ザ・グレート・展開予測ショー

横島忠夫奮闘記 73〜訪問前小話〜


投稿者名:ぽんた
投稿日時:(05/ 3/27)

「さて、我々が依頼をし、諸君らがそれを果たし、その報酬を支払い終えた。
 次の段階に入って構わないな?」

周囲の雰囲気などモノともせずにワルキューレが切り出した。
そう言われての心当たりなど一つしかない。

「え〜〜っと、“湯治”の準備が出来たのか? えらく早いな?」
「準備は並列進行で進めている『一刻も早く会いたい』と司令官殿が言うのでな」

ワルキューレから見た困ったちゃん、最高司令官殿がダダをこねているらしい。
事前に約束していた事もあり、それに関しては別に横島に不満は無い。

「“とうじ”って何の事です? 横島さんとワルキューレさんが温泉に行くんですか? 混浴ですか?」

初耳なのかおキヌが慌てたような様子で問い掛けて来る。“何故”おキヌがそこまで
慌てるのかは良く解らないが、何らかの説明はするべきなのだろうか。

「混浴かどうかは横島次第だ、一応軍の綺麗処は揃えてあるがな。コンパニオンは手配済みだ」
「はい?」

予想外のおキヌの反応と、更に予測の上を行くワルキューレの返答に横島は困惑を禁じえない。
確かに以前そのような事を言っていたような気がしない事も無いが本当にコンパニオンまで手配する
とは思わなかった。流石に混浴は遠慮した方が良さそうだ。何せおキヌとタマモの目が微妙に怖い。

「あ〜、取り敢えず混浴は遠慮するとして、一分一秒を争うんじゃなければ茶でも飲んで寛いでくれ」

わざわざ魔界から自宅を訪ねてくれた客を相手に茶も出さないのは良くないだろう。
横島の意を汲んだのかタマモが茶の支度の為に台所へ向かう。横島家の台所を預かる者としては当然か。
やがて全員分の茶を用意してタマモが戻って来た。茶器がカチャカチャと音を立てている。

「ふむ日本茶か…、これはこれで寛げるな」

人界にいる為か今日のワルキューレはスーツ姿の春桐バージョンだ。如何にもやり手の
キャリアウーマン風なのだが、その彼女が正座して美味そうに茶を啜っているのが何とも珍妙だった。

「美味い…、おや? 初めて見る顔があるな」

視線で紹介を要求するような様子で横島の方を見てくるのを受けて弓を紹介する。
雪之丞に任せたら照れから素直に言わないかもしれないし、そうなると後で拗れかねない。
まあ二人が喧嘩した処で知った事ではない、と言いたい処だがとばっちりがおキヌに行きかねない。

「ああ紹介するよ、彼女は弓かおりさん、GSの卵で雪之丞の“最愛の女性”だ」
「なっ? おっ、おい!」
「え? ちょ、ちょっと!」

横島の紹介を聞いて一人が慌てたような、もう一人が微妙に照れたような声で話し掛けて来る。
何だかんだ言っても嫌そうな様子は無いので知った事ではない。

「ふむ、伊達雪之丞の“想い人”か。後はお前の妹と氷室キヌと…」
「後の二人は俺の弟子だよ、犬塚シロと不動明音だ」

以前妙神山で会った時のようなピリピリした雰囲気は今日は無く、随分と和らいでいる。
前回は眼中に無かった相手の名前もこの際インプットしようとしているようだ。

「え? ひょっとして前に会った魔族の方ですか?」

不動は人間形態のワルキューレを見るのが初めてな為驚いていたがシロとタマモは気付いていたようだ。
シロはこの間徹底的に無視されたのを根に持っているのか、珍しく自分から挨拶しようとしない。

「二人共俺の友達への挨拶は無しか?」

横島が敢えて軽い口調で問い掛けると、不動が慌てて反応した。

「あっスミマセン、僕は横島先生の弟子の不動明音です」

「………人狼族、犬塚シロでござる」
「うむ、ヨロシクな」


不動が挨拶したのを見て、不承不承といった感じでシロが挨拶をしている。
気が進まないものはあるが横島の面子を潰す訳にもいかない。
ワルキューレはその様子に頓着する事も無く、平然と挨拶を返している。

その後も他愛の無い茶飲み話が続くが、ワルキューレがふと何かを思いついたような顔になる。

「そう言えば、お前と雪之丞とはどういう出会い方をしたのだったかな?」


ワルキューレから見て、横島・雪之丞共にその戦闘力は人間の範疇を大きく超えている。
同程度の実力者が組むのは別に珍しい話ではないが、今のような実力になる遥か以前から
この二人は行動を共にする事が多かったようだ。文珠を別にすれば二人の間に差は無い。
未熟な段階から此処迄のレベルに揃ってなるのは実は珍しい、普通はどちらか、或いは両方死ぬ。
そうならなかったのは偶然相性の良い二人が出会い切磋琢磨して来たからではないかと思ったのだ。


「どういう出会いって改めて聞かれるとな…」
「そうだな〜、試合って言うか…いや、どっちかって言うと…」


「「殺し合い?」」

誰に言うともなく首を傾げながらの疑問形での答になる。当時の雪之丞は病んだ心全開で
横島の事を引き裂くのを楽しみにしていた。横島には明確な殺意など無く、唯ピートの仇を
討つ為だったが殺されそうな気配はビンビンに感じていた。アレを単なる試合とは呼び難い。

「そう言えばあの時の横島さん、本当に殺される寸前でしたね」

おキヌが当時を回想するような表情で呟いている。
実際おキヌの機転、と言うか偶然が無ければ危なかった。


「ふむ、限界状況で向き合った事があるからこそ、肩を並べて闘う時に息の合った動きが
 出来る訳だな。理に叶ってはいるが珍しいパターンではあるな、まあお前らしくはあるが」

ワルキューレが納得したかのように頷きながらお茶請けの羊羹を頬張っている。
だが何名かにとっては意外な答だったようだ。

「そんな事があったなんて驚きです、凄く息の合ったコンビに見えるのに」
「過ぎた事は潔く水に流したでござるな、拙者も見習うべきでござる」

不動の述懐に続いてシロが一人ごちるが、その後改めてワルキューレに丁寧に挨拶し直していた。
先程の自分の態度を反省したのだろう、尤もワルキューレは別に気にしてもいなかったが。

「ああ俺は別に根に持ったりしないぞ? 例えいきなり夜道で闇討ちを仕掛けて来た相手が
 その後、飯までタカった挙句に弟子にしろなんて言い出してもな」

横島がからかい半分でシロとの最初の出会いを話すとシロが顔を赤らめながら慌てている。
確かにあまり褒められた出会いではない。

「いや、あの時は拙者仇を追うのに必死でござったゆえ」
「えっ? 犬塚って先生の事闇討ちしたの?」

シロの必死の弁解を聞いて不動が心底驚いている。まさか自分の仲間がそんな事を
していたとは思いもしなかったのだろう。単なる微笑ましいエピソードなのだが。

「横島さんは別に気にしてませんよ、ねえ?」
「もちろん、そう言やおキヌちゃんと出会った時も俺って殺されかけたんだよな〜」

今度の発言は無音無形の衝撃波を周囲に撒き散らした。『おキヌ』と『殺し』など最も
似つかわしくない言葉なので当然だ。だが横島に他意がある訳ではなく単に昔を懐かしんでいるだけである。
随分と昔の出来事のような気がするが、それ程時間が経っているという訳でもない。

「なっ? そ、それは…、でも横島さんこそ幽霊の私に襲い掛かって押し倒したじゃないですか?
 そんな事言うなら、やはり幽霊を押し倒した“初めての男”として広く語り継ごうかしら」
「ゴメン俺が悪かった、だからそれだけは勘弁して下さい」

周囲の視線に狼狽しながらおキヌが言い訳にもならないような事を喋っているが、その内容は
ピンポントで横島の急所を直撃した。人前で、特にタマモの前では致命的な内容である。

「うわっ! 最低、おキヌちゃんを押し倒すなんて…」
「初対面のおキヌ殿を押し倒したんでござるか?」
「幽霊の氷室先輩に襲い掛かるなんて…」
「本当に〜見境無かったのね〜」
「見損ないましたわ横島さん」
「そうか? 俺はどっちかって言やぁ見直したかな?」

散々な言われ様ではあるが弁解のしようも無い。却っておキヌの方が焦るくらいの反応である。
苦し紛れに言っただけなのだが、おキヌの取った行動については忘れられ横島のみに焦点が当っている。
やはり『おキヌが人を殺そうとした』より『横島は女なら幽霊でも押し倒す』方が全員に
しっくりと来るのだろう。(特に弓辺りには強烈に)人望だけでなく人徳の差でもある。

「ふむ、場の空気も和んだようだしそろそろ出発するか?」

和みという言葉の対極にあるような雰囲気なのだがワルキューレは一向に頓着した様子も無い。
そして横島にとっては渡りに舟の申し出だった。これ幸いと準備の為に自分の部屋に逃げ込もうと
するが、ここで悩むのがどんな格好で行くか、だ。一応偉いサンに会うらしいのでGパンはまずいだろう。
助言を仰ぐと仕事の時の服装で良いだろうとの事だったので営業用のスーツ姿でいく事にした。

「だったら〜この新しいスーツを〜着て行って〜」

そう言って冥子が手渡したのは横島が帰る前に六道家から届けられたと言う新しい服。
対魔方術加工を施した生地で仕立てた特注品で他にも色々と工夫がしてある。
顕著なのが隠しポケットで、袖口や二の腕部分を初めとして様々な場所に符を仕込めるようになっている。
横島は霊符以外の道具を使わないので、これで充分だった。ざっと数えても100枚は隠せる。
雪之丞にも同様の物が贈られるが、彼は横島以上に道具を使わない。
だが最低限の結界札や吸引札ぐらいの道具は使うので、これで充分だろう。

横島は部屋でスーツに着替えると、ありったけの霊符を服のアチコチに仕込んだ。
別に闘いに行く訳ではないが、行き先が魔界である以上用心は怠るべきではない。

「準備は出来たか? では出発するぞ」
「あ、ちょっと待った、土産とか持って行かんで良いかな?」

ワルキューレが急かすような事を言って来るが、気になっていた事を確認する。
何せ魔界訪問など初めてなのだ、どうすれば良いかなどさっぱり解らない。

「別に気にする必要も無いと思うが…、いや、却って面白がるかもしれんな」

ワルキューレの返答を聞いて他の皆からも何が良いか意見を集めてみる。
その結果、持って行くのはトラ屋の羊羹、雷おこし、人形焼という事になった。
ついでに暫く六女での授業が出来ない事を冥子に詫びておくのも忘れない。

「大丈夫よ〜私が代わりに〜やっておくから〜」
「……………ヨロシクお願いします」

何となく授業中に居眠りする生徒が続出しそうな気がするがそれを言っても何にもならない。
生徒達は忍耐をいう言葉の意味を知るだろう、良い経験ではある。

「あっ横島さん、松茸がまだ余ってるんですけど、これもお土産にしますか?」

おキヌが気を使ってか残った食材の有効利用を提案してくる。
だが余り物を土産に流用するのは流石に庶民的過ぎるような気がする。

「う〜ん、それはもう一回松茸ご飯を炊いておにぎりを作って唐巣神父への差し入れにしたら?」
「あら〜それは良い考えね〜お礼を言うのも兼ねて〜私が持って行くわね〜」

ザンス行きの間、代わりに仕事を引き受けてくれた唐巣への礼もしなくてはならない。
と言っても余分な金銭を受け取るとも思えないので相手が断り難い食事の差し入れの方が良いだろう。
冥子も所長として唐巣にはきちんと礼を言うべきなので良い機会だ。

「一応神族が変に気を揉まないよう妙神山経由で魔界へ転移する。その前に土産を
 揃えるとしよう。行くぞ、魔王の方々がお待ちかねだ」
「らじゃ……って、ちょっと待て?」

今何か聞き流せない事を言われたような気がした。

「“方々”って複数形だよな?」
「その通りだが?」

ワルキューレが何を当たり前の事を、というような口調で答えて来る。
周囲も急に様子の変わった横島の事を訝しそうに見詰めている。

「今回俺って二柱の魔王に会わにゃならんのか?」
「む? そんな事は無いぞ?」

「あははは〜、そうだよな〜♪俺なんかを相手にそんな事…」
「うむ、今回お前と会いたがっている魔王の方々は三柱だ」

魔王と会見するという事は知らされていたので心の準備はしていた。堤防を築いたようなものだ。
それが出発間際に相手が二柱である可能性に気付いた。この時点で土嚢を積み上げ何とか
水位ギリギリで持ちこたえようとした。だが予想を遥かに越える三柱発言によって、
危険水位突破・堤防決壊・大洪水である。一気に土石流が押し寄せて来た。その結果、

「うっ! 痛たたたたっ! くぅ、持病の腸捻転が…全身に転移したみたいだ」

持病でそんな病を患った時点で死にそうなものだが、そもそも転移などしない。
だが完璧にパニクった頭ではそんな事は解らない。予想外にも程がある事態を前にして
横島の取れる選択肢は、誤魔化す・時間を稼ぐ・逃げをうつ、ぐらいの物である。
そして当然それを許すような甘い相手でもない。

チャキッ

僅かな金属音と共に固い筒状の物が横島の頭に押し付けられる。

「随分と辛そうだな? 友が痛みに苦しんでいる姿など見るに忍びない。
 即時即効の痛み止めがあるんだが投与して欲しいか?」
「痛み……“止め”?」

彼女の言う“投与”とは押し付けられてる銃口から射出される“痛み止め”の事だろう。
周りの皆は急過ぎる展開に着いて行けないでいるが、何処かで見たような光景でもある。
なんとなく成り行きを見守る事しか出来ない。

「この痛み止めの効能は、一度投与すれば二度と痛みを感じないという優れ物だ」

どういう意味かは聞くまでもない。

「あっ、痛みが引いて来た。ワルキューレの友情のお陰かな〜」

結局横島に出来るのは諸手を上げての全面降伏しかなかった。

「ちっくしょ〜、矢でも鉄砲でも持って来い! 鬼が出るか蛇が出るかってやつかぁ?」
「ハッハッハッ、心配するな横島、鬼も蛇も出んぞ」

ワルキューレが朗らかに笑いながら保証してくれるが、実際に出て来るのはもっと恐ろしい者だ。
だがそんな事は微塵も感じさせずに彼女一人のみが平然として横島を連行して行く。
事情を知らない者が見たら、実に気の合う親友同士が愉しげに連れ立ってるように見えたかもしれない。
部屋から出て行く二人を見送った後、ポツリと弓が呟いた。

「色々と常識から外れている人だとは思ってましたが、今回のは極めつけですわね」
「横島さん、大丈夫でしょうか? 三柱の魔王なんて…」
「今回は友好的みたいだから平気だろ? ヤバくなってもアイツなら逃げるぐらい出来るって」

何処となく呆れたような弓、心配そうなおキヌ、比較的楽観的な雪之丞、と年長組の反応は様々だ。

「たークンなら〜、お友達増やして〜帰って来るんじゃないかしら〜」

最も目上の人間は更に楽観的だったがかなりの高確率でありそうな話でもある。
年少組は事態が大きすぎてピンと来ないようだが、何やら大変らしいという事は解る。
それでも横島自身が決めて行ったのであれば、信じて待つしかない。

「先生なら大丈夫だよね?」
「もちろんでござる、拙者は信じているでござるよ」
「でもヨコシマの事だから余計な面倒事の種を抱えて帰ってきそうな気もするわね」

心配と信頼が天秤の上で揺れているが、どちらに傾くのか今の時点では誰にも解らない。


















《妙神山》

横島とワルキューレは総ての準備を終えて後は転移するだけだった。
小竜姫は魔界での横島の身を案じ、竜神の装具を身につけていくよう薦めていたがワルキューレに
却下されていた。神族の装具をつけて魔界に入るなど喧嘩を売るような真似だという理由で。

「心配するな小竜姫、横島の身の安全は正規軍が保証する。霊力を使い果たす事など無い」

魔界で人間が霊力を使い果たした場合、回復する事無く衰弱死する。横島は純粋な人間よりは
耐久力はあるだろうが、さりとて純魔族という訳でもない。小竜姫の心配はある意味当然なのだが
正規軍が護衛に着く以上は襲い掛かって来るような無謀な輩はそうはいないはずだ。

「ですが軍内部には“ばとるふりーくす”なる者達がいると聞いた事があります。
 そういった言わば軍の身内が腕試しを挑んで来る可能性は無いのですか?」

軍という組織に所属していても魔族本来の本能はどうしようもない。その闘争本能は隠しようもなく
有名な『魔神殺し』が来るとなればその実力を直に試したいと思う者も少なくないだろう。
だが今回に限りその心配は杞憂だった。

「今回は最高司令官殿のお声掛かりなんでな、それを差し置いて抜け駆けするような命知らずはおらんよ」

在野の魔族で魔界最大の武力集団である軍に喧嘩を売るような馬鹿はおらず、軍内部では
司令官のご機嫌を損ねるような真似を自らするような命知らずはいない。
そこまで聞いてようやく小竜姫も安心したようだった。
それを見てワルキューレがからかうような事を言う。

「しかし小竜姫よ、今のお前は“弟”の身を案じる過保護な“姉”そのものだぞ?」
「なっ? 何を言うのですワルキューレ、私は唯師として、神族の一柱として安全状況を確認しているだけです」

あからさまに慌てた様子で小竜姫が反論しているが、あまり説得力があるとは言い難い。
ワルキューレは人の悪い笑顔を浮かべているし、横島は妙にバツの悪い顔をしている。

「それを言うなら貴女だってジークさんに対して心配し過ぎな面があるでしょう?」

咄嗟の反撃だったが言われた方は全く気にした様子も無い。

「自覚は無いがあるかもしれんな、だがそれがどうした? ジークは私の“弟”だぞ?」

それに対して横島は違うだろう、という相手の心の声が聞こえたような気がして小竜姫は失策を悟った。
これでは横島の事を弟扱いしていると白状したも同然だ。
ワルキューレはしてやったり、と言わんばかりの笑顔で実に愉しそうにしている。

「あっ、あのっ俺達そろそろ出発しますね」

何となく場の空気が師匠にとって好ましくないような気がした横島がそれをうやむやにする為に
出発を告げる。ワルキューレも気が済んだのかそれ以上は追及しようとしない。

「と、取り敢えず魔界に着いたら気を抜いたりしないように用心して下さい。
 あとくれぐれも失礼な振る舞いなどで相手を怒らせたりしないように」

威厳を取り繕うかのような事を言って来るが小竜姫とて今の横島が魔界に着いていきなり
セクハラ三昧をしてトラブルを誘発するとは思っていない。老婆心のようなものだ。

「大丈夫です気を抜いたりしないッスよ、全身に符も仕込んでるし言葉遣いにも気をつけます」

まるっきり『初めてのお使い』前のやり取りのようだが生憎本人達は大真面目である。

「さあ、もう良いだろう、行くぞ横島」

流れを断ち切るようにワルキューレが声を掛けて、横島を連れて転移する。
誰もいなくなった妙神山では何かを吹っ切るように小竜姫が修行場に向かって行った。

この日、斉天大聖との修行中に乱入されたパピリオは小竜姫との組手の相手を長時間
務めて疲労困憊になったという話があったそうな。
しかもその後、横島が出発前に立ち寄った時に修行中の為呼んでもらえず、その事に
苦情を言おうとしても、微妙に不機嫌そうな小竜姫を前に口を噤むしかなかったそうである。



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(あとがき)
司令官との出会いまで書いたらとんでもない容量になったので大幅に削ったらこうなりました。
その所為かちょっと変かもしれません。
次回で魔王の方々が出て来ますが、某ssとの被りを防ぐ為、一部性格を壊してます。
こんなん魔神じゃねー、という方もいるかもしれません。

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