ザ・グレート・展開予測ショー

横島とメドーサ(2)


投稿者名:横叉
投稿日時:(05/ 6/19)

”バタン”

これが俺が小竜姫様をまともに見た最後かもしれない。














「さあ気を取り直して今日もバリバリ除霊するわよ。」

美神さんが一見いつも通りの声で言う。だがその声はいつもと何か違う。

俺も何か妙な胸騒ぎがする。

だが美神さんが特別何も言ってこないので黙っておくことにした。

「今日はどんな除霊っすか」

「えーっとね。 地方の山での除霊ね。結構被害が出てるみたいよ。」

美神さんが深刻な面持ちで言う。

「分かりました。気を引き締めてかかります。」

「あっ そうそう。あんた一人にやらすつもりだったけどなかなか凶暴な奴みたいだし、メドーサも不穏な動きを見せてるみたいだから、用心のためにタマモに除霊が終わり次第横島と合流するように伝えるわ。」

「ありがとうございます。でもいいんすか美神さん、飛行機代かかりますよ。」

「大丈夫♪その分は依頼者からふんだくるから(^^)」

「はは.............」

そのへんはさすが美神さんだ。

「それじゃあ私は別の依頼があるから。横島君そろそろ出ないと飛行機に間に合わないわよ。人口幽霊一号事務所の戸締り頼んだわよ。」

「了解。オーナー美神」



            ぷち


靴ひもの切れた音だ。

「やべっ、切れちまった。」

「あら その靴新しいのじゃなかったの?」

「ええ。ついこの前買ったばかりなんですけどね・・・・・・」





そうして俺は今飛行機の中でメドーサのことについて考えていた。

”メドーサと戦うのは三年振りか いろいろあったなこの三年間”

美神さんはアシュタロスを倒したことにより世界トップレベルのGSとして認められ、またそのうわさに違わぬ仕事っぷりで世界にその名を轟かせている。

おキヌちゃんも六道女学院を優秀な成績で卒業後、世界最高レベルのネクロマンサーとして現在後輩の指導に当たっている。

シロは元服のために実家の人狼の里に里帰りしている。

タマモはこの三年で霊力の成長もさることながら、美少女が美女という感じになり美神さん以上に道行く男を虜にしている。

ちなみにシロもタマモも特別GSという資格を取り優秀なGS二名以上の保護監督責任に置かれたときのみ妖怪退治をやっている。

なおGSが除霊に立ち会う必要は無い。

何か問題を起こしたときに責任をとればよいというシステムになっている。

そして俺の方は、アシュタロス戦後、自分の力不足を感じ、妙神山の門を叩いた。

そこで基礎から修行しなおし、双文珠も使いこなせるようになった。

だがどれだけ修行しても十分という気にはならなかった。

理由は二つあるが一つは猿神に勝てないということ、もう一つは死闘経験の不足である。

こればっかりは場数を踏まないと駄目なようだ。

猿神と互角とは程遠いし、小竜姫様ならまだしもだが、俺に対する殺気が弱い。

そのせいあってかどうもここしばらくあまり強くなってないような気がする。

もう十分強いと周りは言ってくれるがまだ駄目だ。このままではまた自らの力不足で大切な誰かを失うかもしれない。

それだけは避けねば・・・・・・

俺は自らにそう言い聞かせ今回の依頼書に目を通した。




「どうもお待ちしておりました。」

30代くらいの品のいい男が迎えに来た。

「美神除霊事務所の横島です。」

「村を代表して依頼した米川です。早速除霊の方をお願いしたいのですが......」

「ちょっと待ってください。他にもGSを【ピリリリリリ】すいません
ちょっと失礼します。」

俺は軽く会釈をして席をはずした。




「はい 横島です。」

「あっ ヨコシマ ミカミに合流するように言われているんだけど今抱えている事件がちょっと長引きそうなの。先に行って下見だけでもしといてくれる?終わり次第そっちに向かうから。」

「別に構わんがどのくらいかかる?」

「2,3時間ってところかしら。あっヨコシマ気を付けてね。なんだかいやな予感がするから絶対に無理しちゃ駄目よ。」

「狐の第六感か。分かった。気を付けるよ。」
        ピッ



俺は席に戻りほかのGSが少し遅れてくることを話した。

「とりあえず現場の下見だけでもしておきたいんで案内して下さい。」

「はい こちらです。」









そういって依頼人に案内されたのは巨大な山だった。

しかし見るからに不気味な山で何が出てきてもおかしくない。

「確かここで熊の亡霊が暴れまわっているんでしたね。」

依頼書に書かれていることだが、確認のために聞いておく。

「ええ。既に2人が死亡、5人が重傷、内1人は意識不明です。」

美神さんの予想通りなかなか凶暴な奴なようだ。

「分かりました。早急に解決します。」

「お願いします。」

依頼人は丁重に頭を下げた。

俺は依頼人に後を見送られ山に入った。








山の中に入ってみて驚いた。

辺り一面雑草が生い茂っており昼間だというのに薄暗く、地面も含めた辺り一帯から不気味な妖気を感じる。

おまけに道は似たような道が続いており目印を付けておかないと確実に遭難する。

戦いやすい場所を調べようにも調べる前に遭難しそうである。

「これはタマモの鼻がないとお手上げだな。」

そう思って帰ろうとした時



     ガサッ


俺は反射的に音の方に振り向き音の正体を確かめる。



ガサッ ガサッ ガサッガサッガサッ

その音は段々近付いてきている。山に住んでいる動物かもしれないが妖気が明らかに強い。

          俺はすかさず戦闘態勢をとった。

そして


          ガアアアアアアアアア

眼前に巨大な熊の亡霊が現れた。

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