ザ・グレート・展開予測ショー

おキヌの夕焼け5 〜横島のきもち


投稿者名:nvere green
投稿日時:(05/ 3/14)

二月に入って横島は仕事をするたび強くなりたいという意思が強いものになった。今日は美神の母である美智恵が勤めているオカルトGメンからの依頼があり美神除霊事務所は総動員で除霊の仕事に出ていた。

「ふぃ〜。なかなか強かったっすね。」
「そうね。けどこれで二億なんてぼろ儲けね♪」
事務所のメンバーは無事除霊を済ませ美智恵が予約をとった旅館でくつろいでいた。
「せんせ〜い。散歩に行こうでござる。」
シロは横島に飛び掛かった。
「馬鹿やろう!さっき除霊したばかりだろ!勘弁してくれ〜!」
「でも来週は散歩に行ってくれるって言ったでござるぅ〜。」
「まぁまぁシロちゃん。一昨日に急に仕事が入ったんだから…。」
おキヌは横島の味方をする。
「うぅぅ!しかし、しかしでごさる!」
シロは駄々をこねた。そのとき、

  −コンコン−

「どうぞ〜。」
と美神。
「こんにちは。令子、除霊お疲れ様。」
「ま〜ね。さっ二億、二億っ!」
(なんでこんな子に育ったのかしら…?)
と思いつつも話を続けた。
「分かってるわよ。それより横島くんは居る?少し話がしたいんだけど?」
「あっちの部屋で暴れているわよ。」
二億を期待していた美神は不機嫌そうに答えた。
扉の向こうからは賑やかな声が聞こえていた。美智恵は扉を開いた。

「だから散歩は今度だ!分かったか?シロ!」
「この前も行ってないでござる!」
「うぐっ!もう疲れてるんだ!休ませて…。」
ようやく横島は美智恵に気付いた。
「あっ、隊長お疲れ様っす!」
「こんにちは。」
「こんにちはでござる!」
シロとおキヌも続けて挨拶をした。タマモは座布団の上で寝ていた。
「横島くんにおキヌちゃん、シロちゃん今日はとても助かったわ。タマモちゃんもね。」
寝ているタマモを見て美智恵は声をおとした。
「あの、なにか用事ですか?」
おキヌは美智恵に聞いた。
「ええ。少し横島くんと話がしたくて。大丈夫かしら横島くん?」
「はい。別に構いませんよ隊長。」
横島は笑顔で答えた。
「じゃあ、ちょっと付いて来てくれる?」
「分かりました。」
二人は部屋を出ていった。
「うぅぅ…。せっしゃの散歩…。」
散歩を破棄されたシロはその場でいじけていた。
そのシロを慰めつつおキヌは美智恵の話は何だろうと考えていた。
横島と美智恵は近くの喫茶店に入った。
「隊長。話ってなんすか?」
横島は着くなりさっそく本題に入った。
「横島くんはもうすぐ高校卒業よね?」
「はぁ、留年さえしなければ卒業っすね。」
「そうね。ねぇ横島くん、卒業したら独立する気はないかしら?もちろんオカルトGメンなら大歓迎よ。」
「はぁ、でもおれ独立するためのお金もないし、一人でやっていく自信もないっすよ。」
「そうじゃなくて、やりたいっていう気持ちがあるかどうか聞いてるの。」
「そうですね…。少しはありますけど、自分の卒業してからの事なんか考えてなかったから…。」
横島は卒業してからの事なんか考えた事もなかった。もちろん大学に行く気もないし、そんな所に行く学力はなかった。
「そうね…。けどあなたはもう一人でやっていく実力はあるのよ。それにお金の問題もないわ。」
「どういう事っすか?」
「実はアシュタロス事件の報酬が横島くんにもあるのよ。」
「何でですか?報酬は確かもう事務所に入っているはずじゃ…。」
横島に報酬があったとしても美神の報酬と共に事務所に入っているはずだ。結局自分に報酬が入ったとしても時給は変わらない。
「確かに報酬を払ったわ。だけど横島くんの分は払わなかったの。どうせ令子の懐に入るから。」
まったくだ、って顔の横島。
事務所にバイトをしにきて以来、その事はお約束みたいなものだった。
「もし横島くんが独立して事務所を開きたいと言うなら、こっちでお金は出すわ。」
「…。」
横島は黙ってしまった。
卒業した後の事を真剣に考えてみたら見渡すかぎり真っ白だった。
「いいわ。今答えを出すほうが無理だわ。まだ卒業まで一ヶ月はあるし。けどそれまでに返事をちょうだいね。」
美智恵は横島と自分のコーヒー代を机において店から出て行った。

横島達が泊まっている旅館…

おキヌは美神にお茶を渡した。
「隊長さんと何を話したんでしょうか?」
美神はお茶をすすりながら答えた。
「ママの事だから、大体の検討はつくわよ。」
美神の思考にあったものは的中していた。おキヌには分からなかった。
「どんな話だと思うんですか?」
おキヌはつぶらな瞳で美神を見つめた。美神はその瞳に負けてしまった。
自分の予想をおキヌに教えた。
「そんな…。美神さんは横島さんを止めないんですか?」
美神は湯飲みを置いた。
「分からないわ。さすがの私もママには逆らえないもの。」
ちょっと自慢げに美神は言った。
「そうじゃなくて。美神さんの気持ちはどうなんですか?」
美神は一瞬怯んだが、すぐにおキヌに切り返した。
「そ−ゆ−おキヌちゃんはどうなの?」
すこし意味ありげな口調でおキヌに聞いた。
「わ、私は横島さんには残ってほしいです!」
しどろもどろに言いながらも自分の意思を伝えたおキヌ。
「そうね。けどそれを決めるのは、横島くんよ。」
そう言った美神はお茶を飲み切り机の上に置いて部屋のドアに向かった。
「じゃあ、もし横島さんが独立をするって言ったら認めるんですか?」
「それも分からないわ。」
美神は部屋から出ていった。
(はっ!結局、美神さんの気持ちを聞けなかった。)

「あら、横島くんおかえり。話は済んだの?」
「ええ。実は隊長さんに…。」
「待って!それ以上言わなくても分かるわ。卒業までしっかり考えなさい!」
「分かりました。」
美神はそのまま旅館を後にした。
横島は部屋に入った。
「せんせ〜い!散歩!散歩でござる〜!」
ドアを開けた瞬間犬に襲われる横島。
「狼でござる!」
「 ? 何言ってんだシロ?」
「あっ。今、空から声が聞こえたでござる。」
「そんな声を相手にするな。そんな声おれはいつも聞こえるよ。」
「そ、そうでござるか…。」
「あの〜なんの話を…?」
冷や汗をかいたおキヌはつっこんだ。
こんなときでもおキヌはつっこみを忘れない。
「そ、それより散歩でござる!」
「横島さんはこれでも疲れてるから見逃してあげたら?」
おキヌは横島を思ってそう言った。
「いいよおキヌちゃん。じゃあ、シロ行くか!」
「はいでござる!」
シロは尻尾を振った。
「私も行くわ。ど〜せ暇だし。」
「おう!いいぞ。そういやお前、この話の初めてのコメントだな!?」
「なんの話?」
タマモはわけの分からん顔をして頬をかいた。
「あの〜。だから何の話を…(汗)。」


散歩を始めて5分。横島とシロは早速はぐれてしまった。
「やっぱりロープで繋ぐべきじゃなかった?一応犬なんだから。」
「う〜ん…。さすがにロープは持ってきてなかったからな…。下手に結ぶとおれが死ぬからな…。」
タマモと横島は並木道を歩いていた。時刻は5時を回った。
「ところで隊長って人の話ったなんだったの?」
「おキヌちゃんとシロに絶対言わないか?」
「私、こう見えても口は硬い方よ。」
横島は少しタマモを疑った。
しかしそれもそうか、と思い独立の話を伝えた。
「ふ〜ん。で、横島の気持ちはどうなのよ?残るの?それとも出ていくの?」
(まぁそう聞かれると思ったよ…。)
横島もその位は予想できた。
「う〜ん…。これも誰にも言わないか?」
「言ったでしょ?私、口は硬いって。」
ふぅ、と息をついた横島は今思っている素直な気持ちをタマモに述べる。
「実は、両方とも考えてない。」
「はぁ?」
タマモはそれしか言えなかった。
「はぁ?って、選択肢はそれだけじゃないだろ?」
「じゃあ、何があるっていうの?」
横島は語りだした。
「おれ実は、卒業したら修行しようと思うんだ。そして自分でも納得のいくまで強くなる。」
「そしてその後は?」
「分からないけど、独立したい気持ちの方が上かな…。」
「じゃあ、独立するときは私を誘ってね?」
「おいおい…まだ決まったわけじゃないぞ!」
「そうね。じゃあ、そこのうどんを食べましょう?横島のおごりで。」
タマモは三軒先の店を指差した。
「な、なんでおれのおごりだよ!?」
「さっきの事話していいのね?」
「うぐっ!」
(しまったぁあ〜!はめられた!)
「ちっ!しかたねぇな。」
二人は店に入っていった。



「なぁタマモ?おれ達何か忘れてないか?」
「さぁ?気のせいじゃない?」






「せんせ〜い!!!!!」

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