ルシオラ的視点
投稿者名:ヤドリギ
投稿日時:(06/ 1/15)
「魔族には生まれかわりは別れじゃないのよ。
今回は千年待ってたひとにゆずってあげる、パパ」
そうして消えていったルシオラ
転生のときまで輪廻の輪にでも帰るのかと思いきや…
実はまだ横島の体の中に残っていたりした──
「ルシオラ的視点」
ルシオラの意識というか…もう死んでいるので前世の魂とその記憶としよう
その前世の魂は何故か横島の中に留まっていた。
輪に帰ることもないのに消滅を免れているのはどういうことか?
そもそも魔族の因子を人間と融合させるというのは前例がなく、何が起こるか全くわからない。
ヒャクメなどによる検査にも身体の内にある魂は引っかかることはなかった。
神様だからといって全てを見通せるわけではない。
神々や悪魔は極めて有能であるが万能ではないのだ。
前代未聞の危機となったアシュタロス事件を事前に防げなかったことが
それを物語っている。
初めての試みによる、予測不能な事態
そう考えるしかない。
『生まれ変わったらこの経験を魔界の学会にでも提出してみようかしら…』
今ではこの様に冗談を言う余裕もある始末
ルシオラは横島を通して『彼』の行動を体感することができる。
心残りだったべスパやパピリオは、彼女が考えていた以上に良い待遇を受けれたので一安心だ。
長女としては肩の荷が下りたといったところか。
ルシオラはちゃんと意識があるものの、外への呼びかけは不可能だ。
文字通りに二心同体である横島への呼びかけもできずに傍観するのみである。
ただ彼女は現状を苦痛には思ってはいない。
何といえばよいのか…今の状態は価値観が多少ずれているらしい。
時間の認識にしたってそうだ。
横島と同じ時間を共有している時もあれば、
ふと気がつくと一週間たっていたりもする。
多少ずれている今の彼女は、転生するまでの数年間などまるで気にしていない。
むしろ横島の生活を通して───特に入浴のときなどに悦に入ってしまったのは秘密だ。
『それにしても───』
第三者的な視点に立ってから改めて思ったことは…
『ヨコシマは皆に好かれてるわね』
この場合の「好かれてる」は友情よりも愛の意味合いが強い。
ルシオラがザッと確信しただけでも五人…探せばまだいるかもしれない。
そう、横島は皆に好意を向けられている。だから──
『ヨコシマ!貴方の門出は祝福してあげたいけど、その子たちはダメよ!
やれ、犯罪者とか言われて欲しくないわ!!』
やたら懐いてくる人狼や妖狐に対して気苦労してみたり
『だからと言ってペドはもっとダメぇ!それよりもパピリオ、貴方そんな目で横島を見ていたの?!』
「ルシオラちゃんを産むんなら因子構造が近い、私がお嫁さんになってあげまちゅよ」
妹の意外な発言に心底驚いたりしていた。
『ふぅ……』
横島に好意が向くたびに、ルシオラは複雑な気持ちになる。
皆は自分を何とかしようと最善を尽くしてくれた。
だから横島の子供に生まれ変わるのが一番良かったことは知ってるし、
その為にはヨコシマが誰かと結婚しなければいけないこともわかってはいるのだ。
理解していても──やはりそう簡単には納得できないものがある。
傍に居れるだけで幸せというのは紛れもなく本心なのだが──
恋人として居て欲しいのも紛れもない本心なのだ。
『犯罪かもしれないけどやれるだけやってみようかしら…』
ここ最近で性格がかわってきたのかも─
ロリやらペドより近親相姦の方が余程ヤバイと言えよう。
だが道徳的概念を無視して、ルシオラは考える。
すなわち反旗を翻しやすい相手〔母〕
高 美神 (一番喧嘩し易い)
〜越えられない壁〜
小竜姫
おキヌ
シロ、タマモ
低 パピリオ
といったところだろうか…
美神のことは別に嫌いという訳ではない。
だが何だろう…何か釈然としないモノ(メフィスト)を感じる。
『でもねぇ…』
ふと理性が戻る。
普段の行動からは想像は難しいが、横島の内面はずっとマトモだ。
良き父となるだろう。だからこそ子供に対する愛情しか向けないに違いない。
『……………』
しかし何故か──
今、この瞬間──
千年待ち続けたヤツの高笑いが聞こえた気がした!
『……上等…』
理性が呼びかける、
「娘との恋愛などしたら家庭が崩れるのでは?」
「メフィストは千年間も待っていたんだよ」
「何も美神と限らなくても、もっと好感の持てる人が嫁となるかもしれない」
『いや、確信があるわ!一番近いのは美神よ。
大体前世云々を持ち出してきたら、まずアシュ様を裏切ったメフィストを許すわけには…!
彼女が裏切ったからアシュ様は裏切り者が出ぬよう私達姉妹にプロテクトをかけた。
そうでなかったらあの時にヨコシマと結ばれていたのにぃぃ』
悔しさで涙を滲ませつつも力説する。
『それにね──ヨコシマと結婚するという意味を美神は一番わかっている。
結婚し子供を産む。つまり私をね…
私にはわかる…アイツは決着を望んでる。子供に対する愛情もあるけどソレはソレ、
初めての恋人というアドバンテージを夫婦と私が成長にかかる時間で打ち消そうとしてるわ』
事実、ルシオラの言ってることは当たっていたりする。
美神令子という人間は普段は金ばかりを追い求めているが、それはお金より大事なものが無かっただけのこと。
とことん面倒なことは避ける性質だが譲れないものに対しては全力をだす。
そしてその「大事なもの」が絡むと、彼女は避けずに徹底的に勝負に出てくる。
今回に当てはめると 美神・メフィスト VS ルシオラ・初恋の思い出 と言ったところか。
もちろん、最終的に選ぶのは横島だ。
美神と結婚すると決めた彼の気持ちも半端なものではないだろう。
だが、前世の記憶を持ちつつ、バカップルビームを浴びせられ、ただ指をくわえているだけというのは我慢できない。
やはり白黒決着をつけねばなるまい。
美神の意外なこの熱情を知っているのは本人と…数奇なことにルシオラだけだ。
横島も西条も美智恵も、他の誰もが気づいていない。
恋敵の自分だけが真実を知っているのだ。
『……まずは体の発達をどうにかしなきゃ…妙神山が鍵ね
それと我が子じゃなくて「ルシオラ」としてヨコシマに意識させないと…』
ふつふつと闘志を燃やすルシオラであった。
余談であるが
横島の子供は四歳の時に完全に前世の記憶を取り戻すこととなる。
はたしてルシオラと横島はどのような行動をとるだろうか……
今までの
コメント:
- 美神とルシオラの性格が原作と違うのは
コメディゆえの処置とご容赦ください。 (ヤドリギ)
- え〜、なんといえばいいのか・・・
もう、最高!!!!(><)b
このお話、是非シリーズ化して続編書いてそのまま・・・むっはーーーー!
な状態にぜ《ばきっっっ》・・・・・・・
えーすみません、暴走してしまいました(--;
なにはともあれ、この設定(?)でお話を続けていただけるとかなり面白いお話になると思いました。
是非是非続編をかいてくださいませ。
当方といたしましては超長編にしていただいても一向にもん《ばきっっ》・・・・・・・
ぞ、続編きたいしています・・・(ぱたり) (tomo)
- ややお下品なのも含めてGoodです!
今作品の見事な箇所は「ルシオラは意識があった」
という設定。
妙に説得力の有るハッタリで面白かったです。 (トンプソン)
- ルシオラの復活小説ですが今までに無いパターンで良かったです。 (流れ狼)
- 感想、ありがとうございます。
書いてて楽しかった話なので、もしかしたら続きを書くかもしれません。
やはり好きなキャラを書くのは楽しいです… (ヤドリギ)
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