ザ・グレート・展開予測ショー

皆本一尉VS兵部少佐物語ver.1 皆本誘拐事件発生


投稿者名:峰野恵理花
投稿日時:(05/11/11)

「うーん…。」
皆本は、いつも起きるのと同じように体を起こし、周囲を見回した。
(どこだ?ここは。…昨日、何があったんだ!?)
彼がそう思うのも無理はない。皆本はスーツのままだったし、何よりも彼がいる場所は、四方をコンクリートの壁に覆われ、光を取り入れる窓には鉄格子のはまっている部屋―いわゆる牢屋という奴だ。ついでに言えばベッドや布団はなく、毛布が一枚と、薄っぺらな枕がおいてあるだけだった。
「…なんだってボクがこんな場所に。…昨日は―。」
そう考えを巡らせようと思ったとき、皆本の頭部に鈍い痛みが走った。
 思わず頭部を押さえる皆本。と、そこに、音も、なんの前触れもなく、学ランを着た銀髪の…少し意地の悪そうな青年が現れた。…分かっているとは思うが、この青年は、言わずと知れた兵部少佐。その人だった。
「…っ!!兵部…!?何で…。」
皆本は兵部につかみかかろうとするが、彼のサイコキネシスでいとも簡単に押さえつけられてしまった。
 兵部は、ひどく慌てた様子の皆本を見て、笑いたいのを無理矢理押さえたような表情で
「目が覚めたかい、皆本君?…君は記憶力がないのかい。えらく慌てているようだけど、昨日のことを覚えているならごく自然なことじゃないか。」
と言ってのけた。
 皆本は、壁に押さえつけられた体勢のまま少し落ち着いてきた頭で昨日のことを思い出していた。
(そうか昨日ボクは…。)
兵部は皆本が思い出していることを読み、少し含み笑いを漏らしてどこかへ消えた。
 そもそも、なぜ皆本がこんなところにいるのかは、前日の皆本がオフィスに残業のため在室していたときにさかのぼる。

 皆本は昨日、いつもと同じようにチルドレンの起こしたトラブルに関する報告書等を書くことに追われていた。
 少し気分転換にと皆本がのびをしたとき、ドアから誰かが入ってくるのが感じられた。どうせ薫たちのうち誰かだろうと、皆本は気にもとめなかった。
 しかし、皆本の肩に手を乗せたのは、間違いなく兵部京介だった。
「やあ、皆本くん。」
兵部は、余裕で皆本に挨拶をした。
「兵部!!一体何をしに来―。」
皆本が、机上の銃をとろうとした瞬間、兵部が皆本の後ろに回り込み、彼が手にしようとした拳銃を取り上げ、彼の後頭部を殴打し、兵部が彼を引きずって行かれる感覚だけが薄れゆく意識の中感じられていた。
 
 皆本の記憶はそこで途切れていた。
「何が起こったか分かっても、対処法がないんじゃあ…。」
皆本は思わず弱音を吐いた。
 無理もなかった。なぜなら彼の両手首・両足首には頑丈な枷がはめられ、何か薬でも打たれているのか、体の自由もきかなかった。その上牢屋の扉は鋼鉄製。ノーマルである彼にはどうしようもなかった。
「…ちくしょう。」
皆本は低くつぶやくと、憎らしそうに鉄格子をにらみつけた。
(どうにもならないけどな。)
そう考えると同時に、皆本は全身から力を抜き、壁に身を任せた。



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