ザ・グレート・展開予測ショー

おキヌの夕焼け7 〜こいつにとって失敗は成功の元なのか!?


投稿者名:nvere green
投稿日時:(05/ 3/16)


「むぅ。やっぱり失敗だったな…。」
「やっぱりってお前なぁ…。」
カオスはそこまで落ち込んではなかった。
今まで生きてきた中で失敗など数えきれないからだ。
「まぁ、こうなることは分かってたからいいけどな…。」
「実はわしもじゃ。」
「おい!」
「それでも試したかったんじゃ。」
「まぁいいや。じゃあおれ行くわ。手紙なくすなよ!」
横島はドアを開いた。
「おぉ、マリア!買い物お疲れ様じゃ!」
ちょうどマリアが買い物から帰って来た。
「ノープロブレム・ドクター・カオス。ところで・このかたは誰ですか?」
「なにを言っておるマリア。この小僧は横島忠夫ではないか?」
「マリアのメモリーに登録されていません。」
「!? さっきの文珠の効果かっ!?」
横島は嫌な予感がした…。
「まさかそんなはずは…。そうじゃ!偶然近くに居たマリアは金属を含んどる。
多分それに文珠の効果が引き付けられたんじゃ!」
「けど文珠の効果が引き付けられた事なんかないぞ。」
「この機械はさっき小僧が文珠を入れた穴の中で呪文を吸収する。
それを電波に変換して範囲中に放出するのじゃ。」
「マンガならではの機械だな…。じゃあ「覚」とかで思い出せないのか?」
横島は思い付いたように言う。
「そうじゃ。文珠の効果は文珠で打ち消せる。しかし電波の呪文は文珠では打ち消せん。」
「じゃあ、どうするんだよ?」
「呪文拡大器にある赤いスイッチを消せば直るはずじゃ。」
「はず、って。おまえ直る確証はないのかよ!」
カオスは言葉ではなく指で答えた。
「げっ!」
そこには無惨にもバラバラになった呪文拡大器があった。
いや、もはやそれはゴミだった。そのゴミは横島の思いとは裏腹に白い煙を上げお手上げですと訴え掛けていたようにみえる。
「って事は。もしこれが成功したとしても壊れたら記憶が戻らないじゃね〜か!」
横島はやっと気がついた。
失敗すると分かりきっていても必ずしも何も起こらず生きて帰れると…。
「あ、危ねぇ…。って事はマリアはそれが直るまでは記憶は戻らないのか?」
「まぁそういう事になるな。一人で3メートル分の電波を喰らったからな。」
「おっといけねぇ。時間かけすぎた!じゃあおれ行くわ!手紙無くすなよ。」
横島はもうマリアの事なんか忘れていた。時計の針は3時を廻った。

駅近くの商店街

「いかんいかん。ここからだと妙神山に着くのは夕方になってしまう。」
横島は駅に向かって走っていた。
「よし駅まであと少しだっ!」
横島は最後の左へのコーナーを華麗にカーブした。

−どかぁぁああん!−

横島はぶつかった。
「あぃたぁああ〜。もう!どこのどいつよっ!」
そこに居たのは美神だった。横島は焦った。
(ま、まずい!ここはうまく切り抜けなければっ!)
「す、すいません美神さん!じ、実は友達がガンで病院にっ!」
見え見えの嘘をつく横島。ところが…
「えっ?あなた誰?どうして私の名前を知ってんの?」
「へっ?誰っておれですよ!横島忠夫ですよ!」
横島は立ち上がって、膝を付いた美神に言う。
「そんな人は知らないわ?悪いけど私、お金を払った人の名前なんていちいち覚えてられないの。」
「ちがぁ〜う!おれは依頼主じゃねぇ〜!おれっすよ!横島ですよ!今、あなたの事務所で働いているじゃないですか?」
「大丈夫?頭打った?」
美神は横島を心配する。
端から見たらそれはかなり奇妙な光景だ。
「どうしたんですか美神さん?こんな所で。」
おキヌが現れた。学生服を着ていて学校帰りだった。
「よかったおキヌちゃん!おれだよ!横島だよ!覚えてるよね?」
横島は真剣な顔でおキヌを見つめる。
「………。美神さんの知り合いですか?」
横島はこける。普通にへこんだ。
(お、おキヌちゃんまでこのノリに乗るとは…。)
と思ったが、一つ頭の中で何かがよぎった!
それは失敗すると分かりきっていても必ずしも何も起こらず生きて帰れないと…。
「まさか…まさかっ…!」
「だよねぇ。実は私も知らないのよ…。タマモかシロの友達かしら?」
「けど、タマモちゃんはこんな友達いると思えませんし、シロちゃんも違うと思いますけど…。分かった!雑誌で知ったんじゃないんですか?」
「そうね!あなた私の事、雑誌で知ったのね。最近の若い子でも知ってる人は知って…。」
横島はいなかった。
「何なんでしょう?」
「さぁ?私に聞かれても…!あっ、おキヌちゃん買い物ご苦労様。半分持つわ。」
「ありがとうございます。美神さん。」
二人は何事も無かったように事務所に帰って言った。

  再び再びカオスの家

「再び再びで悪かったのう!」

  −バッゴォォオオン!−

もう横島はノックすらしなかった。
というよりドアが視界に入った瞬間にノックアウトさした。
「おぉ小僧!もう修行が終わったのか?手紙は確かここに…。」
と言いつつもう無くしていた。
横島は荒れた息遣いでカオスの胸倉を掴んだ。
「す、すまん!実はあの手紙はトイレットペーパの代わりに使ってしまった!」
カオスは必死に謝罪する。
「ちがぁ〜う!この野郎!3メートル以外の奴の記憶を消してどうすんじゃぁあああああああ!!!!!!!!」
カオスの反応は無く、既に血を流して倒れていた。
いつもなら横島が美神にやられていた展開だ。
「なっ、なにっ?そうか!それでマリアの記憶がっ。これで謎が解けたぜっ!」

−バァゴォォォオン!−

「す、すまん…。わしの不注意だった。」
「不注意じゃねぇえええ!早く直せっ!何日かかるんだ?」
「分からんが、軽く二年はかかるな。何より設計図が無い。
それにもうあれは原型を留めてはおらん。」
横島は唖然とした。
「じゃあ、もうあいつらの記憶は甦らないのか!?」
「まぁそういう事になるな。だが一つだけ方法がある」
横島は唾を呑んだ。
「それは無理矢理思い出させる方法じゃ。」
「でもそれは無理ってさっき…。」
横島は朝の話を思い出して抗議した。
「まぁ待て。話を最後まで聞け。さっきの見解はマリアだけが忘れたものかと思っておったからじゃ。3メートル以外となると電波は広い範囲に行く。広い範囲に行くほど弱くなる。液体を机に零して伸ばすと薄くなるじゃろ?それと同じ原理じゃ。」
「つまり呪文の効果が薄いって事か?」
「う〜む。間違ってはないが少し違っておる。効果が薄いなら小僧の事の記憶は少しあるはずじゃ。つまり。」
「つまり…?」
横島は聞き返した。
「つまり、小僧の記憶は全部消えておる。しかし効果が薄いため皆が思い出す可能性が高い訳じゃ。」
「なるほど、じゃあ何かおれを思い出すきっかけを作ればいい訳だな?」
「その通りじゃ。過去にあったことを再現するとか。時空消滅内服液と一緒みたいなもんじゃ。」
「じゃあ、おれやってくるよ!」」
横島は出口のドアに手を伸ばした。
「待つんじゃ!」
それをカオスは止めた。
「何だ?カオス。」
「このまま修行に行けばいいのではないか?これで悩み事も無くなる。」
カオスの言う通りである。周りの記憶から横島が消えた方が反って好都合である。
「確かに…。記憶はいつでも直しに行けるしな…。じゃあおれ行ってくるわ!」
「あぁ。気をつけて行ってこい!たまには連絡もするのじゃぞ!(これで手紙の事はどうでもよくなった。)」
「あぁ!行ってくる。」
横島はドアを開き外へ出た。夕日はもう沈んでいた。「飛」の文珠を作り上げ、横島は空の彼方へ消えて行った。


その夜、美神除霊事務所〜

「おキヌちゃん。ご飯ちょっと作りすぎじゃない?」
「あれっ?ほんとですねぇ?いつも通り作ったはずなんですが…。」

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