ザ・グレート・展開予測ショー

三朝、四朝、また朝朝


投稿者名:青い便箋
投稿日時:(05/ 7/14)






 六月三日 (土曜) 曇り
 きょうも横島さんは帰ってこなかった。
 横島さんの姿が見えなくなって二、三日は、事務所の中は普段どおりだった。散歩の相手がいないシロちゃんはちょっと不満そうだったけれど、それでもいつもどおりの雰囲気だったと思う。
 美神さんは、横島さんが風邪をひいたから事務所にこないんだなんていってた
けど、きっとそれは違う。


 六月十九日 (月曜) 霖雨(リンウ)
 横島さんがいなくなってちょうど一ヶ月。
 事務所の中は、まるで火が消えたよう。もう夏は目の前なのに、とても寒々しい。
 街で横島さんと背丈のよく似た人を見るとまわりこんで確認してしまう癖がついてしまった。そのたびにひどい落胆をあじわう。辛い。



 おキヌは日記の続きを書こうとして、手を休めて立ち上がった。今は深夜である。窓から外をみれば、雨が降り続いていた。ここ数日やむことのない霖雨(リンウ)である。パジャマ姿のかの女は、不意に寒気におそわれて身を震わせた。

 おキヌ──氷室キヌには、日記をつける習慣がある。横島忠夫がルシオラの命日──つまりアシュタロス大戦後きっかり一年──に失踪してからというもの、この日記は随分とさびしいものになってしまっていた。日記とは名ばかりで、書いてある日もまちまちである。以前の日記ならば毎日欠かすことなく踊るような文体で書かれていて、いかにも幸福に満ち満ちた内容だったのだが。

 ところで、ふつう、日記は他人に読ませるものではない。したがっておキヌの書く日記は断片的で、かの女自身が読んではじめて十割の内容を知ることができるものなのである。であるからここは、書き手である筆者が補足してゆかねばなるまい。

 横島忠夫が失踪扱いにされたのは、ルシオラの一周忌から十日後のことである。日数があいているが、恋人であったルシオラの一周忌であったのを慮(オモンパカ)って数日はそっとしておこうと周りが決めたためである。美神がいった風邪云々は、ルシオラの死のことを直截口にださないためだけのものに過ぎない。

 そして、ルシオラの命日から一週間たった。その間、なにひとつ連絡がない。一周忌を悼むにしては、いささか長すぎるのではないか。と、おキヌから相談された美神令子の母美神美智江は、その三日後──ルシオラの一周忌から十日後──に横島忠夫の捜索をはじめた。
 結論だけいえば、二週間の期間を経ても横島の姿はおろか足取りさえつかめなかった。が、その翌日、美神除霊事務所に投函があった。それは紛れもなく横島の癖のある筆跡で一言だけこう書かれていた。

「探さないでください」

 おキヌは泣き崩れたのだった。




 七月一日 (土曜) 晴れ夕方夕立
 あれ以来横島さんから連絡はない。一日一日がひどく長いように感じていたけど、暦の上では二ヶ月しか経っていない。

 風鈴の音が聞こえ始める。
 涼やかな音は、ちっともわたしの心を晴らしてくれない。
 心の状態は顔にでるらしく、顔はずいぶんやつれていて、一文字さんと弓さんが随分気にかけてくれている。
 心配ないよ、と笑ってみせようと努力したけれど、顔の筋肉が笑顔のかたちをとってくれない。笑おう笑ってみせようと頑張ったらどんどんかなしくなって涙が溢れ、二人を狼狽させてしまった。ごめんなさい。わたしは笑顔を忘れてしまったのかもしれない。
 思えば、ずいぶん泣き虫になってしまった気がする。


 七月二十五日 (火曜) 晴れ
 することがない。日がな一日ぼうっとしている。


 八月一日 (火曜)  快晴
 気乗りはしなかったけれども、弓さんと一文字さんに引きずられるように海へ行く。太陽の光が眩しく、眩暈がした。
 二人が泳いでいるあいだ、わたしはパラソルの日陰で寝そべっていた。
 しばらくしたのち、男の人に声をかけられた。

──横島さん?

 横島さんかもしれない。横島さんなら、いなくなってしばらくしてから突然わたしの目の前に現れて驚かすなんてことをやりかねない。
 淡い期待。
 でも、似ても似つかない色黒で筋肉質の男の人だった。
 涙がこぼれて砂の上に落ち、すぐに乾いた。一文字さんがとんできて、男の人を一撃でのしてしまった。気の毒なことをしたかもしれない。


 八月十一日 (金曜) 晴れ午後より曇り
 タマモちゃんが事務所を出た。わたしはまた泣いた。


 八月十二日 (土曜) 曇り
 静かだった事務所がますます静かになってしまった。シロちゃんが寂しそうだったけど、元気付けてあげるほどの元気がわたしにはない。

 この時期は除霊の依頼が多くて、忙しさの中でだけ横島さんのことを忘れることができた。そのかわり、夜に一人でいるとどうしても思い出してしまって気鬱になる。

 横島さんがいない中で多数の除霊をこなすのはさすがの美神さんも苦しいみたいだった。わたしなりに精一杯頑張ったつもりだったけれど、足を引っ張ってしまったかもしれない。
 苦しくても、美神さんはけっして横島さんの名前を出すことはなかった。
 わたしは、「横島さんがいたら」といったが、美神さんはいないヤツを戦力として考えても仕方がないわ、と毅然とした態度でいった。わたしは美神さんほど強くなれない。


 八月十三日 (日曜) 雨篠突(シノツ)く
 美神さんが除霊で腕に怪我をした。危ないところだったけど、シロちゃんの機転で事なきを得た。横島さんがいなくなってから、美神さんが除霊で怪我を負ったのはきょうが初めてだった。

 夜、美神さんの様子をみにいくと、部屋は真っ暗だった。声をかけてみると、しばらくしてから返事があった。大きな樹の虚(ウロ)から出るような、深く沈んだ声だった。わたしはなんて声をかければいいのかわからずに立ち竦んでしまった。元気を出してください、といったらおキヌちゃんのほうこそね、と美神さんは苦笑で返した。
 美神さんの部屋から出るとき、後ろから

──横島クン……

という、小さなつぶやきが聞こえた。わたしは聞こえないふりをしてそのまま部屋を出た。なんていえばいいのかわからないし、美神さんもわたしになにか言われても困惑するだけに違いない。

 思えば、横島さんがいなくなってから、はじめて美神さんがもらした弱音かもしれない。待っているのはわたしだけじゃない。そう頭で分かっても、やはり横島さんを待つ。

 横島さん。いま、どこに……?



 九月十五日 (金曜) 雨。夜より晴れ
 世間では十五夜だというけども、十五夜の月とは旧暦の八月十五日で、太陽暦とは何の関係も無い。
 シロちゃんがながいこと外で月を見上げていたのが印象的だった。月に照らされた横顔は同性のわたしが見てもはっとするほど綺麗で、真摯に月を見つめるその眼は祈りを捧げているようだった。
 わたしも悲観ばかりしないで祈ろう。横島さんが帰ってくるように。できることといえば、せいぜいそれぐらい。




 筆者言う。

 時は過ぎてゆく。

 この摂理だけは宇宙開闢(カイビャク)以来不変で、時間は止めることも巻き戻すこともできない。ある意味、それは残酷なことなのかもしれない。

 しかし時間は、また優しさをもっており、枯れた湖を潤したり切られた木々を成長させてゆく。人が負った傷は、時とともにふさがってゆく。そして心の傷も。

 おキヌは、徐々に笑顔を取り戻していった。別段、かの女が強いわけではない。どちらかといえばかの女は心身ともに弱く、美神ほどの決断力もなければ犬神シロほどの肉体的な能力もない。さらには、とうに事務所を出たタマモのような冷徹さも。
 ただ、おキヌには優しさがあった。だから周囲はかの女を見捨てず陰日向から助け続けた。小さな傷は仲間が癒してくれる。そして大きな傷は、時が治療してゆく。

 横島を思い出すと、涙がにじむことはまだある。しかし失踪した当初のように哀しいから泣き、しまいには泣くから哀しいのだろうかと思うこともなくなりつつある。身悶えるほど辛くはならないのだ。

 ときにおキヌはそれに愕然とし、時間の残酷さを思うことがないではない。
あれほどむせびないていたのに、いまは涙が滲むだけとはどういうことであろう。横島の存在を忘れてゆくわけではないのだが、おキヌはそれを薄情なことだと思った。




十一月三日 (金曜) 曇り。にわか雨降る
 文化の日。
 学園祭だった。他校の男の人に告白をされた。横島さんの顔が脳裏に浮かんだ。返事は待ってもらった。横島さんの行方はいまだに杳(ヨウ)としてわからない。

 わたしと横島さんは恋人関係であったわけではない。そうあればいいな、と思ったことは数知れずあるけれど、たった一つしかない横島さんの隣の席にはいまは亡いルシオラさんがいたのだから。入り込む余地なんてあるはずもなかった。
 
 一文字さんと弓さんに告白のことを相談したら、受けるべきよといわれた。果たして本当にそうなのかしら。横島さんを思ったまま、その彼──天野──と付き合うのはとても不純に思える。そう答えると、一文字さんは微苦笑のままおキヌちゃんはちょっと考えが古いんじゃないかな。寄っかかれるヤツがいるのは悪いことじゃないぜ、といった。

「氷室さんの考えは間違っている、と私は思いませんわ」

 と、弓さんは断じきった。続けて、

「ただ、いつまで失踪した横島さんを思い続けるんですの?」

 失踪を強調していった。

 帰ってくるかもしれない、しかし帰ってくるとも限らない。失踪とはそういう
ことであり、そのような不安定な拠り所を信じたままであればきっと氷室さんは
疲れきってしまう。現に、少し前までの氷室さんはそうじゃありませんでしたか
? まるで抜け殻のような。弓さんはそういいきった。



 十一月四日 (土曜) 快晴
 天野さんの告白は受けなかった。
 わたしが弱い人間なのはわかっている。でも、横島さんを待つことすら放棄し
てしまったら、何も拠り所のない、それこそ腑抜けのようになってしまうように
思う。

 わたしは例えば帆柱のない船で、横島さんを待つという一念があることで帆柱を張ることができ、寄る辺のない大きな海を目的をもって進んでゆくことができるように思
う。帆柱がなければ、わたしはただただ海を漂い、いずれは難破してしまうに違
いない。それは嘘偽りのないわたしの本音だった。

 弓さんと一文字さんは何もいわなかった。

 そしてわたしはこの日から、泣くことをやめようと決心した。



 十一月五日 (日曜) 晴れ
 シロちゃんが事務所を出た。横島さんを探しにいくという。以前よりそのつも
りだったそうだけど、わたしがあまりにも情緒不安定で出るに出れなかったとい
うことを聞いて愕然とした。
 横島さんをお師匠さまとしてだけではなく、男性として慕っていたこのコにここまでいわせてしまったわたしはいったいなんだろう? シロちゃんを妹のように見ていたわたしがじつは妹で、シロちゃんがわたしにとって姉にあたるのではないかと疑ってしまうほどにそれまでのわたしはちっぽけな人間に過ぎなかったのかもしれない。

 もう大丈夫でござるな? 泣きはしませぬな?

 と、シロちゃんがいった。

 うん、きっと大丈夫、とわたしはいった。笑顔でいられたかどうかはわからな
いけれど、シロちゃんは満足したようにうなずいてくれたからきっと顔は笑顔だ
ったとおもう。ひょっとしたら泣き笑いだったかもしれないけど。

 だから、わたしは強くならなきゃいけない。





おキヌは日記を書く。日々の出来事を書き綴ってゆく。横島がいなくなった日々
を数えることはやめない。ただ、徐々に

「横島さんは」

という書き出しが減っている。それは横島を忘れつつあるというわけではない。

 横島忠夫という存在はおキヌの胸裏に確固としてある。以前はそれがむき出しで思い出という針で傷ついていたが、時とともに薄い皮膜で覆われつつあるために心に傷を負うことがなくなってゆく。
 薄情とは違う。暮夜に横島を想うと胸が締め付けられるのは変わらない。それは夕日が沈む間近に感じる寂寥感や焦燥感にやや近いかもしれない。いうならば、わかってはいるもののどうしようもないものだ。そのように感情を処理していくことでおキヌは毎日をすごしてゆける。ただしこれは諦観ではない。横島忠夫という人間はおキヌの心の底にしっかりと根差していて、到底あきらめきれる様なものではなかった。





十一月二十三日 (木曜) 晴れ
 近頃はずいぶん肌寒くなってきたように思う。そろそろコートが必要かもしれない。シロちゃんは寒い思いをしていないだろうか。
 シロちゃんからも連絡はない。


十二月一日 (金曜) 晴れ
 冬来、春不遠(冬来たりなば、春遠からじ)という言葉がある。
 わたしはこの言葉が好きだけれど、今年はこの言葉を聞くとちょっと胸が苦しくなる。春は来る。でもそれは季節が巡るごくあたりまえのことで……。
 本当に春は来るのだろうか、このわたしにも。
 考え方が後ろ向きになってしまった。きょうはここで筆を置こう。それにしても今晩は冷え込む。


十二月二日 (土曜) 雪のち雨
 初雪降る。例年よりずいぶんはやいらしい。
 仄(ホノ)白い雪がひらひらと振るのが蛍の瞬きのように見えて、ルシオラさんを思い出す。横島さんはルシオラさんの一周忌で何を思い、感じて、そしていなくなったのだろう。横島さんがいなくなったことに悲観してばかりで理由を考えたことがなかった。
 考えてみてもわからなかった。会えるなら、聞いてみたい。


十二月二十四日 (日曜) 終日曇り
 クリスマスイブは一文字さんと弓さんと三人で過ごした。二人ともちゃんと恋人がいるのにわざわざわたしに付き合ってくれた。二人には感謝してもしきれないほど今までよくしてもらった。わたしは友人に恵まれている。


一月一日 (月曜) 小雪降る
 初詣へ行く。シロちゃんが横島さんを見つけてくれますようにと願を掛け、そして横島さんの無事を願った。
 シロちゃんからは連絡はない。


二月十四日 (水曜) 曇りのち晴れ
 渡す相手はいないけど、バレンタインチョコを作った。
 シロちゃんから連絡はない。


三月三日 (土曜) 日照雨降る
 早朝、横島さんが帰ってくる夢を見て跳ね起きた。予知夢であれかしと願いつつ一日を過ごしたけれど、夢のままで終わった。あと二ヶ月と少しで横島さんが失踪してから一年になる。
 わたしの身長は少し伸びたし、胸もほんの少しだけれど大きくなっている。少し成長したわたしとあったとき、横島さんはいったいどういう顔をするだろう。ひょっとしたら、全然気づいてくれないかもしれない。なにしろ髪型を変えても気づかない人だったし。


三月二十四日 (土曜) 晴れ
 終業式。これでわたしは高校三年生になる。失踪していなければ、横島さんは今年で高校を卒業していたはずだ。でも、三年生になってからほとんど学校にいっていなかったから無理だとおもう。
 新学期がはじまるまえにもし横島さんが戻ってきたらわたしと横島さんは同学年になり、同じ年に卒業することになる。
 来年の卒業式には六道女学院の校門で待ち合わせをして、クラスメイトに冷かされながらも手をつないで一緒に事務所に帰りたい。そんなことを夢想しつつ、桜並木を歩いた。きょうが桜の満開日らしかった。この節目に満開の桜があることになにか意味があるのだろうか? この前の夢は現実にならなかった。でも、今回はどうだろう?

 ふと立ち止まって桜の木をみたら、この満開の桜並木のなかでひとつだけ咲いていない桜があった。桜の枝を折るのは悪いことだと知っているけども、わたしは枝を折って持ち帰り、自分の部屋の花瓶に生けた。この蕾が花開く頃に横島さんが帰ってきますようにと願いを掛けて。



三月二十五日 (日曜) 快晴
 花は咲かない。きょうはぽかぽかしていい陽気なんだけど。

三月二十六日 (月曜) 曇り
 花は咲かない。昨日よりかは幾分肌寒い。

三月二十七日 (火曜) 曇り
 普段は夜に書く日記を朝に書く。もうこれは日記と呼べるようなものじゃなくなってきているけれど、それでもわたしは三朝四朝と書き続けよう。
 蕾のほころびはまだない。

三月二十八日 (水曜) 快晴
 花は咲かない。眠い。

三月二十九日 (木曜) 晴れ
 花は咲かない。昨日の除霊は大変だった。

三月三十日 (金曜) 晴れのち曇り
 花は咲かない。

三月三十一日 (土曜)
 花は咲かない。ひょっとしたらこの蕾が開くことはないのかもしれない。
 シロちゃんからの連絡は、相変わらず、ない。

四月一日 (日曜)
 花は咲かない。

四月二日 (月曜)
 花は咲かない。

四月三日 (火曜)
 花は咲かない。

四月四日 (水曜)
 蕾がほころびを見せ始める。だからといって横島さんが帰ってくるという保証はどこにもない。それでもわたしは期待を抑えきれない。

四月五日 (木曜)
 起きたら桜が咲いていた。
 横島さんを待ち、一日中部屋のなかで過ごすつもりだ。

四月六日 (金曜)
 気づいたら朝だった。待ちくたびれて寝てしまったらしい。時計を見たときは朝の四時で、八時頃には朝食の支度をしなきゃいけない。
 花瓶の桜に目を移すと、花弁が閉じていた。落胆したけれど、目が冴えてしまいすることもないので時間まで蕾を見続けよう。

***

 時間が経つにつれ、部屋に朝日が差し込んできた。蕾が、ゆっくりと開花してゆく。おキヌはそれを息を忘れて見入っていた。

「蕾が……」

 再び開いてゆく。徐々に。徐々に。
 おキヌは、息を呑んだ。激しい胸の高鳴りを感じた。息苦しいほどの動悸を感じた。視界が涙で滲んでゆく。前が見えない。
 おキヌは転がるように窓に駆け寄り、思い切り開け放った。早朝の空気が、激しい音とともに切り裂かれた。おキヌは窓から身をのり出した。

「美神どのーっ、おキヌどのーっ!」

 事務所の外でシロが叫んでいる。かの女を見ると尻尾が千切れんばかりに揺れていた。その隣には、小柄な娘がいた。あれはきっとタマモに違いない。
 シロの後ろに男性がいる。おキヌの視界は眼から溢れ出る涙で滲んでおぼろげだったが、バンダナを巻きジーンズをはいた男性の背格好に確かな見覚えがあった。記憶の中にいるかれよりも幾分たくましくなっていた。
 玄関のドアを蹴り破るような勢いで開け放った美神が、

「いままでどこいってたのバカ横島ーッ!」

 と、凄まじい声で怒鳴った。髪の毛はぼさぼさで、いかにもあわてて駆けてきた様子がおキヌにはおかしかった。

 おキヌは大きく息を吸った。

「おかえりなさい、横島さん!」

 わたしはいま、笑顔だろうか?




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