ザ・グレート・展開予測ショー

彼女と陰陽師1


投稿者名:MIYA
投稿日時:(05/ 3/21)



あの日まで俺は今生で彼女と会えると思ってなかった。



「ったく、なんで仕送りがぎりぎりなんだよ。金は十分あるはずなのに…」

俺はその時高校の帰りで何かいいバイトがないか求人雑誌を読みながら歩いていた。

「パソコン?んなもん使えるか!力仕事?無理!となると接客系か…」

俺はこの前コンビニを3日でやめさせられたのを思い出した。原因はセクハラがどうとか言ってった気がする。ったく、ちょっとちちやしりやふとももを触ったぐらいで首にするなんて心が狭いよな。お客にちょっとだけ(?)セクハラしたのはまずかったかもしないけど。

何か特技があればバイトでも有利なんだろうけど特技といったら『あれ』ぐらいしか思いつかない。

「でも『あれ』を活かしたバイトなんてなあ…」


俺の名前は横島忠夫。両親がともにナルニアに行ったため念願の一人暮らしをエンジョイして、エロ本もAVも見放題で、彼女をつくって部屋に連れ込んでウハウハな生活をしよう、と思ったのにいきなり生活費に困ってる苦学生だ。

そして他人には言ってない秘密がある。それは…


『前世の記憶』ってやつを持ってることだ。




それは俺が中学生のころ表に出てきた。明らかに自分のものではない記憶と人格を意識しだしたとき結構混乱した。

前世の俺は平安京にいた。日本の文化がきらびやかに発展していく一方、貴族たちが権力の闘争を行い、他人を呪うような時代。そんな時代に生きていた。そして俺は陰陽寮に所属する凄腕の陰陽師だった。

【まだ中学生だった俺】と【二十年以上生きた俺】。人格の混同に悩まされた。

しかしだんだんと定着していったのか、今では人格は一つになり、記憶の方は昔のことを思い出すみたいにな感じになった。幸い前世の俺も同じような性格だったみたいで、そのため人格の統合は問題なく進んだ。

そして大きく変わったのが霊力の発現だ。これはある意味当然の出来事だ。なんせ俺は陰陽師だったんだから。しかも術の使い方まで思い出せたのは本当にラッキーだった。



何とかこの特技を活かしたバイトはないものか探したがどれも怪しそうなものばかりだった。だから半分あきらめていた。現代には除霊をするにも免許がいるらしかった。前に一度地縛霊が襲ってきた時に除霊してしまい、後から追ってきた霊能力者がグダグダと免許がどうとか言ってきた。たしかゴーストスイーパーライセンスだったか?それを持っていないからどうとか言っていた気がする。












俺は今まで見ていた雑誌から前方に目を向けた。知ってる霊力の波動、もしくは気配がしたからだ。



ありえないと思った。


たった一回転生しただけで会えるはずはないと思っていた。


でも会いたかった。



そこには彼女がいた。なにかのチラシを貼ってるようだった。


あれは…バイトの募集!しかもゴーストスイーパー!チャーンス!!!


俺は思わず駆け出して声をかけるのも忘れ抱きついてしまった。




「生まれる前から愛してましたーーー!!」













「何すんのよ、変質者ッ!!」

横島はものすごい勢いで殴り飛ばされた。

「す、すんません、ちがうんですッ…。雇ってくださいというはずが、近づいたら、あまりのフェロモンに我を忘れて…」

「どーゆう自我の構造を…」

その女性は横島を一瞥すると一瞬で後ろを向いて言った。

「あとでこっちから連絡するから!」

「ああっ!?連絡先もきかず、あからさまに不採用!?」

「いきなりセクハラかますよーな奴、不採用に決まってんでしょ!?帰れ!!」

「ま、待ってくださいっ!!俺は…陰陽師っす!霊力使えます!悪霊も平気です!!」

女性は振り向くと明らかに疑っている、というような目を向ける。

「あんたが?あんた陰陽師って何か知ってて言ってんの?」

「知ってます!!いろいろ術も使えるんスよ!!」

「ふーん、じゃあ何かやってみなさい。」

横島はふところから人の形に切った紙を取り出すと足元に落とした。すると紙は膨れ上がっていき横島とそっくりな、いやまったく同一の人間が現れた。

「一応式神みたいなものっス。しゃべったりはできないですけど。」

横島は式神にお辞儀をさせた。

女性は驚いた。まさかこんなまねができるとは思ってもいなかった。どうせたいしたこともできないだろうからけなして不採用にしようと思っていた。しかし違った。それに目の前の少年が使っていた紙は式神ケント紙ではないようだった。式神ケント紙なら霊能力者なら簡単に式神が作り出せるが、ただの半紙のような紙から式神が作り出せるとなるとそれなりの実力を持っていることになる。

(これはいい掘り出し物かも。破魔札も節約できるし。給料も削れば…)

「…」

「…」

「時給250円!!」

「やります!!」

「なら事務所で手続きするからついて来て。」

「しゃーーーーっ!!」

女性は前のビルに入っていった。あわてて横島も中に入っていく。女性はエレベーターのところで待っていた。

「私は美神令子よ。で、あんたの名前は?」

「横島、横島忠夫っス。」

「じゃ、これからよろしく。バイト代払ってあげるんだからしっかり働きなさいよ!」

「もちろんです!!どんなつらい仕事もやります!!」

(しっかりこき使わないとね。  にやり)

(メフィストに会えた!むこうは覚えていないようだけどこんどこそは!!)


こうして彼らは再び出会った。千年の時を越えて。






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