ザ・グレート・展開予測ショー

小竜姫の持ってきたもの(前)


投稿者名:NEWTYPE[改]
投稿日時:(00/ 6/11)

二人に無線が入った。
「ガガ・・・シロ君、横島君、私だ唐巣だ。これから我々は月に向かう。月神族の方々がついに西条大尉の専用機を完成させたようなんだ。至急、帰艦してくれたまえ。」
ブツッ
「へ〜ついに西条殿のアレが完成したんでござるか〜。」
シロが嬉しそうに歓声を上げる。
「シロ、西条さんの専用機って何の事だ?」
「あ、先生は来たばかりだから知らないんでござるな。西条殿はニュータイプだから今のロボットでは満足に動けないのでござる。そこで、拙者らに友好的な月神族の人達が、西条殿のために試作機「十式」という物を造ってくれることになったんでござる。拙者一度だけ開発途中の十式を見た事あるんでござるが、なんと全身銀一色なんでござるよ。あれはキレーでござったなー。」
「ちぇ、二枚目には二枚目の機体ってか!つまんねえの。」
横島はぐちぐち言いながらも唐巣の指示なので仕方なく艦に戻り始めた。
「あ、先生、待ってでござる!」
シロも機体を反転させて横島の後を追った。
宇宙はまだ・・・静かだ・・・。


「はぁ〜最近のカオス教は分からない事だらけね。」
MK-Uに乗った小竜姫は不満を垂れながら雪之丞を含めた三機のMSを従えて今、高速でアーギャマを追尾していた。
四機は、カオス教所属の巡洋艦「アレキサンドリャー」に積載されてコロニーを発信し、MSの補足空域に入ったところで発信したのである。
小竜姫は厄珍大佐から、MK-U二号機の奪還交渉を委任されていた。そして雪之丞には別命があった。雪之丞は厄珍から一通の命令書を受け取っていた。それは小竜姫の交渉がある程度まで進行した時点で開かれるものであった。


「よし・・・」
小竜姫は一号機を減速させていった。
前方にアーギャマの白いシルエットがうっすらと見える。
「あれね・・・」
小竜姫は一号機の腰から一本のポールを取り出して右の手に掲げた。
ガス圧によってポールから白い旗が射出されそれが、ポールを軸にしてはためいた。
小竜姫は、その巨大な白旗を持って敵の空域に突入していった。


「敵の機影発見!二時の方向ですねー!!」
司令室で索敵していたヒャクメがヒステリックな声を上げた。
「数はっ!?」
唐巣がガタッと席を立ってヒャクメに振り返った。
「え〜とえ〜と・・・あれ?一機だけですねー。それも、白旗を揚げてますねー。」
「白旗だとっ?・・・投稿する気かっ!?」
その時、困惑している唐巣の脇に西条がズイッと身を乗り出した。
「艦長、僕が様子を見てきます。発進許可を!!」
「あ、ああ・・・分かったよ。」
唐巣は手早く無線電話で浪人に呼びかけた。
「浪人君、急いで西条大尉のMSをスタンバらせておいてほしいっ!!」
「了解っす!」
西条は受話器越しに浪人の声を確認すると、素早くノーマルスーツに着替えてデッキへ向かった。
それとほぼ同時に試合を終えた二人が司令室に戻ってきた。
「横島君、シロ君、ご苦労様。」
いつもの笑顔に戻った唐巣が二人を暖かく迎え入れた。
「艦長、横島殿は・・・先生はやっぱり凄かったでござる〜!!」
シロが感激したような声を上げながらどれ、自慢話でも、と口を開きかけた所を唐巣が制した。
「分かってるよ、私とタマモ君も少し君達の試合を見させてもらっていたんだ。ね、タマモ君!?」
「まあね。・・・なかなかやるようだな、横島。少し見直したぞ。今度私ともやってくれないか?」
「あ・・・ああ、いいぜ!(少し素直になってくれたなー)ところで唐巣艦長、さっき西条さんが急いでデッキの方へ向かってたけど何かあったんスか?」
「ああ。実はね、この空域に白旗を持った変なMSが入り込んだんだ。西条大尉に調査を頼んだわけさ!」
「そうだったんスか。ヒャクメさん、そのMSの姿、映せますか?」
「ええと・・・ちょっと待ってくださいねー。・・・はい、出てきますよー」
巨大モニターにMSの姿がくっきりと映し出された。
「これはMK-Uじゃないか!」
横島いの一番に叫んだ。
「このカラーは間違いなくカオス教のものだ。」
唐巣も納得したように言った。
「あっ!」
その時、横島がもう一つの事に気が付いた。
「このロボットは、コロニー内で戦ったヤツだ。ってことはパイロットは雪之丞かっ!?
・・・いや、違うな。なにか懐かしい感じがする・・・。この感じは・・・・・小竜姫様かっ!?」


「・・・白旗が見えないのかしら。」
小竜姫の一号機は、ライフルを携行していた。
しかし、今の任務は、それは絶対に使ってはいけない、という仕事なのだ。
「・・・・・・・!!!」
小竜姫はギョッとした。
どの方向から飛んできたのか分からなかった。
全身を赤に染めた機体が迫り、あっという間に小竜姫の一号機に接触したのだ。
同時にそのMSは、左手をあげて、オレンジ色の発光弾を撃った。
その発光弾は、白旗と同じ意味を持つ。
停戦,もしくは降伏の意である。
その赤いMSの挙動は、俊敏であった。
「・・・赤い閃光・・・?」
小竜姫は前大戦で勇名を馳せた名前を口にしていた。



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