ザ・グレート・展開予測ショー

すれちがって


投稿者名:MAGIふぁ
投稿日時:(05/12/ 5)

Side横島


 愛しているわけではなかった、と思う。

 嫌いじゃなかったのは確かで。でも、本気で好きだったのかと聞かれると、少し困る。

 なんせ、生まれて初めてのカノジョだ。嫌いなわけがない。でも、出会ってから時間もなかったし、好きだとかそんなのを通り越して、いきなり今晩部屋にきて、だったし、それがまたいきなりすぎて唐突で。

 でもそんなオイシイ話を見逃すなんて出来なくて。でもやっぱりワケありだった彼女を、抱く事が出来なくて。

 半ば以上ノリと成り行きで戦おうって決心したんだよな…


Sideルシオラ


 下っ端魔族は惚れ易い。

 体に合わせて、ある程度の精神年齢はあるんだけど、やっぱりどこかアンバランス。

 だからちょっと優しくされたり、意外な面を見せられたりしたら、もうおしまい。あっという間に恋に落ちる。

 私達の寿命は1年。だから、恋をしたなら全てを捨ててそれに懸ける。

 一途に相手の事だけ考えて。我侭に相手の事など考えず。後先だって気にせずに。

 ヨコシマに抱いてもらおうと思った。それで私が消えるとしても。

 だけどアイツは事情を知って、アシュ様と戦うなんて言い出した。予想外だけど、希望した展開とも違うけど。

 とても嬉しかった。


Side横島


 何だかわからんけど、力がどこからか湧いてるみたいに出てきて、何でも出来るような、そんな気がして調子に乗ってた。

 今まで何度も戦って、俺だけじゃ絶対勝てなかったメドーサにだって、ルシオラに攻撃をガードしてもらって一発で倒せた。

 それで更に調子に乗った俺は、さっきの逆をやってやろうと、ルシオラと戦ってるベスパの攻撃を代わりに受けて――

 受けて――


Sideルシオラ


 ヨコシマの霊基構造が、目の前で、私の手の中で壊れていく。それがこの上なく恐ろしかった。

 この人がいなくなってしまうのが、死んでしまうという事がこれほど恐ろしいとは思ってもみなかった。

 助ける手段はたった一つ。私が代わりに死ぬ事だけ。

 私はためらわなかった。

 だって、私の寿命は1年で。だから恋をしたなら、全てを捨ててそれに懸ける。だから私はためらわない――


Side横島


 結局、ルシオラだけが復活できなくて。

 それがバカな自分が自爆したせいだっていうのが情けなくて。

 でもどうしようもないのも解っていて……

 アイツにしてやれる事が何もないってのが悔しくて、もどかしくて。

 何よりも、俺はアイツを愛していたわけではなかったのと、もう愛してやれないってのが、自分を殺したいほど口惜しくて。

 これからの時間があるって思ってた。その時間の中で段々そうなれると思ってた。

 その時間をぶち壊して、無くしてしまったのも俺のせいで。

 なにが「今だルシオラー!!」だ。何の考えもアテもなしに、ベスパの攻撃に耐えられるわけねぇだろう。

 どうして俺はこんなにバカなんだろうな……

 ゴメンな、ルシオラ。次は……


Sideルシオラ


 ヨコシマとは一緒になれなかったけれど、確かに恋に生きて、自分の心を裏切ったりしなかったから、多分私は満足している。

 一回だけ抱かれて、それで消えてしまうつもりだったのに、ヨコシマはもっと素敵な恋をさせてくれたから。

 思いがけずに寿命が延びて、じっくりと恋愛を楽しんでみよう、なんて思ったせいで結局最後までおあずけしちゃったけど、うらんでないかな。

 ヨコシマはスケベだから、きっと次の生まれ変わりもすぐ。あの人が、いえあの人たちが親なら、きっと退屈はしないわね。

 ま、とにかく……


Side横島・ルシオラ


 次は、もっと幸せに。

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