ザ・グレート・展開予測ショー

乗組員たち


投稿者名:NEWTYPE[改]
投稿日時:(00/ 6/ 6)

横島は無事着艦を済ますとメカ・マンが用意してくれたタラップを降りてすでに下で待っている西条の元へ向かった。
だが、西条の顔を見た途端横島は一気に不機嫌になった。
その見た目からして二枚目だぜ、と自己主張しているかのような面構えが横島の癇に触ったのだ。
「ケッ、アンタが赤いMSのパイロットか?」
「?」
西条は横島がなぜ不機嫌なのか分からなかったが至って冷静に答えた。
「ああ、そうだ。名前は西条だ。宜しく頼む。」
西条は微笑を浮かべながら挨拶とばかりに右手を差し出した。
「あ、ああ・・・こちらこそ。」
横島は西条のその落ち着き払った態度に多少戸惑いながら手を握り返した。
それと同時にこの男から発せられる強烈なプレッシャーが横島のさっきまでの不愉快さを圧倒してしまった。
「横島君、これからの活躍を期待するよ。あ、それと・・・紹介しよう、先ほど我々を護衛してくれたシロ君、タマモ君だ。」
見ると、まだ中学生位にしか見えないあどけない顔をした二人の少女が西条の後ろからヒョイッ現れた。
一人はロングヘアーが良く似合う活発そうな少女。
もう一人は物静かなイメージを思わせるポニーテールの少女。
さっそくロングヘアーの少女が何か珍しいものでも見るような目を横島に向けながら溌剌としゃべり出した。
「拙者、シロと申す!聞く所によると横島殿はニュータイプだとか!拙者光栄でござる!
是非一度拙者と手合わせ願いたいっ!!」
「ま・・・まあ俺でよければ。」
あまりの迫力に戸惑いながら答える横島。
「ほ、本当でござるかっ!?嬉しいでござるっ!!約束でござるよっ!」
シロは満面の笑みを浮かべると風の様に走り去っていった。
「足・・・メチャメチャ早えーな・・・。」
横島はシロのその人間離れした足の早さにしばし呆然となった。
「おいっ!」
「!」
もう一人の少女の呼び声でハッと我に返る横島。
「ああ、すまんすまん。」
ポニーテールの少女はムスっとした表情のまま話し始めた。
「私はタマモ。ニュータイプか何だか知らないけどせいぜい私たちの足手まといにならないように頑張ることだな。」
タマモは言いたい事だけいうとシロの後を追ってさっさと走り去っていってしまった。
「な・・・なんだあのガキッ!!」
横島はなんだか馬鹿にされたような気がして無性に腹が立った。
「まあまあ、横島君。彼女はニュータイプとかそういう類のものはあまり信用してないんだよ。彼女の場合実績だけが全てって感じだからね。大丈夫さ、君のMSテクニックを見せてやればすぐ君に懐くようになるよ。」
「そうスかね。」
西条に宥められてとりあえず大人しくなった横島。
「それじゃー司令室に行こう、この艦のクルー達を紹介するよ。あ、それとメカ・マン達には後で挨拶しておいてくれ。僕も全員の名前は知らないからな。」
「了解っス」
二人は長い通路を抜け奥にある司令室へ向かった。
その途中・・・横島は西条に何気なく質問を投げかけた。
「西条さん・・・・・・ジャスティス大佐って人ご存知ですか?」
「!」
西条の表情が一瞬変わった。
「ああ、知ってるよ。ジャオンのエースパイロットだった人だろ。それが何か?」
「彼は今回の騒動を思ってるんスかね。」
「なぜ・・・・・そんな事を僕に聞くんだい?」
横島は真剣な面持ちで西条を見据えた。
「西条さん、正直に答えてくださいよ。アンタ・・・そのジャスティス大佐なんだろ?」
西条はフッと笑うと天井を見上げたままゆっくりと話し始めた。
「かれは・・・・・一年戦争時に死んだよ。今ここにいるのは道化を演じようとしているおろかな男さ。」
「・・・・・・・」
横島は何も言わず西条を見つめていた。


無言のまま歩きつづける二人の前にやがて司令室らしきドアが現れた。
「さ、ここが司令室だ。」
西条がゆっくりドアを開けて中に入っていった。
横島も後に続いた。
「唐巣艦長、先ほど話した少年を連れてきました。」
「待ってたよ、西条大尉。ご苦労様。」
部屋の中心にある大きなイスに腰掛けていた男が立ち上がりこちらに歩み寄ってきた。
まん丸メガネをかけた人の良さそうな優しい顔立ち・・・その風貌からは誰が見ても軍人とは思えないものだった。そして、その優しい顔立ちと妙に調和している前髪の衰退具合が横島に漢の悲しさを感じさせた。
(おっさん・・・アンタも苦労してるんやな・・・。)
「・・・・・宜しくお願いします。」
「?(何だ今の間は・・?)こちらこそよろしく。私がこの艦の艦長、唐巣だ。話は西条君から多少聞いたよ。なんでも、初めてMSに乗ってそれを自在に操ったそうじゃないか。
まるで、ピエトロ・ド・ブラドーの再現だな。」
「ああ、一年戦争時の連邦の英雄ですか。俺はそんなに凄くないっスよ。」
「ははは、そんなに謙遜しないでくれ。我々は期待しているんだ、君のニュータイプとしての素質に。」
「期待に添えられるよう頑張ります!」
「はは、その意気だ。健闘を祈ってるよ。」
唐巣はニッコリ笑うと、「用事があるから」と言って司令室を出て行った。
「感じの良い人だろ?」
「そうっスね・・・。」
横島は唐巣の温かみのある表情がなんだか好きだった。
「さてと、横島君。紹介を続けるよ。・・・とと字数がきつくなってきた。この続きはまた後にしよう。」
「なんのこっちゃ。」

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