醜女 跋文
投稿者名:赤蛇
投稿日時:(05/ 3/27)
「ふつつかではござりますが、何卒よろしくお願い申し上げまする」
そう言って顔を上げた女華姫は、道士の後ろにある貴人口の障子に映る影に気がついた。
あっ、と思う間もなく、その障子が手荒く音を立てて開かれる。
道士が何事かと思って振り向くと、初老の武士がずかずかと中へ入ってきた。
「ならん! ならぬぞ!!」
この地方を治める領主、すなわち女華姫の父だった。
「武家を捨てて嫁ぐなど、絶対に許さぬ!!」
「お、お待ちをっ!! 父上っ!!」
女華姫は慌てて話そうとするが、領主は聞く耳を持たず、呆然と座る道士を指差して怒鳴った。
「うるさいっ!! いくらブスでもお前は可愛いわしの娘!、それをこんな―――」
領主は肩を震わせて叫ぶ。
「こんなジジイに嫁がせてたまるかーーーっ!!」
「ち、父上、これには訳が―――」
「お、御父上どの、少し落ち着かれて―――」
ようやくに気を取り直して道士が取り成そうとするが、それは火に油を注いだだけとなった。
「わしを『御義父上』などと呼ぶなーーーっ!!」
狭い茶室の中に、一際大きな絶叫が響いた。
その後、紆余曲折もあったが二人は夫婦となり、『氷室』の姓を賜って神社を建立し、祠と社を子々孫々守り継いでゆくこととなった。
これより三百年の後、様々な出来事があった末におキヌは無事甦り、幸せな生を歩むこととなったが、それはまた別の話―――
今までの
コメント:
- 最後は椎名風ギャグで締め(笑)
女華姫の父も、なりふり構わず愛する娘を守る、いいキャラだと思いますよ。 (赤蛇)
- やっぱりこれがないと(笑)。
あ、幸せってことはおキヌちゃんエンドに続くのですね。 (橋本心臓)
- 『もし星が神ならば!!』篇は映画パロディに任せた力押しの展開で軒並み評価が微妙なお話でしたが……織姫を見たキヌが「女華姫さま!?」などのツッコミを入れなかった点がぼくには正直一番の不満でした(挨拶)。
ただ、多くを義務感に負うこの結婚というのも、ろくに顔を合わせた事も無い武家に嫁ぐのと同様に大変そうですよね。ま、その辺はお二人さん……か親父さん(笑)次第という事で、ともかくが二人の前途に幸あれ、と想わせる一本でした。連投お疲れ様でした。 (Iholi)
- >橋本心臓さん
おキヌちゃんエンドといっても、私が思いつくタイトルは『鬼怒』とか『―――が来たりて笛を吹く』とか『仄暗い水の底から』とかだったりするんですが(笑)
さすがにそんなの使えないよなぁ。。。
>Iholiさん
江戸時代の武家の結婚、特に領主ともなれば多分に義務感に負うところが多かったはずなので、あんまり心配はいらないかな、と。
たしかに『もし星が神ならば!!』は、もう少しコマで遊んでくれてもよかったのに、と思いますね。
「あん人はこんなカオじゃねー」と言うヒャクメのように(笑) (赤蛇)
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