ザ・グレート・展開予測ショー

灰色の街  〜The second judgment.〜第3話


投稿者名:おやぢ
投稿日時:(05/10/29)

その日の最終便でのチケットが予約できたため、横島は成田へと移動した。
手荷物は無く、そのままゲートを潜ろうとすると金属探知機が音を立てた。

「あ、やっぱ鳴ったか。」

警備員がボディチェックをしようとすると、横島はパスカードを差し出しGジャンの前を広げて
2丁の銃を他の客の目につかないように見せた。

「GSだ。」

GSは常時銃の携帯(除霊用)を許可されている。
警備員は横島の身分証を手に取ると、スキャナーを通し確認をとると身分証を返した。

「どうぞお通りください・・・・・・そ、それは?」

警備員の目が、横島の背中のリュックのような“とある”ものに注目した。

「いいだろ、これ。今度発売になる“タマモン”だ。買ってくれよ♪」

歯を光らせながら横島そういって、出国していった。






「なんで女狐が一緒なのでござるかーーーーっ!!!」

シロはおもちゃを買ってもらえないで駄々をこねている幼児のように、床の上で転げまわっている。
令子は高校時代の横島を思い出すと、“やはり師匠は選ばないと、とんでもない事になるな・・・”と密かに思った。
横島の霊能の師匠は自分だという事は完全に欠落している・・・相変わらず自分に都合のいい脳みそである。

「同じような能力のアンタが行っても、大して助けにはならないでしょ。」

アンタがいると足手纏いになる・・・言いかけた言葉を飲み込んだ。

「それはそうと・・・おキヌちゃん。」

タイミング良く、事務所にコーヒーを運んできたおキヌの方を向いた。

「弓さんに連絡しといて、『雪之丞の手がかり掴んだ』って。」











同時刻国内、某一室。
扉を数回ノックする音が響き、重い木製の扉が開かれる。

「失礼します。」

一礼して制帽を手に持った男が、部屋の奥の机へと向かう。
机の正面まで歩むと、机にいる男に向かい敬礼をする。

「報告します。目標Y、本日2034出国しました。行く先は香港の模様です。」

「了解した。明日、予定通りに作戦を決行したまえ。」

「はっ。」

男は再度敬礼をすると、一礼して部屋を出て行った。
机の横には日の丸が掲げられている。

「虫めが・・・」

そう呟きながら、机の上の横島の写真を睨んだ。












「で、なんでアタシが新発売の“タマモン”なのよ!!!」

Gジャンの中から顔を覗かせて、狐形態のままタマモは横島に抗議した。

「経費削減だ。」

あっさりとそう言いきられたため、タマモは玉の汗を流す以外術はなかった。

「どうすんの、これから?」

「さぁな・・・」

「さぁなって、アンタ仕事で来たんでしょ!!」

「まぁそりゃそうなんだが、なんせ情報が“香港らしい”だけなんでな。どこをどう当たっていいものやら。」

空港を出ると横島はタバコを咥えた、空港及び機内では吸えなかったため数時間ぶりのニコチンである。

「さて・・・とりあえずメシにするか。」

「油揚げっぽいの!!!」

「中華でそんなメニューあるんか?」

ある意味、雪之丞を探すよりも難しいかもしれない。
横島はタクシーに乗り込み街へと向かった。










「横島ぁ〜、ゴハンは?」

「そんな事言ってる場合かぁーーーーーーーーー!!!!」

いきなりタクシー強盗に会い、街とは離れた場所に連れて行かれ、のしたのはいいが現在地不明。
しょうがないから歩いて明るい場所に戻ろうとすると、今度はバイク強盗。
Gジャンの中にすっぽりと入っているタマモにはあまり関係ないが、追われる横島にしてはかなり切実である。

「なぁ・・・俺、そんなに金持ってそうに見えるか?」

走りながら横島はそういった。
バイク相手に逃げ回ってもしゃべれるのは、やはり散歩という名の全速マラソンをやらされていたからであろう。
ある意味、弟子に感謝である。
タマモは、横島の顔を見上げた横に振った。

「そうだよなぁ・・・」

横島は走るのを止めた。
バイクが横島目掛けて突っ込んでくる。
右手を前に出すと、腕が淡い光を帯びだす。

「伸びろ。」

短くそういうと、右手は激しく光を発しバイクのフロントタイアを?ぎ取った。
フロントを無くしたバイクは、そのままのスピードで前転すると火花を散らしながら転倒する。
漏れたガソリンに引火して炎上するバイク。
アスファルトに激しく身体を打ちつけたライダーは、あまりの痛みに不自然な呼吸が漏れた。
横島は倒れている男に近づき、フルフェイスのヘルメットの顎の部分を踏みつけた。
ヘルメットに守られ痛みは無いが、首を動かすことはできない。
首を動かすことができなければ、身体を自由にする事はまったくできない。
足1本で、相手の動きを完全に支配した。

「何が目的だ?」

香港に着いて作動させた文珠がようやく役にたつようである。

【翻】【訳】  であった。


男は黙ったままだ。

「金目当てじゃねぇだろ?どうみたって俺は貧乏人だぜ。」

男は黙ったまま、右手を懐へ伸ばした。
横島の手元が一瞬光った。
霊波刀が伸び、男の右手の甲を地面へと縫い付ける。

「このまま温度上げようか?一生右手は使い物にならねーようになるぞ。」

霊波刀の光が変わり、右手から湯気が上がり肉の焦げる臭いが立ち込める。
男は声にならない声を上げ、喉が裂けんばかりに叫んだ。

「唄うんだったら、左手動かしな。」

温度を少しだけ下げると横島は、静かな声でそういった。
男は左手を激しく動かしている。

「そうか・・・唄わないんだな。」

男の身体が激しく動いた。
霊波刀が再び光を帯びだした。

「やめてーー!やめてくれ!!いいます!!いいますから!!!!!」

穴という穴から液体を垂れ流しながら、男は叫んだ。
霊波刀の光が元へと戻る。

「賞金だ・・・あんたの首に賞金が懸かっている。」

「元はどこよ?」

「元は知らねぇ。俺ら下っ端には判らねぇんだ。」

「んで、テメェはどこよ?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・蛇足」

聞いたはいいが、香港の組織の名前など知らなかった。

「霊能マフィアか?」

「いや・・・・・・・大陸系の地回りだ。」

「そうか・・・・行け。」

横島は霊波刀を消すと、ヘルメットから足をどけた。
男は右手を押さえたまま、慌ててその場を走り去っていく。
横島はそれを眺めながらタバコを咥えた。

「あ・・・・メシ屋の場所聞くの忘れてた・・・」






2時間ほど彷徨い続け、ようやく晩飯にありつけた。

「くぅ〜〜〜何の因果で、香港まで来てファーストフードなんだよ。」

「油揚げっぽいの〜〜〜〜〜〜」

香港の夜の街を眺めながら、一人と1匹はベソかくながらハンバーガーに噛付いていた。

「あんたさ・・・ヤクザの女に手ぇつけなかった?」

尖った口のままタマモは、コーラを飲んだ。

「いいや・・・自慢じゃないが未だにモテた覚えは無い・・・」

横島の眼には光るものがあった。

(はぁ〜・・・ダメだこりゃ・・・)

タマモは残ったハンバーガーを咥えて、Gジャンの中に深く潜った。

「うううう・・・・晩飯が・・・・」

まだ食べてないハンバーガーを懐に入れ、食いかけのハンバーガーを口に咥えた。
窓ガラスに亀裂が入る。
銃撃である。
2階席の窓を狙って、向かい側のビルから撃ってきている。
下から数人が上がってきている。
横島はポケットに手を入れ、文珠を取り出した。

【閃】

小銃を持ち踏み込んだ男たちが、反射的に動きが止まる。
横島は亀裂の入り、弱まった窓を破り飛び降りた。
道路に転がると、待機していた車から運転手が銃を構え飛びだしてくる。
狙いをつけるまえに、まだ入っていたコーラを投げる。
反射的に避けるが、コーラを被ってしまう。
一瞬だけ怯んだ隙を見逃さず、腹に一撃いれると後ろに周り股間に追撃。
動きを止めるには手っ取り早い手だ。
男の乗っていた車に乗り込み、車を発進させた。
向かいのビルからの銃撃は、数瞬の間続いた。

「車奪ったのいいけど、どこいくのよ?」

「知るか!後ろに聞いてくれ!!!」

横島は、バックミラーに映るライトの数を確認した。

「どうでもいいが・・・俺は人生に理不尽を感じるぞ。」

ステアリングを左右に操作し、前走車をジグザグに抜きながら横島は呟いた。

「どういう事によ?」

タマモはGジャンから顔を覗かせ、横島の顔を見上げる。
その口にはケチャップの跡がついている。
どうやら最後のハンバーガーはタマモに食われてしまったようである。

「まぁ俺の分も食いやがったは置いとくとして・・・」

(置いてないじゃん・・・)

「なんでこっちがライトバンで、あっちがメルセデスだということだ!!襲撃するなら全員同じ車で来いっつーの!」

横島の右足はすでに床についているが、後ろの車はぐんぐんとその差を詰めてきている。

「デフなんて入れてるワケないよな・・・」

ボソリと呟いて車速を落とし、クラッチを切るとサイドブレーキを引いてハンドルを切った。
ライトバンはリアを振り、スキール音を響かせながら1回転するとメルセデスと向き合った。
身体を沈めてギアを1速に入れると、メルセデス目掛けて突っ込んでいく。
銃弾により砕けるフロントガラス。
慌てたメルセデスの1台は、ガードレールに突っ込んで停止した。

「ちきしょー!潰れたのは1台だけかよ!!」

身体を起こし横島は、再びアクセルを床まで踏みつけた。

「横島!!!前!前!!!!!」

タマモが叫ぶと、正面から一般車がクラクションを鳴らしながら突っ込んでくる。
横島は慌ててハンドルを切った。

「バカヤロー!!対向車線にはみ出してくるんじゃねーーっ!!」

フラフラと避けるとそう叫んだ。

「ここ日本じゃないって・・・」

「あ、そうだった。」

横島はそういって、右車線に車を入れた。
突発的に技術を使っても、車の基本性能は埋まらない。
峠の下りならいざ知らず、真夜中の都市部は直線が多い。
馬力の差はどうする事もできない。
横島は車を路地に向けた。

「狭い道だと、そのデカい車体ではついてこれま〜い!」

1車線ギリギリの道を、横島はとばした。
車幅のせいでメルセデスは、路地の入口で立ち往生している。

(AS○ドライバーじゃなくてよかった・・・)

密かにそう思ったのは秘密である。
ほっとしたのもつかの間、今度は一つ目のライトが接近してくる。

「あかん!!バイクかよ!!」

今度は一転、横島がその車体により不利である。
塀の上からトライアルバイクが車の後方につけた。
一瞬後方に視界を盗られた。

「バカ!前!!!!!」

バックミラーに目をとられ、タマモの叫び声で前方に目をやると壁が迫っている。
正確には前方をトラックで塞がれていた。
咄嗟にブレーキを踏みながらGジャンの中のタマモを庇う。
全身に衝撃が走り、ベルトをしていなかった横島はフロントガラスを突き破りトラックの車体に叩き付けられた。

「確かにシートベルトは必要だな・・・・」

庇っていたタマモを離し逃げるように促すと、横島はそのまま意識を手放した。













こんな所で捕まっちまったら、アイツ食われちまうぞ・・・・




























中華鍋で強火で炒められるタマモ・・・・・・





「タマモっ!!!!」

思わず身体を起こした。

「何?」

真横から声がした。
隣を向くと、どんぶりを持ちうどんを食っているタマモ(人間形態)の姿。
どうやらキツネうどんのようである。

「・・・・・・どこだ、ここは?」

横島はそういって、辺りを見回した。
高級そうな家具にベット。
大きな窓、その外には大きな庭園が広がっている。
すでに夜は明けていて、陽の高さから昼頃だと推測できた。
横島はシーツの中を覗き、自分の今の格好を確認した。
縞パン1丁である。

「なにかした?」

横島がそういうと、タマモはうどんの汁を啜った。
どんぶりを置き、なぜか横島の方を向き手を合わせた。

「ごちそうさまでした♪」

「いやぁ〜〜〜〜〜ん、お婿にいけない!!!!」

シーツに顔を伏せ号泣する。
横島が乙女のように泣き伏せていると、ドアがノックされた。

「声が聞こえたようですが、起きられましたか?」

ドアが開くと、誰が見ても美人と思える女性が姿をみせる。

「ずっと前から愛してま・・・・」

いつものように飛びかかろうとしたが、横島は動きを止めた。

「白麗・・・・さん?」

「はい、お元気でしたか?横島さん。」

感動の再会というには、パンツ1丁の横島の姿はかなりみっともなかった。







                        to be next GS ←パクリ


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後書きのようなもの

つづく を to be next GS に変えてみました。
完全なビバップのパクリです(自虐)

現在5話を制作中で、マヌケなとこもありますが少しハードな面もでてきました。
あまりに固ゆで過ぎると横島君に見えないので、その点は御了承くださいませ。

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