ザ・グレート・展開予測ショー

身体はコドモ、頭脳はオトナ! (絶対可憐チルドレン)


投稿者名:かいる
投稿日時:(05/11/ 6)





*はじめに。壊れです。不特定多数のヒトが壊れてますのでご注意ください。

























残業を終え、シャワーも浴びずにベッドに倒れ込んだ、その翌朝のこと。

ドタバタといつものように三人のトラブルメイカーの暴れる音がする。

振動と時折聞こえる家具の破壊音に耐えかね、むくりと体を起こす。

「まったくあいつらは・・・毎朝毎朝飽きもせず・・・」

すこし喉がおかしい。疲れが出たかな・・・?

考えてみると、少しからだが重い気もする。



「・・・・・・・・・!」

「・・・・・・?・・・・・・!」

がしゃん。どしん。

おっと、早く止めにかからないと朝食用の食器がなくなる!









「コラッ!朝っぱらからうるさいぞおまえたち!」




一喝する。これだけでは止まらないだろうが、繰り返して―――――――――





「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」」」


ん?三人が三人ともあんぐり口を開けてこっちを見ている。
おかしいな。そんなに強く叱ったつもりもないんだが・・・。



「なんだ?僕の顔になんかついてるのか?」

「み、皆本・・・・・・・・・なのか?」

「?・・・なんだ薫、僕の顔を忘れたっていうのか?」

「紫穂、確かめてみい?」


葵の言葉に頷いたかと思うと、紫穂は僕の腕を取った。手に淡い光がともる。

「―――――・・・間違いないわ。この子は皆本さん本人よ。・・・間違いなく。」

なんだなんだ、この重々しい雰囲気は。僕の区別がつかないっていうのか?
そういえば、さっきから気になっていたことなんだが。視界がどことなくおかしい。


「そう言えばお前ら、背が伸びたか?」


「・・・あー、何か面と向かっては言いづらいなー。」

「うーむ。やっぱ本人に確認してもらうのがいちばんなんちゃう?」

「それもそうね。じゃはい、これ。」


渡されたのは紫穂が愛用している手鏡。これで何をしろって言うんだ?
不可解に思いつつ蓋を開ける。そこには。














寝癖がついて、眼鏡を掛けている・・・男の子。
ちょうど特別教育プログラムに進む頃・・・10歳の僕が映っていた。









「なんじゃこりゃあああ――――――――――――――っっっっ!!!」




















           身体はコドモ、頭脳はオトナ! (絶対可憐チルドレン)















顔を洗って、タオルで拭きながら目の前の鏡を見る。


どう見ても、まじまじ見ても、何回見ても、
そこに映るのはBABEL特務エスパー管理官・皆本光一(20)ではなく、
年端もいかない少年だった。


「な、何故こんなことに・・・・・・」


昨日僕は何かしただろうか。何か特別なことがあっただろうか。
――――――――考えるまでもない。


「あの変態のせいに決まってるか・・・・・・!」


変態。変質者。ロリコン。――――――言うまでもなく兵部京介少佐のことだ。
僕は昨日、街中にて彼と接触。局長らの支援もあって彼を追いつめたが、
あと一歩のところで逃してしまった。彼はそういえば何かを言い残していったような気がする。


『君は彼女たちのことをコドモだコドモだっていうけれどね。
――――――――いちど、彼女たちと同じ目線に立ってみるのもいいんじゃないかな。
僕からのささやかな忠告・・・ってやつさ。参考にするといい。』


彼はそう言ってクスッと笑い、転移していった。

その時は何を言っているのかよくつかめなかったのだが・・・
結果は見ての通りというわけである。


しかし、超能力といえどヒトを一晩で縮めることなどできるのだろうか。
―――――考えられるのは、催眠能力だが・・・他人、つまり薫たちにも身体は小さくなって見えるようだ。
実際に身体が縮まってしまったのは間違いがない。


催眠能力は脳内の化学物質を変質させる能力。
であるならば、まさか僕の成長ホルモンをいじったのか?
一晩でこれほどの劇的な効果をもたらすなんて・・・・・・、だが持続性は無いと見ていいだろう。
発現が急すぎる。・・・・・・というか持続性があったら僕が困る。

早いところBABELに行って身体を調べる必要がありそうだな・・・。


―――――考えることは尽きないが、このままでは遅れてしまう。
さっさと支度してBABELに向かわなくては・・・








そこで、ハタと止まる。

自分は今、子供の姿である。

かなり腕も足も短くなっている。

要は。




着ていくモノがない。



今着てるワイシャツとスラックスですらだぶだぶで、
まくってまくってどうにか手足を出している状況である。

まずい。こんな姿ではろくに買い物にも行けないし・・・
げっ。そもそもこの姿じゃ車が運転できない・・・アクセルに足が届かない。
そして何より・・・・・・こんなことをあいつらに

「―――――あいつらに知られたら、絶対エラいことになる、だそうよ?」



いつの間にっ?透視られたっっ!?



「葵ちゃーん?」

「はいなー」

「や、やめろぉっ!はなせえっ!」


叫びも空しく、拉致されてしまう。


ついた先は彼女たちの部屋。
問題なのは、なぜか扉が解放された彼女たちのみっつのクローゼット、
そして、部屋を覆い尽くさんばかりの服・服・服――――――――当然女物。



「さあて、みなもとぉー。」

「お着替えの時間やでー。」

「抵抗しない方が早く済むわよー。」



「あ、ああ、・・・い、いや・・・だ・・・」


じりじり近寄る三人娘。
首を横に振りつつ後じさるが、背中が壁に付く。









「いいい――――――やああ―――――――――――!!!」













やめろう!シ○ッカー!ぶっとばすぞう!とかなんとか、
皆本家から声が聞こえたとか聞こえなかったとか。






ちなみに作業分担は

拘束・薫

着せ替え・葵

写真・紫穂

となっているようである。



「ええいっ!ウブなネンネじゃあるまいしっ!観念しなっ!」

「だから君らがそうあるべきだろうっ!ああいやっ!それはダメーっ!」

「うーん、ワンピースでいくかフリフリで行くか、悩むところやなー。」

「悩むなああああああっっっ!ああっダメだって言ってるだろ!」

「さ、笑って?こっちを向いて、はいちーず。」カシャ!パシャ!

「紫穂!撮るなこんなところ!というか現像できるのかそれ!」

「デジカメだから大丈夫よ。心配しないで?」

「心配するかっ!なおタチが悪いわっ!くっそおおおお!こ、このままではヤバいっ!!」




ああ、この世には神も仏もないものか。
このままではこの天使のような悪魔達に蹂躙されることは必至!
まさしく弱肉強食の掟が支配する地となった皆本家。




そこに颯爽と救世主は登場する――――――――!






「一体――――――――――何をやっているの!?あなたたちはっ!」


「か、柏木さんっ!?」

ドアから突如として登場したのは、BABELの良心との声も高い、柏木朧一尉であった。




た、助かった―――――――――――――!!

ちぃっいいところで邪魔が・・・

なんや、せっかくごすろりーにきめたったのにー・・・

水入りね。でもまあいい画がとれたし、このへんが引き際かしら・・・



各々の思惑が交錯する中、事態は収束へ向かうかに思われた。
















「カワイイ男の子に女装?――――――――軽薄を通り越して罪悪だわっっ!!



・・・・・・・・・昔からカワイイ男の子には『半ズボン』と、天地開闢以来から決まっているのよっっっっっっ!!!(超力説)」















・・・思われただけだった。しかもご丁寧に実物持参だった。







「えー!?そんなのフツー過ぎてつまんねーよ!」

「せやでー!半ズボンなんて夏になったらいくらでも見られるがなー!でも一応はかせてみるかな。」

「・・・・・・・・・・・・朧さん、なかなかやるわね(半ズボン姿を激写しつつ)」

「甘い!甘いわ!ティラミスにアンコと蜂蜜をかけるより甘いわね、あなた達っっ!
皆本さんのような利発そうな子にはこういった趣向の方が絶対にイイのよっ!・・・・・・・・・紫穂ちゃん、後で焼き増ししてねっ!」


「あ、あの・・・・・・かしわぎ・・・さん・・・?」



「うーん、まあ、なんか良家のおぼっちゃん、てかんじでいい気はしないでもないかなー(てれてれ」

「ほんなら、ウチらのワイシャツとサスペンダー・・・それに、蝶ネクタイ!これでどや?」

「あら素敵。葵ちゃんデザイナーになれるんじゃないかしら。・・・・・・あら、メモリー代えなきゃ。」

「ああっ素敵っ!あなたたちにもようやく半ズボンのすばらしさが伝わったのね!!」







喧噪はやむことなく、続いていった。










「くそう・・・・・・コレも全部兵部の奴のせいだ・・・・・・・・・
だ、誰か・・・・・・助けてくれ・・・・・・・・・」


着せ替え人形にされながら、そう呟いたヒトが居たとか居なかったとか。























一方、皆本のアパートから遠く離れた建物の屋上にて。

「は、半袖半ズボンの光一たん・・・・・・・・・・・・ハァハァ・・・・・・
ゲフン、ゲフン・・・・・・・・・
まったく、なんてナイスな・・・もとい、悪いコたちだなあ、ハァハァ・・・・・・

それじゃ仕上げと行こうか・・・あと一押しで、その坊やは永久に僕のものだ・・・・・・・・・・・・!!

待っててね!光一たん!」



邪悪な決意をしている学ランが居た。

ポケットには、表紙に「皆本光一・光源氏計画」と銘打たれた冊子が見える。

彼の野望は叶ったのだろうか。それはまた、別のおはなし。








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