ザ・グレート・展開予測ショー

モンジュは反則海賊版


投稿者名:Nar9912
投稿日時:(05/ 8/ 6)




「合、体ッ!!」


霊力を同期させ共鳴させた横島と美神は、人間の限界を超えた力を得て魔神に挑んだ。

しかし、魔神はあまりにも強くて、彼女らの一撃は魔神を穿つも決定的なダメージを与える事など
なかった。

逆に、その腕の一振りで、彼女らの合体が解ける程のダメージが与えられる。

吹き飛ばされ、シンクロし過ぎた事もあって意識を失っていた横島は、二人の女が自分を取り合う
為に口喧嘩を展開しているという、桃源郷の如き事態に即座に反応してその正気を取り戻した。
尚、世俗を離れた平和な世界との桃源郷の意味からすれば適切とは言えない用法なのであるのだが、
横島的には、桃源郷=ピンクな世界なので問題は無い。


さて、口喧嘩であるが……否定的に見れば、美神が傍らにいるのに、独りで死なせはしないなどと
言い放ったルシオラを多少自意識過剰と評するべきかも知れない。しかしメフィストの事は知って
いても、美智恵が倒れた時から見て来た美神と横島の遣り取りからは、恋人と言う言葉は出そうに
ない。精一杯に譲歩しても漫才コンビが関の山である。
砕氷船の甲板で二人の世界を作り出していた様子から、隠れている想いが見えそうなものではある
のだが、それ以外の行動の印象が強過ぎるのだ。第一、あの時の話題は他ならぬルシオラについて
であった事もあるのだから。
人生?経験の少ないルシオラに、素直でない恋愛の機微を看破しろと言う方が間違えているのかも
知れない。
ルシオラからすれば告白されているのであるから当然恋人であると自負しており、美神からしても
前世の記憶が蘇っている状態で横島の意識が無いと見れば見事なまでに素直なものである。

そんな突発的に始まり周囲を置き去りにしている女の戦いを聞いているうちに、自分がもてている
との妄想……でも何でも無くまさに事実なのであるが……から煩悩を暴走させる燃料を得た横島の
霊力は静かに、しかし、一気に脹れ上がっていた。

それはもう、天井知らずのエスカレートである。

何と言っても彼にとって美神は、そのスタイルに血迷っただけで時給 250円と言う非常識な待遇を
即答で受け入れた程の存在である。その高値の花があろう事か年齢=彼女いない歴であった自分に
やっと出来たばかりのしかし手が出せない恋人と、本気で、自分を取り合っているのだ。
横島の脳内では既に、両手に花真っ盛りな煩悩に筆を持たせて描かれた様な妄想が繰り広げられて
いた。妄想が先か煩悩が先か。殆ど卵と鶏状態で相乗効果的に高まっていく。




……その時点で、彼は正気では無かったのかも知れない。
正気では無かったからこそ、あのような莫迦な事を思いついた挙げ句、あまつさえその直球過ぎる
想像を確実なものとして捉え、現実のものと化し兼ねない程に魂の奥底から霊力を取り出し得たの
かも知れない。



破滅的なまでに加速する妄想とは裏腹に、横島は身体をぴくりとも動かさず静かに思考の海へ埋没
していた。普段の彼ならば、女性から僅かでも好意を寄せられれば半ば本能的に飛び掛かっていた
事だろう。いや、好意を寄せられていなくとも関係無い気もする。



が、今の彼は違った。違ったのだッ!!!!!



今の彼は溢れ出さないのが不思議な程に湧き出る妄想&煩悩に相反して、いつもならば避けられる
自分をあろう事か二人の美女が取り合っていると言う非常識事態に置かれているのだ。
要するに、今まで出遭った事の無い事態に思考も身体も硬直していたのである。
尚、煩悩が本能に直結しており、思考とは別に爆走している辺り如何にも彼らしいのであろう。
硬直して飛び掛かるタイミングを失った彼の思考は周囲の状況へと及んで、非常識事態に相応しく
冷静に状況把握などしてみたりした。

今、自分を取り合っている女が二人。そしてその女達をゲットする為に障害となる者がいる。
これはもう、障害を排除するしかない。
敵、発見、コレヨリ排除スルである。
相手の力など関係無い。もう一人本来ならば障害とカウントされるべき存在がその場にいるのだが、
彼女は女性である。ちちしりふとももーである。故に、横島的に倒すべき相手ではないのだ。いや、
むしろ、このねーちゃんも俺のものやーな妄想に突入していたのかも知れない。
漲る熱い熱い妄想と煩悩、対して何処までも冷静な思考。何やら普段なら使えない力も使えそうに
思えて来た。




(さあ考えろ。考えるんだ俺。ねーちゃん達を手に入れる為障害は確実に排除しなければならない。
記憶の奥底まで浚って方法を見つけるんだ。早くしなければ、障害はねーちゃん達を奪ってしまう。
手は、何か手は無いのかッ?!)




と、ふと、とある記憶に焦点が絞られた。


……「文珠を使いこなせ!! あれは…使いようによってはどんな魔族も倒すことができる…!」


それは、戦乙女の台詞であった。普通ならば誰の台詞だったかと考えるところから始まるのである
が、横島が女の、それも彼を否定していない台詞とそれを言った女を忘れる訳が無い。


(「そ…そーかっ! これなら…」)


ぎりぎりではあったが、非常識事態に陥っている彼はお約束のまま考えを口に出す事は無かった。
名案が脳裏に浮かぶ。そう、文珠は、どんな魔族も倒せる筈なのだ。

女の戦いを耳にして意識を取り戻してからのほんの一瞬で、横島はここまで思考した。
一挙動で雄々しく立ち上がった彼は、既に文字が刻まれた二つの文珠を両手に持って宣言する。




「これで、俺の勝ちだ、クソ野郎ッ!!」






































それらの文珠に刻まれていた文字は、「最」「強」










………………第一部完!! (文字候補、他には”無””敵”とか”必””勝”とか。)

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