ザ・グレート・展開予測ショー

THE MOVIE「踊るゴーストスイーパー」(8−1)


投稿者名:3馬鹿鳥男
投稿日時:(00/ 6/18)

第8章(その1) 「織田家」(1)

人里離れた森の中にその屋敷はあった。
空の月は満月に近いらしく、おキヌはその月明かりに浮かんだ西洋風の2階建ての屋敷は何か幻想的に見え、何か胸騒ぎを感じちょっと恐いですねと呟いた。
ほたるはおキヌを横目で見たが、すぐ目をそらしマネージャーにそこの門で止めて下さいと言った。
おキヌは横島に続いて屋敷の入り口の門の前でワゴン車から降りた。
そして、門の前に立つと不安がより広がるのを感じ、横島の後ろに隠れるようにした。
「横島さん何か変ですね・・・こう胸騒ぎを感じるというか・・・」
「・・・考えすぎだよ。おキヌちゃん。」横島は心配するなと笑った。
「おキヌちゃんどうしたんや?夜が恐いんか?」
銀一はからかうように笑いながら車を降りた。
おキヌは別に恐くないですけどと不安そうにした。
そんなおキヌを横島は再び心配ないってとポンとおキヌの肩を叩いた。
最後にほたるが、マネージャーにありがとうございまいしたとお礼を言いってからR君とともに降りてきた。
銀一のマネージャーは銀一に明日朝早くから別の仕事があるのでこれで失礼するが、明日の夜に迎にくるからと言い、一人東京に向けて車を発進させた。
銀一たちはワゴン車が見えなくなるまで見送った。
そして、行こうかと銀一の声にうなずき、屋敷の玄関に向かった。

「久ぶりやな。ここに来るのは。あの時以来やな。」
銀一は歩きながら屋敷の庭にある噴水と綺麗な薔薇の庭園を見たて呟いた。
「近畿さんはここに来たことがあるんですか?」
おキヌは銀一と並んで歩いて同じ庭を見て尋ねた。
銀一はおキヌに振り返り、「ああ、半年前にな。」と微笑んだ。
その月明かりに浮かんだ銀一の笑顔を見たおキヌは、映画の一シーンを見ているように感動して、そういえば言っていましたねと頬を染めうっとりした。
(ああっ・・かっこいい・・・近畿君・・・)
しかし、そう感動しているのも束の間、横島の一言で現実に戻ってきた。
「ほたるちゃん。足元が暗くて危ないから俺が手を引いてあげるよ。」
「いいえ大丈夫ですよ。こんなに明るいので。」
「そんなに遠慮しなくてもいいから。ね。」
おキヌは横島を振り返り、横島が強引にほたる手を握り、肩に手をまわそうとしていたのを見て怒りが込み上げてきた。
(またあの人は・・・)
おキヌは引きつった笑顔を浮かべて、静かにほたるとは反対側の横島の隣に並んで歩き、
「何をしているのです?よ・こ・し・ま・さん?」と、横島の耳元で囁いた。
横島はびくっとして動きを止め、冷や汗を掻きながら首だけをゆっくり動かし、おキヌの顔を見た。
「いや・・・だから・・・手を引こうと・・・」
「それなら、私が代わりに引きますよ。ほほほほ。」と、
おキヌはにっこり笑い横島の耳を掴んで歩き出した。
「いたたたた。おキヌちゃん。それは手じゃないよ。
お願いだから離して。いたたた。耳はいやー!・・・。」
横島が悲鳴を上げたが、おキヌはほほほと笑いながら構わずに歩いた。
銀一とほたるは横島の耳を引っ張りながらおキヌがどんどん先に行くのを呆れて見ていたが、お互い目を合わして苦笑すると二人の後をくすくす笑いながら追いかけた。

ようやく4人は玄関のドアまで来た。
横島は片耳を押さえ、ひどいじゃないかおキヌちゃんと抗議をし、おキヌは腕を組み、そっぽを向いてしりませんとふくれていた。
銀一は2人の間に入り、呆れた顔をして喧嘩はやめときと仲裁をした。
そんな3人を見てほたるはくすくす笑いながらドアの呼び鈴を押した。
しばらくして玄関の明かりが点き、ドアの向こうから「どなたです?」と若い女性の声がした。
「ほたるです。ただいま帰りました。」
「あら、随分遅かったのね。心配しましたよ。」と声とともにドアが開いた。
そこには長い髪をポニーテールにした、少し背の高い、スタイルは美神に匹敵するナイスバディーのメイドの格好をした20歳くらいの綺麗な女性が立っていた。
「あら、お客様?・・・あのもしかして近畿君ですか?・・・
きゃー近畿君だわ!どうしましょう。」
「今晩わ。夜晩遅くにすみません」と軽く銀一は挨拶をした。
その女性は近畿君を見て、興奮したように顔を赤くし、はしゃぎながらみんなを屋敷に入れた。
その時いきなり横島がメイドの女性の手を握り、
「初めて会ったときから好きでした。」と叫び、ぐわ〜と迫った。
おキヌは再び目を吊り上げて怒ろうとしたが、横島が玄関からぽんっと外に放り出されたの見て目を丸くした。
ほたるは外で倒れている横島にくすくす笑った。
「フミさんに手を出したらだめですよ横島さん。
こう見えても彼女、柔道2段、合気道3段の猛者ですから。」
フミと呼ばれたメイドの女性は手をぱたぱた叩いて、ふんと鼻を鳴らした。
「なんなんです今の男は。もしかしてほたるさんのお友達ですか?
 駄目ですよ。友達はちゃんと選ばないと。」
「大丈夫ですよフミさん。ああ見えても横島さん、とてもやさしい方ですから。」
「あら、そう?」
フミはおキヌに大丈夫ですかと介抱されている彼を疑わしい目で見た。
そして、銀一がフミのことを穴が空くほど凝視していたのに気付き、
「あら、いやだ。おほほほ。」と決まりわるそうに笑い、
顔を赤くして「ゴホン」と咳払いをし、こんな時間にこんなところでなんですから上がってくださいなと促した。
横島は腰に手を当てて立ち上がり「いててて、酷い目にあった。」と苦笑した。
「当たり前です。ほんとうに馬鹿なんだから・・・」おキヌは溜め息をついた。
「ほら、近畿さんたちはもう上がりましたよ。」
横島はうなずいた。
「おキヌちゃん行こうか。」
「はい」
おキヌと横島は屋敷の玄関をくぐり、あまりの豪華さに驚いた。
「すごい屋敷だね。」
「ええ・・・なんだかお城みたいですね。」
おキヌは広い玄関ホールから正面にある部屋に入った。
そして、部屋の豪華さに再び溜め息をつき、
「すごいお屋敷ですね。玄関といい、このリビングといい・・・
横島さん見て下さいあのシャンデリア・・・大きくて綺麗ですね。
あっあの油絵もしかしてルノアールですか?この花瓶は?」
とリビングをいろいろ探検し始めた。
横島も目を見開きながら部屋を見渡していたが、
裸婦の銅像を見つけるとその近くに行き、「勉強になるな〜」と呟いた。
ほたるはリビング中央にあるソファーに座りそんな二人に微笑んで、
「何か飲み物を出しますけど何がいいです?」と尋ねた。
「あっ俺アイスコーヒー。」と横島。「同じく」と銀一。
「私はアイスココアでお願いします。」とおキヌが言った。
ほたるは肯いてから入り口のドアの側に立っていたフミを見て、
「フミさん、私はいつものものをお願いします。」と言った。
フミは、はいと返事をしてリビングを出て行った。
銀一は彼女が出て行った方を見ながらほたるの正面のソファーに座り、
「今の方、新しいお手伝いさん?」と尋ねた。
「そうです。3ヵ月ほど前におばあちゃんが雇いました。
以前の方は辞められましたので・・・。
しばらくは私がお世話をしていたのですが、最近映画の製作が忙しくなったので
それでまた雇うことにしたのです。」
「そうやな。忙しかったな。ほんまに。」
「ええ・・・でもそれも今日で終わりです。」
「・・・えっもう映画に出ないんですか?」
おキヌは部屋より興味が湧いたのか、ほたるの横に座り話に加わった。
「すごく良かったですし、絶対もったいないですよ。」
「そうだよな。綺麗だったし。主人公を守ろうとする愛情表現もうまかったし。」
横島も残念そうにうなずきながら銀一の隣りに座った。
おキヌは手を叩いて横島に賛同し、どんなふうに考えて演技をしたのか尋ねた。
ほたるはぽっと赤くなっていやあれはと手をもじもじさせた。
「あれは・・・
夢の中に出てくる人のことを思ってしただけで・・・
とくになにも・・・」
「夢?ああ記憶を無くす以前で覚えていると言っていた人ですね?」
「ええ。その人のことを思うとこうきゅっと胸が痛くなるのです。」
「わかる。わかるますその気持ち。そうですよね・・・切ない感じですよね・・・」
「おキヌさんもそうゆう気持ちになります?」
「私は・・・・でも学校の友達で・・・」
なんだか女の子どうし話しが盛り上がってきたのを、銀一と横島は目を合わせてまったく女の子はと同時に息を吐いた。


第8章その1 「織田家」(その1)終わり
その2に続きます。

またまた文章が長すぎた。

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