ザ・グレート・展開予測ショー

EXILE〜追放者〜(承前)


投稿者名:すがたけ
投稿日時:(05/ 4/ 2)

 総合商社・『村枝商事』……貿易やレアメタル鉱床の発掘、そして、発掘物および採掘権の売買を主に取り扱う、国際的大企業である。
 現在、本社は東京にあるが、その前身となる『村枝海産』は九州は熊本、有明海に面した小さな港町にある、ごくありふれた水産業者に過ぎなかった。が、先代社長・村枝賢吉がその夢枕に立った恵比寿のお告げに従って引き揚げた沈船によって、大きく運命は一変する。
 室町末期まで頻繁に行われていた大陸との貿易だが、無事に戻ってくる船ばかりではなかった。賢吉らによって引き揚げられたもののように、嵐や地震による津波といった災害のほか、舟幽霊や大海蛇等のような妖怪による被害もあって目的を果たせずに沈んだものもまた数多くあった。
 万一の祟りを恐れて祓い、清めた大半の宝飾品を元手に始めた海外との取引は、賢吉の神懸り的な直感もあって大当たり。戦後の混迷から復興へと向かう東京に進出した賢吉は、自らを導いたと公言する恵比寿神にちなみ、恵比寿に5階建てのビルディングを建てて本社ビルとした……これこそが現在日本でも有数の総合商社・村枝商事の草生期の記録である。
 賢吉が沈船を引き揚げた際に見つけ、家の守り神とした黒檀の恵比寿像は現社長・賢一に受け継がれ、恵比寿神への信仰もまた今は亡き父・賢吉から伝えられている。
 当然、現在の業績は盲目的な信仰のお陰ではなく、惜しまれつつ家庭に入った『村枝の鬼ユリ』と呼ばれた才媛や『霊をも殴り倒すスーパービジネスマン』といった優秀な社員あってのことだ、ということは理解している。とはいっても、子供の頃から毎日のように「俺(おい)がここまで来れたんは、一にも十にも恵比寿様のお陰バイ。恵比寿様にゃそらもぉ感謝ばせにゃならんバイ」と擦り込まれつづけた村枝商事の最高経営責任者が、『ブラジルで発見された』という黄金の恵比寿像に興味を引かれるのは至極当然のことであった。
 疑問よりも先に立つ興味と思い入れ……総額3億を超えるそれらの宝飾品を購入することへの躊躇を断ち切るにはもってこいだった。

どうも皆様はじめまして!すがたけと申します。
意味深なタイトルな割に、主人公まだ出てませんが、とあるキャラクターのミッシングリンクをつなぐつもりで、精一杯書かせていただきます。
え、誰が主人公かって?
誰とは言いませんが……目つきの悪いマザコンです(言ってる、言ってる!これ以上なくずっぱり言い切ってる!!)。

今までの コメント:
[ 戻る ]
管理運営:GTY+管理人
Original GTY System Copyright(c)T.Fukazawa