ザ・グレート・展開予測ショー

目覚めて見れば…15


投稿者名:K.M
投稿日時:(05/ 6/23)

心眼と和解した後、未だ食べ続けている雪之丞と一緒に飯を食べた。

いや〜美味かった…やっぱり食べ物の味って精神状態に大きく左右されるんだな…

「って!雪之丞それは俺の肉だ!」

「ふ…油断しているお前が悪い…って俺の海老が消えた!」

「うむ、確かに油断している方が悪いな」

などと言うやり取りが小竜姫様がピートを連れて帰ってきたことを、おキヌちゃんが伝えにきてくれるまでそれは続けられた。

おキヌちゃんにはえらい白い目で見られたけど…


目覚めて見れば…15


知らせを受けすぐピートの部屋に向かうと横島と心眼以外全員いた。

心眼は小竜姫と会うと正体がばれる可能性があるため来ないように言ってある。

そのため、実質横島が最後だ。

一通りの説明を終えた小竜姫は横島達の前でベットに横たわるピートに向かい手をかざす。

かなり強力なヒーリングだったのか傷がふさがりピートが飛び起きた。

「たっ…大変です!メドーサの美神さんが…っ!!地下は針だらけでなんとか勘九朗だけはゾンビから…!!」

が、起きるなり'うおおおおおうっ'と言った様子で横島の襟首を引っ掴み支離滅裂な事を騒ぎ出す。

「おっ…落ち着け!落ち付いてくれ!!」

首を締められ凄い勢いで体を前後にさせられる横島が何とか説得しようとするが効果は無かった。

「…!どうやら香港での活動限界時間が来たようです」

錯乱したピートと助けを求める横島を小竜姫はあっさりとスルーしそう呟く。

「小竜姫様大丈夫ですか?」

角が点滅しだす小竜姫におキヌが駆け寄る。

「安心しなメドーサとケリをつけたいんだろ?時間が来たら起こしてやるさ」

「頼みますよ…」

「うまく言ったら日本GS協会のブラックリストから俺を外す件…」

「――分っています」

この言葉を最後に角だけを残し小竜姫の姿が消えた。

………
……


「こーなったら正面突破だ!アジトの上にある建物を片っ端から襲えば」

「そんな作戦しか立てられない頭なら黙ってろ!」

「何だと!」

「そんなことをしても全員やられるだけだろう!?」

「あ〜待て待て!」

罵り合いからつかみ合いになるピートと雪之丞を、おキヌちゃんが泣き出す前に二人を引き剥がす。

「横島!お前だって神様とはいえ女にあそこまで馬鹿にされて落ち着いていられないだろ!」

「良いからちょっと聞けって正面突破か落ち着くかを言い争うかより建設的な案があるからそれを聞いてからでも遅くないだろ」

詰め寄ってきていた雪之丞もその言葉を聞いて渋々といった様子で席に座る。

「先に確認するけど俺達の目的は美神さんの救出、勘九朗の身柄確保…そしてメドーサの原始風水盤使用の妨害」

横島はここで一呼吸置き周りを見回すが特に反論は出ないので言葉を続ける。

「具体的な作戦だけど、ピートと雪之丞は小竜姫様を連れてバンパイアミストでさっきの亀裂から侵入して美神さんを助けてもらおうと思う。

多分向こうさんも同じ場所…しかも前罠を仕掛けられた場所からから来るとは考えてないだろうから結構効果的だろうし」

「成る程…一度待ち伏せされた場所からまた侵入する。確かに効果的かもしれませんね」

ピートの呟きを聞きながら先をするめる。

「で、俺達はって言うと別ルート…さっきピートの話だとゾンビ達が使うルートが地下鉄のトンネルにあるんだろ?

俺と心眼はそっちから陽動として行こうと思う」

「陽動って…横島さん達だけでメドーサが来たらどうするつもりですか!?危険過ぎます!」

「いや、メドーサは多分は美神さんと一緒に原始風水盤の近くに居るとだろ…精々きて勘九朗だから逃げるくらい出来るし、

場合によっちゃあ地下鉄の駅や人の多い所まで逃げれば追ってこないだろうから大丈夫だろ」

「ちょっと待て!勘九朗は俺が説得する!俺も陽動の方に回らせてくれ!」

「待てって…陽動の戦力集中しても意味が無いし…勘九朗が来るとも限らないだろ?」

再び詰め寄ろうとしている雪之丞に釘を刺す。

「それに、メドーサと真正面から戦って勝てるのは小竜姫様だけだ。

だから小竜姫様を消耗させないでメドーサの元まで連れて行かなきゃならならない…

妨害するのはゾンビ達だろうから強行突破するなら無茶の効くお前達二人が適任なんだよ。

そして、小竜姫様とメドーサが戦っている間に美神さんを助け、

原始風水盤ぶっこわして勘九朗を皆でボコる…これがベストのはず」

「あいつだって好きでメドーサの手下で居るわけじゃない筈だ…」

横島の言っていることが理に適っているのが分っているのか、

先ほどのような大声ではなく丸で自分に言い聞かせるように雪之丞が呟く。

一度仲間になった相手なら例え自分を殺そうとしたとしても何とか助けようとする。

義理堅く情に厚い雪之丞らいしが、横島の知る過去では皮肉にも雪之丞自身が手に掛けている。

「分った…そう思うならさっさとメドーサ倒して美神さん助けてこっちの救援に来てくれ。

正直勘九朗とゾンビ軍団を相手にするのは大変そうだからな。で、どうだこの作戦は?」

「いいと思います。このまま考えたり正面突破するよりずっと確実だと思います」

「ああ、流石俺がライバルと見込んだだけあるな」

「…横島さん…そのこの作戦、横島さんが本当に考えたんですか?」

今まで黙っていたおキヌが控えめにそう突っ込む。

まあ、いきなり横島がこんな計画を話し出せば誰かしら不信に思っても仕方が無いだろう。

「あはは…やっぱりばれたか、実を言うと少し前心眼と作戦について話したんだ」

「えっ、でも横島さんと心眼さんは…」

「うん、仲直りした」

言いよどむおキヌの言葉を横島が継ぎあっさりとそう答える。

「おキヌちゃん達にも随分心配してくれたんだろ?ありがと」

「…いえ…そんな」

そう言って微笑えみ頭を撫でる横島におキヌは顔を赤くして俯く居ていた。

止める役(美神or心眼)が居ないこの部屋で横島はおキヌと共に甘い雰囲気を垂れ流していたとか。

………
……


「全く…この非常時におキヌ殿と乳繰り合って居あるなどけしからん!」

「だ〜か〜ら〜そんな事やってないって、大体ピートや雪之丞がいるんだぞ?」

「…どうだかな…」

突入の準備を整えた横島と心眼は今九龍の地下鉄の駅に居る。

ここに来るまでに先ほどの会議のことをネチネチと心眼にいびられている。

多分、'会議に出るな'と横島に言われたのが面白くなかった…と言うか寂しかったのだろう。

その事を横島もパス越しに理解しているからこそ、こうやってくだらない掛け合いをしていたのだ。

「…そろそろ行くぞ心眼」

先ほどまでのふざけた口調ではなくシリアス声で横島がそう宣言する。

今頃ピート達も九龍トンネルに向かっている頃だろう…

因みにおキヌはピート達と一緒だ。

こちらに来たそうだったが心眼が横島とおキヌを同時に守るのは無理だと説得し諦めて貰った。

「うむ、こちらの準備はできておるそれより場所は分っておるのか?」

「ああ、ピートの話だと霊気も出てるらしいし俺も大体の場所は覚えてる」

横島の意を汲み取った心眼も先ほどとは違いふざけた様子は微塵も無い。

「あっ…俺に知っている通りになるなら美神さんは土角結界に捕まっていて、俺達の行く方に勘九朗が居る事になる」

「美神殿も土角結界に捕まってるのか?」

「ああ、唐巣神父のような捕まり方じゃなかったけどな。まっどちらにしろ勘九朗の手が必要になる。

だから最初に勘九朗の腕切り落として心眼が先に行ってくれ、そうすればピート達の方と良い具合に合流できるはずだから」

「…その後小竜姫殿と一緒に一緒にメドーサを倒せばよいのか?」

「いや、小竜姫様とメドーサの戦いって超加速での戦いだから俺達じゃ手が出せない。

だから心眼達は美神さんを助けたらさっさと針を破壊して脱出してくれそうすればメドーサも引くだろうし、

それに旨くいけば勘九朗もメドーサに見捨てられたと思って投降するかもしれないからな」

「…む〜それならばこそ、ピート殿達もこちらに来た方が良かったのではないか?お主の知って未来でもそうだったのだろ?」

「ああ、それも考えたんだけど、針って教会を襲ったゾンビが運んで来るだ。

そうなると勘九朗に2人、針に一人美神さんに1人だと戦力が分散するし、

それに勘九朗だって2人かかりでも前は苦戦してたから万が一ってこともあるからな。

俺が勘九朗と戦ったほうが確実だと思ったんだよ」

「…確かに悪くない案だが一つ気になる事がある」

確かに悪くない案だが心眼には一つの懸念が浮かぶ。

「えっ?何か問題あるか?」

「…その…お主…本当に大丈夫なのか?」

「…何が?」

心眼が心配そうに聞いてくるが何を心配しているのか横島には分らないようだ。

「いや…我が抜けた後お主の実力で本当に勘九朗に本当に勝てるのか?残るなら我の方が良いのではないのか?」

「………はっ?」

全く想像していなかった疑問に間抜けな声を上げる。

その横島の様子を見て今までも持っていた心眼は自分の持っていた懸念を口にする。

「確かにお主の霊力は凄まじい…文珠などと言う反則的な力も持っておるのだから大抵の敵には遅れをとらんだろう…

だが勘九朗のように霊力が高く接近戦を得意としている者を相手にするには危険であろろ?

大体お主には接近戦をする術が無いだろうに」

「ち、ちょっと待ってくれ、なんで俺は接近戦が弱いこことになっているんだよ」

「む?何故って…今言ったようにお主には接近戦をする術が無いだろ?

文珠は近づかれると使い辛いだろうし、サイキックソーサーとて防御こそ出来るが基本は飛び道具だでないか…

しかも特に体術に優れているわけでもないGS試験の時もそうだっただろ?

…お主こそどうやって戦うつもりだ?」

そうなのだ横島は心眼が居るときにまともな戦闘をしたことが無いのだ。

まあ、力を隠しているのだから仕方が無いと言えなくも無いのだが、

心眼にそんなに弱く思われていたことに少なくないショックを受ける。

「…俺ってそんなに弱く見えるか…」

「あっ…いやそう言う…分けでは…」

歯切れの悪い否定がさらに横島はさらにショックを受ける。

まあ、何時も心眼の目の前で美神にのされていれば仕方が無いだろう。

ショックのため肩を落としていた横島が不意に顔を上げる。

「……この辺りのだ…」

「うむ、確かに霊気が出ているな」

「あっ、そうだちょっと見てろよ」

そう短く言うと横島は霊波刀を出し一閃すると轟音と共にトンネルの一部が吹き飛び人が通れる位の穴が開く。

「…お主…霊波刀なんぞ使えたのか?」

「ああ…少しは見直したか?」

驚いた様子で見上げてくる心眼に悪戯に成功した子供のような笑みを向けてくる。

「まあ、こんな分けで俺は接近戦が苦手なわけじゃない心配は必要ないぞ」

「ああ、すまぬ要らぬ心配だったな」

「いや、心眼は俺の事を心配してくれたんだろ?ありがとな」

「…別にそう言うわけでは」

ポンポンと頭を撫でる横島に居心地悪そうにそう言う心眼だが顔が心なしか赤い。

「えっ?じゃあ心配してくれないのか」

「う〜…むっ!あれは…ケルベロスの石像?」

あからさまに話題を逸らす心眼に苦笑しながら横島も気を引き締める。

「ああ、あれはゴーレムだ。しかも妙なコーティングされってっから霊的な攻撃で倒すのは難しい」

横島がそう解説すると同時に近づきすぎたためかケルベロスが活動を開始する。

即座に心眼が飛刀型の霊波刀を投げつけるが傷一つ付かない。

「…ならばどうするのだ?」

「前は石で表面を削って霊波砲で止めを刺したんだけど…かなり危険だよな…」

ふた抱え程もある石の塊の直撃を受ければただでは済まないだろう…

以前自分がしたこと作戦は今考えるとかなり無謀な作戦だったようだ。

「だがそれしか方法は在るまい。我が表面を削り取るのでお主が止めを刺してくれ」

「待ってて、一応手段は考えてあるちょっと勿体無いけどこれで倒すから心眼は後ろに下がってくれ」

そう言って双文珠を見せる横島の指示に従い少し後ろに下がる。

「…霊的な攻撃な攻撃を効かぬのだろ、文珠でどうするつもりだ?」

幾ら文珠で攻撃したと言えど霊的な攻撃である事には変わらないはずだ。

それとも文珠ならばコーティング剤の限界を超える威力を発揮出来ると横島が踏んでいるのかが心眼には読めなかった。

「いや、ちょっと閃いたことがあってな」

そう言うと横島は拳大程の岩を足元から素早く拾い手に持っていた双文珠に、'音/速'の文字を刻んだ。

横島のやろうとしている事を理解した心眼が止めようとするがそれより早く岩に文珠が使用された。

無音で放たれた岩の弾丸は、放たれたとほぼ同時に弾丸の数倍の大きな穴をケルベロスに穿ち…

ドカーーーン!!

爆音のような破砕音と共に背後の壁は広範囲に渡り削り取られた。

「…すげぇ…」

呆然としてる心眼に横島が間抜けな声を上げる。

「…こっこ、この馬鹿者!!敵と戦う前に洞窟ごと生き埋めになるつもりか!!」

「いや…こんなに威力が在るとは思ってなかったんだよ」

涙目になって怒鳴る心眼に横島が情けなく言い訳をする。

弾が岩だったからケルベロスへの接触時に粉々になり洞窟の表面を削り大きなクレーターを作るだけですんだのだ。

文珠の持続力は分からないが、もっと頑丈な鉄球等密度の高い物で同じ事をやっていたら、

ケルベロスをぶち抜き壁を突き崩し天井が崩れる可能性もあった。

心眼が怒るのは当然だろう。

「ま、まあ俺達側が陽動なんだからこれ位派手にやっておくのも良いだろ?」

「やり過ぎだ!大体お主は…「心眼!!」

説教をしようとした心眼の言葉を遮るように横島が行き成り心眼を抱き寄せる。

「…こ、こら!何をするのだ!こんなことで我は誤魔化されないぞ!

あっ…別に嫌だと言うわけではないなが手順と言うものがだな!」

「何言ってんだよ!敵!!」

赤らめた頬に手を当て、らしくない言葉を吐く心眼を、横島は肩を前後に揺らす。

「………えっ?」

その言葉で正気に戻ったのか辺りを見回すと心眼の少し後ろに心眼の身長位の長剣が刺さっている。

「随分と勘が良いのね」

「勘九朗か…まっ予想通りか」

洞窟の奥からオカマ言葉が聞こえてくる声に横島が呟く。

「そうなの?私としてはそうじゃないのよね…雪之丞もバンパイアの坊やも居ないようだし、

二人は何処かしら…素直に答えれば降伏をさせてあげるわ」

「…行き成り剣を投げつけておいて降伏を許してくれるなんて随分と寛大だな」

ブスッとした様子で答える横島には'降伏します'といった様子は、当然見られない。

「そう…残念ね…坊やの事は結構好きだったんだけど…ね!」

その声と同時にに勘九朗が霊波砲を放つ。

横島はそれをサイキックソーサで受け止め間髪要れずにそれを投げつける。

勘九朗もサイキックソーサを遠隔操作できるのを知っているためか、霊波砲で迎撃するが横島の思う壺だ。

(予想通り)

サイキックソーサの爆発に紛れ間合いを詰め…

「サイキック猫だまし!」

両手に霊力を込めた拍手が炸裂し勘九朗の目を強烈な光が焼く。

これが攻撃だのならば勘九朗も防御するなり避けるなり出来たかも知れないが、

予想していない目晦ましではどうすることも出来ず悲鳴を上げる。

その隙を横島が逃す筈も無く勘九朗の右腕を切飛ばす。

「心眼!作戦通り頼むぞ!」

「心得た!」

「あっ…もしももの時はこれも使ってくれ」

走り出そうとする心眼に幾つか文珠を横島は放る。

「うむ、お主こそ不覚なんぞ取ったら承知せんからな」

「ああ、了解」

その答えに満足したのか心眼が洞窟の奥へと走り出すのを見送り勘九朗に視線を戻す。

「クソ餓鬼が!」

サイキック猫だましの効果が切れたのか切り落とされた腕を押さえ勘九朗が吼える。

(あぁ…やっぱ怖えな…でも、こいつに原始風水盤を起動させないために足止めをすれば問題ないはず…一丁やるか)

勘九朗と心眼を戦わせるより小竜姫と居させたほうが安全だと予想したが

その考えが甘かった事に気がつかされるのはもう少し後の事だった…

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〜あとがき〜

>出来るだけ早く書くよう頑張りますので…

全然早くなって無い…忙しすぎるぞ!ちきしょ!

て事を置いといて、「目覚めて見れば…15」を読んでいただきありがとうございました。

以上

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