ザ・グレート・展開予測ショー

魔法のメニュー!


投稿者名:犬雀+とおり
投稿日時:(05/10/11)


「あんたねえ、喧嘩売ってんの・・・」

「いえ、特に。他の皆さんと変わりませんわ。
 どちらかと言えばサービスしてますのは今まででお分かりいただけましたでしょ? 」

「うぐぐぐぐ」



おキヌの進級祝いの席で、なぜか魔鈴と美神は主役そっちのけで対峙していた。
二人の間に走る、いつにも増した緊張感。
悪意はないのだろう、だけどちょっと小悪魔の様な笑いを浮かべる魔鈴。
憤懣やるかたない、といった調子でテーブルに置いた両手を震えさせる美神。

だけれども。
ついて来た横島やシロタマ、そして主役のおキヌはただただ、脱力するばかり。

彼女たちの前に置かれた一冊の古びた本。
それが全ての原因だった。



「これはいったい何って聞いているの。」

「ですから魔法のメニューがお勧めした、美神さんにとって今日一番のお料理ですね。」



二人の言い争いの種。
世にも珍しいアイテム、『魔法のメニュー』のせいだった。











「「「おキヌちゃん、今日から2年生よね。おめでとう!!! 」」」」



おキヌが自宅としている美神事務所に帰ってくると、パンパンと鳴り響くパーティーコーンの弾ける音。
カラフルな紙ふぶきが彼女の頭上に舞い、美神・シロタマの3人から拍手が送られる。
そう、美神事務所のメンバーがおキヌの進級を、心ばかりだけれど、祝ってくれたのだ。

勉強は前世の知識しか無かったため、生き返ってから苦労していたおキヌ。
もとよりの真面目さもあるだろうが、誰よりも努力し追いつこうと頑張り、六道でも一定の成績を修めることが出来た。
彼女の頑張りを近くで見ていた事務所のメンバーは、ぜひともという気持ちが強かった。

自分が進級できたことに本心からホッとしていたおキヌにとって、何よりの贈り物。
生き返ってからどうも涙腺が緩い彼女は、えへへへ……とかばんを下ろすことも忘れて、涙を流す。



「……あの、俺は……? 」



全くの蚊帳の外に、ぽつりと横島が立っていた。
横島も(一応)進級した。
が、彼の場合は単位が相当にヤバく前の日まで補習と言う名の軟禁生活を送っていて、傍で見てもわかるくらい相当に疲弊している。
美神などはまあコイツは自業自得だろうと早々に見切りをつけていたのだが……。
むしろ仕事に迷惑をかけて、と少々おかんむりでもあったりした。
しかし自分の妹分であるおキヌがそれなりに良い成績で進級出来たとなれば、話は別。
姐御肌のある令子は祝ってやりたいと思い、今日の運びとなった。
おキヌを見る限り、美神たちの気持ちは十分伝わったのだろうが、美神はもう少しの趣向を用意していた。


「でも、これだけじゃもったいないわね。おキヌちゃん、どこか行きたいところとかある? 」

「え…。いいですよ、そんな事。お気持ちだけで、十分です」

「なに言ってるの、おキヌちゃんのお祝い事だもの。気にしなくていいのよ」



隅っこの方で俺は〜、とほざいている少年は無視。
お情けで進級できたと言うのに祝ってもらおうとは身の程知らずも良いところ。
美神はおキヌにどうしたい? と聞いてくる。
ますます落ち込む横島の姿にあはは…と汗を流しつつ、おキヌは考えをめぐらせると名案が浮かんだ。



「えと、その…。魔鈴さんのお店に行って見たいなあ、って…」

「魔鈴のお店?なんだって、また」

「今なにか面白い仕掛けをやってるみたいで、弓さんが雪乃丞さんと行って、楽しかったって…。
 それで、行きたいなと思ってたんですけど…」

「いいですね、魔鈴さんの所美味しいって評判ですからね。是非っ!是非っ!」



おキヌの考えどおりに、勢い良く乗ってくる横島。
これならドサクサに紛れて横島の進級祝いも出来るだろう。
ただ一つ懸念があるとすれば令子と魔鈴は仲が悪い
──それもついついライフルで狙撃しちゃいたくなるぐらい──
と言うことである。



「本当に、いいんですか美神さん。そんな事までしてもらわなくても…」

「なに言ってるの、おキヌちゃんが行きたいならそれでいいわよ。
 あいつは気に食わないけど、料理が美味しいのは確かだしね」

「ありがとうございます」



一同はこうして、魔鈴の店へと出向く事となった。










「いらっしゃいませー」



カランコロン、カランコロンと気持ちよく鐘の音が響く。
魔法料理「魔鈴」のドアを美神が開くと、オーナーである魔鈴めぐみが、魔女の装いも新たに笑顔で出迎えてくれた。



「進級おめでとうございます、おキヌちゃん」



祝いの場に自分の店を選んでくれた事、腕をふるうことで祝いに参加できる事が魔鈴には嬉しいのかもしれない。
普段からなにかといがみ合う二人だけれど、美神の気持ちにせよ、魔鈴の笑顔にせよ、おキヌには染み入る様に暖かく感じられた。

挨拶もほどほどに、すぐに席に案内される。
待たされることが嫌いな令子は当然のように予約していた。
しかし単に席を予約したはずが、店には他の客が居ない。
貸切同然、魔鈴一流の気遣いだろう。
だけれども、魔鈴としては令子たちが店に来たら他の客の迷惑になりそうな事件が起きるかもと、予防措置の意味もあった。
確かに少年探偵がうろうろすれば、そこで必ず殺人事件が発生するのが世の習い。
黄門様が諸国を漫遊をすれば、悪代官が越後屋と悪巧みをするのも世の常なのだ。
令子だの横島だのアクの強い者たちが揃えば、事件の方からやってくるのも必然だろう。



「さあ、こちらの席へどうぞ。今、セッティングも終わったところですから。」


使い魔たちがあれこれと忙しく準備していたのか、部屋から隊列を組んで出て行く。
ほうきや黒猫、人形が働く姿は何度見ても不思議ではあるのだが、この店においては違和感なく溶け込んでいた。
魔法を世のため人のために役立てる―――――そんな魔鈴の理想が実現できているからなのかもしれない。
今夜の美神の気持ちと同じ、他者への優しさと気遣いが客に落ち着きを与えるのだろう。

用意されていたのは、去年の冬におキヌたちがピートやタイガー達と一緒にパーティーを開いた個室。
美神たちが部屋に入ると、真っ白なクロスがしかれたテーブルの中心には、かすみ草が小さめな白磁の花瓶に飾られていた。



「今夜はおキヌさんのお祝いだってお聞きしましたから
 腕によりをかけて、お食事を用意させていただきますね。
 しかも特別な、楽しい趣向も用意してますし…」



そう言うと魔鈴は一冊の本をテーブルに置いた。
古ぼけたそれはどう見ても白いテーブルクロスには似合わない。
皺だらけの魔女が箒と一緒に小脇に抱えて「けけけけ」と笑っている方が自然である。



「これを見てください。」

「ん?なによ」

「あ、待ってくださいね。」



令子が開こうとするのを魔鈴が制する。
彼女は令子たちを一通り見回すと一番憔悴している横島にニッコリと微笑みかけて、その本を手渡した。



「横島さんが一番おなかが空いているみたいですね。では横島さんがこれを最初に開いてみてください。」

「俺っすか? 」



怪訝な顔をしながらも、横島は言われたとおりその本を開く。
しかし開いたページには何も書かれていなかった。
覗き込んだ美神の眉がしかめ、少し穿った視線を魔鈴に送る。



「あのねえ、魔鈴。なんにも書いてなきゃ、頼むものも頼めないんだけど? 」

「ふふっ。そうですね。もうちょっと待ってみてくださいね」



魔鈴はそう言うと口の中で一言二言何かを呟いた。
常人には聞き取れないそれは、恐らくは呪文の詠唱だろうか。
詠唱に合わせるかのように、白いページの表面に文字が光と共に浮き出してくる。



「え、なにこれ・・・」

「これは、魔法を使ったメニューなんです。
 その日、その時に最適と思われる料理を、メニュー自身が選んでくれるんですよ。しかもレシピまで教えてくれるんです。」

「すごい・・・」



光が収まり、文字がくっきりと浮き出す。
そこに書かれていた名前は見覚えの無いものだった。
というか全然読めない。
ルーン文字、または他の言語かも知れない。
魔女である魔鈴には読めるのだろう、ふむふむと一人で頷いている。



「あの…これはなんて書いてあるんですか? 」

「これですか?ふふ、とりあえず内緒です。
 それと、実はこの魔法のレシピには特徴があって……」

「特徴って何でござるか? 」

「一人の食事が終わるまで次のレシピが出ないんです。」

「えーと。一人ずつしか頼めないってこと? 」

「ええ。ですから他のお客様と同じに出せないんですよ。でも美神さんから趣向を凝らしてと予約のときに言われたので。」



いけませんでした? と不安そうな顔な魔鈴に一同は大丈夫と首を振った。
ちょっと待てばその日最高のメニューが食べられるのだ。
魔鈴の魔法料理の美味しさは、皆が知るところ。
彼女の腕と魔法のレシピが作り出す料理と比べれば、待ち時間など苦にならない。
一人、令子だけが渋い顔をしている。



「あんた…まさか私たちを実験台に使う気じゃないでしょうね? 」

「とんでもない。実験は西条先輩で済ませました。」

「ちなみに西条はどんな料理だったんすか? 」

「えーと。『海草のサラダ サバンナ風 滅びゆく草原を守れ! 手遅れになる前に! 』でしたかしら? 」

「「「「「 だああああああああ 」」」」」


スペペとひっくりコケる令子たち。
シロタマなんかは律儀にイスからずり落ちている。



「あのね、魔鈴! 便利なのはいいけど、そのネーミングセンスなんとかならないの!? 」

「ネーミングも本がやってくれますので…」



流石に恥ずかしいのか魔鈴もトマトのように顔を赤くする。



「あ、あはは…それで西条さんはどうしたんでしょうか? 」

「美味しい美味しいって泣きながら食べてましたけど…」



色んな意味で泣きたかったんだろうなぁとは思うが、それは言わぬが華。
兎に角にも、まずは料理を見てからと納得した一同に魔鈴は頭を下げる。
料理のレシピを確認するために、本を持って厨房へと引っ込んだ。

しばらくすると、横島の前に料理が運ばれてきた。
一見、ほのかな紅の様に透き通った、ただのスープだが。



「これが今日の俺にピッタリのメニューっすか? 」

「はい。そうですね。」

「名前はなんて言うのよ。」



ジトっとした令子の視線を受けながら魔鈴は本を開きそこに書かれている文字を読んだ。



「はい。えーと…「スッポンのスープ パシフイック・ハリケーン 地中海風」だそうです。」



またズデデとひっくり返る一同。
無理も無い。何しろ言った本人も恥ずかしそうなのだし。



「あ、あのねぇ…スッポンはいいとして…パシフイックが何で地中海なのよ! 」

「さ、さぁ?」



まだ何か言い募ろうとした令子の声を遮って、いつの間にかスープに手をつけていた横島の絶叫が店に響いた。



「うまいっ!こら美味いっ!最高っすよ魔鈴さん!! 」

「それはどうも。」



微笑んでお辞儀する魔鈴に目もくれず横島はスープに集中している。
見る見るうちにスープ皿の底が見えたかと思うと、横島は最後の一滴まで飲み干して満足げに腹をさする。
どうみても満腹であるという様子を、おキヌは不思議に思う。



「え。横島さんスープだけで足りるんですか? 」

「それが足りると言うか…なんつーか。
 今までの疲れがぶっ飛んで力が漲ってくるんだよ。もうね、今にもフォォォォォッって叫び出したいくらい!」

「へー。凄いもんでござるな!次は拙者が! 」

「あのねぇ…今日はおキヌちゃんのお祝いなんだから次はおキヌちゃんでしょ。」

「くっ。そうでござったな!ではおキヌ殿。」

「あ、はい。」



急かすように尻尾をブンブン振り回すシロに促され、おキヌは苦笑しながら渡された本を開く。
先ほどの横島のときと同様に本に文字が浮かび、それを見た魔鈴が本と一緒に厨房に戻る。
おキヌの料理はすぐに出てきた。
魔法の本は調理の速度も速くするらしい。
つくづく便利に出来た本だと美神は感心し、売ったらいくらになるかと怪しげな勘定を始めていたりする。

おキヌがフタを開けると白いシチューがあった。
生クリームの匂いだろうか、食欲を刺激する香りが立ち込める。
旬の野菜の彩りがクリームの白と対比をなして、見た目にも鮮やかで嬉しい。
これは? と聞くおキヌに魔鈴は料理の名前を告げた。



「これは「子牛のクリームシチュー ホルスタインズ・ヘブン 揉まなくてもOK!」だそうです…」

「な・に・を・で・す・か…」

「さ、さあ…」



何かを察してズーンと影を背負ったおキヌの低い声に、冷や汗たらして惚ける魔鈴。
いかな魔女とて、怖いものは怖い。
事務所のメンバーも口を出すとこの均衡が壊れそうで、息を潜めて成り行きを見守る。
彼女達も、やはり怖いものは怖い。

微妙な空気の中、プルプルと震える手でスプーンを持ち上げるおキヌ。
色々と不満はあるのだろう。
それでも目の前のシチューから立ち上る香りに引かれて、おキヌは顔に縦線貼り付けたまま一口食べてみた。
たちまち笑顔と共にほころぶ、少女の顔。
先程の横島もかくや? という速度でシチュー皿はからっぽになった。



「魔鈴さん、お、おいしかったですー。…うっ!? 」



満足そうにナプキンで口を拭いていたおキヌが、突然苦しそうに胸を押さえて机に突っ伏す。



「ちょっと! おキヌちゃん、どうしたの? まさか魔鈴、毒?! 」

「し、失礼ですね! なんで私が美神さんならともかくおキヌちゃんに毒を! 」

「そ、そうね…って何よ今の台詞! 」

「あの…大丈夫ですから…あれ? 」



いがみ合おうとする美神と魔鈴を、テーブルから顔を上げたおキヌが宥めようとして自分の体の違和感に気がついた。



「どうした、おキヌちゃん? 」



不思議そうに覗き込む横島に、おキヌはギギギと油の切れたロボ並みのぎこちなさで目を見開いた顔を向けると
突然彼の手をがっちり掴み、躊躇なく自分の胸に押し当てた。



「な、なにを!ってアレ? でかくなってる?! うむ…トップで3センチはでかく!!! 」

「やっばりそうですか! なにかブラが苦しくなった気がしたんですけど♪ 」

「「「「ふぅぅぅぅぅぅぅぅん」」」」



まあお約束の展開で血の海に沈んだ横島を他所におキヌは望外の幸福に身を任せて、両の手を前で組んで神に祈る様に泣いていた。



「ああ、なんて素晴らしい・・・。世界って素敵・・・。」










その後もシロの「鹿肉のソテー ギアナ高地風 明鏡止水」だの。
タマモの「きつねうどん レッドショルダー 京風と見せかけてモンゴリアン」だのが運ばれてきて。
それぞれが絶賛し、恍惚の表情で椅子にもたれ掛かっていた。

これには美神も期待せざる得ない。
そう、すでに気付いていた。
この魔法料理は、美味いだけではない。
『魔法のレシピ』によって作られた料理は各自の願いや、その人にあった副次効果をも、もたらすのだ。
ならは自分は何を願おう。
特に願わなくてもいいのかも知れない。
おキヌだって最初から貧しい乳がでかくなりますように、と願って本を開いたわけではないだろう。
この仮説が正しければ、この本は潜在的な願望を料理の効果という形で与えてくれるのだ。
自分の願望とは何だろう。
富、もしかしたら世界中の富が私のものに!
押さえきれぬ喜びににやけつつ待つ美神の前に、ついに最後の料理が運ばれてきた。
期待を込めて、ふたを開ける。
美神の目には、想定外の物が飛び込んできていた。



「ちょっと…魔鈴…何よコレ…」

「何って…「きな粉餅 金のシャチホコ 名古屋コーチン風」ですけど? 」

「「「「 どああああああああ 」」」」



また盛大にこける事務所の面々。
部屋の絵や小さい台までしっかりと崩れて落ちる。
ドリ○も真っ青のノリのよさである。



「なんで私がきな粉餅なのよ?! しかもコレってインスタントじゃない!!この本の料理って願いを叶えるんでしょ!? 」

「あー。もしかしたら…」

「なによ。横島君…」

「美神さん…本を開くときに…「奢るの勿体ない」とか思いませんでした? 」

「うっ! そ、そんなこと…思うわけ無いじゃない! 」

「無意識にも? 」

「そ、それは…」



否定できないだろうと皆の目が語っている。
そう言われれば確かになんでおキヌちゃん以外もここにいろんだろ? と思っていなかったとは言えない。
何しろ無意識だ。
もしや自分の潜在意識はそんなにケチなのか?
指摘されたように、骨の髄から守銭奴か?
本はそれを察して「金のかからない料理」を出してきたのか?
悲しい思いにぶち当たって令子はがっくりと肩を落とした。
ほんわかと大豆の良い香りが立ち上るきな粉餅が胃に優しく……。
塩見付けだろうか、涙が一滴落ちていった。






食事に満足して帰る一行をお見送りする魔鈴。
おキヌの両脇では、シロタマがほうほうと胸に手を当てていたが、どこかおキヌは誇らしげにそりかえっていた。
もっとも一名だけは悄然と項垂れていたが…それはともかく他の人には満足してもらったようだ。
彼女等の姿が見えなくなると、魔鈴はまだ閉めるには早い時間と言うのに入り口に本日休業の札をかけ、いそいそと厨房にとってかえす。
調理台には、一皿の料理がある。

それは出し損ねた…いや出さなかった料理。



「ふふふ…美神さん。私に感謝してくださいね。」



そして魔鈴はもう一度この料理の名を知るべく本を開く。



「えーと…「海のパエリア 一世風靡セピア 年下の男の子に好かれるために」…ですか。
 こんな料理出したら、あの場がどうなってたかわかったものじゃなかったですし、ね。」



魔鈴はふと、目の前にある料理に興味が湧く。
年下の男の子…、ちょっとだけ想いが無いわけではない。
幾分か躊躇したが、ま、いいでしょと笑みを浮かべてその料理を食べ始めた。
だけれども。
レシピに寸分の狂いもなく調理されたそれは……。



「ま、まずい…。なんてひねくれた味…。」



泣きそうな顔になって魔鈴は気がついた。
例え似てようがいまいが、それは他人の願望なのだと。
自分の願望でなければ、魔法で調味された物が舌に合う筈もなく。
ピーヒョロロロロロと笛の音が聞こえ、魔鈴は超加速もあわやの淑女にあるまじき速度でトイレに駆け込んで行った。




それから魔法料理「魔鈴」は一週間の臨時休業を余儀なくされたが、理由を知るものは誰もいなかった。
ただ、休業の札を前にお店に通い詰める、怪しげな笑みを浮かべた女子高生が目撃されていたそうである……。



                                  おしまい


今までの コメント:
[ 戻る ]
管理運営:GTY+管理人
Original GTY System Copyright(c)T.Fukazawa