ザ・グレート・展開予測ショー

おキヌと幸運の腕輪


投稿者名:10番惑星
投稿日時:(05/12/14)

こんにちはみなさん。おキヌです。

今日、私はお使いの途中でフォーチュンさんと出会いました。

彼女がふわふわと公園の中を飛んでいるのを見つけたのです。


フォーチュンさんは、それは幸運の精霊さんです。

文字通り、人々に幸運をもたらせてくれる精霊さんなのです。

実は私は、まだ幽霊だった頃に一度フォーチュンさんと会っているのです。

あれは美神さん、横島さんと美神さんお客様だった某組の親分さんの主催する船上カジノに行った時のことでした。

そこでフォーチュンさんが悪い賭博師さんに捕らわれていたのを助け出したのです。

あの時は美神さんがその賭博師さんと1対1の勝負をしたのですが、フォーチュンさんの幸運に護られている賭博師さんに勝てるはずもなく、美神さんが全財産をその賭博師さんに取られてしまいました。

また横島さんもその賭の対象にされてしまい外人部隊に売り飛ばされそうになるしで大変でした。

結局、美神さんが賭博師さんにフォーチュンさんが捕らわれている事を突き止め、私と横島さんでフォーチュンさんを解放する事に成功しました。

フォーチュンさんの加護を失ったその賭博師さんは一気にそれまでの幸運を失い、不運がまとめて襲ってきたのです。

賭博師さんは美神さんとの最後の勝負に負けて、さらに船から海に転落していきました。

そういえばあの賭博師さん、あの後どうなったんだろ?

というわけでフォーチュンさんとご挨拶です。

「こんにちはフォーチュンさん。お久しぶりです。」

『え、そなたには妾が見えるのか?』
姿を消しているはずなのにおキヌちゃんに挨拶されて驚きの声を上げるフォーチュン。

「はい!あの、私に見覚えはありませんか?」
しばらくおキヌちゃんを凝視しているフォーチュン。

『おお、そなたは賭博師から妾を解放してくれた二人組の一人ではないか?確かおキヌといったな。』

『しかし、そなた確か幽霊ではなかったか?』

「はい、あの後色々あって今は生き返って人間として生活しています。フォーチュンさんも元気そうで何よりです。」

『うむ、ありがとう。ところで助けてくれたもう一人の男、横島といったかあやつは元気か?』

「はい、横島さんも元気です。元気すぎて困るくらいです。」

『そうかそれはなによりじゃ。ああ、そういえばあの時の礼がまだじゃったの。』

「え、お礼なんていいですよ。あの時は美神さんや横島さんを助けていただいたんだし。」

『それとこれとは別じゃ。人の好意は素直に受け取るものじゃぞおキヌ。さあ、手を出して。』

おずおずとフォーチュンの前に右手を出すおキヌちゃん。

するとその右手首に綺麗な装飾を施された透明な腕輪がつけられました。

『その腕輪は幸運の腕輪というものじゃ。その腕輪に願いをかけると最大級の幸運を呼び込む事が出来る。ただし、幸運は一度しか呼び込めないがの。』

「ありがとうございます。フォーチュンさん。でも、そんな貴重なものは受け取れません。」

おキヌちゃんが腕輪を返そうとしました。

『横島と美神にもよろしくな。ああ、美神には絶対その腕輪の事は言わん方がいいぞ。下手すれば世界が破滅する可能性があるからの。』

「ああっ、待ってください。」

こうしてフォーチュンは幸運の腕輪を残しておキヌちゃんの元から去っていきました。

「幸運の腕輪か・・・」
右手首に巻かれた透明な腕輪を見つめるおキヌちゃんでした。

「そうだ!これで横島さんとの仲をもう少し進展させ・・・ううん、それはフェアじゃないわよね。」
などとおキヌちゃんが考えていると


「ねー!かーのじょ!その辺でお茶しない?ぐへえ!」

「ねえねえ君かわいいね。名前教えてくんない?どわあ!」

「ずっと前から愛してましたー!!ぐぎゃ!!」

おキヌちゃんの目に女の子をナンパしまくっている横島の姿が見えました。

相変わらずナンパした女の子に肘打ちされてふられては違う女の子に声をかけまくてっいます。

いくらふられてもめげないその根性だけは認めますが、美神さんや私、シロちゃん、タマモちゃんがいるのに他の女の子に目移りするなんて許せません!

「横島さん!私たちというものがありながら、また他の女の子にモーションかけてますね!許しませんよ!」

少し黒くなりかけているおキヌちゃんでした。

その時でした。子供とボール遊びをしていて、道路に転がり出たボールを追って子犬が走っている車の前に飛び出してしまいました。

「あぶねえ!」

子犬に気づいた横島さんが子犬の後を追って車道に飛び出しました。

でも、間に合いません。

横島さんの超人的な瞬発力や脚力をもってしても間に合いません。

それでも横島さんは躊躇うことなく子犬を庇うように車の前に飛び込みます。

「横島さん!」
私はどうすることも出来ず、思わず目を瞑って横島さんの無事を祈りました。

「神様!横島さんを・・・」


キキキキキーーーー!

車が急ブレーキをかける音が聞こえました。

そして、しばらくの静寂の後、私は恐る恐る目を開けました。

横島さんは無事でした。

子犬も横島さんの胸に抱かれていて無事です。

「よこしまさーーん!」

私は我を忘れて横島さんのそばに駆け寄りました。

「あれ?おキヌちゃん。」

「横島さーん!」
私は人目もはばからず横島さんに抱きついて泣き出してしまいした。

「横島さんが無事でよかった。本当によかった・・・」

「お、おキヌちゃん・・・」

そして横島さんは泣いている私を優しく抱いてくれました。

「心配させてしまったね。ごめんよ、おキヌちゃん。」




少し時間がたって私も落ち着きました。
ここは公園のベンチです。横島さんと並んで座っています。

「うーん、それが不思議なんだよな。俺もはねられると覚悟したんだけどさ。いきなり車がはじかれるように反対車線に飛び出してったんだ。」

「子犬も車の方も無事だったし、まっ、運がよかったよ。」

「運がよかった。」
その言葉にはっとした私は右手首を見ました。

幸運の腕輪は消えていました。

おそらく幸運の腕輪が横島さんを助けてくれたんですね。

「横島さんを助けてくれてありがとうございます。私は腕輪を授けてくれた幸運の精霊さんに心から感謝しました。」

「私は大それた幸運なんかいりません。みんなが幸運で幸せならそれでいいんです。」

「え?」

私のつぶやきを聞いて何のことか分からない横島さんが私を不思議そうな顔で見つめていました。

そうですね。後で教えてあげなくちゃ、今日であったフォーチュンさんの事、幸運の腕輪のこと。







後日談

フォーチュンさんと幸運の腕輪の話を聞いて、なんてもったいないと美神さんが本当に悔しがっていました。

でも、そんな物使わせたら美神さんのことだからろくな事にならないと横島さん、シロちゃん、タマモちゃんの失礼な意見が一致すると今度は美神さんが怒っていました。

そうだ。もう一度フォーチュンさんに会ってお礼を言わなきゃ。





終わり

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