ザ・グレート・展開予測ショー

横島忠夫 再び修行中!!(3) 後編


投稿者名:Kureidoru
投稿日時:(05/ 3/15)







 黙々と歩くこと約20分、彼らは今、目的地のドアの前に辿り着いていた。

「先生っ、見鬼くんが!」

見ると見鬼くんは、ドアの方向を指しながらと腕をぶんぶん振っている。

「多分、この先にいるでござるよ」
「…だな。皆、準備はいいか?」

横島が全員に促す。すると、タマモがいかぶしげに聞き返した。

「あんたは大丈夫なの?」
「ま、まぁ、どっちかって言うと大丈夫じゃねーけど;。いつもの通りに神通棍を『栄光の手』だと思ってやるさ」

なんとか覚悟を完了している横島を見て、皆が安堵する。
攻撃の要となる彼の精神テンションが戻れば、多分、大丈夫だ。
なんだかんだ言って、頼りにされているのである。

「じゃあ、開けるぞ…?」








 部屋の中はだだっ広く、天井で寂しく揺れるシャンデリアと、部屋の隅に無造作に置かれている壊れかけた木製の机以外には何も無い。
その木製の机の周りを、不気味に浮かんでいる薄紫色の敵影が、二つ…いや、三つ。

 予想通り・・・いた!

それを確認すると、全員が戦闘態勢に入る。
それと同時に三体の悪霊もこっちに気がつき、凄い勢いでこっちに近づいてきた。

 前方から2体、横から1体の悪霊が突っ込んで来る。
それを見てすぐさま、タマモとシロが前方に、横島とおキヌが後方に跳んだ。

「そっちは任せたわよ!」
「言われなくてもっ!」

言いながらシロが霊波刀を展開させながら横から来た霊に一閃を浴びせた。
タマモの方は目の前まで迫ってきている2体に向かって狐火を吹き付けた。悪霊達に牽制を仕掛け、突破を抑えるためだ。

「横島っ!」
「はいよっ!」

予想通りに一度引いた悪霊を確認すると、今度は叫び様に横島と交代して、隣で交戦中のシロの援護を始めた。


 前方に出た横島は、前もって用意していた札に霊力を込めて悪霊の内の一体に思いっきり投げつけた。
お札と言うのはダイナマイトのような物で、少量の霊力で札に封印されている力を爆発させる代物である。
使用者に霊能力があればある程、多大なダメージを与えることが可能な霊アイテムだ。
勿論、今の横島の霊能力は低い部類に入るはずがない。敵の額に見事に当たった札は突然発光して・・・

 ドガァァァンッ!!

『ギャアアァァァッ!!!』
「ワハハハハッ!これが本当の断末魔ってか!!」

大爆発を起こしてバラバラにフッ飛んだ霊を横目に横島が高笑いした。


 一方、シロタマコンビも悪霊と交戦中なのだが、
当の悪霊が、相手が二人だと分が悪いと踏んだのか空中に浮き、攻撃を当てられないように旋回していた。
時折、前触れ無く降りてきて強襲してくるところがなんとも卑劣で、イヤラシイ。

「くっ!これじゃあ狙いが定まらないでござる!」

悪霊の攻撃をいなしつつ、シロが吐き捨てるように言った。それはタマモも同じで、シロと同様に憎らしげに悪霊を見据える。

「このっ!ウロチョロするなっ!!」

そう叫ぶと、タマモは器用に右手の平に狐火を集め、それを悪霊の頭上目掛けて投げつけた。

 バァンッ!

突然狐火が爆発し、炎が四方八方に飛び散る。
いきなり火の粉が自分の周りに散開したのに驚いたのか、悪霊が一瞬動きを止める。
その刹那、シロが悪霊の目の前に躍り出た。

「遅いッ!」

瞬く間に展開させた霊波刀で、悪霊の体目掛けて横一閃に薙ぎ払った。

『ガァァァァァァッ!!!』

瞬間、悪霊の胴体はキレイに斜めに斬り裂かれ、フッと霊圧を失ったかと思うと、体の残骸がドサドサと地に落ちた。


 残った一体の悪霊は一瞬で仲間がやられたのを悟ったのか、半ばヤケ気味に横島を目掛けて突進して来る。
それを見た横島は、待ってました!とばかりにニヤリと笑い、後方に控えていたおキヌに向かって叫んだ。

「おキヌちゃん、今だ!」
「はいっ!」

 ピュリリリリッ ピュリリリリッ

横島の合図と共に、おキヌが霊波を込めてネクロマンサーの笛を吹き鳴らす。
あたりの空気が波打ったかのごとく、空中に浮いていた悪霊の動きが突如鈍くなった。

「だりゃぁぁぁッ!!」

それを確認する間も無く横島が飛び出す。日々の除霊で互いを信頼しているからこそ取れる行動である。
叫びながら悪霊に向かって高く跳躍して、出力を上げた神通棍を大きく振りかぶり、そして悪霊の脳天目掛けて振り下ろした。

 ドカァッ!!

『グアアァァァァッ!!!』

一線を描きながら振り下ろされた神通棍は見事に直撃し、悪霊は奇声を上げながら真紅の絨毯に叩きつけられる。
間髪入れずに横島はポケットから札を抜き取り、飛び降り様に叩きつけた。

「吸・引ッ!」

霊力を込められた札は突如発光し、暗い室内を照らし出す。

 そして、悪霊は瞬く間に札の中へと消えていった… 。








「…いやぁ〜、俺もやれば出来るじゃんか!」

戦闘が終わり、安堵の溜息をつきながら横島が言った。

「当然でござるよ!先生は拙者の師でござる。出来ないことなんてござらんよ♪」
「初めてにしてはちゃんと使いこなせてたじゃない。あれだけ自信無さげな事言ってたもんだから、結構驚いたわ」

二人も率直な意見を述べる。褒められて気を良くしない人間などいない。

「そうか?いや〜、俺も正直驚いてさぁ。もしかしちゃって、美神さん並に使えてたかもしれねーなぁ〜!」

実際のところ、彼としては霊アイテムが使いこなせるか否かが今回の仕事の生死の境界線だったのだから喜ぶのも無理は無い。
それに、神通棍を使いこなせていれば、カオス仕込みの札も精霊石も使わないに越したことは無いのだ。
帰還できずに死ぬのも、帰還して美神にバレて殺されるのも、どっちも嫌に決まってる。
自身の命の安全が保障された時点で、美神を越えていようが、越えていまいが、どうでも良かったりするのが本心であったりする。


 そんな中、この場に似合わずに難しい顔をし、何かを考えている人物が一人だけいた。

「?おキヌちゃん?どうかしたの?」
「え?いや、ちょっと考え事をね…」

タマモが声をかける。

「横島もあの調子だし、さっきの事も考えたら、意外と楽勝に終わっちゃうかもね、この仕事」
「うん…そうかもしれないわね…」
「…本当にどーかしたの?こんな時に辛気臭い顔しちゃって」

普段、おキヌがこんな表情をすることなど滅多に無く、しかもその状況が状況なだけに少し心配になる。
顔に陰りをつけ、眉間にシワをよせながら、オマケに腕組みまでしておキヌは呟いた。

「・・・・・何かが引っかかるのよ。今の除霊」
「?何かって、何が?」
「分からない。けど、何かがいつもと違っていたような…そんな気がしたのよ…」

不思議がるタマモを前に、シロに褒めちぎられている横島に対して一人不安な眼差しを向けるのであった。













  〜つづく〜





<あとがき>
こんばんは、Kureidoruです〜。
あ、前回ご指摘いただいた○数字は改善しました〜。どーもスミマセン;
そして、マリあんで相談にのってくださった皆さん。
ご指摘してくださった所を(出来るだけですが)心がけてみました。
ありがとうございます。

内容ですが、試験的に色々と話の合間におちゃらけ、天然、シロタマ喧嘩を入れてみましたが、どうでしょう?
後、初めて戦闘描写を書いてみました。出来具合についてコメントしていただければ幸いです。

次回についてですが・・・。
う〜ん、、、某キャラの処遇に困っています。
てか、こいつがどう変わるかによってその後の展開が全然違くなるんですよね、、、

では、反対票、賛成票、感想、お待ちしています〜。

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