ザ・グレート・展開予測ショー

EXILE〜追放者〜(6)


投稿者名:すがたけ
投稿日時:(05/ 5/ 1)

“あいつが……近づいている”『私』はそれを感じていた。

 この国に戻って来たのは偶然だった。産み落とされ……捨てられ、追われた故郷に戻るつもりはなかった。
 しかし、あの時以来力を失っていた『私』は、自分自身の思いに関わらず、運ばれ、ここに戻ってきてしまった。

 こんなところに来た理由も判らない。だが、『私』をここに連れ込んだあの蛇の意図は兎に角、霊道の辺という恵まれた場所であるが故に、ある程度の力を得ることは出来た。

 感謝はしない。
 理解をする心算も一切ない。

 あの蛇にはあの蛇の理由があって『私』をここに連れ込み、訳も判らぬままに『私』を弄っていたのだろう。
 そんなことはどうでもいい。
 肝心なのは、数百年ぶりに力を得た、という事実のみ。

 信じる者が死に絶えた以上、完全というには程遠いが、手足となる眷属を生み出すことくらいなら出来る。 

「行け……“エビス”の下へ。そして――奴を消せ」
 『私』は、この場に蟠る澱みから作り出した眷族に命じる。

 『私』の生み出した眷属は明確な言葉を発することはない。ただ、私の言葉に従うかのような鈍い唸りを上げ、“エビス”の下へと向かっていった。













 一欠けらの精霊石の結晶が、蒼白い灯りとなり、煌々と廃坑を照らしていた。
「それにしても……光を作ることも出来るとはな」
 聖水と祈りによって強化された簡易結界に座り込みながら、若き魔装術使いが精霊石を制御することによって数時間は保つであろう光を生み出した武装執行官に言う。

「光だけじゃねぇ。簡易結界を強化することも出来るし……そんな風に、ただでさえ破邪の効果をもっている銀の銃弾も威力を高める技も持っている。どれだけやったらそんな風に強くなれるんだ?それとも、法王庁の武装執行官、というのはみんなそんな風に何でも出来るってぇのか?」

 いくら方向音痴であろうとも、他人の名前を覚えようとしない男であろうとも、結界の中央に座り込むイタリア人の実力は雪之丞の知っている範囲では間違いなく五指に入る、格段に高いものであるといえた。

 雪之丞は多少ヒネてはいるが、たとえ相手が敵であろうとも、その強さそのものを素直に認める面は非常に強い。
 そして、自分に出来ないことであっても高く評価し、貪欲に自らの糧にしようとした上で、相手の懐に飛び込んでいく……つまり、ある意味では非常に謙虚な男でもあるのだ。

 心の底から謙虚ならば、遠慮無しにメシをタカるような真似はしないので、あくまでも『相手の強さを素直に認める』という一点のみという……非常に限局された謙虚さではあるが、その姿勢があるからこそ、かつて敵であったはずの、カトリックの神聖力と吸血鬼の特性を使いこなす半吸血鬼の少年とも、日本最高のゴーストスイーパーの弟子の少年とも素直に打ち解けあうことが出来たのだと言える。


 『一度拳を交えた仲』『同じ釜の飯を食った仲』……雪之丞に言わせればそのような表現が相応しい、現代の価値基準から見たらいささか古臭いが、熱を帯びた関係――雪之丞と引き分けたことのある少年は「そんな暑苦しい、潤いのない間柄はゴメンや〜!」と叫んで逃げ出すかもしれないが、雪之丞はそんなものは知ったことではない――それこそがもっとも深い関係性を生み出す、と信じて疑わない……基本的には無神経ではあるが、意外に謙虚な面も持つこの男は性格そのままにストレートに尋ねる。




 率直な感心と僅かばかりの嫉妬をはらむ雪之丞の言葉に応じ……だが、その作業の手を止めることなくファルコーニが答えて言う。
「私を含めて、執行官はキリスト教徒を守るために世界を回っているんだ……大抵のことは出来るさ」言いつつ、黒崎の持つマガジンから抜き出した銀の弾丸の一つ一つに鑢(やすり)をかける。
 黒崎の持つシグの弾丸は残り70余り……マガジン数にして9本分という、そうそう弾切れを起こすこともないが、霊能力のない黒崎の護身用には万全ではない分量でもある。ということで、刻印を施し、さらに聖水と祈りによる祝福も施すことによって、霊力を持たない者でも雑霊程度ならば一撃で葬ることが出来るだけの物に仕立て上げようとしているのだ。

「とはいえ、執行官だから特別というわけじゃない……祈りも祝福も霊的治癒も、体術や射撃術にいたるまでの大方のものは、霊能を持つことになった聖職者が基礎として叩き込まれているものさ――ただ、私は身に付けた基礎の中から自分の性分に会った部分を徹底的に磨き上げ、自分の特性に併せて応用しているというだけのことさ。いろいろあって破門されてはいるが、世界でも5本の指に入るカトリック系のGSである唐巣神父が退魔術に有効なものに特化しているように、な」

 鑢をかけ終え、弾頭を平らにした銃弾にナイフで十字を刻みながらさらに続ける。
「それよりも…………日本人……お前の方も大したものだとは思うがな」

 『まだ名前を覚えようとしないのか、この腐れ外人!』と言うことは出来なかった。

「基礎を殆ど蔑ろにしているというのに、才能だけであれだけの体術を身に付けているし、魔装術もほぼ独学に近いだろうが、あれだけ霊気を収束させた魔装術はそうは見たことはない。単純に体術だけで言えば、執行官の中でもお前以上の使い手は“狼”一人だけだろうな」

 不安を言い当てられたような気がした。
「単純に、ということは……総合的には誰にも勝てない、ということか」
 その不安を口にした雪之丞の言葉に「ああ」ファルコーニはこともなげに言い切る。
「戦いというものは、そう単純なものではないからな。そもそも、腕力と瞬発力だけがものを言うというなら、人間は悪魔や堕天使には到底勝つことは出来ないだろうが……何度となくそう言った相手と戦ってきた私も、こうしてここにいる」

 ただのボケ外人ではなかった。思わず、頷く。

「邪道なら手早く強くはなれるがそれも一代限り……だが、正道ならそこに行き着くまでの蓄積が豊富にある。どのような相手にも第一波ぐらいには対処することは出来るし、対処さえ出来ればやりようはある。たとえ……それが強力な魔族であろうとも、な」
 言いつつ、最後の一弾に十字を刻み終えたファルコーニは立ち上がり、ケースから聖水を取り出す。

「『主は土塊から人を作られた。土より作られた人はパンを作る……土に返るそのときまで。始原の姿に戻る時、塵にすぎない人は塵に返る。土は土に、灰は灰に、塵は塵に……』」

 地面に立て、整然と並べた銀の銃弾に向けて、祈りの言葉を呟くファルコーニ。瓶から聖水を手に注ぎ、祈りの言葉と共に振り掛ける。

「俺も……正道で鍛え直せば強くなれる、というのか?」
 一抹の期待を込めた雪之丞の言葉……それに対して「『A−men』」――“あるがままに、かくあれかし”――その意を持つ言葉と共に十字を切り、聖職者は改めて魔装術使いに向き直り、言った。「それは……お前次第さ。正道で鍛え直しても、染み付いた癖が邪魔することもあるからな」
 率直な……雪之丞にとって、非情な響きを含む言葉だった。


 その言葉に、雪之丞はここ数ヶ月抱えた悩みを思い返す。

 白竜会を隠れ蓑にして暗躍していたメドーサに師事していた頃、教わったことは実際はないに等しかった。
 ただ霊力を具現化する方法を身に付けるコツを教わっただけで、あとは雪之丞と同じく白竜会の一員としてメドーサに与した二人の仲間との組み手で、喧嘩殺法を磨いただけだった。


 そのことはメドーサに師事した三人を比較すれば容易に証明できる。


 魔に堕した末に香港で死を迎えた鎌田勘九郎は、もともとある程度剣術を身に付けていたために最もパワーを引き出すことには成功した。陰念は何ら一切下地を持つことなく魔装術のみを伝授されたために、術を制御できないままに暴走した……そして『天国のママに見てもらうために強く、美しくなる』という一心で自分を鍛えていた雪之丞は、魔装術の制御は出来てはいるが、下地が我流であるが故に今こうして限界を迎えている。

 メドーサとしても、たかだか人間風情を“弟子”として育てる心算は毛頭なかったに違いない。暴走させることで混乱を招くか、術に取り込まれて魔族と化すように仕向ける……それが目的で三人に魔装術の具象方法をあてがっただけだろう――それを悟ったのは、かつての仲間を手に掛けた香港での一件から帰国を果たした後のことだ。

 そのメドーサの思惑に抗うかのように、我武者羅に修行を続けてきていた。だが、壁を突き破ることが出来ないままここまで来てしまった。

 戦いの中で急激な成長を果たし、ろくな修行も経ないまま雪之丞との試合を引き分けにまで持ち込んだライバルの一人にあるような天賦の才は、それこそ、一握りの人間しか持つことが出来ないものなのだ。


「……我流で来ちまって、あいつほどの才能もねぇからな――今更正道で鍛え直したところで……」
 思考の袋小路に入り込んだ雪之丞は、その思いを思わず口にする。


「そうでもないさ」
 黒崎と並んで、銃弾をマガジンに込め直すファルコーニがその言葉を否定した。
「我流も一概に悪いとも言えない。正道に縛られすぎて、他者の長所を吸収することを忘れるようなら我流よりも性質は悪い。それに、お前のその型にこだわることなく、見たものを素直に吸収するという才能も捨てたものじゃない……その蛇を倒したコンビネーションがそうであるようにな」

 結界の外に転がる、全長10mを超える黒い蛇の死骸を指して“隼”は言う。
「蛇妖というのはしぶといものだ。それをお前はたった二発で息の根を止めた。多分ボクシングの技だろうが……本格的に修行していないああいった技をスムーズに繰り出せるのも立派な才能だ」
 雪之丞自身は意識してはいなかったが、言われてみれば、以前TVで見たボクシングの日本タイトル戦でロシア出身のボクサーが繰り出したコンビネーションと似た技だった。

「何も全てを正道に切り替えろ、というわけではない。邪道ばかりでは見えなかったことも、正道から見直せば新たな地平につながる道になる、というだけのことさ」

 と、カトリックにしては禅僧のような物言いで諭していたファルコーニが――――右手をカソックの隠しに入れた。


 黒崎が弾丸の補充が終わったマガジンを装填する。

 赤みを帯びた霊気の鎧が、雪之丞の身体に纏わりつく。


 それぞれが近づいてくるその気配を察知していた。






















 音を感じさせない……だが、垂れ流しているかのようなその殺気に、三人は各々身構える。












「目!」
 黒崎が唐突に口を開いた。左手をポケットから引き出すと同時に、通路の奥目掛けて何かを放り投げる。

 同時に、雪乃丞とファルコーニは手で目を塞ぐ。









 ―――――――ぱしゅ。







 視覚のインパクトが聴覚を圧倒する炸裂音が響いた。



 シグと同じく、これまた黒崎が海兵隊から横流しで入手した閃光手榴弾だ。


 掌をも透かすかのような爆発的な閃光が、瞼越しに目を灼く。


 視神経に痛みすらも感じさせる強烈な光が収まると同時に、雪之丞が放たれた矢の速さで敵に向けて間合いを詰めた。

 10秒ほど前に抱いていた迷いは振り切っている。

 精霊石の放つ淡い光が丸い胴体を映した。

 両手に集積した魔力を満たし、雪之丞は突貫した。




















 『………………どこに向かっているんだ、俺は!あれは味方じゃねェか!』
 思い至り、雪之丞は危うくブレーキをかける。

 改めて敵を探す。

 視界を巡らせた雪之丞は……後ろに二つの影を見つけた。














 黒い影目掛けて突進する雪之丞が、鈍い光に包まれる様を……二人は見た。

 光が収まり、その黒い影の持つ闇色の全貌が明らかになる。

 コールタールで形作ったかのような黒ずんだ丸い胴体に巨大な瞳を有し、胴体の上に生えた十数の突起物にもそれぞれ一つの目玉が張り付いている。

 巨大な瞳の下に切り込まれた口が、侮蔑するかのような三日月の形に開く。

 その名前に、覚えがあった。ファルコーニは、思わず口を開く。
「あ……あれは……ビホ―――!」続けようとしたファルコーニの口を、黒崎のシグを握ったままの右手が止めた。

「………………私も法令、版権問題で聞いたことがあります、あの闇を纏った巨大な目玉の魔物の噂を―――。人を思いのままに操ったり、炎や氷、雷を付与された怪光線を発射するという、最悪の魔物……ということですよね」
 一度息を飲み、続ける。
「何より、もっとも危険な点はその名前……真の名前を明かそうものなら、関係者が土下座させられる上に使用料を請求される……それは同人であろうとも容赦ないとの話です」


 確かに恐ろしいが、真顔でボケてくれるのはやめてくれないか?


「そ、それは恐ろしいな……この作品はどうでもいいが、GTYにまで被害を及ぼす気か?」
 お前も!





 こんな状況でボケる根性はまぁ認めるが、ツッコミ役はどこにいるかというと……仮名・黒目玉をあと1mで間合いに捉えるという場所で立ち止まっていた。

「まずいな……洗脳されてしまったか」
 ファルコーニの言葉が終わると同時に……赤い鎧を纏う少年が振り返る。


「あれが敵だね……ママ」
 真っ先に突貫し、簡単に洗脳されてしまった魔装術使いが呟く。

 こんな手抜きのようなデザインの物体がお前のママなのか――じっくりと問い質してみたいことを吐いた雪之丞は、4秒前までの仲間に向けて再び突進する。



 まず一人目として狙われたのは……銀髪の聖職者!

 『基礎さえしっかりしていれば、どのような相手でも第一波には対処出来る――』という言葉通り、ファルコーニは初撃の右拳を躱し、既に懐に飛び込んできていた雪之丞にカウンターで膝蹴りを返す。
 間髪入れずに左手で膝蹴りを受ける雪之丞……刺々しい装甲で受けられたファルコーニの左足から、一筋の血が流れる。

 痛みを噛み殺すファルコーニの鼻先を、アッパーが霞める。辛うじて躱したファルコーニだが、右アッパーを捨て技にして続けて放たれた至近距離からの霊気砲は完全に躱しきれず、左の肩口に火傷にも似たひりつく傷を残した。


 少し前に断じた通り、現時点での総合的な実力ならばファルコーニは雪之丞の上を行っている。殺し合いになれば間違いなく勝てるだろう。だが、出来得るだけ無傷で無力化した方が望ましい、となるとそうもいかない。ファルコーニが総合的に勝っているとはいえ、雪之丞の得意分野である近接戦闘で無力化できる程、実力に開きがあるというわけでもないのだ。

 それに、霊的治癒にも限界がある。対象が持つ霊力を刺激することで治癒能力を活性化させ、応急的に負傷から素早く回復することが目的である為、自然治癒できるような怪我ならまだしも、欠損した腕や足をつなぎ合わせる外科手術じみた驚異的な復元力は持ち合わせていない。
 つまり、ファルコーニの主武器である銃を使って無力化することは出来ない――いわば八方塞りに入り込んだ、といえた。


 だん!


 唐突に……廃坑に力強い音が響いた。雪之丞の決して重くはない身体が数メートルを吹き飛ばされ、ビ……いやいやいやいや、『巨大な目玉』の側へと弾かれる。

「神父、ここは任せて頂きましょうか。魔物相手は無理がありますが……人間相手なら――得意分野です」
 言いながら、雪之丞の脇腹に重く鋭い掌の一撃を入れた黒崎が微かにずれた眼鏡を押し上げる。

「ああ……任せる」
 中国拳法――大きな音を響かせた<震脚>からそう判断した武装執行官は頷くと、右手に持つベレッタを構え、照準を絞る。


 土下座衛門や版権云々は兎に角、強力な魔力の障壁を有することや、物理的な衝撃にはそれほど強くない相手でもあることはファルコーニは知っていた。
 人間である以上、『黒眼』の持つ障壁を貫くだけの霊波攻撃……最低でも亜神級の神族程度が有する攻撃力は持ち合わせていない。だが、『刻印』に『祝福』という二重の強化を施した銀の弾丸ならば、核を貫けば充分な効果を与えることが出来る。

 その『核』にあたる部分さえ掴めれば――――意識を集中し、ファルコーニは中枢を見極めにかかった。




「何故、当たらねェんだ!」
 苛立ちと共に拳を繰り出す雪之丞。だが、何度繰り出してもその拳は宙を切るばかりに終わり、髪の毛一本たりとも霞めることなく黒崎に躱され続ける。

「いや、大したものですよ……素材そのものはね。だが、神父も言っていた通り、正道には蓄積がある!」
 一発の大振りを躱しながら、二発から四発の反撃を着実にヒットさせる。
「その蓄積は数千年……それだけの研鑚をたった一代で引っ繰り返せる人間は、いませんよ」

 背の低いはずの雪之丞よりもさらに低い位置から潜り込んだ黒崎の掌が、鎧に覆われていない顎を打ち抜いた。

 脳を縦に揺らされた雪之丞の意識が痺れ、視界が曲がる。

「生憎、私も天才という類のものではありませんが」掌を入れた左腕をそのまま曲げ、胸元に肘を突き立てる。「……天才でなかろうとも鍛え抜けばこれくらいは」たたらを踏んだ雪之丞の胸元に右掌を押し当て、「可能ですよ」黒崎は震脚を踏む。

 密着状態からの、衝撃を余すことなく伝える打撃……中国拳法で冷剄と呼ばれる技法に『黒眼』の脇を通り越して吹き飛ばされる雪之丞。なおも起き上がろうとするが、出来なかった。

 操り人形が手もなく捻られたことに驚きを持った『睨むもの』の異名を持つ魔物は、操る標的を操り人形を倒した男に絞ろうとする。だが、姿をろくに確認しないまま突っ込んだがために洗脳光線の餌食となった雪之丞と違い、眼鏡の企業戦士は相手の攻撃手段を知っていた。
 そして、光は躱せなくとも、その“兆し”を見極めさえすれば回避できる、ということも……。

 躱しながらシグを抜き打ちで撃つ。
 二発目を撃つと同時に伏せながら『それ』を拾い、転がした。

「そ、それは私の……!」
 ファルコーニが抗議にも似た響きの言葉を上げるのは仕方ない。ファルコーニのアタッシュケースから抜き取った対人地雷・クレイモアだ。

 黒崎が起爆装置のボタンを押したその時、クレイモアは『邪眼』とも呼ばれる魔物の真下にあった。

 鈍く、重い爆発音が響いた。


 無数のベアリングが天井に穴を穿つ。
 同時に、『黒眼』もまた闇に覆われた偽りの身体ごと大雑把に核を貫かれ、溶け消える。
 





 ―――版権という恐ろしい一面をも併せ持つ魔物は、こうして身も蓋もない死を迎えた。





 どうでもいいが、折角『核』を見極めた“隼”のコードネームを持つ武装執行官が、やたら寂しそうにしていたのは……可哀想なので秘密である。

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