ザ・グレート・展開予測ショー

ふぁーすとこんたくと


投稿者名:MAGIふぁ
投稿日時:(05/ 8/19)

 GS試験会場への道行き。中東風の頭巾を被っていたり、古今東西の宗教に基いた服を着ていたり、何が何だか解らない仮装をしていたりと、実にバラエティに富んだ集団の中。
 そんな濃い面々をモーゼの如く切り開いて、無人の野を行くが如く、ゆっくりと進む人物がいた。

「そこのあんたっ!」

 そんな人物に声をかける剛の者が、一人。

「他の人に迷惑でしょ!?式神なんかしまいなさい!」

 声をかけたのは美神令子。
 声をかけられたのは、六道冥子。
 冥子が周りに引かれていたのは、むやみに式神を出しまくって、意図せずに周囲を威圧していたからだったりする。
 キシャー、とかクケケケケ、とか奇声を上げる、怪しい生き物を回りにはべらせていれば普通は引く。
 まして、ここにいるのはGSのタマゴたち。自分よりもはるかに高い霊圧も感じとっている。それで引くなという方が無理だろう。
 …まぁ、中には六道家のお家芸、暴走の事を噂で知っていて関わりあいを避けようとしているのかも知れないが。

 だが、しかし。

 美神令子は声をかけた。六道冥子に声をかけた。
 その日、試験という事でさすがに緊張してピリピリしていたせいかもしれない。
 ひょっとしたら、たまたまムシの居所が悪かったのかもしれない。
 それでつい、自分から見ても非常識なマネをしている、もしくは試験開始前から周りにプレッシャーをかけているようにも見える冥子を、注意したのかもしれない。
 それでも、声をかけたのは事実で。
 冥子は、他人から声をかけられたのは初めてだった。

「わたし〜六道冥子って言うの〜。あ、あの〜…あなたの、お名前は〜?」

 感激した冥子は、すぐさま直感と希望でもって決断した。
 ――この人となら、お友達になれるかもしれない――
 そして結果から言えば、その希望は叶えられ、この出会いは生涯の友との出会いとなった。

 ただ…

「え〜、なんで抵抗するの〜、令子ちゃん〜、お友達になってくれるって言ったのに〜」
「フツーのお友達は影にしまうもんじゃないのっ!!私は式神じゃなーーいっ!!」

 それがたった今、冥子に『お友達の式神と同じく』影にしまわれようとしている美神令子にとっても、幸せだったのかどうかは……定かではない。


 <完>

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