで一瞬動かなくなった横島を強烈な勘九朗の拳が捉えたのだ。

その声を発する勘九朗は最早勘九朗では無かった。

額には角が生え魔操術も最早肉体と融合している。

「そんな馬鹿な…鉄心を壊せば起動出来ないはずなのに」

少なくとも以前は美神を救い勘九朗と戦うだけの時間があったのだ。

既に心眼が鉄心を破壊しただろうと思っていた。

幾らメドーサが強いとはいえ小竜姫を相手にしながら美神達を倒すなど不可能なはずだ、少なくとも横島はそう思っている。

「ああ、頼みの綱の小竜姫ならメドーサ様にやられたわよ」

その言葉に動揺を隠せないでいる横島に対し勘九朗がさも楽しそうに言葉を続ける。

「前回あれだけしてやられた相手を甘く見るほど私たちも馬鹿じゃないわ…誰が来ても対処出来るように念入りに招待の準備を整えた居るわよ…

私の役目は火角結界を無効化出来るイレギュラーなアナタの足止め…」

「テメー…まさか雪之丞達の事も…」

「ええ…最初から分っていたわよ…御免なさいね…」

「くっ!」(まずった…まさか足止めしているつもりで足止めされてるなんて)

今すぐにでも勘九朗をぶちのめし皆の所に行きたいのだが霊力が旨く出せない。

多分、薄いとはいえ魔界の空気に触れたために横島の中にある魔族因子が活性化したためだろう。

まだ暴走とまでは行かないがそれでも活性化してくる因子を押されるために無意識に霊力を使ってしまっているようだ。

しかもタチの悪いことに勘九朗は先ほど以上に強くなっている…状況は最悪だ。

「取りあえずそこをどけ!どかなきゃぶっ殺す!!」

「あら、それはどうやって?」

「力付くでに決まってるだろ!」

言うが早いか横島は一気に霊波刀を出し勘九朗を袈裟懸けにぶった切る。

少し前までなら確実にバッサリと両断できていただろうが今では直撃したにも拘らず全くダメージらしい痕跡は残っていない。

勘九朗とて全く効かない分けではないだろうが今の横島の霊波刀では'痛いが問題ない'程度なのだ。

予想以上に悪い状況に舌打ちしながら横島はプールしてある文珠を全て出現させる。

出現した文珠は双文珠を含め残り4つ…今の状態では新たに生成すのは難しい。

何とかコレだけで最悪でも原始風水盤を破壊し、皆を逃がさなければならねばならない。

横島の攻撃を無視し斬撃を放っていくる勘九朗に歯噛みしながら'幻'の文珠を叩き付ける。

正直限られている文珠をここで足止めとして使うのは正直痛い、'滅'や'爆'等で止めを刺せるのがベストなのだが耐えられたり外れたらそれこそ始末に終えない。

そのために'幻'だ。

何の幻を見ているのか分からないが奇声を上げ剣を振り回す勘九朗を尻目に横島は一気に洞窟の奥へと走り出す。

今の状況から言って唯一の勝機は勘九朗に'幻'の文珠が効いている内に原始風水盤を何とかすることだろう、

唯でさえメドーサに勝てる確率など0に等しいと言うのに勘九朗と共闘されては打つ手が無い。

さらに言えば早く合流できれば誰かが戦える状態で残っている可能性が高いそうなれば少しでではあるが勝機が上がるはず。

そう何とか勝てるビジョンを横島は思い描くが、

(…無茶だ…)

頭の冷静な部分がそう結論を出す。

勘九朗はともかくメドーサとは元から地力が違うのだ、まだベストコンディションでなら万が一の可能性を頼ることが出来るが今はそれすらも宛てに出来ない。

だが…

「だからって…俺だけ逃げるわけには行くかよ!」

自分自身に言い聞かせるように横島は足に力を込め原始風水盤のある洞窟の深奥へと急ぐのだった。

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〜あとがき〜

半年以上明けてからの投稿…ようやく落ち着き時間が出来て久しぶりに書いてみました。

自分でも読み返してばがらから書いたようなモノですが、暇つぶしになれば幸いです。

17も出すと思いますので駄作ですが読んでいただければ幸いです。

(続くを書く励みになりますので感想があればぜ一言でもひよろしくお願いします。)

                                      以上

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