ザ・グレート・展開予測ショー

横島とメドーサ(5)


投稿者名:横叉
投稿日時:(05/ 7/10)

「あなたにはいろいろと聞きたいことがあります。話してもらいますよ。」

私は剣を振り抜き,その剣先を勘九朗に向けました。

「あーら、神族が力ずくなんていいの?」

そう言いつつも向こうも剣を抜いている所を見るとやる気のようです。

「神族にも悪には悪に対するやり方というのがあります。」

「ふーん、どうなっても知らないわよ。」

そして、勘九朗は力を入れると、強烈な妖気を魔力へと変えました。

 ”この気は・・・完全な魔力、しかも以前とは比べ物にならないくらい大きい”

「鍛えに鍛えぬいたこの力さえあればあんたなんて瞬殺よ」

最初は単なる時間稼ぎに私の相手でもするのかと思ってましたが、どうやら本気で私を倒すようです。
おそらく師であるメドーサも同様に以前より力をつけているでしょう。

だが、どうやって・・・

「さあ 行くわよ!!!」

掛け声と同時に全身を悪魔型魔装術{悪魔が戦闘の時に着ける鎧、(魔装術の上位版) 通称”悪魔装術”}で覆い、
肉眼では捉えきれるかどうかという速度で勘九朗は動き出しました。

           ”速い ”
肉眼でやつを必死で追うが、捉え切れ・・・

               ガキーーン
右斜め後方から振り下ろすように斬りつけてきた剣を、私は両手で持った神剣で受け止めました。


「ひゅーっ、やるわねえ。」

鍔迫り合いでも負けていません

「ぐっっ」

”くっ、この力といい、スピードといい勘九朗のやつ、それなりに悪魔装術を使いこなしているようですね”

「思ったより力あるわねえ。じゃあ本気で行くわよ。」

勘九朗は言うや否や、私ごと斬ろうかという勢いで力を込め始めました。

「うっっ!!!!」

ぴしぴし

神剣よりも先に床にひびが入りました。

「ふんっぬうう!!!!!」

          ズドーーーーーーン

勘九朗は剣を振り下ろし、私は床に体ごと埋まりました。

「このくらいでくたばる奴じゃないわよね。」

私の位置からは勘九朗が何をやっているのか分かりませんでしたが、巨大な魔力砲が私に近付いていることが分かりました。

「さあ、くたばりなさい。」

そして私に向かって巨大魔力砲が飛んで来ました

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「横島の携帯、つながらないわねえ。」

先ほどから何度も携帯にかけているが一向につながる気配がない。

「緊急の用事が入る時もあるから いつも電源入れるように言ってあるのに・・」

横島とメドーサが接触する前に横島に危機が迫っていることを言っておかなければならない。

「タマモはもう横島と合流したかしら?」

鬼門の二人には信頼の出来る者に連絡するよう言ったから、エミや雪乃丞といった妙神山を過去に利用していたものに接触するだろう。

そいつらなら実力もさることながら、やはり恩ある身、頼まれたら断らないだろう。

プルルルルルルル   プルルルルルルル   プルルルルルルル

プルルルルルルル   プルルルルルルル   プルルルルルルル  

「タマモのやつ、出ないわねえ。」

プルルルルルルル   プルルルルルルル   プルルルルルルル

ガチャ

「あっ、出たわ。もしもしタマモ、横島と合流出来た?」

「あっ、美神さん、実はまだ依頼先にいるんだけど・・」

「あんた、何やってんのよ!?予定ではとっくに合流して除霊完了を二人で報告しててもおかしくないわよ!!」

「実は依頼人の男達から口説かれて困っているんだけど・・」

「はあっ!?あんたねえ、そんなの適当にあしらっときなさいよ。」

「私もそうしたいんだけど・・こいつら、しつこくてさあ・・どうしよう?」

”はあああっ”

思わず溜息が出てしまった。

「美神さん?」

「タマモ そんなのほっといて横島君の所に行きなさい。何かあったら私が何とかしてあげるわ。」

「分かったわ。ところで美神さん、何で電話したの?何かあったのね」

このへんの第六感はさすが妖狐といったところか。

「実は唐巣神父が魔物に襲われてね、今、小竜姫がその魔物とやり合ってるの。そして、その魔物よりもっと強いのがいて、
そいつが横島君を狙ってるの。だから横島君のところに早く行ってあげて!!」

勘九朗とメドーサのことをいちいち説明するのは面倒なのでその魔物、としておいた。

「分かったわ。なるべく急ぐけど・・今の所私の直感にはぴんと来ないわよ。」

「あんたの直感が必ず当るわけじゃないでしょ!!!!!!あんたもし自分の直感が間違ってたら責任取れるの!!!?」

「分かったわよ。・・・そんなに怒鳴らなくてもいいじゃない。」

本当だ。自分でも信じられないくらいに気付いたら怒鳴っていた。

「・・怒鳴ってごめん・・・・でも本当に横島が危ないかもしれないの。」

「美神さん、ひょっとして横島のこと・・・」

「今はそんなことどうでもいいの。大事なのは横島が無事かどうか・・」

「分かったわ。」

ピッ

何故だろう? あいつの事になると自分でも分からないくらい感情的になってしまう。横島は私にとって単なる従業員では無いのか。

「さっきまで何ともなかったのに・・・・・・」

自分でも泣きそうになった。

「次はおキヌちゃんね。」

私は泣きそうな瞳をこらえておキヌちゃんに電話をした。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「くたばったかしら!?致命傷を与えるつもりではやったけど、骨も残らないとはねえ。」

どうやら敵は気配を消し、物陰に隠れているだけの私を死んだと思っているようです。

「まあ、いくら小竜姫でもあの距離であのスピードじゃ避けようが無いわよねえ。」

むっ、失礼な。あの距離であのスピードなら超加速を使えば難なく避けられます。

「じゃあ、このことを早速横島を始末したメドーサに報告しないと。」

横島さんにメドーサが向かっているのですか!? しかもメドーサ!!? 二人の関係は師弟じゃなかったんですか!?

「それにしても弱かったわねえ。あの御方直々に教えていただいた悪魔装術も必要無かったんじゃないかしら。」

弱いというのは聞き捨てなりませんが、あの御方とは一体!?
メドーサを復活させた黒幕のことでしょうがその者が悪魔装術を教えたのですか!!?

プルルルルルル       プルルルルルル     プルルルルルル

ピッ

切った!?

「『3コール以内に出ない時は交戦中だから切れ』だったわね。メドーサのことだからもう始末してると思ったけど・・・  
横島が予想より強いのかしら?
それともメドーサが弱いってことかしら?フフ・・・・・」

この二人はいったいどうなっているんでしょうか?

魔族というのは本来、実力主義ですから強くなれば実力の上下関係が対等、場合によっては逆転することもあるでしょうが、

勘九朗は悪魔装術の力でメドーサと肩を並べたと自惚れているのでしょうか

だとしたらチャンスですね。自惚れは戦闘において大きなマイナスです。奴は精神面で揺さぶれば本来の実力は出せなくなるでしょう。

それに力だけならまだしも経験がやつには足りません。死闘のね

敵の死体の確認を怠るあたり、奴はまだまだ本物の”プロ”であるメドーサには遠く及びません。

やつの自惚れとアマチュアの弱さを付けば案外楽に勝てるかもしれませんね。

早くあいつを倒して横島さんの所に行かないと今の横島さんではメドーサに勝てるとは思えません。

この男を倒して早く向かわねば!!

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