ザ・グレート・展開予測ショー

幽霊ホテル(2)


投稿者名:R931
投稿日時:(05/ 6/14)

 幽霊ホテル(2)

「つ、着いた・・。」
結局、タマモの猛反対(実力行使)により野宿の案は却下され、知恵と勇気と文珠を駆使し、ようやく目的地にたどり着いた。着いた時にはもう日が明け、2人ともボロボロの状態だった。
「くそー、なんでいつもこんな目にあうんだー!」
「あんたの場合は自業自得でしょうが。」

「それにしてもでっかいホテルだよなー。」
それはこんな山の中には不釣合いなホテルだった。四方を山で囲まれ舗装された道もほとんど存在しないような所なのに、ホテルの外見は何処かの一流リゾートホテルと紹介されても不思議がないほどだった。

「ねえ、何でこんな場所にこんなのが建ってるのよ?」
「美神さんの話だとここは金持ち専用のホテルなんだ。何の干渉もなく、ゆったりとした時間が過ごせる、て言う売り文句で結構儲かってたらしい。」
「ああ、そういうこと。」
ある程度有名になれば、一人になりたい時もある。なにもかも忘れたいときもある。そういうときに外界と切り離された場所を自然に求めるものだ。ここはその条件にぴったりの場所だ。
(どうりで、ふもとの住人に道を聞いても何も知らないわけだ。徹底してるわね。おかげでこっちは、一晩中歩き続けるはめになったんだけど・・)
「とりあえず入るぞ。」








がつがつがつがつ・・
「ねーちゃん、これとこれお代わり!」
もぐもぐもぐもぐ・・
「くうー、このお稲荷さん絶品ね!最高級の油揚げを使ってるわ。」
たら(汗)
二人の食べっぷりに明らかに引いている今回の依頼人。
依頼人であるこのホテルの支配人はボロボロの二人を見て、
「仕事の話はあとにしましょう。食事でも用意しますよ。」
と食事に誘ったのだ。限界に近かった二人が断るわけもなく・・

「ふー、食った食った。」
「あー、美味しかった。」
「そ、それでは仕事の話に移りましょうかね。
 けれどもどその前に、昨日のうちに付く筈だったのが今日、しかもそんなボロボロになって現れた理由を教えてくれませんか?」
明らかに不審に思われている。

(やばい!実は迷ってましたなんてとても言えない。正直に話しても、それが美神さんの耳に入ったら絶対しばかれる!どうする?どうする?どうすればいいんだーーー!)
気の利いた言い訳が全く想いつかず言葉に詰まる横島。

「どうしてなんですかね?最悪事務所の方に直接問い質してもいいんですけどね。」
「いや、あ「実は昨日の内にホテル周辺の調査をしていたんです。」
(タ、タマモ!)
「今回の依頼は先に起きた幽霊騒ぎの原因究明と解決にあります。その原因が必ずしもホテルの中にあるとは限りません。より効率よく調べるために事前に情報収集をしていたんです。」
「なるほど。この辺りの山々はひどく迷いやすく、森には野生の動物もいます。ふもとの住人でさえ、遭難することがあるらしいんです。調査だけとはいえ、大変だったでしょう?」
「ええ、まあ・・」
「いや、その日の内にここまでのことをしていたなんて・・。さすがは名高い美神令子所霊事務所の方々ですね。」

タマモのフォローのおかげですっかりとこちらを信用した支配人が、本題について語り始めた。
「事前に話しの大筋は聞いていると思いますが数ヶ月前から、お客様が幽霊を見たという話が出始めたんです。初めのうちはただの見間違えだろうと思いました。けれど、日が経つにつれ幽霊を見たという人は増えていく。お客様だけではありません。我々スタッフの中にも居ました。私も先週ぐらいに若かったころの妻を見ました。おかげで、お客様は減る一方。辞めていくスタッフもでてきました。このままでは、このホテルは潰れてしまう。」

事務所で聞いていた話と大差は無いらしい。
「その幽霊は必ずその人に関わりのある死人なんですね。」
「いえ、違います。」
「「へっ!」」

(どういうことだ?ここに出る幽霊はそれを見た人の知人のはずじゃぁ・・)
「じゃ、じゃあ赤の他人の幽霊が現れることもあるんですか。」
「それは違います。ここに出る幽霊はみんなそれを目撃した人に関係がありました。
 ここに現れる幽霊は死人とは限らないんです。現に私の妻もまだ生きていますよ。」

(いやー・・。死んでないなら幽霊とは言わないんじゃ。)
「み、見間違いという事はありませんかね?」
「いや、まだ生きている知人の幽霊を見たのは私だけではないんです。ここ2週間位じゃないでしょうかね。そんな事が起こり始めたのは。私が知る限りでは、後4人は同じ経験をしていますね。」

(このホテルで何が起こってるんだよ・・)
 聞けば聞くほど不思議な話だ。
「その幽霊は何時ごろに現れるのですか?
 後、今まででどの位の人がその幽霊をみましたか?」
「深夜から明け方にかけてですかね。だいたいは自分の部屋で寝ていて、ふと眼が覚めると目の前に幽霊が居るというパターンが一番多いですね。
 どのくらいと聞かれても正確な数字は解りませんが、一日一回は確実に起きてます。」
「以前にこのような事件が起きたことはあったんですか?」
「いえ、こんな事件はこのホテルができてから一度も起ったことはありません。」


 あの後、もう幾つか質問をしたがたいした情報は得られなかった。幽霊は夜に出るという事なので支配人が用意してくれた部屋で夕方まで休むことにした。
(それにしても広い部屋だよなー。)
やはり金持ち相手のホテルらしく部屋がとてつもなくゴージャス。初めは喜んだものの、自分の今住んでいるボロアパートと比べてしまいブルーになる横島。ちなみにタマモは勿論違う部屋だ。
(はー・・。軽く寝とくかなー。ここまで来る途中で霊力を使いすぎていっぱいいっぱいだもんな。)
ベットに横になる横島。








「ふぁーーあー。よく寝たな。今何時だ?」
現在の時間を確かめようと寝ぼけ眼で起き上がる横島。よく見ると目の前に誰かが立っている。
(タマモか?)
頭がハッキリしていき、目の前の人物が誰なのか確認できた瞬間、愕然とした。

「ル、ルシオラ!!」

そこに彼女がいた・・







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こんにちは、R931です。
懲りずに2話目を投稿しました。
読んで頂いた方はありがとうございます。
この話だけは完結させられるように努力します。
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