ザ・グレート・展開予測ショー

THE MOVIE「踊るゴーストスイーパー」(7−1)


投稿者名:3馬鹿鳥男
投稿日時:(00/ 6/ 6)

第7章 「魔族」(その1)

横島とおキヌはお互い驚いたように見つめ合ってから、再びR君に視線を戻した。
R君はなにか得意そうにけたけた笑っていた。
その姿は相変わらずかわいらしいが、おキヌは何か得体の知れない寒気を感じて、
横島の手をそっと握った。
横島はおキヌに大丈夫だよと目で合図し、「なんでそのことを知っているんだ?。」
と、R君に警戒するように尋ねた。
銀一とほたるは「どうゆうこと?」と横島たちに聞こうとしたが、横島に手で発言を制止され、また先ほどの和やかな雰囲気から一変して、緊張の糸がピンと張った気配に押し黙った。
R君はそんな気配が楽しくてたまらないかのように「ケケケケケ」と笑って答えた。
「それはなぁ、俺様が情報収集を主にする魔族だからさぁ〜。
ケケケケケケケ。
俺様の本当の名は「ピーピング・トム」。日本名で「覗き魔」・・・。
R君というダサい名は、ほたるが勝手に付けた名だよ。ケケケケ。」
R君は楽しそうにぷかぷか浮いていた。
おキヌは緊張のあまり手に汗を掻いていることに気付き、横島から手を放そうとした。
そのとき、横島に強く握られたので少し驚き、横島を見た。
横島はR君を黙って見ていた。
その真剣な横顔を見て、おキヌはだんだん自分の顔が赤くなって行くのがわかった。
そして、横島が「それじゃあ、トム・・・」と言ったとたん、隣から「そんな名で呼んじゃ駄目です!」と大きな声で叫ばれたので、「きゃあ」と声を出して横島の腕にしがみ付いた。

「ほたるさん。どうしたんです急に。」
おキヌは心臓がバクバク言っているのを感じながら、驚いたように尋ねた。
ほたるはジト目でおキヌを見た。
おキヌはほたるの非難の視線に首を傾げたが、横島の腕に抱きついていることに気付き、
腕からぱっと離れて、顔を真っ赤にして「こっこれは、その・・・あの・・・」とシートに座り直してもじもじした。
ほたるはそんなおキヌを無視して、おキヌと同じく顔を赤くした横島に向かって、
「R君をそんな変な名で呼ばないで下さい」と抗議をした。
「変な名って、こいつが自分で・・・」と、横島はほたるの剣幕にたじたじになりながら,R君を指差して答えた。
「駄目です。R君はR君なんです!」
ホタルは片腕を組み指を立てて、宣言すように言った。
「R君もR君です。あれほど自分のことはR君と言うように行ってあるのに・・・」
R君に文句を言うために、口を尖らせたほたるを、
銀一は「まあまあ」と宥めながら尋ねた。
「どうして駄目なんや?」
ほたるは恨めしそうに銀一を見てから、口を尖らせたままそっぽを向いて答えた。
「だって・・・・、
覗き魔(トム)なんてかっこ悪い・・・。
かわいい名前がいい・・・。」
横島と銀一は呆れた顔で目を合わせた。
そして、横島は溜め息をつき、「わかった、わかった」と言い、すっかり緊張感がなくなった声でR君に言い直した。
「じゃあR君。どうして俺がその「ヨコシマ」じゃないって?」
R君も先ほどの緊張感溢れる顔付きではなく、ほたるを恐れているかのように「ぴ〜」と情けない声を出して答えた。
「だってお前。霊力が10マイトくらいじゃないか・・・そこの姉ちゃんは60マイトくらいだし・・・」
「霊力って、お前・・・R君は霊力が見えるのか?」
横島はまたほたるに睨まれたので、引きつった顔で言い直して尋ねた。
「こんな姿では能力が制限されているけど、触わったやつの霊力くらいはわかるぞ。」
R君はほたるをびくびく見ながら答えた。
「だから・・・ヨコシマがあの7神の一人「アシュタロス」様を滅ぼしたとは信じられなくて・・・」
「そんなことはないですよ。横島さんはこれでも日本で有数の実力者なんだから・・。」
おキヌも緊張が溶けたのか、ほめているのかけなしているのかわからないことを言った。
横島は苦笑しておキヌの頭をぽんっと叩いてからR君に聞いた。
「7神って何?」
R君は「ぴ〜」と呆れた声で鳴いてから、そんなことも知らんのかとぼやいた。
「あのなあ。魔族にも神族と同じように高位種族がいるんだ。それは知っているだろ?
その高位種族は7族。その頂点に立たれているお方が7人。
それが7神と呼ばれているんだ。
そのうち「破壊」と「再生」を司る神が「アシュタロス」様だ。
びっくりしたろ?けけけけ。
わかりやすく、神族に当てはめると「フェニックス(不死鳥)」が同じ神として存在しているんだ。
神族と魔族は表裏一体。どちらにも同じ神がいる。わかったか?」
横島は感心したように肯いた。
「そうか、なるほど・・・
だから宇宙再生機(コスモプロセッサー)か・・・・
すべてを破壊し、そして再生する・・・。」
「だからお前が「アシュ」様を滅ぼせれるわけがないんだ・・・。
次元が違い過ぎるからな・・・。」
横島とR君はそれこそ、ここでの会話では次元が違いすぎる会話をしていた。
ほたるは不機嫌な声で「それで「アシュタロス」って?」
とR君と横島の会話に割り込んできた。
横島とR君は「はっ」として、冷たい微笑をしているほたるを再び見た。
そして、二人でハハハと乾いた愛想笑いをして「なんでもないです。」と言った。

第7章(その2)に続く。

すみません。またまた長すぎたようなので2つに分けました。

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