ザ・グレート・展開予測ショー

Fatal Error


投稿者名:SAJ
投稿日時:(05/11/17)

     Fatal Error


 どこを間違えたのだろう。

 何度も何度も自問する。

 だが、答えは出なかった。



「動くなッ、“破壊の女王”!! 

 いや………薫ッ!!」


 皆本は赤毛の女性の背に銃を突きつけながらも絶望に顔を歪ませた。

 結局、未来は変わらなかった。

 予知は、覆らなかったのだ。





「撃てよ、皆本!」

 熱線銃を向けられているというのに、薫の表情は穏やかなままだ。
 そして、言う事も変わらない。

「あたしがいなくなっても何も変わらない。他の大勢のエスパーたちは、戦いをやめないよ」

「なら…みんなをとめてくれ!!」

 皆本も、かつて見た自分と同じ言葉を繰り返していた。
 無駄だと、わかっているのに、言わずにはおれなかった。

 どうしてこうなってしまったのだろう。
 どうして防げなかったのだろう。

 最後まで、答えは、出なかった。



 薫は、予知の時に見た悲しげな、笑みを見せた。

「知ってる?」

 こんな顔が見たかったわけじゃない。
 こんな顔をさせかったわけじゃない。

 皆本の脳裏に、元気に笑う少女の顔が浮かんだ。





「皆本…あたしさ―――大好きだったよ。愛してる」




「知ってるよ。そんなこと」

 気がついたら、自然に声が出ていた。

 思ったより穏やかな声に自分でも驚いたくらいだ。


 無意味なのかもしれない。ただの悪あがきかもしれない。
 それでも、何か言ってやりたかった。
 泣き顔のまま、終わらせたくなかったのだ。


「当然だろう? 僕だって―――同じなんだから」

「え…」

 薫の動きが止まった。
 手からは青白い光が出ているが、そのまま動かない。


「ずっと…今でも愛してる」
 

そういう場合ではないとわかっていたが、薫は顔がほころんでいくのを止められなかった。
 うれしいのに、涙がこぼれそうになる。
 抱きつきたいのをこらえるのが精一杯だった。
 もう、無邪気にそんな事ができる関係ではない。


「本当の妹のように……葵も、紫穂も。ずっと、本当の家族のように思っているよ」




「なんっじゃそりゃあああああ―――ッッ!!!」
 全っ然同じじゃないし! ていうか、いつのまにやら複数形!?

「グハ!!?」 

 気がついたら薫は、全力で念力を皆本に叩き込んでいた。
 昔と違い、今の薫にリミッターはもうない。さらに成長した念動力を、確実に殺意を持って人体にぶつければ死なない人間の方がいやしなかった。
 口の中いっぱいに広がる血の味に皆本は呆然としていた。

(予知が……変えられた?)

 自分が薫を殺してしまうのではなかったのか?
 
 どうして薫はいきなり僕を殺す気になったんだ?

 いや…どうして薫はここまで激怒したんだ?

(どうして…)

 ワケがわからないまま、皆本は死亡した。




   DEAD END

今までの コメント:
[ 戻る ]
管理運営:GTY+管理人
Original GTY System Copyright(c)T.Fukazawa