ザ・グレート・展開予測ショー

永遠のあなたへ(38)


投稿者名:馬酔木
投稿日時:(00/ 6/29)

「うふふ・・・あはは・・・はははは!!」
黒いコートの裾をなびかせ、大声で笑いながら、無数の蝙蝠達と共に空へと踊り出たのは、エミが予想していた通りの相手―――加奈江だった。
「く・・・!」
ちょうど玄関の近くまで来ていたため、美智恵達は、両手を上げると、頭から降り注いでくるガラスの破片から頭を庇った。
手入れもされず、その生命力のままに生い茂る木で隠されて見えなかったが、二階の辺りに大きなバルコニーがあるようで、加奈江はそこから飛び出して来たらしい。
木陰へと後退しながら屋敷の様子を見てみると、内側からガラスを割られた大きな窓と、その向こうで、吹き込んだ夜風に大きく揺れているカーテンが見えた。
「全員に告ぐ!容疑者が逃げた!結界を―――」
「無駄よっ!!」
西条が屋敷の敷地外で待機している令子達に無線で告げるよりも先に、嘲笑の色を含んだ加奈江の声が響く。
そして、加奈江がバッと両手を広げて何かの合図をした直後―――屋敷の中や、庭に生えている木々の梢の陰から、信じられない数の蝙蝠やカラスが、一斉に飛び出して来た。加奈江が最初に屋敷から出て来た時に一緒に連れて出て来た数の、軽く三倍はいる。
加奈江によって与えられたのか、その体に魔力を帯びた蝙蝠達は、三手に分かれると、一斉に令子達の妨害行動に出た。
結界を張ろうとして発した令子達の霊気を、魔力を帯びた体で飛び回る事によって撹乱する。霊波による、一種のジャミングだ。
「私達の霊気が引っかき回されてる・・・しまった、これじゃ結界が張れないわ!!」
結界札を屋敷に向けて突きつけるのだが、魔力で妨害されて霊気が霧散してしまい、上手く結界の状態にまとまらないのを見て、令子が舌打ちする。
蝙蝠達の、他の一隊は上空にいるめぐみとマリアに、もう一隊は裏手を包囲している捜査員や警官達に向かったらしく、令子は結界を張るのを諦めると、蝙蝠に襲われて悲鳴をあげている一般の警官達の加勢に向かった。
「エミッ」

その間に、加奈江は屋敷の敷地から飛び出していた。






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