ザ・グレート・展開予測ショー

魔神少年 プロローグ


投稿者名:蛟
投稿日時:(05/10/ 5)


某日、晴れ渡る青空の下、一つの運命的な出会いがあった。

「ふんふんふーん♪」

亜麻色のロングヘアーに肌の露出が多いボディコンスーツに身を包んだちょっと無理目の美女が、自分の家だろうか、玄関にポスターのようなものを貼り付けている。

「よしっ…と。うん、我ながらいい出来だわ」

ポスターには大きく『アルバイト急募!』の文字が書かれてあり、その下には若干小さな字で『君もゴーストスイーパーなれる!!』とある。

「……はぁ」

先ほどまで上機嫌だった美女は、突然肩を落としため息を吐く。彼女の美貌のためか、そんな仕草一つとっても道行く人々の視線を集める。

「たしかに事務所立ち上げたばっかりじゃ1人でなんて無理だけど…」

グッ…と拳を握り締め

「もったいない…ああ、もったいない!! きょうび人件費だって馬鹿になんないってのに…」

搾り出すように、そりゃあもう悔しそうにブチブチと呟く。

「やっぱり私ほどのゴーストスイーパーの助手なんだから美形なの最低条件よね〜…は〜、どっかに美形で優秀でタダでいいから働かせてくださいっていう男いないかしらね〜」

運命の扉は

「ずっと前から愛してましたーーーーー!!!」

「きゃぁーーー!!」
 
こうして開かれた。














「雇う? あんたを」

「はいっ!!!」

私はいきなり抱きついて訳の分からんことをほざいたこの馬鹿を、これでもかと睨んだ。

雇う?このガキを?

「じゃあ合否が決まったらコッチから連絡するからそれじゃ!」

「ああっ! そんな連絡先も聞かずに!!!」

ああっもう!!!

「いきなり人に抱きついて『ずっと前から愛してましたー』なんてほざくガキを雇うやつがいるのよっ!!!」

「すんません! 美人を見るとツイ飛び掛っちゃうんで…というわけでお願いします!給料なんていくらでも良いんです! どんなキツイ仕事もしますっ! そばに置いてくれるだけで良いですからー!!!!」

 ピクッ

「いくらでも?」

 ん〜〜〜……………よしっ!!

「時給250円!」

「ありがとうございますっ!!!」



これが、美神令子と横島忠夫の出会い。運命の扉が開き、歯車が音を立てて動き出した瞬間だった。



「じゃあ、明日の朝8時から。力仕事だからちゃんと寝て、朝ごはん食べてくるように」

「はいっ! 失礼します!」

ビシッと敬礼の真似事をした横島は、軽快に走り去っていった。

「勢いで採用しちゃったけど、大丈夫かな」

美神は一抹どころではない不安を覚えながら、青く澄み切った空を見上げた。

「ま、面白そうだし、いっか」







ガチャッ…キィ

少年、横島忠夫が扉を開く。

ぱっと見でも少なくとも3LDKはありそうな高級感溢れる室内には、彼以外に人の気配はない。玄関を見ても、靴は彼が履いていた、どこにでもありそうなスニーカー1足だけしかない。

リビングにたどり着いた少年は、使い古されていないまだ新品であろうソファーにドカッと腰掛け

「…通信鬼」

そう呟くと、少年の手の平から音を立てて奇妙な形のモノが現れる。かろうじてスピーカーのようなものがあることから、何かしらの通信手段なのだろう。

「コード203105、俺だ、つないでくれ」

少しノイズのようなものが聞こえ、すぐにスピーカーから低いビブラートの利いた男の声が聞こえた。

『私だ、首尾は?』

「ああ、ビンゴだ。適合確率99.998%、アイツの発明にはいつも驚かされるな。」

『そうか、ついに見つけたか…』

「とりあえず接触して、今後の接点を作っといたぜ。明日からはゴーストスイーパーの助手だ」

『ふふ、お前は当分人間界に常駐だな。娘達がすこし悲しみそうだがな』

「あんまり好きじゃないんだけどなぁ、人騙すのって」

『あまり深く考えるな。どうせ長期間の任務だ、思うとおり、自由に行動したらいい。』

「まあ、明日初出勤が終わったらそっちへ一度戻るわ。いろいろ準備あるしな……ふわぁ〜…じゃあもう寝るわ。明日早いしな」

『ああ、でわ私も眠るとしよう』

「……ああ、じゃあな、アシュタロス」




音を立てて、歯車が動いている

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