ザ・グレート・展開予測ショー

幽霊ホテル(3)


投稿者名:R931
投稿日時:(05/ 7/ 2)

 幽霊ホテル(3)

(ルシオラ、なんで・・)
かつての恋人であり、彼を助ける為に命を散らせた女性が何故か目の前にいる。
「ルシオラ、何でお前がここに?生きていたのか・・。」
そんな事はありえないということは解っていた。しかし、目の前に彼女がいると認識するだけで、横島は簡単に混乱した。ルシオラは何の反応を示さずただこちらを見つめている。
(くそっ、何がどうなっているんだ・・)








「たくー、いつまで寝てるのよ!」
約束の時間はとっくに過ぎ、もう夜中だ。まあ、タマモですら前日からの疲労の為、今の今まで寝ていたのだが・・

「こらー、ヨコシマ!起きろ!」
ドンドンドンドン
横島を起こす為に彼の部屋のドアを叩くタマモ。
(全く、いつまで寝れば気が済むのかしら?)








「ルシオラ!俺だ、横島だ。何か言ってくれ!」
(おかしいぞ、このルシオラは・・。まさかっ!)
彼の問いになんら反応を示さないルシオラに、漸く冷静になる横島。
(もしかしてこいつは・・)
考えが纏まりかけたその瞬間。

「こらー、ヨコシマ!起きろ!」
ドンドンドンドン
(な、タマモか?)

彼の注意がタマモに向けられた、瞬間。
ルシオラの姿は消えていた。
「やっぱり・・。これがこのホテルの幽霊なんだ。」








「それじゃぁ、この部屋に例の幽霊が現れたのね?解ったわ、調べてみる。」
あの後、横島はタマモにこの部屋を調べてもらうことにした。彼女の超感覚なら、あのルシオラや他の幽霊達の正体が解るかもしれない。

それにしても・・
(あれはなんなのだろう?)
横島は仮にもオカルトのプロだ。あれが幻術であれなんであれ違和感ぐらいは感じるはずだ。しかしあのルシオラは・・・全く違和感を感じなかった。
本物の彼女で無いのは確かだ。それなのに横島は彼女を本物と認識していた・・
(くそっ、いったいこのホテルはどうなっているんだ!)

「・・シマ。ちょっと聞いてるの、ヨコシマ?」
タマモの声にはっと気づく横島。集中するあまり、周りに目がいってなかった。
「何呆けてるのよ。それより本当にこの部屋で幽霊をみたの?」
「どういうことだ、タマモ。」
「どうしたもこうしたも無いわよ。この部屋にそれらしい霊的痕跡なんて全くないわよ。夢でも見てたんじゃないの。」
(なんだって?)
今度こそ言葉を失くす横島・・








「では、あなたがどんな幽霊を見たか教えてくれませんか?」
ホテル内にある喫茶店で横島が上品そうな女性に質問をした。

「はい。私はこのホテルに一ヶ月くらい滞在しているんですが、その間に5回ほど幽霊を見ました。私の前に現れるのは私が小学校のころに死んでしまった祖母でした。5回とも私が寝ているときにふと眼を覚ますと私の前に立っていました。特に何もすることも無く、暫くすると自然に消えてしまいましたが。私の主人も眼を覚ました時がありましたが主人には何も見えなかったそうです。」
「そ、そんなに幽霊を見てしまったのに、このホテルを出ようとは考えなかったんですか?」
「主人もそう言いました。けど、何の危険もありませんでしたし、祖母にまた会えたようで少し嬉しかったものですから。」
その女性は穏やかな表情をした。本当に危険を感じてないらしい・・
「そのお婆さんとは親しかったのですか?」
「ええ。両親が仕事で居ないときなどは、いつも私の面倒を見てくれましたから。だから、祖母が死んだ時はとても悲しかったです。」








「たくっ、どうなっているのよ。この事件は!」
一通りの聞き込みと調査を終え、ホテルのレストランで遅い昼食を摂っている二人。時刻は2時過ぎ、ピークは過ぎたらしく客はほとんど居なかった。
「何の為にこんなことをしているのかしら?目的が全く見えてこないわ。」
(確かにおかしい。初めはこのホテルに対する嫌がらせかと思ったんだが・・)
商売となれば必ず敵はできる。しかもこのホテルは場所が場所なので、常連客さえ離れればどうしようもなくなるに違いない。しかし実際にここで起きていることは・・
幽霊を見たと言う人達から話を聞いたがほとんどは、いや全てがその幽霊に不安や恐怖を感じてなかった。いや、むしろ昔の思い出に浸ることができて喜んでいた。連れが嫌がったという話もあった。少しずつでならホテルに悪評が立つだろう。しかしそれではまどろっこしすぎる。いくら直接害を与えられないにしても怪物の一つでも見せればあっという間だろう。
(くそっ!なんなんだ、このホテルは。)
何度目になるかわからない悪態をつく横島・・

(なんで柄にも無くシリアスしているのかしら?)
昨日の夜に幽霊を見てから横島の様子が少しおかしい。普段の横島からでは想像出来ないような重い雰囲気をだしている。
(いったいどんな幽霊を見たのかしら・・)
痕跡を見つけることはできなかったが、横島の変わり様からただの夢という訳ではないらしい。自然と視線を横島に向けるタマモ。

「何か用か、タマモ?」
こちらの視線に気づいたらしい。
「べ、別に用なんて無いわよ!それよりさっきから一人で考え込んじゃって何か解ったの?」
赤くなっているのが自分でも感じられる。
「いや、いくら考えてもこの事件の目的が解らないんだ。お前はどう思う?」
気づかれなくてほっと一息。
「こんなことをしても嫌がらせにもならないわ、私にはここの幽霊はただの悪戯にしか見えないけど。」
「悪戯か・・」







「コーヒーのお代わりはいかがですか?」
ウェイトレスのお姉さんが声をかけてきた。結構な美人でいつもの横島なら即座にナンパしそうなのだが、
「いや、遠慮しておくよ。それより君はここでの仕事は長いの?」
そんな素振を見せずあろう事か仕事の話を始め様としている。
「はい。私は1年ほど前からここで働いています。」
私たちがGSだと言う事は支配人が全スタッフに既に伝えているので話はスムーズに進んだ。
「それじゃ、最近幽霊騒ぎ以外に変わったことは無かった?」
「いえ、とくには・・あっ。そういえば幽霊騒ぎが始まる少し前から厨房のほうで料理の材料や残飯が荒らされているらしいです。」
「えっ!それは森にいる野犬とかの餌になっているだけじゃないんですか?」
「違います。ここは森が近いから、下手に残飯とかをほっとくと野犬とかが寄り付いてお客様に迷惑が掛かります。だからそういうのを肥料にする機械がここにあるんです。その肥料は近くの菜園でつかわれています。菜園って言っても普通の畑の何倍もあるんですよ。しかもそこを管理する為だけに雇われた人もいるんです。最近の残飯荒らしは外からではなく中から起きているらしいんです。動物かなんかがこっそり住み着いたんだと思います。」

このホテルの中に何か居るようだ。
「・・どうするの?」
幽霊事件が始まる少し前からこの騒ぎが起きている。まあ、他に有効な手掛りも無いわけだし・・
「じゃあ、ちょっと調べに行くか。」

俺たちは厨房に向かった。








------------------
R931です。
最近忙しくて結構時間を空けてしまいました。
一応3話目ですが自分の文才の無さにものすごく凹んでいます。
いまさらですか俺の作品は、それらしいものになっているのでしょうか?
特に情景描写とかが全然書けません。
こういうのを書くのは初めてだったので勢いでここまできましたが、
周りの方の作品を見てしまうと俺のがどんなにヘボか嫌でも感じてしまいます。
こんなショボイ文を投稿していいのでしょうかね?
------------------

今までの コメント:
[ 戻る ]
管理運営:GTY+管理人
Original GTY System Copyright(c)T.Fukazawa