ザ・グレート・展開予測ショー

横島とメドーサ(4)


投稿者名:横叉
投稿日時:(05/ 7/ 3)

「それにしてもメドーサの奴は何故唐巣殿を襲わせたのじゃろう?」

よく分からないが金目当てじゃないことだけは確かだ。

「うーん、私もまだ考えてる途中だから何とも言えないけど、おそらく先生の知名度を狙ったんじゃないかしら。」

「知名度?」

「そう、先生は見た目は今でこそ冴えないおっさんだけど、GS世界ではまだまだトップレベルの実力の持ち主だもの。そして何よりGS協会の上に顔が利くからね。先生を倒せば上は絶対にびくつくもの。」

おそらく今頃上層部は先生の怪我にあわてふためいているだろう。

「だがGS業界をびくつかせてどうしようというのだ?」

「分からない?世の中にある超常現象はねえ、素人には手が出せないの。

だから超常現象の類は、全部オカルトGメン任せなわけ。

これから敵が何かしでかすときは全てオカルトGメンが出張ってくるの。

敵は恐れさせといた方が何かと動きやすいでしょう。」

「「そうなのか!!!?」」

「いや・・私の勝手な推理だから断言は出来ないけど・・可能性は高いと思うわ。

それより他の人達は大丈夫なの?」

小竜姫の方は勘九朗だから、どんな罠が仕掛けてようと心配ないにしても他の事務所の面子は大丈夫かと頭を過ぎる。

「特に横島君が心配ね。私の所にメドーサが来てないとなるとおそらくは横島君のところに・・・」

「美神よ、従業員を心配するのは分かるが、自分の師匠は気にならんのか。」

「えっ?」

「お主の師匠は魔物に襲われて意識不明なんだぞ。」

「まあ、確かに心配だけど・・・・・ 今はそれどころじゃないから。

とりあえず私は今から従業員の無事を確認するわ。

鬼門はこのことを信頼出来る者にだけ話して、みんなの協力を仰いで。」


「「了解した。」」

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そこにいたメドーサは俺が初めてあった時のものでも、また月で生まれ変わったものでもなかった。

ちょうどそれらを足して二で割った大学生的な感じである。

おそらくは魔力、身体能力の最盛期であろう。

だが、今の奴にはそのころには無い経験がある。そのせいかこころなし余裕が見られる。

服装は月の時と同じく動きやすいひらひらスカートと、上半身は人間でいうボディコンに近いものである。

そして手には刺又のかわりに槍を持っている。

槍のほうは業物であることに疑いないが、構えが堂に入っていることから槍の心得もあるのだろう。

俺は右手で霊波刀を構え、左手に文珠を持ってメドーサと対峙した。

「メドーサ、お前がなぜここにいる」

「お前に答える義務はないだろう。」

「何のためにお前は動いているんだ」

「さあ・・」

「お前のバックにいる奴は何者だ、何が目的なんだ」

メドーサは溜め息をつきつつ、左手で髪をかきあげた。

「おいおい、私はあんたの質問に答えに来たんじゃないよ、

まあ、一つぐらい答えてやるよ。私に出された指令はねえ・・・・・・・

           ごくん

俺は唾を飲み込みメドーサに対する注意を逸らすことなくその続きの言葉に耳を傾ける。















        『横島忠夫をルシオラのところに送ってやれ』
 


だよ。まったく、ルシオラのやつは地獄にいるんだからどんだけがんばっても会えないのにねえ。笑っちまうよ、あっはっはっはっは。」
.
.
.


「黙れ」

その声は静かに、しかし、また怒りも込められていた。

「えっ?何言っているんだい ルシオラはねえ、生きていた時間こそ短いけれど殺した人間の数は半端じゃないよ。そんな奴があの世にいけるわけないじゃないか。そうだろ?」

「お前にルシオラを言う資格は無い!!」
 
自分の頭に血が昇って行くのを感じた。

「ふん、図星かい?まあ、人間なんかにとち狂う奴は総じて馬鹿ばっかりだけどね。」

「黙れ!!!!!!!!!!!!」

俺はメドーサに向かって霊波刀で斬りつけていた。


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どうやらメドーサの奴、ポチを怒らせて判断力を落とすのには成功したらしい。

『ふふ、メドーサの奴、上手くやってますね。』

『ああ、戦いでは自分のペースに相手を巻き込むのは基本だからな。』

特殊な水晶玉でメドーサとポチの戦いを覗くご主人様とその部下と私。

『ご主人様、一つお聞きしてもよろしいでしょうか?』

『何だ?』

低音の、そして威圧感のある声が響く。

『何故メドーサなのでしょうか?ご主人様ならもっと腕の立つ部下を持っていると思うのですが』

「メドーサの奴は横島と対戦経験が何度もある。そして奴には何度も邪魔されてる以上その恨みは相当のもんだ。その恨みを晴らさせてやろうと思ってな。」

「本当にそれだけですか?」

「そして、生き返らせた駒の実力を見るためでもある。」

「そうですか・・・・・・」

本心は別のところにあるのだろうが現時点では話してくれそうにない。

「ところでご主人様、メドーサはポチ、いえ・・横島に勝てますか?」

「そんなことはどうでもいい。」

「えっ!?それはどういうことですか?」

「べスパ、お前がそれを知る必要はない。」


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俺は気づいた時には既にメドーサに襲い掛かっていた。

「なめるんじゃないよ!」

ほぼ同時にメドーサも動き出す。

俺は右手の霊波刀を大きく伸ばしメドーサに向かって垂直に振り下ろした。

メドーサは槍を両手で持ち、受け止める体勢に入った。

”もらった、メドーサは俺を軽んじて俺の霊波刀を受け止める気でいる”

だが、軽んじていたのは俺の方だった。

メドーサは俺の攻撃を槍で受ける瞬間に、体を右にずらし、力の向きに逆らわないように俺の霊波刀を振り下ろさせた。

ドッカーーーン

霊波刀の振り下ろされた場所には先ほどの魔力砲とほとんど変わらない大きさの穴が開いた。

メドーサは先ほどの右にずらした勢いを加え、そのまま跳び上がり、上段跳び回し蹴りの体勢に入った。

右手でガードするのは間に合わないと判断し、膝を曲げ回避の体勢に入った。

だが、ここでまたしても冷静さを欠いてしまった。

避け切ったと勝手に即断したが、敵もさるもの、俺の回避行動を読んで上段から中段に蹴りの軌道を変えてきた。

俺は予想外の攻撃のため喰らう瞬間に首を捻ることも出来ず、もろに喰らってしまった。

ドゴーーーーーーン

俺は大きく吹っ飛び、地面を三メートルほど滑った。

「ふん、所詮人間だね。」

”くっ、視界が回りやがる、さっきので軽い脳震盪を起こしちまった”

俺は首を振りどうにか視界をはっきりさせる。

「おら、どうした、そんなもんかい、そんなんじゃルシオラは浮かばれないよ。」

「なにい!!!!!」


と、その時、身体の中に軽い電流が走った。


”落ち着いて ヨコシマ”

ルシオラ?

”『落ち着くんじゃ、横島』”

次に猿神の声が聞こえた気がした。

”そうだ、修行時代にもこんなこと言われたなあ。

そしてその結果猿神にいつも以上ににやられたっけ。

感情はいつも冷静に、昂ぶった感情では勝てる相手にも勝てない。

冷静に相手を観察すれば弱点が視えてくる、だったかな?”

「おら、横島 もう終わりかい?まったく、ルシオラのやつはこんな奴のために死んだのかい。」

先ほどの軽い電流で少し頭が落ち着いた所為か、メドーサは俺から冷静さを奪うことが目的だということがすぐに分かった。

「言いたいことはそれだけか?メドーサ。」

「なにい!?」

俺は大きく深呼吸をし気持ちを落ち着けた。

「ルシオラを死なせたのは俺がふがいないのが原因だ。」

「ほう、えらくあっさり認めるじゃないか」

顔は平静を装っているが、その声には明らかな驚きが込められていた。

「だが、そのことと今のお前との戦いには何の関係もない。」

「くっ・・・・・」

俺は冷静さを取り戻した。

メドーサが先ほど襲い掛かってこなかったのはおそらく文珠を警戒してのものだろう。

「これからが本当の勝負だ、メドーサ!!」

「ふんっ、やってやるよ。」

こうして俺とメドーサの長い戦いが始まった。 

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