ザ・グレート・展開予測ショー

夏の海辺


投稿者名:偽バルタン
投稿日時:(05/ 6/20)

空は雲ひとつ無い晴天で…日差しは肌を刺す様に強く…じっとりと蒸し暑いのは湿度が高い所為だろう。
そして、鼻を突くのは潮の香り…

そう、ここは海辺だ。

東京から少し離れた、寂れた海水浴場…到着までに随分とかかった。
人影はまばら…何かぱっとしないし…あんまメジャーな所じゃないらしい。
何より、いくら暑いつってもまだ6月だからな…海開きにはちと早い。
でもまぁ丁度いい…ごちゃごちゃ込み合ったのは好きじゃないしな。
…で…


「きゃうぅ〜ん♪
せんせせんせ!海でござる海でござる!うみでござるよ〜vv」


今このオレ、横島忠夫はシロとふたりそんな場所に居る…




夏の海辺




まぁ、理由は何てこと無い…この可愛いバカ弟子が、海に行きたいと駄々こねたのだ。
聞けば、TVの番組で『この夏お薦め、海のレジャー』とか何とか…特集組んでたの観たらしい。
…で、あんまり『海!海!!』煩く騒ぎ立てるモンだから、美神さんがキれちまって…
結局『弟子の不出来は師匠の責任!』と理不尽極まりない理由で、オレが引率をお仰せ付かった…と、まーそーゆーわけだチクショウ(涙)


「ほらほらせんせー!早く早く」
「お〜…って、オイ!?」


しゅばばッ…止める間も無くばばっと電光石火で服を脱ぎ捨てるシロ…ってぇ!!?
わ!?ばか!!せめて物陰で……!!
…あ……なんだ下に水着つけてたのかよ。…って何ガッカリしてるんだオレはッ!?

まぁ…それは兎も角…事務所から着てくるなんてなぁ。
シロの奴海に着いてから着替える間も惜しかったのか?気合入ってるな。
…とか思ってたら…

ぐわしッ


「…え?」
「わぉ〜〜ん♪」
「ちょ…こらオレはまだ着替えが…ま…ひ、ひきずるなぁぁぁぁ!?」


ずるずるずるずる〜
何時も以上にハイテンション…ハシャギまくるシロに…オレは抵抗すら出来ず、容赦なく首根っこ掴まれた挙句、引き摺られ連れ回される羽目になったのだった…勘弁してれ…


でもまぁ…仕方が無いか…何せコイツは山育ちだ。海だなんてひょっとしたら六女のアレくらいでしか経験していないかもしれない…と、すれば興奮するのも無理は無い。
これ位はオレが付合ってやらにゃないかんよなぁ…師匠として。


水辺ではふたりで水の掛け合い、沖の方まで遠泳し、浅瀬をちょっと潜ったりして。
砂浜ではビーチフラッグにビーチバレー、砂のお城を一緒に作り、砂風呂よろしく首だけ出して埋まってみたり。
岩場の方に足を運べば、蟹にヤドカリ、小さな魚…でもフナムシだけは勘弁な。
お腹がすいたら浜茶屋へ…海の定番粉っぽいカレーと具の少ないラーメンを堪能して…


一通り、海での遊びを満喫し、すっかりご満悦のシロ。
流石に疲れたのだろう、今はオレと並んでシートの上で休憩中だ。

ふたり心地良い疲労感に身を任せ…静かで気持ちのいい時間が流れる中、ふとシロが切り出した…


「ね…ねぇせんせぇ…この水着どうでござるか?ヘンじゃないでござるか?」


シロが身に纏う水着は、シンプルな黒のワンピース。

大胆なカットに、大きく開かれた背中と、結構際どいシロモノなのだが、それでもあまり“厭らしさ”を感じない。
寧ろ、健康美溢れるシロの、その子供っぽくも可愛らしい…そんな魅力がより引き立つ。


「…ん、あぁ…
美神さんに買って貰ったんだっけか?よく似合ってる…カワイイぞ」


美神さんは、何だかんだいって“身内”にはとても甘い。
それが “妹分”である事務所の女性陣となれば尚更だ…シロだけじゃなく、おキヌちゃんにもタマモにも、何かにつけて色々と買ってあげてるらしいし、お小遣いもあげてるようだ。

今シロが着ている水着も、そんないきさつで、皆で出かけた時買って貰った一着らしい。
…因みにその際…シロが『せんせーを“のーさつ“してやるでござるぅ♪』とか言いながら、素っ裸よりも恥しい”オトナ向け“の水着を買おうとして、美神さんからガツンとゲンコ喰らう、だなんて微笑ましい一場面があった…と、後にタマモが聞かせてくれた。
…どんな水着だったのかちょっと気になる…


「…ホント…?」
「ばぁか…オレがこーゆーコトで嘘言うわきゃねぇだろ?」
「え…へへ…えへへー♪」


にぱ…

何時もと何ら変わりない、実に他愛の無いやりとり。
シロの笑顔は真夏の太陽を思わせる…眩しい位に元気いっぱい、無邪気な可愛らしい笑顔だ。
でも…何か…今日のそのシロの笑顔は…

…どきん…


「…え?…」


…何故だろうか…何時にも増して、何だかとても魅力的で…


「え…な…なぁッ!?
(なっ?マテ!落ち着けオレ!!『どきん』ってなんだ!『どきん』て!?)」


どきん…どきん…

な、なんだってんだ?
オレは戸惑った…

大きく露出されたシロの素肌…
露になったカラダのライン…発育良好…特にちちやらしりやらは、日々大きく丸く成長しているのがよく解る。
血色の良い、健康的な薄ピンクの肌…幾つもついたまるい水滴のアクセサリーが初夏の日差しにきらきら輝く。
あどけない笑顔と…その頬や額にしっとりと張り付く濡れたプラチナの髪…

そんな、普段見た事の無いシロの姿に…
不覚にもオレは、確かな“艶”を感じてしまって…


「…?せんせ…どーしたでござる?顔が真っ赤に…ひょっとして日射病でござるか?」
「…はぇ!?」


ふと気が付けば…息のかかりそうな程スグ目の前に、『?』マークを浮かべたシロの顔…


「?」
「…へ?あ、わ!わ!…」


かぁぁ…
…顔が赤くなっているのを嫌でも自覚させられる。


「ややや…ナ、何でも無い!何でも無い!!」


どくんッ!どくんッ!
必死になって落ち着こうとすればするほどに、胸の鼓動は早くなって…でも自分ではどうする事も出来ない。

だってゆーのに、シロのヤツ…


「…ホントに…?ホントにだいじょぶでござるか…?
…こんな…こんなにアツくなってるのに…?」


こつん…
心配そうな顔で…オレの首に手を回し…おでことおでこをこっつんこ。
そんな事してくれるのだからたまらない。


「!!!???」


オレとシロ…ふたりの顔の間は、もう既にいくらも離れていない。
鼻先が触れ合う距離…互いの息がかかる距離…
あと少し首を動かせば、オレとシロの唇が…

ぼわっ…
…そう意識した途端、湯が沸いたみてぇーにオレのアタマは熱くなり。オマケに…
どくどくどくどくッ…
心臓が喉から飛び出してっちまうんじゃないかって位に、鼓動は益々跳ね上がり。

ぅぁぁ…こ、これはヤバイ!!

シロ相手に興奮だなんて…オレは必死になってその衝動に耐えた。
もし万が一コイツ相手に…そ、それは流石に洒落にならん(大汗


「あう…あ…ぅをあ?
(マテ、静まれオレ!相手はあのシロだぞ?幾ら見た目育ってるつーてもこいつぁまだまだ“がきんちょ”なんだぞ?実年齢にいたっちゃー下手すりゃひとケタだぞ!?だっつーのに!なんでこんなにドキドキしてますかー!?)」


必死になって、自分自身に言い聞かせる。
…が、オレの意思とは裏腹に、身体の方は正直(!?)なモンで…ぐつぐつと煮えたぎる様なアツいナニかが、オレの身中に湧き上り…カラダの一箇所に集中し、今にも迸りそうに…
って、だからシロ相手にゃヤベェってば!(汗

…そして、必死な…しかし傍から見れば滑稽かつ不審極まりないであろーオレの様子は、シロの不安を益々煽ってしまったよーで…


「きゅぅぅん…せんせぇ…」


トドメの一言。
泣き出しそうな表情に…可憐な唇から零れたものは、オレのコト呼ぶ切なげな呟き…
無論、コイツには、何ら他意はないのだろう…本当に心からオレのコトを心配してくれてるだけなのだ。
しかし…理性と煩悩の鬩ぎ合いで磨耗し、何だか色々と限界にまで追い詰められちゃってたオレに、その表情・その台詞は決定的に致命的。

結果…オレはアッサリとその限界をブッちぎって…


「ブフぁッ!!」


ぷしっ!!…ぷしゅしゅ〜…
盛大に、そして大量に、アツ〜い“鼻血”を迸らせながら、ぱたんとオレは砂浜に倒れた。
…シロの顔面にぶっかからんよう(血飛沫が)、とっさに手で顔面を押さえられたのは我ながら上出来だったと思う…お蔭で逆流とかして可也キツかったが。うん、自分を誉めてやりたいぜ。


「わ…わぅーんっ!?
せんせ?せんせ〜ッ!?しっかりするでござるよーっ!?」
「あ〜う〜…」


ゆっさゆっさゆっさ…
大騒ぎすしながらぶっ倒れた俺の身体を力一杯揺するシロ…やめんかアホ…んな事したら出血が酷くなんだろーが。

…で…そんな彼女の心配そーな声をどっか遠くに聞きながら…


「せんせー!せんせー!?お気を…お気を確かにーッ!?」
「……ぁ〜ぅ〜……
(違う…違うんだぁ…
シロ相手にドキドキなんて…これは何かの間違いなんだぁ…)」


どっくどっくどっく…
自分が流した鼻血溜りに沈みつつ、薄れ行く意識の中、オレはそんな事を考えていた…




お終い




後書き…
…ちと早いですが夏の定番、海のお話です。
横島クン本人必死に否定してますが、シロ嬢は充分に彼の“ストライクゾーン“に入ってると思うのですよ。
こんなのですが、御指摘、突っ込み等頂けると幸いです。

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