ザ・グレート・展開予測ショー

GS新時代 【鉄】 其の五 6


投稿者名:ヤタ烏
投稿日時:(05/ 9/26)


「ぶっころせぇええええ」

物騒極まりない掛け声を皮切りに、不良集団が一斉に襲い掛かった。

「こいや雑魚共」

心底人を馬鹿にした顔で汰壱が構えをとる。
その表情にますます怒りのボルテージを上げる一同。
手にした武器が唸りを上げて汰壱目掛けて振り下ろすが、刹那に全員の顔に何かが当たって弾けた。

パパパパパパパン

構えた汰壱の左手が僅かに動いたと思った瞬間音が弾けた。
「くっ」
思わず面食らい足を止めてしまう。
それもそのはず、明らかに拳の距離ではなかった。

拳が動いたと思った瞬間に眼の前で白い何が弾けたのだ。
決して強い衝撃ではないが人間には避けられない反射がある。
肉体の命令に忠実に、思わず一瞬眼を閉じてしまう
あまりの速さに何が起こったか訳が判らず。彼は眼を開けると・・・・・・



網膜に焼きついた最後の映像はパノラマで迫る右拳だった。


バゴシャン!


「ぶべ」

何かを潰すような音が一同に聞こえた瞬間、最初に汰壱に攻撃した男子生徒はまるで
バク転でもするかのように後方に吹っ飛んだ。


「「「「「「なっ!」」」」」」

全員訳が判らなかった。
霊気の反応も無しにいきなりの衝撃であった。
襲い掛かろうとした刹那明らかに離れた場所から、全員の顔に何かが当たった。
人間に生理現象には逆らえず眼を瞑るが、時間にすれば一秒程の事だ。
眼を開ければ仲間の一人がバク転を切りながら吹っ飛んでいったのだ。


ナニヲサレタンダ?


突拍子も無い出来事のあまり全員の足が止まってしまう。
戦いの最中に思考も体の動きすらも停止させるのは、そのまま敗北への特急列車である。
そんな隙を見逃すほど汰壱は未熟ではなかった。
サッと視線を走らせ自分と最も距離の近い次を見定める。
地面を滑る様に目標へと間合いを詰め、何億回と繰り返した突きを相手の腹部に叩き込んだ。


「っぜいいっ!」
吐き出された気合と共に、深く深く体よ貫けと言わんばかりに拳がめり込んだ。
ズドム

「ぐべぇ!」

口から胃液を吐きながらまた一人が地面に潰れた。
地面に伏したまま身じろぎ一つしない。
それもそのはず余りの衝撃に肉体が意識を保つこと拒否しためだ。
だがのたうち回るほどの激痛を味合わずにすんだのは、彼にとって幸運かもしれない。

「こぉおおおおお!!」
裂帛の気合が響く・・・残り四人



「今何を?白いナニかが、古牙君の手から伸びましたが?」
汰壱の戦いを観戦しながら京極と五芒院は屋上の四隅に防音結界の呪符を貼り付けている。
これでこの馬鹿騒ぎが外に漏れる心配は無い。





「んーあれは汰壱の十八番だ・・・・あっ!またやりやがった」
「殆ど見えませんが・・・」
「俺だって見えねえよ・・・でもアイツとは中坊のころから知り合いだしな。」
「答えになっていませんよ京極君・・・アレは何です。何か特殊な霊具ですか?」
五芒院はいぶかしんだ表情をする。
「良く見てろよ・・・・ほら、バンテージを解いて使ってんだ。」
「バンテージ?」
確かに汰壱は五芒院の見る限り何時も手にバンテージを巻いている。
しかし此処から見ればソレはしっかりと汰壱の手に巻かれている。
とても解けている様には見えない。

「そっだ・・それを鞭みたいにパチンってな・・・・単純だけど効果あるぜ」

「なるほどサミング(目潰し)ですか・・・・唯の物質ですから霊気を纏ってるわけでもない。
私達はまず霊気に反応する様に訓練を受けている。霊具であれば発動する時に何らかの霊気を発するゆえ
霊気なれた者ほど引っ掛かり易い・・・なるほど心理の裏を付いています。」

「?????ソウダナスゲーナ」

「なるほどコレが試合と実戦の違いですね・・・あの連中は知らず知らず内に自分達が何時もやっている摸擬戦の感覚で挑んでいる。
私達が何時も使用するものは必ず霊具です。それゆえ常に霊気発動を探知しようとする・・・ですがそれが落とし穴・・・あれは
霊気ではなく相手の肩や目線・肘・手元の動きで、予備動作を感知しなければなりませんね・・・ふむ・・・理に適っている」


「?スゲーナタイチハ?」



「ですが凄いと言えば凄いのですが・・・・・なんだかこう」


「セコイ」

「そう!それですよ!セコイんですよ!偶には良い事を言いますね!」

「俺って頭いいな!!」

「だっははははっはああはは!!」 「ふふふうふっふっふふうふふふ!!」







外野では好き勝手喋っているアホ×2には取り合わず。
汰壱は素早く動きながら相手の攻撃の出鼻をバンテージの鞭で潰す。
拳の中に握りこんだバンテージは殆どジャブと同じモーションで繰り出されるため、非常に見切りづらい。

パパパパパン!!


軽快な音が響く

我慢すればどういう事が無いシロモノだが眼や鼻先を激しく叩かれれば、一瞬の躊躇が生まれる。
躊躇が混じって繰り出される攻撃は、いかに数が多く、多面的であっても回避、反撃のチャンスには十分にある。

けん制を仕掛けながら、全体に眼を走らせ、隙を見せれば爆突的踏み込みで攻撃、そして素早く離脱。
ヒット&アウェイを仕掛けながら常に相手にプレッシャーを掛けた。
他人数戦は慣れている。問題を前にして、考えるまでも無く次の行動へと体が動いた。

所詮相手は大勢で無抵抗な弱い者を弄る事しか知らない。
この人数で五分以上の勝負される事などは、きっと初めてのことである。
事実勝負流れは確実に汰壱に流れている。



(全員叩き潰す!)
闘争心に火が宿る。
血液が心地良いビートを刻む
アドレナリンが脳から身体へと浸透してゆく。
口元には獰猛な笑みが浮かぶ。

しかし心は平静に頭は冷静に・・・・

鉄は熱くそして冷たい。


汰壱は喧嘩を売ってきた相手は全力で叩き潰す。
それは汰壱からすれば当然の事であった。

《相手を潰す気で来ている者は、同時に自分もそうなる覚悟が(当然)ある。》

それが汰壱の持論である。

なによりこういった輩との不毛な関係を続けない、最も簡単で簡潔な方法は


誠意をもった話し合いではなく。

互いの誤解を解く和解でもなければ

教師や大人の介入でもない


答えは




「二度と関わり合いを持ちたくねぇと思わせる事だ」


まあ全力でやっても勝てない相手もいるが・・・・
それはそれコレはコレである。




「それでは余計に敵を呼び寄せる気がしますが」
「わははは!汰壱って馬鹿だな」
「あなたに言われたらさぞ心外でしょうね・・・・かの織田信長はこの手法をやり過ぎたがために、部下にまで反感を買い
最後には謀反に遭い命を落とした。・・・・・荒れ狂う若い命・・・美しい。」
「へぇー汰壱は織田信長なのか」
「・・・・・・・・・」

五芒院の話の腰を京極が盛大に叩き折った。



「外野、漫才しない!それよりこの俺の普段見せない強さを堪能しろ。」

そう言って二人背を向け、活目せよと言わんばかりに背筋の隆起を見せ付ける。


「ああ言ってっけど?」
「ふっ・・・・あのような筋肉で私が引き下がる思っているのですか?」
「っておい!何故脱ぐ?・・・・・・んじゃ俺も脱ぐぞ」
なぜかズボンを脱ぐ京極

汰壱の背筋に対して大胸筋で対抗しようとする五芒院・・既にシャツは肌蹴ており妙なエロスを体現しつつある。

「テメェらいいかげんにしろや!!!三者三様にボケやがって!収集が着かなくなってんじゃねぇか!!
トリオだろうが!誰かツッコミやがれ!」
このまま放置すれば延々と、ボケ倒す三人に対し一人が喚く様に切れた。


「オイオイ、ツッコミだよ、重要な課題だな。」
「そう言えば、誰がツッコミか決めていませんでしたね」
「んじゃおれがやるー!」

「「おまえ(あなた)にゃ無理だ!!」」


「なっ・・・・なめやがってぇぇぇ・・・やればできんじゃねか!!!」

散々おちょくられた怒りで顔を真っ赤にし手にした神通棍の柄を握り締める。
荒々しい霊力がそのまま神通棍に注ぎ込まれ霊気回路が唸る。

他の三人もそれに続くように、汰壱を取り囲み全員が最大限に霊力を開放する。
周りを取り囲む全ての霊力が汰壱自身より上であることは簡単に見て取れた。



「加勢しますよ、古牙くん」
明らかな劣勢になったと思い、何処からか呪符を取り出す五芒院。
しかしその手を京極が止めた。

「あいつ自分の喧嘩に、手ぇ出されんの嫌いだから」
「ですが・・・・」
「見とけよアイツ全然ヨユーだから」

京極と汰壱の付き合いは中学からになる。
出合ってまだ二ヶ月程しか経っていない五芒院より、遥かに京極は汰壱の事を知っていたし。
なにより京極の目には確信があった。




(全然ヨユーって程じゃねぇんだが・・・・)
と実は内心苦笑いする。


試合時の特殊結界陣と違い、こちらではしっかり物理攻撃が効果がある。
よって筋肉に任せてそのままぶん殴っても十分な効果は得られる訳だが。
霊力による攻撃は霊力でしか防げないというルールは同じである。
しかし物理攻撃は霊力では防げない、普通は霊力で身体の内圧上げて物理攻撃に対しての防御力を上げるのが
ポピュラーな手段であるし、それによって常人より高い防御力を得ることは、比較的簡単な術にはいる。

ちなみに霊力のみで防ぐには、霊力を物質化させる、サイキック・ソーサー 霊破刀 魔装術等が上げられる。
これらは霊的強度だけでなく、物理的な防御力も非常に高い、なにしろ防御用ではない、ハンズ・オブ・グローリー
でも銃弾を弾く事ができるのだ。

実際には物質化するには高い霊気コントロールと高出力の霊力を両立させねばならず扱いは困難を極める。
昔の横島忠夫は殆どズフの素人であったにも拘らず、突如として目覚めたこの能力を殆ど意識せずに使っていた事を
鑑みれば、恐ろしいほどの天才と言うことになる。



今自分の目の前にいる連中がそのような高等霊術を扱うとは、考え辛いが 
おそらくここからは、先程より自分の攻撃は効き辛くなるのは自明の理である。
それも相手は心中には既に用心の精神が生まれている。

(思ったより冷静だなこいつら・・・怒っちゃいるが、周りが見えてる)
本来のプランならば、さらに相手をおちょくって、怒り狂わせ冷静さを失なった単調な攻撃に合わせて
カウンターでも叩き込んでやればそれで終わると踏んでいた。
しかし実際は怒りながらも、警戒心を働かせている。

相手に霊術の類を使われると厄介である。
攻撃こそ、その力は結界内に比べれば随分ましであるが、
防御に関しては同じか下手をすれば物理攻撃を食らうぶん、状況が悪くなる。

一撃KOはないしても、連携の波状攻撃が最も厄介である。



ならばどうするか?

自分も霊力上げて挑むか?

今汰壱は霊力の開放を一切行っていない。

【真呼吸】によって身体能力を高めているが、霊気開放はしていない・・・
霊気開放で相手の霊撃に備える。普通に考えればその選択は正解である。

がそれはあくまでも試合と言うものの話ならばだ。




「ふっ・・どうやらお前達には、仮面を脱ぎ捨てた俺の本当の力を、見せなければならないようだな。」
とりあえず適当なことを言って相手の猜疑心を煽る。
口元に不敵な笑いを浮かべる。
その表情にさらに警戒の色を強めた。

何を仕掛けてくる?
「この俺の速さについてこれるかな?」


「真呼吸瞬発力最大!!」

言うが速いか汰壱が風になる。
汰壱の最大速度は人狼並みの速度を得る。
がそれは攻撃、防御を霊力を捨てた速さだけに特化した状態である。
はっきり言って戦闘には向いてはいない。


「疾いっ!だがそれだけで」
先程ツッコミを入れた男子生徒がすぐさま霊視能力を発動させる。
動体視力ではとても追いきれない。

他の三人も同様に探知能力を最大まで上げる。


「何でもいいから当てろ!あの速度だ防御は殆ど無理だ」
その声に従うように霊波が放たれる。
砲とはいかない未熟な霊波でも、あの状態ならば十分にダメージを与えられる。

汰壱を掠める様に、霊波が通過するが、見切ることは然程難しい話ではない。

「当たらなければどうと言うことは無い!」

「ほざけ!!」

次々と放たれる霊波をゴキブリのような脅威的な回避を見せる汰壱。

しかし段々と狙いが正確になってくる。

(ちっ霊視とテレパスがいやがる、戦術教本通りだが即席にしちゃいい連携してやがる)

やはり霊能力を使われると旗色が悪い。

「仕掛けてくるぞ!気をつけろ!」
高速で円を描きならヒット&ウェイを仕掛け続ける汰壱に対して
霊視能力の生徒を中心に円陣を組む。

(高速撹乱で持久戦を仕掛ける気か?馬鹿がみえみえだぜ。コレなら一発当てれば動きが止まる。後はフクロだ)
内心ほくそ笑む。
徐々にその正確さを増してゆく霊波。何度か直撃を受けそうになる。
霊視で見た映像をテレパスを経由しダイレクトで全員に配信し攻撃を仕掛ける。
単体高速戦闘で攻撃を仕掛けてくる妖魔に大して考案された。六道で教えられる中級連携戦術である。



(霊波の威力も速さも上がって来てる!何より数が多い!霊視の野郎が狙いつけてやがるから威力と速さだけに集中できるのか。
にしても良く出来てるなコンチクショー!)

原型の陣形は自分の義父の西条輝彦氏が考案した物だけに、悪態を付きながらも改めて関心してしまう。

汰壱が再度突撃を仕掛けようとするが、敵全員は中央で迎撃の準備整えていた。
このまま攻撃すれば、結果は火を見るより明らか・・・・だったら!

「戦術的撤退いいいい!!!」

叫ぶや否や、身を翻し空を飛ぶゴキブリのように出口目掛けて飛んでいった。


「「「「「はっ?」」」」」

余りの唐突さに敵は愚か、京極や五芒院ですら呆気に取られた表情になる。


「勝てない喧嘩はしないんだよ勝ってにやってろバーカ。」
捨て台詞残して昇降口に走っていった。


「逃がすと思ってんのかあああ!!」
慌てて汰壱の後を追おうとするが・・・・・

クイ
「へぶぃ!!」


追いかけた四人ともが地面に熱烈な接吻をする。

痛みに鼻をさすりながら何が起こったとばかりに自分達の足元見ると
「ワイヤー?」



四人全員足に銀のワイヤーが絡まっている。
高速で動き回っていたのはこのためだったのだ。

「・・・・・」

余りの小細工さに冷えたはずの頭に血が上り始める。

「ダっセー引っ掛かちゃってるよこいつら」
ぷぷっと吹き出しながらこちらを笑うヤクザ面がいる。

上がりまくる血圧、イラついて外そうとするが怒りの為か旨く外れない。


地面に寝そべっている間抜けな四人をしっかりと見据えてトドメの言葉を吐いた。

「ヴァーカ」

その言葉はなんの捻りも無い単純極まりない罵声であるが。
面と向かって、上から見下ろされ、顔に満面の笑みで言われると
これほど頭にくる言葉は無い。

なにせ関係の無い京極が
「馬鹿って言ったやつが馬鹿なんだぞ!!」
「いやっ!あなたじゃ有りませんよ」
止める五芒院ですらも井形が頭に浮かんでいた。
汰壱の笑顔は心底人を逆上させる効果がある。

言うまでも無く関係大有りの彼らは、堪忍袋の緒どころか袋ごと爆裂せんばかりにぶち切れた。




「うがああああああ!!!」

全員が獣ような唸り声上げながらワイヤーを引き千切るように解き、汰壱を追いかけるが
昇降口に入った汰壱を一瞬姿を見失うことになる。

ドアを蹴破るようにこじ開け薄暗い踊り場に飛び出すが汰壱の姿はどこにも無い


「どこだ古牙ぁぁああああああ!!!」

「ここだ」


声に反応して思わず振り向く。
もしこの時誰か一人でも冷静な者がいれば汰壱の居場所に直ぐに気付いただろう。
汰壱と四人は僅か数秒の差で昇降口に入った。
いくら汰壱の動きが素早くてもその短い間に身を隠すのは不可能である。
しかし中に入った四人は汰壱を見つける事が出来なかった。

なぜか

汰壱はドアのすぐ裏側にいたのだ。
おおよそこのような場所には丁度人が一人入るぐらいのスペースがある。
これならば直ぐに隠れられ、頭に血が上っている連中に見つかることはない。

全員が振り向いた次の瞬間


「ぜいっ!!」
気合一声

蝶番ごと殴り壊され

数十キロはある鉄製のドアが蹴り抜かれ

文字道理



飛んできた。




「「「「ぎいやっぁあああがああああああ!!!!」」」」


ドズムッゥウウ!!



残った四人はあえなくコンクリの壁と鉄製のドアにサンドイッチよろしく綺麗に挟まれた。





「相手が冷静さを失った時既にそいつは敗北している。せいぜい覚えとくんだな」

決めポーズとばかりに後背筋を強調する。
テーマは「漢は背中で勝利を語る」である。


「汰壱ぃー!」
「古牙くん!」

二人が此方に走り寄ってくる。


「おお二人とも見たか俺の素晴らしい戦術!」




「「セリフをパクんなカスがぁあぁああ!!」」

「なぶすっ!」
ダブルシャイニングウィザード(具体的に飛び膝蹴り)が
汰壱の顔面に突き刺さった。




「何しやがる!解説の分際で」

「ダレが解説ですか!?人様のセリフを盗むとはどういうお考えをお持ちで?」

「パクリ?失敬なコレはリスペクトして俺がアレンジを加えた物だ」

「・・・・こいつ開き直りやがったぞ」




「そんな事よりどうだ?俺の戦闘術。」

「強引に話を変えましたね・・まったく・・・正直な感想を言えばお見事ですね。まさかこれ程とは思いませんでしたよ。」

「そうだろそうだろ」
その言葉に満足そうに頷く汰壱

「前より磨き掛かったんじゃね」

「そうだろ俺は磨けば光る男だからな」









「「セコさに」」


「・・・・・・・・・・・・はい?」



「拝見さして頂きましたが、いや本当に観ていて確かに鮮やかと感銘を受けることもしばし有りましたが
どうしてもこ〜なんと表現すればよろしいのでしょう?」


「セコイ」


「イッツザクトリィ!」(そのとうりでございます)

「・・・・・・・・・」


「それにですね・・・確かに相手本来の実力を出させずに倒すのは確かに戦術としては良いと思いますが
どうしてもこ〜なんて表現すればよろしいのでしょう?」



「主人公っぽくない」

「ディモールト!!(すばらしい)今日は冴えてますね京極君!飴あげます。」 
 
「わーい」

「・・・・・・・」

「最後に一言、言わせていただくなら」


「「必殺技ぐらいないんですか?」」



ぷちん!



てくてくと先程脱ぎ捨てた学ランに歩み寄り服に隠している何かを二つほど取り出した。

シュラァァ    任侠道を抜く音


ジャキン     トカレフの装填音

準備を終えて二人に向き直る。


「俺の必殺技をみせてやろう」

「それは必殺技じゃなくて、必殺の武器じゃないですか!」
「刺すのか?撃つのか?どっちでくんだ?」

「両方だ!」


「両方ですか!」「なのか!」

「YES YES YES」



「しねええええええ」

「友人にむける言葉がそれですか!」
「わーこっちくんなあああ!!!」





斃れている一人の男子生徒が目を覚ますと両の手にドスと拳銃をもったヤクザが
二人の少年を執拗に追いかけ廻していた。

それを見て少年は思った。

二度と関わるまいと。
それだけ思うと少年はもう一度気絶した。









その夜




「あっタマモさんっすか?俺です汰壱です。あのですね、必殺技を教えてください。」

実は内心気にしているグラスハートな汰壱であった。


「えっ?トカレフと任侠道があるだろって?あれは必殺の武器であって必殺技ではないです!
技です!必殺の霊能技が欲しいんです!・・・もしもし?もしもし?タマモさん?ちょっとねぇ!」

つーつー

「切りやがった」




古牙汰壱15歳

必殺技に悩めるお年頃である。











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