ザ・グレート・展開予測ショー

ああっ勘違い(GS美神)


投稿者名:10番惑星
投稿日時:(05/11/ 9)

暑い夏も終わり、空は高く青く澄み渡り涼しい風が頬を優しくなでていく。
そして柔らかな日差しが心地いい。そんな日の事だった。

公園のベンチで語らう一組の男女。

男の子の方は女の子を笑わそうと身振り手振りで女の子に冗談をいい。
女の子は笑顔でその男の子の話を聞いていた。

本当に誰が見ても微笑ましく幸せそうなカップルだった。

「お、ありゃ横島じゃねえか?おお、珍しいな女の子連れか?」
「え?あらほんと!あ、女の子の方は氷室さんだわ。」

もう一組のカップル、伊達雪乃丞と弓かおりが横島たちを見つける。
「よおー!よこ・・・ 」
「お止めなさい!雪乃丞!」

横島に声をかけようとした雪乃丞をかおりが制した。
「な、なんだよ。弓」

「ばか、気が利かないんだから雪乃丞は!」
「こういう時はね、そっと影から見守ってあげるものなのよ。」

「そ、そうなのか?」

「そ・う・な・の!」
かおりは雪乃丞の手を取ると横島たちに気付かれない様に近くの茂みに隠れるのだった。

「それにしても横島の奴、氷室とデートか?隅に置けんな。」

「ふふっ氷室さんが横島さんの事を好きなのはバレバレなのよね。」

「やっぱりそうなのか?」

「そうなのよ・・・ 氷室さんは学校ではよく横島さんの事を話してるのよ。」
かおりは横島のことを学校で嬉しそうに話すおキヌちゃんの事を思い出す。

「それにしても恋愛関係には相当疎いはずの雪乃丞ですら氷室さんの気持ちに気付いているのに、横島さんは全然気付いていない。」

「ふーっ・・・ おキヌちゃんも好きな相手が相手が鈍感、いいえあれは朴念仁だわ。ほんと苦労するわね彼女も。」
かおりは溜息をつく。

「でも同じ鈍感でも、雪乃丞の方が他の女の子に手を出さないから少しはましかしら?」
変な所でポイントを上げている雪乃丞だった。

雪乃丞と弓はベンチから少し離れた茂みに隠れているので二人の会話は聞こえてこない。
だが、横島とおキヌちゃんの二人がいい雰囲気なのは間違いなかった。

「うふふふ・・・ 早速明日学校でこのネタで氷室さんをからかってやりましょう。」
弓が明日の冷やかしのネタが出来たと心の中でほくそ笑んでいると

「お、横島の奴が帰るようだぞ。」

「え、なーんだつまらない。もう終わり?帰り際にキスの一つもすればいいのに?」
キスの一つもしてくれれば明日の冷やかしのネタが増えるのにと不謹慎な事を考えるかおりだった。

「さてと、俺達も行くか。」

横島が見えなくなったので、かおりを連れて茂みから出ようとする雪乃丞。

「ちょ、ちょっと待って!あれを見て雪乃丞!」
かおりが出て行こうとする雪乃丞を制した。

かおりはベンチに一人残ったおキヌちゃんの様子がおかしいことに気付いたのだった。

かおりがおキヌちゃんを見て呟く。
「氷室さんが泣いている。両手を顔に当てて震えながら泣いている。」

「氷室さん!」
かおりはおキヌちゃんの下にわれ知れず駆け出していた。

ぼーぜんとおキヌちゃんに駆け寄るかおりを見ている雪乃丞。

「氷室が泣いているだって?あんないい子を泣かすなんて・・・ お前何やってんだー!横島ー!」
ぶるぶると雪乃丞の握った拳が震えている。

そして、怒りに燃えて横島を追って駆け出す雪乃丞。






「まて!横島!」

自分を呼ぶ声に振り返る横島。
「よう!雪乃丞じゃないか?いつこっちに来たんだ?」

怒りの雪乃丞が横島を睨みつけて指差す。
「見損なったぞ横島!お前いつから女の子を平気で泣かせられるようになった?」

指を差された横島は一瞬何の事か訳がわからずきょとんとした顔をする。
「へ?一体何のことだ?雪乃丞?」

「とぼけるな横島!おおおお魔装術ーー!!」
「天誅だー!くらえーーー!」

ドパパパパパー!

雪乃丞はいきなり魔装術を使い、霊気の鎧を身に纏い霊波砲を横島に撃ち込む。

「おおおーーー!?な、なんだー?」
ズガガガガーン

横島はサイキックソーサーを瞬時に出すと雪乃丞の霊波弾をすべて弾き返した。

「こらー!!雪乃丞!お前、俺を殺すつもりかーー?」

「そうだ!今からライバルとしてお前のその腐った性根を叩き直してやる。」

「ま、まて!雪乃丞!本当にどうしたんだ?理由を言え!理由を!俺にはお前に襲われる理由はないぞ!」

「問答無用!!いくぞ横島!」

「くっ!仕方ない!」

次の瞬間二人の姿が消えた!

今二人は人間の限界をはるかに超えるスピードで戦っているのだ。

ドカーーン!ガガガーーン!ズーン!

そこらじゅうから二人がぶつかり合う度に衝撃波や爆発の火柱が上がる。

日本のGSの中でも戦闘能力だけなら最強といわれる人外の二人である。もはや人知を超えた戦いを展開していた。

そして両者の力はほぼ互角だった。

「いいぞ横島!ぞくぞくしてくるぞ!さすが俺のライバルだ!!」

「ひー!いやだ死にたくない!死にたくない!やめんかーーこのバトル馬鹿ーー!!」

もはや雪乃丞は強いライバルとの戦いに喜び、初期の目的は完全に忘れていた。
かたや横島の方は死にたくない一心だった。


「ごめんなさい氷室さん、私の勘違いだったのね。」

「いいんです弓さん。それより早くあの二人を止めないと大変なことに・・・ 」

ドカーン!ガガガーン!バキーーン!

かおりとおキヌちゃんは横島と雪乃丞が戦っていると思われる場所に来るとその惨状を見て驚いた。

「な、なによこれ?まるで絨毯爆撃の後の様じゃない!?」
「こ、これはまたひどい有様ですね・・・ 」

そこにはあたり一面、地面にいくつもの大穴が開いていた。

慌ててかおりとおキヌちゃんは二人の戦いを止めさせようと叫ぶ。

「雪乃丞ー!止めなさい!誤解なのよー!」

「伊達さーん!止めてくださーい!」

二人に気がついた雪乃丞が姿を現した。
「おうっ、どうした弓。氷室も一緒か?今、横島と遊んで・・・ もとい横島の奴に天誅を加えている所なんだがな。」

横島も続いて姿を現す。
「だから、なんでお前に天誅を加えられなければならんのじゃ?あ、弓さんじゃないか。ちわっす。相変わらず綺麗だね。」

「あ、横島さんこんにちは・・・ 」

弓かおりは驚愕していた。
雪乃丞も横島も自分の目にはその姿が見えないほどの超高速で戦っていたのだ。そして二人のあの桁外れの破壊力。
しかも現れた二人は共にたいした怪我も無く、息一つすら切らせていないではないか。
自分は魔装術を使っていない雪乃丞に切り札の水晶観音を使ってもいとも簡単にあしらわれてしまうのに。
これが日本最強といわれるGS二人の実力なのかと・・・

「雪乃丞、てめえ!自分は弓さんとデートしてたんだな!許さんぞこの野郎!」
今度は逆に戦闘体制に入ろうとする横島をおキヌちゃんが止める。
「まっ!待ってください!横島さん!落ち着いてください!」

「誤解だったのよ雪乃丞。」
こちらは雪乃丞を止めに入るかおり。

「?、どういう事だ、横島の奴が氷室を泣かせたんだろう?」
怪訝な顔をする雪乃丞。

「お、俺がおキヌちゃんを?たとえ死んでもそんなことする訳がなかろうが!」

「ち、違うんです伊達さん。私は泣いてなんかいません!」

「そ、その、実は横島さんが帰る前に凄く面白い事を言っていたのを思い出し笑いしていたんです。」

[[はい?]]

「そういう事なのよ、雪乃丞。もうそそかっしいんだから!」

「ごめんなさい・・・ 伊達さん、弓さん、横島さん・・・ 」
小さくなって三人に謝るおキヌちゃん。

「氷室さんが謝ることないのよ。このバカが勝手に勘違いしたんだから。」
雪乃丞を睨みつけるかおり。

「だってよ、お前が氷室が泣いているって言うから俺はてっきり横島が泣かしたもんだと・・・・・・ すまんな横島。」
魔装術を解き頭をかいて横島に謝る雪乃丞。

「ああ、もういいって。わかってくれればそれでいい。それにおキヌちゃんの事を心配してくれてのことだからな。」
手をひらひらとふる横島。

そして四人はしばし談笑した後、それぞれ帰路に付いた。

途中までかおりとおキヌちゃんは一緒に歩いた。

「氷室さん、横島さんて本当は凄い人なのね。私驚いちゃった。」

「はい、横島さんは本当に凄い人なんですよ。」

「私たちも雪乃丞や横島さんに負けないように頑張らなくちゃ!」
おキヌちゃんにガッツポーズを作ってみせるかおり。
かおりは雪乃丞、横島という最高レベルのGSの力を見て興奮したようだ。

「はい!」
笑顔で答えるおキヌちゃん。



「私、本当は嬉しくて泣いていたんです。横島さんに二人で映画を見に行こうって誘われて。横島さんは照れくさそうに商店街の福引で当たったチケットで悪いけど日頃のお礼に俺でよければ一緒に観に行かないかって。」

「私、幸せです。」



終わり


「ところで、荒らした公園はどうするの?」
「ばれなきゃいいんだよ。」

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