ザ・グレート・展開予測ショー

ユニコーン -逃した魚は- (GS美神)


投稿者名:10番惑星
投稿日時:(05/11/ 5)

ユニコーン、所謂一角獣である。
現在では乱獲がたたってめったに人間界に姿を現さなくなってしまったという幻の霊獣である。

その角はあらゆる呪いや病気に効く。

そのためユニコーンの角の粉末の末端価格は○ロイン、シャ○の比ではないほど高価で取引されている。

ただし、神話によって美化された感のあるユニコーンであるが、本性は田畑を荒らす害獣でもある。

ここは美神除霊事務所
美神、横島、おキヌ、シロ、タマモのいつもの面々が応接室で雑談している。
その時
数百頭ものユニコーンの大群が日本各地に突如出現、農産物を食い荒らしているとテレビのニュース速報が伝えた。

「こ、こいつら例の畑荒らしじゃないっすか?しかも今度は数百頭だって?」

「こ、こんなにたくさん!そういえばあの時は、一頭でも大変だったんですよね。」

「あの時って?横島ユニコーンと何かあったの?」

「ああタマモ、以前ユニコーンに畑を荒らされた村からの依頼で、捕獲に行ったことがあるんだ。結果は失敗だったけどな。」

「ユニコーンは清らかな乙女の膝に頭を預けて眠るという習性があるんだ。その時は流石のユニコーンも無防備になるので捕獲できるんだ。」

「それで俺は美神さんにエクトプラズムスーツを着せられ女のかっこうをさせられてユニコーン捕獲のおとりにされたんだ。」
その時の欲に目の眩んだ美神を思い出し遠い目をして美神を見つめる横島だった。

「そういえば、あの時ほど美神さんの強欲さを見せ付けられた事はなかったよなあ・・・」

「その時もう一歩という所でユニコーンの目に映った自分に恋して失敗した神話級バカはどこの誰だったっけ?ええい!聞こえてるわよ。横島クン!」
美神のパンチ一閃!その場に崩れ落ちる横島だった。

「先生、そんな事があったのですか?うわー!拙者、先生の乙女姿を是非見てみたかったでござるよ!」
シロは能天気に倒れている横島にそうのたまう。

「あは!それはあたしも見てみたかったな。ねえ横島、今やってみせてよ。」
タマモも興味ありげに悪戯っぽい視線で横島を見つめる。

「ば、ばか!シロ、タマモ!あんな恥ずかしいかっこう二度と出来るか!」
真っ赤になって二人に怒鳴り返す横島だった。

そういえばあの時は俺の前に美神さんとおキヌちゃんもおとりになったのだが、ユニコーンの思考スキャンにより美神さんは文字通り蹴っ飛ばされ、おキヌちゃんは相手にもされなかったっけと思い出す横島だった。が、流石にそれを口に出せばおそらく生きてはいられまいと必死に口を噤むのだった。

「でも変ですよね美神さん。ユニコーンは角が目的で乱獲されて今では滅多に人間の前に姿を現さないはずですよね。」

「おキヌちゃんの言う通りよ。確かに変ね?今年はユニコーンの土地が凶作だったという話も聞かないし、食べ物は十分あるはずなのに。」

首を傾げる美神だった。

その時、電話がかかって来た。
「もしもし、美神除霊事務所ですが?」

「ああ、令子ちゃんか良かった。ユニコーンの事件の事は知っているね?」

「え、ええ、今丁度そのニュースを見ていた所よ。」

「その件で○泉首相からオカGに直接連絡が入ってね。すぐ首相官邸まで来て欲しいそうだ。僕と美神隊長もすぐに首相官邸に向かう。」

「え、どういう事?西条さん」

「詳しい話は官邸に着いてからだ。ああ、それと横島君も必ず連れてきてくれ。頼んだよ。」

「ちょ、ちょっと西条さん!」

西条からの電話は切れた。

横島クンを連れて首相官邸に来いですって?
なんかいやな予感がするわね。


という事でここは首相官邸である。

大広間に通された美神たち。すでに西条と美智恵が待っていた。

「これはどういう事なのママ?」

「来たわね令子。今、首相から説明があるから聞いて頂戴。」

「やあ、よく来てくれたね。君達。」
○泉首相が大広間に入ってくる。そして首相の後ろから一頭のユニコーンが入ってきた。
それは紛れもなく、かつて美神達が捕獲に失敗したユニコーンであった。

驚く一同
「あ、あんたは?」「お、お前は?」「あ、あなたは?」「「「あの時のユニコーン?」」」

首相が美神令子の前に立つと疲れた表情で
「彼から美神令子君に話があるそうだよ。聞いてやってくれないかな?」

首相の側近が翻訳したユニコーンの話はこうだった。

自分はユニコーンの長なのだが、前回人間界に来た時に出会った無垢な乙女のことが忘れられないという。

それで部下を引き連れてその乙女を探しに来たのだがとうとう見つからず、部下が空腹のあまり人間の田畑を荒らしてしまったという。

「お、おかげで各方面から苦情の嵐、私の支持率は下がる一方なのだよ。」
泣いている首相。

西条が令子に
「という訳で、彼はその乙女の膝枕でもう一度でいいから寝ることが夢なんだそうだ。それであの時彼女と一緒にいた君に是非探して欲しいとの事なんだ・・・ 」

「うーん・・・ 実はその乙女、目の前にいるんだけどね・・・ 」

令子、おキヌちゃん、シロ、タマモ、美智恵、西条が横島をじっと見る。

「美神さん。お、俺はごめんですよ!俺は二度とあんな格好はしたくない。」
その場から逃走しようとする横島。

その時、首相の側近が
「ちなみに乙女を見つけた者にはお礼を出すそうです。」
出てきたのはユニコーンの角が10本以上。

その瞬間、令子の目がビガー!と閃光を発した。

「クライアントであるユニコーン様の探してらっしゃる乙女、この美神令子が今すぐ連れて参りますわ!!嫌と言っても連れて来ますとも!しばらくお待ちください!!」
さあ、横島クンいらっしゃい!!

「ほーほほほほー!角よー!角よー!ユニコーンの角よー!!!」
横島の首根っこを捕まえて大広間から飛び出していく美神。

「待ってください!美神さーんーーーー!」
美神に連れ去られていく横島の悲鳴が空しくこだましていた。

あっけに取られて美神と横島を見送る一同だった。


・・・・・・15分後

その乙女は大広間にいた。

確かにあの時の背の高い美しい少女だった。

「はあー、はあー、はあー、さあ、この子ですわ。ユニコーン様」
よほど慌ててたのだろう。肩で息をする令子だった。

「ふふふ、横島クンには前回と同じ強力な暗示呪法と今度は自分に惚れない様にさらに暗示をかけてるわ。今度は失敗しない。」

「これでユニコーンの角10本は私のものよ!濡れ手に粟、元手いらずで大儲けだわー!なんてついているのかしらー!!ほほほほほ!!」
もはや天にも昇る気持ちの美神だった。

「へー!これが先生でござるかー・・・ 」
「ふーん!これが横島なんだー・・・ 」
シロもタマモも初めて見るエクトプラズムスーツで乙女の姿をした横島に見とれていた。

「うふっ、かわいいお馬さん。さあいらっしゃい。」
催眠呪法にかけられているため、笑顔でユニコーンを呼ぶ乙女(横島)。

ブヒヒ、ブヒヒヒーヒーーン!
だがその乙女(横島)を見てユニコーンがいなないた。

「え!ちがう!!美神さん、この娘じゃないそうです。」
首相の側近がユニコーンの言葉を翻訳し伝える。

「な、なんですってー!それはどういう事よ!」
驚く美神令子。

西条がはっと何かに気づいた。
「先生そういえば、あの時あのユニコーンが頭を預けて眠っていたのは!!」

美神美智江が西条の言葉にうなづく
「そうよ西条君!あの時ユニコーンはひのめの膝に頭を預けて寝てたのよ。」

すぐに美知恵はひのめを連れて来てユニコーンに見せる。

「だあ、だあ、おうまさんだ・・・ 」
ユニコーンを見て、笑うひのめちゃん。

ヒヒーン、ヒヒーン
「この子だ!間違いない!!」
翻訳する側近

そしてユニコーンはひのめの膝に頭を預けると寝てしまった。

その様子をあっけに取られて見ている美神令子だった。
「なんなのよそれは!そんなのないわよ。私のユニコーンの角が・・・ 」

数時間後、眠りから覚めたユニコーンは一族を引き連れて帰って行った。

「もう二度とくるなー!!」
帰っていくユニコーンの群れに大声で叫ぶ美神令子。

ちなみにユニコーンのお礼の角は美神美智恵に送られる事となり、美智恵の善意で今回ユニコーンの被害に会った農家の補償に使われる事になった。

「ううう、ママったらあんなにあるんだもん1本位くれてもいいじゃない・・・ 」
「だめよ。あんたに渡したらロクな事にしかならないわ!」
「わーん!ユニコーンの角ーーーっ!」

逃した魚はあまりにも大きい。
とことん諦めの悪い美神令子だった。





終わり


えー、首相側近に人外の言語に詳しい者がいる(汗)という事で納得してくだされば幸いです。

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